Fate/stay night(フェイト ステイナイト)のネタバレ解説・考察まとめ
『Fate/stay night』とは、TYPE-MOONが開発するビジュアルノベルゲームのアニメ作品で、「聖杯」と呼ばれる万能の力を持った杯を巡り7人の魔術師(マスター)と7騎の英霊(サーヴァント)の物語を描いている。本作はその原作のストーリーのひとつであるセイバーがヒロインにしたルートを脚本にしている。2006年1月から6月まで全24話で放送された。
『Fate/stay night』の概要
『Fate/stay night』とは、ゲームブランド「TYPE-MOON」と、アニメ制作会社・スタジオディーンが共同制作して放送されたテレビアニメで、Fateシリーズ初のアニメ作品でもある。ゲーム版「Fate/stay night」の3つのストーリーのうち、ヒロインのひとりであるセイバーを主役としたルート「Fate」が主な物語として描かれている。
ちなみに原作となったストーリーの主な内容は、セイバーが聖杯を望む理由と、彼女にとっての救いとは何かを模索しながら、主人公である衛宮士郎が彼女と共に戦いに臨んでいく。そして、士郎とセイバーがお互いを理解し尊重しながらも、最後はそれぞれの思いを貫くために、それぞれの道を進んでいく姿を描いている。また、最初にこのストーリーをクリアしなければ他の2つのストーリーには進めない仕組みとなっており、ゲーム版のメインストーリーと言うこともできる。
『Fate/stay night』のあらすじ・ストーリー
セイバーとの邂逅
とある地方都市・冬木市に住む高校生の青年・衛宮士郎は、10年前に起きた大火災に巻き込まれた幼い自分を助けてくれた養父・切嗣と交わした「正義の味方になる」という約束を守るべく、切嗣から教わった魔術の鍛錬を続けていた。
しかし、そんな彼の穏やかな日々の裏で、冬木市では頻発するガス漏れ事故や、辻斬りめいた強盗殺人事件など、猟奇的な事件が続いており、テレビのニュースで士郎もそれを何度か見て、どこか不穏な気配を感じていた。
そんなある日、士郎は放課後の学校の中で双剣を操る赤い外套の男と、赤い槍を操る青の装束の男が戦っている姿を目撃する。さらにそれに気づいた青の装束の男・ランサーに「姿を見られたからには死んでくれや」という威勢良い言葉をかけられたと共に襲撃を受ける。自宅まで逃げる士郎だが、執拗に追撃をしかけてくるランサーに追い詰められ、絶体絶命のピンチに追いやられた。その時、士郎の右手に光り輝く刻印が現れ、士郎の目の前に金色の光が迸る。その光の中から青と銀の甲冑に身をまとった少女が現れ、卓越した剣技でランサーを撃退。それからその甲冑の少女・セイバーは呆然となる士郎を振り返り、静かにこう問いかけた。「問おう。貴方が私のマスターか」
その直後、士郎のクラスメイトで、魔術の名門・遠坂家の後継者にして魔術師である遠坂凛と、彼女と契約するサーヴァントのアーチャーが現れた。アーチャーはランサーと戦っていた双剣使いの赤い外套の男であった。凛たちの姿を捉えるや否や、セイバーは凛たちに斬りかかろうとするが、状況を飲み込めず、そしてクラスメイトに斬りかかろうとするセイバーを見た士郎は、制止の叫びを挙げると共に右手に宿った「令呪」と呼ばれる刻印の力を無意識に発動させた。その令呪の力によって強制的に動きを止められたセイバーは、驚きながらなぜ止めたのかと叫ぶ。それに士郎がセイバーに状況の説明を求めた時、凛が代わって説明するかのように、士郎を言峰教会へと案内する。
言峰教会の神父・言峰綺礼は、士郎は「聖杯」と呼ばれる願いを叶える万能の杯を巡り、7人の魔術師(マスター)と、それに付き従う7騎の英霊(サーヴァント)による戦い「聖杯戦争」に巻き込まれたと語る。そして凛もこの戦いに参加しているマスターのひとりであり、士郎はサーヴァントであるセイバーを召喚したことで、7人目のマスターとして認定されたと言う。文字通りの殺し合いである聖杯戦争に、士郎は最初は否定的だった。しかし10年前、幼い頃に自分が巻き込まれた冬木市での大規模な火災が聖杯戦争によるものだと綺礼から聞かされ、かつて自分が巻き込まれた惨劇を繰り返すわけにはいかないと決意し、戦うことを選んだ。そんな彼に綺礼は、笑みをたたえて静かに「喜べ少年、君の願いはようやくかなう」と、言った。
