アドルフに告ぐ(手塚治虫)のネタバレ解説・考察まとめ

『アドルフに告ぐ』とは、手塚治虫による漫画作品。1983年から1985年にかけて『週刊文春』誌上で連載された。戦争と人種差別をテーマにした大人向け漫画で、手塚の戦争観が色濃く反映されている。主人公で狂言回しを務める峠草平と、ヒットラー、カウフマン、カミルという、同年代を生きた3人の「アドルフ」の人生を描き、ヒットラーの出生の秘密を綴った文書をめぐる陰謀を軸に物語は展開していく。複数回の舞台化も行われ、好評を集めている。

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草平の弟。ベルリン大学に留学し、共産主義の学生運動に参加していた。しかし、交際関係にあったローザ・ランプによってゲシュタポに密告され、惨殺されてしまう。死ぬ前に入手していたヒットラー出生の秘密についての文書を小城に託していた。

小城 典子(こしろ のりこ)

1994年 劇団俳優座版演者:木村実苗
2007年 スタジオライフ版演者:林勇輔
2015年 KAAT神奈川芸術劇場/シーエイティプロデュース版演者:岡野真那美
2015年 スタジオライフ版演者:鈴木智久
2023年 スタジオライフ版演者:ミヤタユーヤ

小学校教師。アドルフ・カミルや峠勲の恩師。同人誌で反戦詩を発表したことから「アカ」の疑いをかけられて特高にマークされ、過酷な拷問を受けている。勲から送られたヒットラーの機密文書を預かっており、草平やカミルと共にナチスの文書を巡る陰謀に巻き込まれていく。

峠 由季江(とうげ ゆきえ)/由季江・カウフマン(ユキエ・カウフマン)

1994年 劇団俳優座版演者:河内桃子
2007年 スタジオライフ版演者:三上俊
2015年 KAAT神奈川芸術劇場/シーエイティプロデュース版演者:朝海ひかる
2015年 スタジオライフ版演者:宇佐見輝
2023年 スタジオライフ版演者:松本慎也/山本芳樹

アドルフ・カウフマンの母。儚げで繊細な美しい女性だが芯は強く、強権的な夫であるヴォルフガングとの仲は冷え切っていた。ヴォルフガングと死別した後に草平と知り合う。その後は神戸の自宅でドイツ料理店「ズッペ」を始め、ボーイとなった草平と再婚。仲睦まじい夫婦となるが、この再婚がアドルフ・カウフマンの歪みを深める一因になってしまった。

ヴォルフガング・カウフマン

2007年 スタジオライフ版演者:寺岡哲
2015年 KAAT神奈川芸術劇場/シーエイティプロデュース版演者:谷田歩
2015年 スタジオライフ版演者:船戸慎士
2023年 スタジオライフ版演者:船戸慎士

アドルフ・カウフマンの父。表向き、神戸の駐日ドイツ総領事館職員として活動しているが、正体は非情なスパイ。目的のためなら殺人や拷問もためらいなく行う。
非常に威圧的・強権的な人物で、繊細な性格のアドルフ・カウフマンをいつも怯えさせていた。祖国のドイツに対する忠誠心が非常に篤く、国のためなら家族を犠牲にする行いでも平然とやってのける節がある。反ユダヤ主義者ということもあって、息子を「アドルフ・ヒットラー・シューレ(AHS)」に送り、のちの人格形成に影響を与えた存在。

イザーク・カミル

カウフマンに撃たれてしまうイザーク

2007年 スタジオライフ版演者:藤原啓児
2015年 KAAT神奈川芸術劇場/シーエイティプロデュース版演者:石井愃一
2015年 スタジオライフ版演者:藤原啓児
2023年 スタジオライフ版演者:楢原秀佳

アドルフ・カミルの父。神戸元町で妻のマルテと共にパン屋「ブレーメン」を営むユダヤ人。自身も亡命してきたという過去から、ヨーロッパで同胞が迫害される状況に心をすり減らしている。神戸で敵対するユダヤ人反対勢力から脅迫を受けていたが、ミールユダヤ神学校の学生500人を日本に亡命させるためリトアニアに向かった。しかし現地で密入国を疑われ逮捕。ドイツに送検後、かつて息子の親友であったアドルフ・カウフマンに射殺されてしまった。

マルテ・カミル

2007年 スタジオライフ版演者:篠田仁志
2015年 KAAT神奈川芸術劇場/シーエイティプロデュース版演者:吉川亜紀子
2015年 スタジオライフ版演者:大村浩司
2023年 スタジオライフ版演者:山形敏之

アドルフ・カミルの母。ユダヤ人亡命に手をつくし、家を空けたイザークに代わり、息子のアドルフと共にパン屋を切り盛りしていた。恰幅が良い体格の、大らかで優しい女性。
アドルフ・カウフマンの手配で亡命してきたエリザを迎え入れ、実の娘のように可愛がっている。

エリザ・ゲルトハイマー

1994年 劇団俳優座版演者:早野ゆかり
2007年 スタジオライフ版演者:吉田隆太
2015年 KAAT神奈川芸術劇場/シーエイティプロデュース版演者:前田亜季
2015年 スタジオライフ版演者:久保優二
2023年 スタジオライフ版演者:松村泰一郎/伊藤清之

ドイツの裕福なユダヤ人一家の娘。ヒットラー・ユーゲント所属のカウフマンに一目惚れされ、彼の手引きで日本への亡命を計画。家族は既得権益への執着から躊躇するが、彼女の懇願で亡命を決行。しかし家族は待遇に不満を持ち、財産整理を名目に帰国して逮捕される。神戸でカミルと婚約するが、来日したカウフマンに激怒され、騙されて強姦される。

ナチス・ドイツ関係者

アドルフ・ヒットラー

2007年 スタジオライフ版演者:甲斐政彦
2015年 KAAT神奈川芸術劇場/シーエイティプロデュース版演者:髙橋洋
2015年 スタジオライフ版演者:甲斐政彦
2023年 スタジオライフ版演者:甲斐政彦

本作最大のキーパーソン。史実上も実在した国家社会主義ドイツ労働者党の指導者、ドイツ国の総統を務める。圧倒的なカリスマ性をもって民衆を扇動したが、ヒステリックで自分の考えに没頭するきらいがあり、ユダヤ人根絶を目指しながら自身のユダヤ人の血に苦悩していた。戦況の悪化で精神的な均衡を失い、疑わしい部下を次々に粛清する。1945年4月30日、自殺に見せかける形で殺害され、死亡する。

アドルフ・アイヒマン

子供たちを教育するアイヒマン(画像左)

2007年 スタジオライフ版演者:大沼亮吉
2015年 KAAT神奈川芸術劇場/シーエイティプロデュース版演者:斉藤直樹
2023年 スタジオライフ版演者:船戸慎士

ナチス親衛隊中佐で、ホロコーストの実行者。ユーゲントの混血児たちに対し「純粋なアーリア人でないからこそ努力が必要」と称し、ユダヤ人の殺害訓練を課していた。カウフマンにイザークを射殺させたものの失敗に終わり、その後少佐として再会。「総統が狂っていることは知っている」と語った。史実では戦後アルゼンチンに逃亡後、イスラエル諜報機関に捕捉され処刑されている。

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