わたしを離さないで(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『わたしを離さないで』とは、日系イギリス人のカズオ・イシグロが2005年に発表した長編小説で、日本ではTBS系列で放送された脚本・森下佳子によるテレビドラマである。「臓器提供」を目的としてこの世に誕生した「クローン人間」の子供時代から始まり、成長とともに人生を受け入れ、全うしていく姿がドラマの中で主人公の恭子、友彦、美和の姿を映しながら描いていく。見どころは、作品の中では、現実の人物に近いキャラの恭子が自分の人生を振り返りながらすべてを受け入れ「生きる」ことに前向きになるという作品になっている。
人の細胞から人の手によって結合して作られたのが「クローン人間」である。ドラマの中では、同じ細胞同士を使ってできた子供が同じ姿で登場している。
提供(提供者)
提供とは、自分の体の臓器を他人にあげることを意味し、提供者とは、自分の体の臓器をあげる人のことで、提供者は、自分の介護人を「リクエスト」という形で指名することができる。
コテージ
子供のころに施設で育ち、卒業後「3年間の猶予期間」を過ごす共同生活の場所を「コテージ」と呼ぶ。このコテージには、様々な施設で育ったクローンが生活することになり、コテージもいくつか存在する。
猶予
臓器提供をしないでいられる期間のことを猶予と呼んでいる。その間は、決められた場所やルールはあるものの、普通の人間に近い生活がおくれる。
ルーツ
一般的に人の「ルーツ」といえば、生まれてきた親の存在だったり、祖先を指すが、ドラマの中での「ルーツ」とは、細胞を提供した人を指している。
介護人
「介護人」は、提供者のお世話係だ。介護人は、提供者の検診や体調管理、提供者が生活する病院の様な施設で日常の掃除、洗濯、入浴の介助、シモの世話をする仕事である。
そんな介護人もいずれ「提供者通知」が来る。
『わたしを離さないで』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
恭子「たとえそれが、私のすべてだった男であろうと」
「たとえそれが、私のすべてだった男であろうと。たとえそれが、私からすべてを奪った女であろうと、最後は始末するだけだ」
恭子が自分の使命を初めて聞かされてから20年後、自分の人生を思い、教えに従い忠実に生きていること、そして、使命を全うするのは当たり前だと思って生きているからこその恭子の言葉である。
龍子先生「生まれてきてくれてありがとうございます」
龍子先生との再会で、サッカーの試合の最中、龍子先生に言われる「生まれてきてくれて、ありがとうございます」という言葉で友彦や恭子、美和たちが生まれてきた意味が確かにあったことを感じさせる言葉だった。
恭子「わたしを離さないで」
友彦が自分の「提供者」としての役割を素直に受け入れた時、恭子に言った言葉である。「隣に恭子がいてくれたら、もういいんじゃないかな。それだけで十分幸せなんだなって」「もうとっくに叶えたいだけ、叶ってたんだ」という。そして、恭子を抱きしめ「恭子、俺生まれてきてよかったよ」という友彦。「恭子がいてよかったよ」「会えてよかった」「こんな終わり方が出来てよかったよ」そういう友彦に恭子は「離さないで、私を離さないでよ」と言う。
のぞみが崎でのラストシーン
恭子は友彦を見送った後も自分には「提供通知」が来ていなかった。何人もの提供者を見届け、ひとりになった恭子が自分の最期を心に決め、思い出ののぞみが崎にやってくるシーン。友彦のそばに行こうと、はだしになって海にゆっくり向かっていくと、あの、友彦の形見のサッカーボールがどこからともなく恭子のもとへ流れて来た。恭子はそのボールを拾い上げ、抱きしめる。
『わたしを離さないで』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
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目次 - Contents
- 『わたしを離さないで』の概要
- 『わたしを離さないで』のあらすじ・ストーリー
- 第1章:陽光学苑編(第1話~第3話)
- 第2章:コテージ編(第4話~第6話)
- 最終章:希望編(第7話~最終話)
- 『わたしを離さないで』の登場人物・キャラクター
- 陽光学苑出身者
- 保科 恭子(ほしな きょうこ)
- 土井 友彦(どい ともひこ)
- 酒井 美和(さかい みわ)
- 遠藤 真実(えんどう まなみ)
- 大山 珠世(おおやま たまよ)
- 花(はな)
- 三村 広樹(みむら ひろき)
- 内田 聖人(うちだ まさと)
- 陽光学苑 教職員
- 堀江 龍子(ほりえ たつこ)
- 校長・神川 恵美子(かみかわ えみこ)
- 山崎 次郎(やまざき じろう)
- 克枝 (かつえ)
- コテージの住人
- 立花 浩介(たちばな こうすけ)
- 峯岸(みねぎし)
- 金井 あぐり(かない あぐり)
- 譲二(じょうじ)
- 信(しん)
- 桃 (もも)
- その他の人物
- マダム
- 提供者・加藤(かとう)
- 介護人・中村 彩(なかむら あや)
- 古着屋の店長
- 陽光学苑跡地の「ホーム」の少女
- 出版社の男性・古井(ふるい)
- サッカーをしている子供「ひろき」の父親
- 『わたしを離さないで』の用語
- 施設(陽光学苑)
- クローン
- 提供(提供者)
- コテージ
- 猶予
- ルーツ
- 介護人
- 『わたしを離さないで』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 恭子「たとえそれが、私のすべてだった男であろうと」
- 龍子先生「生まれてきてくれてありがとうございます」
- 恭子「わたしを離さないで」
- のぞみが崎でのラストシーン
- 『わたしを離さないで』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 『わたしを離さないで』は原作者の作品のなかで最も日本的な作品
- 原作に登場するクローンの中で、綾瀬はるかも演じることになるキャシーは現実の人物に近い
- 作品のテーマは、死に直面したときに重要なものはなにかということである
- 『わたしを離さないで』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):やまだ豊 『わたしを離さないで~運命』
- ED(エンディング):やまだ豊 feat.Julia Shortreed 『Never Let Me Go』(第二話)
- 挿入歌:やまだ豊 『Blissful moment』
- 挿入歌:やまだ豊 『Body Pulse ~As A Human』