セイバーの正体
その後、聖杯戦争に参戦した士郎は、幼い少女魔術師であるイリヤスフィールとその契約サーヴァントであるバーサーカーと、クラスメイトで弓道部の副部長である間桐慎二とその契約サーヴァントであるライダー、そして凛とアーチャーとも対峙することになる。そして、10年前の大火災の惨劇を繰り返さないために、セイバーと共に戦いに身を投じ続ける。
そんな中、慎二のサーヴァントであるライダーとの戦いで、セイバーは自らの持つ剣の力を、サーヴァントが持つ強力な武器や能力「宝具」として解放。「約束された勝利の剣(エクスカリバー)」という名の聖剣の力でライダーを撃破した。その凄まじくも神々しい姿を見て息を呑む士郎は、セイバーの正体はイギリスでも有名なアーサー王伝説の主人公であるアルトリア・ペンドラゴンだと気付いた。そしてセイバーによると生前、王の選定の剣を抜いた時から自分の体は少女のままで成長が止まり、それからは少女の身のまま男性として振る舞うことになったという。
バーサーカーとの死闘
そんな中、士郎の前にイリヤが現れ、魔術によって士郎を捕捉して自らの居城であるアインツベルン城へと連れ去ってしまう。それに気づいたセイバーは凛とアーチャーと共同戦線を張り、アインツベルン城へ向かって士郎の救出とバーサーカーとの戦いへと挑む。しかしバーサーカーの圧倒的な力の前に大苦戦を強いられ、凛とセイバー、そして救出した士郎を逃がすためにアーチャーが囮になり、犠牲になってしまう。その後、イリヤとバーサーカーはアインツベルンの森へと逃げた士郎たちをさらに追撃し、再び圧倒的な力で追い詰める。勝利を確信してイリヤが口元を笑いに歪めたその時、士郎が雄叫びと共に一本の黄金の剣を手の中に召喚した。武器や防具をイメージして具現化する「投影」と呼ばれる士郎の魔術で召喚されたそれは、かつてセイバーが王の選定に挑む際に引き抜いたという「勝利すべき黄金の剣(カリバーン)」だった。そして士郎はセイバーと共にカリバーンを振るい、バーサーカーの岩の剣を打ち砕く。イリヤが驚きに目を見開いた瞬間、そのまま渾身の突きを繰り出してバーサーカーを貫き、撃破したのだった。
ギルガメッシュの参戦
その後、士郎によってイリヤは衛宮家で保護されることになり、アーチャーを失った凛も士郎に引き続き協力することになった。しかし今度は、バーサーカーが倒されたのを知ったキャスターが動き出し、士郎の後輩で慎二の妹である間桐桜を誘拐してしまう。桜を救うべく士郎たちは柳洞寺へ向かうが、キャスターが魔術で作り上げた神殿の中で、キャスターと契約するサーヴァント・アサシンや、キャスターのマスターである葛木宗一郎の常人離れした力と体術を前に苦戦を強いられる。しかしそれでもアサシンを倒し、葛木を退けた士郎たちだったが、キャスターは勝利を確信して「話によってはそこの坊やだけは生かしておいてあげてもいいわ。セイバー、あなたが私の下僕になるのなら」と言い放つ。するとそこで、「……たわけ。身の程を違えたな、雑種」と、聞きなれない男の声が割って入る。士郎たち、キャスターと葛木が振り返ると、高台に黄金の鎧をまとった金髪紅瞳の青年が立っていた。そしてその黄金の鎧の青年、存在しないはずの8人目のサーヴァント・ギルガメッシュは、セイバーは王である自分の物だと言い切り、それを横取りにしようとしたキャスターに対して苛烈な言葉をこう浴びせる。「騎士王を我が物にしようとするなど大罪よ!! 王と王の宝に手を出す輩は……失せよ、雑種」その言葉と共にギルガメッシュは宝具「王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)」を展開し、無数の剣戟の雨あられをキャスターと葛木に浴びせる。キャスターは慌てて魔術で防御して葛木をかばうが、その圧倒的な猛攻を前に葛木共々揉み潰されてしまった。思わぬ展開に驚きを隠せない士郎たちだが、無事に桜を救い出し、崩壊する神殿から脱出したのだった。
その後、士郎と凛は、セイバーからギルガメッシュが10年前の聖杯戦争で自分と共に召喚されたサーヴァントであり、最後まで戦って決着をつけることができなかった相手であることや、その際に求婚されていたことを語る。
その上でセイバーは、10年前の聖杯戦争で果たすことができなかった願い「過去に戻って自分の歴史をやり直す」ことを今度こそ聖杯の力で叶えるとも語るが、士郎はギルガメッシュが聖杯の力で2度目の生を受けたという事実から、聖杯の力でセイバーにこの世界での2度目の人生をさせたいと考えたが、その考えはセイバーに受け入れられることなく物別れに終わる。しかしその話から転じた話題の中で、士郎はその10年前の聖杯戦争におけるセイバーのマスターが切嗣だったことを聞かされる。さらに切嗣は、聖杯を手に入れるまで戦いを進めたが、ギルガメッシュを倒す前に令呪を使ってセイバーに聖杯を破壊させ、その結果として聖杯から零れた中身の力によって大火災が発生したというのだった。
そうして10年前の聖杯戦争の事実を知ることになった士郎は、苦悩しながらもその足で言峰教会へと向かう。そこで綺礼にセイバーに関する悩みを打ち明けたが、綺礼はセイバーをサーヴァントでなくしたいなら聖杯の力を使えばいいとだけ答える。その答えに考えがまだまとまらない士郎は、8人目のサーヴァントとしてギルガメッシュの存在を打ち明ける。これに対し、綺礼はまともに答える様子はなかったが、「なぜそれを知っている?」と言わんばかりの訝しげな表情を見せたのだった。
セイバーとデート
次の日、士郎はセイバーを思い切ってデートに誘い、映画館や水族館やデパートなど冬木市の娯楽施設を体験させる。しかしその帰り、また行こうと誘う士郎に対してセイバーは「サーヴァントは戦うために存在するものです。今日のような行為は自らの存在を否定することになる」と否定し、聖杯戦争に気分を切り替えようとし始め、徐々に険悪な雰囲気になっていく。
それでも、聖杯の力をなんとか今のセイバーとして新しい人生を歩むために使わせたい一心で根気強く説得する士郎だが、王の責務を果たさなければならないとセイバーも考えを改める様子はない。やがてセイバーは「思い上がらないでほしい…! あなた程度の人間に何がわかるのです!?」と苛立ちを爆発させ、ついに契約を解除しても構わないと言い放ってしまう。それに士郎も激怒し「そんなに戦いたきゃ勝手にすればいいだろ!!」と、怒鳴りつけた後にセイバーを置き去りにして走り去ってしまった。
やりきれない面持ちで家に帰り着いた士郎は、セイバーの力になれない自分自身のもどかしさをひとり部屋で噛み締めていた。しかしその夜、凛からまだセイバーが帰ってきていないと聞かされ、家を飛び出していく。
セイバーは士郎と言い合った橋の上にいた。士郎の言う通り、勝手にしようと思ったが、何がしたいのか思いつかなかったと淡々と語るセイバーに、セイバーが帰る場所は自分の家だと士郎は強引に手を連れて引き戻す。戸惑うセイバーに「俺は謝らないから、文句があるなら今のうちに言っとけよ」と言いながら、士郎はセイバーの手を取りながら歩き続ける。だがセイバーは、文句は言うことはおろか、手を振り払うこともしなかった。
アヴァロン
そんな中、「どこへ行く? 勝手に人のモノを持っていくな、小僧」と、ギルガメッシュが現れる。セイバーの制止を無視して、彼女を逃がすために無謀にも素手で立ち向かおうとした士郎だが、ギルガメッシュはハエでも追い払うかのようにゲート・オブ・バビロンを撃ち出して士郎を吹き飛ばしてしまう。それを見て逆上したセイバーも挑みかかるが、ギルガメッシュがついに自らの武器である「乖離剣エア」から放つ巨大な光の奔流「天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)」の前に敗れ去り、深手を負ってしまう。
それを見て士郎は、先ほどの王の財宝による一撃で受けたダメージを押しながら、カリバーンを再度召喚して挑みかかるが、ギルガメッシュは全く相手にすることなく容赦ない一撃を士郎に叩き込み、再び吹き飛ばした。しかしそれでも、士郎は諦めずに歯を食いしばりながら立ち上がった。光を失った両目でその様子を目の当たりにし、セイバーは困惑し、恐怖に震えながらも士郎に制止を叫ぼうとするが、士郎は「俺にはセイバー以上に欲しいモノなんてない!!」と叫んだ。そして士郎が再び手をかざした時、彼の体から神々しく力強い黄金の光が放たれる。やがてその光は一本の巨大な青と黄金の筒のようなもの、エクスカリバーの鞘である「遥か遠き理想郷(アヴァロン)」となった。自分の中から突如として現れた、その見覚えのない青と黄金の鞘に士郎が呆然となる一方、鞘を見たセイバーの両目に光が戻る。セイバーはすぐさま士郎のそばに駆け寄り、エクスカリバーを差し出す。そしてアヴァロンの中に、士郎と力を合わせてエクスカリバーを収めた。
同時にギルガメッシュがエヌマ・エリシュを再び放つが、エクスカリバーが完全にアヴァロンに収まった瞬間、アヴァロンはエヌマ・エリシュを弾き返し、ギルガメッシュにダメージを与えた。絶対の自信を持って放った一撃を跳ね返され、逆に傷を負わされたことに驚きを隠せないギルガメッシュだったが、舌打ちと共に即座に消え去った。そして、戦いが終わると共にアヴァロンも消えて、士郎は力尽きて倒れ込みそうになったが、セイバーはそれを抱きかかえ「やっと気づいた…士郎は、私の鞘だったのですね…」と言う。
士郎の信念
その次の日、士郎は単独でギルガメッシュについて綺礼に尋ねるべく再び言峰教会へ向かうが、ランサーの襲撃を受けて昏倒する。異変に気付いたセイバーが駆けつけると、士郎は教会の地下でうつぶせになって倒れていた。駆け寄ろうとした時、再び現れたランサーの襲撃を受け、打ち合いになる。だがそれを制したのは、綺礼だった。
綺礼は自分こそがランサーのマスターで、他のマスターから令呪を奪うことで略奪したサーヴァントだとも語り、そして「この男を助けに来たのなら引き渡そう。望むなら今ここで聖杯を与えてやってもよい」と、セイバーに向けて言い放つ。その言動に唖然としているセイバーに、綺礼は聖杯はサーヴァントの魂によって力が満たされるというもので、サーヴァント同士が戦うのはそのからくりの為だと言う。既に5体分のサーヴァントの魂によって十分な力が満たされたことで、聖杯戦争の勝者として士郎を認め、聖杯をセイバーに与えてやってもいいということだった。
それから綺礼は士郎に「10年前のあの日、お前は本当に何も恨まなかったのか?」と、問いかける。その問いに士郎は、10年前に巻き込まれた大火災で、炎の中で苦しみ、死にかけながら助けを求めている人々を無視し続けながら生き残るために歩き続けたことを思い出した。その結果、切嗣に助けられることで一人だけ生き残り、死んでいった人たちの分まで生きて報いるために正義の味方を目指して突き進むようになったことを自覚する。そこへ綺礼が「10年前の出来事をなかったことにできるなら、どうする?」と問いかけた時、士郎は一瞬揺れ動いたが、「いらない…そんなもの…。俺は置き去りにしてきた者の為にも、自分を曲げることなんてできない…!」と、はっきりと拒絶した。過去をやり直すのではなく、結果や事実による痛みを抱えても前に進む。それが士郎の考えだった。
そんな士郎の答えを聞いた後、つまらなさそうな表情で無造作に士郎を投げ捨てた後に綺礼はセイバーに「己がマスターを殺せ。そうすれば聖杯は手に入る」と言い放つ。それに対しセイバーも一瞬揺れ動いたが、聖杯を拒絶した士郎の言葉と考えで、自分が生前一国の王として民を守るための戦いに人生を捧げたことを思い返す。そんな自分の一生を誇れるなら、その結果が例え滅びであってもやり直しなど求めてはならないという答えに至り、考えを改めた。そしてセイバーが綺礼に「聖杯は欲しい。けれど、士郎は殺せない。私が欲しかったものは、もう全て揃っていたのだから」と言う。
そのセイバーの答えも聞いて、綺礼は「お前たちはつまらない…ここで消えてもらおう」と失望の溜め息混じりに言い放った後、指をパチンと鳴らした。するとそこにギルガメッシュが現れる。驚きを隠せない士郎とセイバー、そしてランサーに、綺礼はギルガメッシュが10年前の聖杯戦争で自分と共に戦ったサーヴァントだと語り、さらに10年前の聖杯戦争の出来事を語り始める。
その頃の綺礼は、切嗣との死闘に敗れて死にかかっていたが、切嗣に破壊された聖杯に無我夢中に触れた。そして、「この土地から人がいなくなればいい」と思った瞬間、聖杯の力で大火災が引き起こされ、多くの人間が命を落とすことになった。よって聖杯が願いを叶える仕組みが「願いを叶えられた人間以外の殲滅」によってなされるものだということに綺礼は気づき、綺礼との戦いで聖杯に触れたことで、その中身である力を見て「持ち主以外を殲滅する呪いの壺」であることを理解した。だからこそ、セイバーに聖杯を破壊させたのだと語った。
その真実を前に動揺するセイバーは「聖杯は持ち主の願いを叶えるものではないのか!?」と叫ぶが、綺礼はそんな彼女をせせら笑い、聖杯は持ち主の願いを破壊という手段だけで叶える純粋な力で、巨大な兵器と同じだと言った後、ギルガメッシュとランサーに士郎とセイバーの始末を命じてその場を立ち去る。窮地に陥る士郎とセイバーだったが、「気が変わった。俺は俺の信条に肩入れをする」との一言と共にギルガメッシュに挑みかかったランサーによって難を逃れる。それから自分に聖杯を破壊させた切嗣の真意、そして士郎の思いを理解したセイバーは、「聖杯を破壊しよう」という士郎の言葉に力強く頷いたのだった。
聖杯の破壊
その後、綺礼は衛宮邸を襲撃して凛に重傷を負わせ、聖杯を具現化する「器」という憑代に相応しい力と素質を持ったイリヤを誘拐。そして、聖杯を召喚するための力が最も集まる土地である柳洞寺の境内でイリヤを使って聖杯を召喚しようと企てる。衛宮邸に戻り、凛からイリヤが誘拐されたことと、綺礼の企みを聞いた士郎は、10年前の大火災の日、死にかけていた自分を救うために切嗣によって埋め込まれていた聖剣の鞘をセイバーに返した後、彼女と共に柳洞寺へと向かう。そして、そこで待ち受けていた綺礼とギルガメッシュとの最終決戦を繰り広げる。
激しい戦いの末、士郎は凛から授かった「アゾット剣」と呼ばれる宝剣で綺礼を貫き、セイバーは聖剣の鞘でエヌマ・エリシュを弾き飛ばし、渾身の一撃をギルガメッシュに叩き込んでとどめを刺した。ギルガメッシュは最後まで自分のものにならずに刃向かってきたセイバーを「憎い女」と詰りながらも、微笑みながらセイバーの頬を撫で、消滅すると共に「だが許そう……手に入らぬからこそ美しいものもある。ではな騎士王……いや、なかなかに楽しかったぞ……」と、言い残した。
その一方、綺礼は自らを貫いたアゾット剣を見て、見覚えがあるらしく驚きに目を見開いていた。その剣は凛から預かったものだと士郎が叫ぶと、綺礼は自嘲気味に笑いながら「以前、気まぐれに、どこぞの娘にくれてやった。あれは確か、10年前……なるほど、私も衰えるはずだ……」と言う。その一言を口にした後、綺礼は苦悶の声を残し、目を剥いて崩れ落ち、絶命した。
その後、士郎はセイバーに聖杯の破壊を命じ、憑代にされていたイリヤを救出する。そしてセイバーは、「士郎、あなたを……愛している」と、微笑みながらそう言い残し、登り始めた朝日に溶けるようにしてゆっくりと消滅していき、士郎も微笑みながら彼女を見送った。
夢の続き
そして、聖杯戦争によって起きた被害は、冬木市にやってきた新しい神父の尽力によって修復され、冬木市には平穏な日常が戻ってきていた。桜の花が舞う通学路にて、凛は何事もなくいつも通りにしている士郎を見て、「セイバーが消えて、もっと落ち込んでいるかと思った」と言う。それに対して士郎は「未練なんて、きっとない。いつか記憶が薄れて、あいつの声も、あいつの仕草も忘れていくのかもしれない。それでも、セイバーって奴が好きだったってことだけは、ずっと覚えてる」と、笑顔で言った。
同じ頃、セイバーも過去へ戻り、側近の騎士であるベディヴィエールにエクスカリバーを湖に投げ入れるように命じていた。そして、戻ってきたベディヴィエールから、エクスカリバーがその湖の主である「湖の貴婦人」と呼ばれる精霊に変換されたことを聞き届け、「胸を張るが良い…そなたは、王の命を守ったのだ。ベディヴィエール…今度の眠りは、少し、長く……」と、言い残した後、静かに安らかな眠りにつく。その安らかな顔を見て、ベディヴィエールは静かに「見ているのですか、アーサー王? 夢の続きを……」と声をかけた。
『Fate/stay night』の登場人物・キャラクター
セイバー陣営
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『ロード・エルメロイII世の事件簿』とは、TYPE-MOON作のビジュアルノベルゲーム『Fate/stay night』シリーズのスピンアウト小説である。 過酷にして熾烈な第四次聖杯戦争を生き延びたウェイバー・ベルベットは、ロード・エルメロイII世と名を変えて時計塔の講師となっていた。魔術師たちの総本山である時計塔は権謀術数のるつぼでもあり、陰謀、策略、不可思議な事件には事欠かない。エルメロイII世もまたそれらに次々と巻き込まれ、内弟子のグレイや自身の教室の生徒たちと共に解決していく。
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アーチャー/エミヤ(Fateシリーズ)の徹底解説・考察まとめ
アーチャー(エミヤ)は『Fateシリーズ』に登場する弓兵のサーヴァントの1人。『Fate/stay night』ではヒロインの1人である遠坂凛に呼び出される。当初は記憶が混乱しており自分が何者かも分からなかったが、記憶を取り戻すと主人公の衛宮士郎を敵視し始める。真名はエミヤ。第五次聖杯戦争唯一の未来の時代の英霊であり、正体は衛宮士郎が霊長の抑止力(アラヤ)と契約を交わした存在である。
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ランサー/クー・フーリン(Fateシリーズ)の徹底解説・考察まとめ
ランサー(クー・フーリン)は『Fateシリーズ』に登場する槍兵のサーヴァントの1人。『Fate/stay night』では魔術協会からの派遣魔術師バゼット・フラガ・マクレミッツによって召喚される。しかしそのバゼットが聖杯戦争の監督役である言峰綺礼にだまし討ちを受けて令呪を奪われたため、マスターが言峰になる。 真名はクー・フーリン。ケルト神話における大英雄で、アイルランドの光の皇子である。
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セイバー/アルトリア・ペンドラゴン(Fateシリーズ)の徹底解説・考察まとめ
セイバー(アルトリア・ペンドラゴン)は『Fateシリーズ』に登場する剣士のサーヴァントの1人。『Fate/stay night』ではヒロインを務め、マスターである衛宮士郎のことを献身的に支える。中でも"Fate"(セイバールート)では士郎と両想いになる。真名はアルトリア・ペンドラゴン。すなわちイングランドの伝説的英雄アーサー王である。
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真アサシン/ハサン・サッバーハ/呪腕のハサン(Fateシリーズ)の徹底解説・考察まとめ
真アサシン(ハサン・サッバーハ)は『Fateシリーズ』に登場する暗殺者のサーヴァントの1人。『Fate/stay night』では"Heaven's Feel"(間桐桜ルート)で間桐臓硯により召喚される。 真名はハサン・サッバーハ。イスラム教の伝承に残る暗殺教団の教主「山の翁」の1人であり、呪腕のハサンという異名を持つ。元は特筆すべきものがない平凡な暗殺者だったが、魔神の右腕を手に入れたことで山の翁の党首になる。
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キャスター/メディア(Fateシリーズ)の徹底解説・考察まとめ
キャスター(メディア)は『Fateシリーズ』に登場する魔術師のサーヴァントの1人。『Fate/stay night』ではアトラム・ガリアスタという魔術師に召喚されるが、そりが合わずにキャスターは彼を殺害して逃亡する。魔力不足で消滅の危機に陥っていたところで葛木宗一郎に助けられ、契約を結ぶ。 真名はメディア。ギリシャ神話に登場する裏切りの魔女である。
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ライダー/メドゥーサ(Fateシリーズ)の徹底解説・考察まとめ
ライダー(メドゥーサ)は『Fateシリーズ』に登場する騎兵のサーヴァントの1人。『Fate/stay night』ではヒロインの1人である間桐桜に召喚され、その兄の間桐慎二のサーヴァントとなる。真名はメドゥーサ。ギリシャ神話に登場するゴルゴーン3姉妹の末妹である。 『Fate/stay night』では専用ルートがないにもかかわらず、ミステリアスな雰囲気とその美貌から人気が高く、人気投票では第1回、第2回共に4位に入っている。
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アサシン/佐々木小次郎(Fateシリーズ)の徹底解説・考察まとめ
アサシン(佐々木小次郎)は『Fateシリーズ』に登場する暗殺者のサーヴァントの1人。『Fate/stay night』ではキャスターのサーヴァントによって、柳洞寺の山門を触媒にするというイレギュラーな方法で召喚される。そのため正式な暗殺者のサーヴァントではなく、アサシンのクラス特性をほぼ失っている。 真名は佐々木小次郎(ささきこじろう)。日本有数の剣豪・宮本武蔵の好敵手として語られる剣士なのだが、その存在があやふやなため「燕返し」を成しえた普通の農民が召喚された。
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ギルガメッシュ(Fateシリーズ)の徹底解説・考察まとめ
ギルガメッシュは『Fateシリーズ』に登場するサーヴァントの1人。基本的にはアーチャーのクラスだが、『Fate/EXTRA CCC』においてはクラス「なし」になっている。『Fate/Zero』において遠坂時臣によって召喚されたサーヴァントで、その10年後を描いた『Fate/stay night』でも暗躍する。 その正体は古代メソポタミアの『ギルガメシュ叙事詩』など多くの神話に登場する人類最古の英雄王。英雄たちが持つ宝具の原型を所持しているため、対英霊戦における絶対強者として君臨している。
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バーサーカー/ヘラクレス(Fateシリーズ)の徹底解説・考察まとめ
バーサーカー(ヘラクレス)は『Fateシリーズ』に登場する狂戦士のサーヴァントの1人。『Fate/stay night』ではイリヤスフィール・フォン・アインツベルンに召喚される。第五次聖杯戦争が始まる前から召喚されており、バーサーカーは喋らないまでもイリヤと父娘のような関係性を築いている。 真名はヘラクレス。ギリシア神話における大英雄で、キャスター以外の全クラスの適性を持つ武人である。第五次聖杯戦争においては最強のサーヴァントと評されている。
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Fate/stay night[UBW] に隠された「アーチャー=衛宮士郎」の共通点と伏線に迫る!
Fate/stay night [Unlimited Blade Works]における最大の秘密と言っても過言ではない「アーチャー=衛宮士郎」のキーワード。それ故に、本編ではこれを示唆する伏線・共通点が巧妙に描かれています。物語途中で気づいちゃった人もそうでない人も、とりあえず踏まえておいて損はないであろうシーンを振り返っていきましょう。
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【Fate/stay night】マスター&サーヴァントと声優陣まとめ
PCゲームから始まった大人気コンテンツ『Fate』の人気を支える登場人物たち。主人公の衛宮士郎を筆頭に、第5次聖杯戦争に参加したマスターとサーヴァントをご紹介。彼らに生命を吹き込むキャスト陣の情報にも迫る。
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【Fate】世界最古の英雄王「ギルガメッシュ」とは
またの名を「世界最古の厨二病」。黄金に光り輝く「ギルガメッシュ」とは?キャラ情報・宝具・名言・愉悦などから、その正体を紐解いていく。
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【Fate】双剣使いの弓兵「アーチャー(エミヤ)」とは
「背中で語る男」アーチャーとは?戦術・固有結界・詠唱・名言などから、その正体を紐解いていく。衝撃の過去にも遡りつつ、おもしろネタである「かっこいいポーズ」や「フィィィィッシュ!!」にも焦点を当ててみる。
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【Fate】騎士王「セイバー」とは
餌付け可能!腹ぺこ王の異名を持つ「セイバー」とは?キャラ情報・宝具・過去から第4次聖杯戦争中の姿にも迫りつつ、その正体を紐解いていく。可愛さ爆発のセイバー画像まとめも!
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【動画】おすすめバトルアニメ「fate/stay night [UBW]」の戦闘シーンまとめ
2014年に放送されていたfate/stay night [UBW](フェイトステイナイト アンリミテッドブレイドワークス)の、迫力とエフェクトによる映像美に衝撃を受けたのでまとめてみました。見ごたえ抜群の重厚な攻撃と、TVアニメのクオリティを凌駕した圧巻の映像は必見です。
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Fate/stay night関連雑談スレまとめ
Fateシリーズに対する視聴者の反応や、意見をまとめたおもしろスレまとめ。いじられまくる特定キャラが哀れになります。
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聖杯戦争で勝てる最強のサーヴァントランキング【Fateシリーズ】
『Fateシリーズ』ではあらゆる願いを叶えるとされる万能の願望機・聖杯を巡る聖杯戦争の模様が描かれる。聖杯戦争に参加する魔術師たちは、サーヴァントという英霊を使い魔として従える。ここではサーヴァントの性格や所有する宝具、強さなどから、召喚すると聖杯戦争を勝ち抜くことができそうなサーヴァントをランキング形式でまとめた。
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目次 - Contents
- 『Fate/stay night』の概要
- 『Fate/stay night』のあらすじ・ストーリー
- セイバーとの邂逅
- セイバーの正体
- バーサーカーとの死闘
- ギルガメッシュの参戦
- セイバーとデート
- アヴァロン
- 士郎の信念
- 聖杯の破壊
- 夢の続き
- 『Fate/stay night』の登場人物・キャラクター
- セイバー陣営
- 衛宮士郎(えみや しろう)
- セイバー
- アーチャー陣営
- 遠坂凛(とおさか りん)
- アーチャー
- バーサーカー陣営
- イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
- バーサーカー
- ライダー陣営
- 間桐慎二(まとう しんじ)
- ライダー
- キャスター・アサシン陣営
- 葛木宗一郎(くずき そういちろう)
- キャスター
- アサシン
- ランサー・ギルガメッシュ陣営
- 言峰綺礼(ことみね きれい)
- ランサー
- ギルガメッシュ
- その他の登場人物
- 衛宮切嗣(えみや きりつぐ)
- 柳洞一成(りゅうどう いっせい)
- 間桐桜(まとう さくら)
- 藤村大河(ふじむら たいが)
- 『Fate/stay night』の世界観・用語
- 聖杯(せいはい)
- 聖杯戦争(せいはいせんそう)
- マスター
- 令呪(れいじゅ)
- サーヴァント
- 宝具(ほうぐ)
- セイバー:風王結界(インビジブル・エア)
- セイバー:約束された勝利の剣(エクスカリバー)
- セイバー:全て遠き理想郷(アヴァロン)
- アーチャー:無限の剣製(アンリミテッド・ブレイド・ワークス)
- バーサーカー:十二の試練(ゴッド・ハンド)
- ライダー:自己封印・暗黒神殿(ブレーカー・ゴルゴーン)
- ライダー:他者封印・鮮血神殿(ブラッドフォート・アンドロメダ)
- ライダー:騎兵の手綱(ベルレフォーン)
- キャスター:破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)
- アサシン:燕返し(つばめがえし)
- ランサー:刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)
- ギルガメッシュ:王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)
- ギルガメッシュ:天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)
- 『Fate/stay night』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「問おう。貴方が私のマスターか」
- 「倒してしまっても、構わんのだろう?」
- 「よもやただの一撃で、この身を七度も滅ぼすとはな……」
- 「あれは王である、我(オレ)の物だ!」
- 『Fate/stay night』の主題歌
- OP(オープニング)
- タイナカサチ『disillusion』
- タイナカサチ『きらめく涙は星に』
- ED(エンディング)
- 樹海『あなたがいた森』
- 樹海『ヒカリ』
- タイナカサチ『君との明日』