Fate/Zero（フェイト ゼロ）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

衛宮 切嗣（えみや きりつぐ）

CV：小山力也／入野自由（子供時代）

本作の主人公。セイバーのマスターで、後の「Fate/stay night」に登場するアインツベルンの魔術師・イリヤスフィールの父であり、主人公となる衛宮士郎の養父。聖杯に託す望みは世界から全ての戦いと争いを根絶しての「恒久的な平和の実現」。
由緒ある魔術師の家系のひとつ・衛宮家系の六代目で、自らの体内の血液や神経の流れを操作し、それによって時間を速めたり止めたりできる「固有時制御（タイムアルター）」と呼ばれる魔術の使い手。銃器やナイフといった現代の武器の扱いに長けた傭兵でもある。
様々な謀略を駆使して、数々の暗殺や魔術師の殺害などの汚れ仕事を成し遂げた過去から「魔術師殺し」の異名を持つ。

第四次聖杯戦争の際、その腕を見込んだアインツベルン家に婿養子として迎え入れられ、セイバーを召喚してアインツベルン家のマスターとなる。
かつて、自らの研究によって多くの惨劇を引き起こしたが、それを悔やもうとしなかった父を殺害した過去を持ち、「1人の人間を殺害することで、死んでいたかもしれない多数の人間を救った」という体験から強迫観念にとらわれ、それ以来「大を救うために小を切り捨てる」ことを信条とするようになった。
そして、人々を死なせる闘争と、その闘争を肯定し人々を駆り立てる「英雄」という概念を激しく憎悪していて、セイバーをも「栄光や名誉を嬉々としてもてはやす殺人者」と軽蔑し、アイリと組ませて囮とさせて聖杯戦争を勝ち抜くための駒として利用することに徹している。召喚当時に一目見て自分とは相容れないと判断してからは令呪による発言以外は徹底して無視し、アイリが取り成そうとしても「何を言い聞かせても無駄だ」と取り合わず、自ら進んで理解しようともしなかった。

また、聖杯戦争の中で綺礼と対峙して以来、「失うものがあっても何も恐れず、自らそれを放棄する虚無」という彼の本質を見抜いてからは、聖杯戦争において冷酷非情に徹しようとしながらも、アイリとイリヤという失いたくないものを得てしまった自分とは正反対の強さを持っていると認識し、彼を危険視すると共に恐れていた。

セイバー

CV：川澄綾子

切嗣が召喚した剣兵の英霊。青と銀の甲冑に身を纏った小柄な少女。後の「Fate/stay night」のヒロインのひとり。
真名はアーサー王伝説に登場するブリテンの騎士王アルトリア・ペンドラゴン。「Fate/stay night」と同じくアーサー・ペンドラゴンが実は可憐な少女であったという設定になっており、滅びに瀕した故国を救うために聖杯を目指す。

聖杯戦争を確実に勝ち進むべくマスターの暗殺を狙う切嗣と、騎士としてサーヴァント同士の正々堂々の真っ向勝負を求めるセイバーとは相容れないものと作中では強く描写されており、最後まで彼との信頼関係は醸成されず、聖杯戦争では三度の令呪による命令しか話しかけられることはなかった。

アイリスフィール・フォン・アインツベルン

CV：大原さやか

本作のヒロインで、衛宮切嗣の妻で、イリヤの母。切嗣に代わり、囮としてセイバーのマスターを演じ、彼女の召喚に用いた聖剣の鞘を体内に宿している。

生まれつきの雰囲気と美貌から、切嗣とは対照的にセイバーとは非常に相性が良く関係はとても良好で、セイバーの良き理解者的立場であることから彼女からの信頼が厚い。切嗣と出会い、聖杯戦争に身を投じるまでは外界を知らずにアインツベルンの城の中で育ったため好奇心旺盛で、特に車の運転が大好き。
その正体はアインツベルン家で鋳造された女性のホムンクルスで、聖杯戦争の勝者に与えられる聖杯の憑代として選ばれた「器」でもある。
切嗣を愛しており、世界を救うという彼の理想を肯定していたが、本当の望みは娘のイリヤを聖杯戦争から解放し、平穏な人生を歩ませることにあった。

久宇舞弥（ひさう まいや）

CV：恒松あゆみ

殺し屋時代からの衛宮切嗣の弟子であり、愛人でもある女性。
切嗣のサポート役として彼と共に聖杯戦争に参戦し、感情を表に出さず淡々と任務をこなす。その様子を見たアイリからは彼女こそが切嗣を最もよく知る人物であり、切嗣にとってはセイバーよりも信頼できる人間だと認識されている。

かつて物心ついた時から兵士として育てられたという凄絶な生い立ちを持ち、切嗣に拾われて以降は彼だけをよりどころに生きてきたことが作中で強く描写されている。そして、自身の本名や家族すら全く覚えておらず、「久宇舞弥」は切嗣が用意した偽造パスポートの名前であることがわかっている。

アーチャー陣営

遠坂 時臣（とおさか ときおみ）

CV：速水奨

魔術師の家系の中でも「御三家」と呼ばれる3つの大名門の一角である遠坂家の当主で、アーチャーのマスター。遠坂凛と間桐桜の父親。

宝石を使った魔術と、火の魔術を得意としている一方、魔術を尊いものと信じてその道を極めることに生涯を捧げている生粋の魔術師であり、聖杯の願いはその魔法を生み出した「根源」と呼ばれる世界の到達である。
魔術師でありながらも現代の武器を手にする切嗣、そして旧友の関係にあたり、共に魔術の道を歩みながら魔術がもたらすものを前にして背を向けた雁夜に対しては「魔術師の恥」と侮蔑を露わにしている。
また、家庭人として妻の葵と娘たちを大切に思っている一方、間桐家と古くから結んでいる盟約に従って桜を養子に差し出したことに後ろめたさを抱いており、これが切っ掛けで雁夜から一方的に憎悪されている。

自分の父の盟友であり、第四次聖杯戦争の監督役として選ばれた璃正と裏で繋がり、さらに最強の能力を誇るアーチャーを召喚して万全の準備を以って聖杯戦争に挑むが、彼の振る舞いに翻弄される。アーチャーに対してはその真名からマスターでありながらも家臣として接する「臣下の礼」を取っていたが、本心では自分の聖杯に託す願いを叶えるための道具としか思っていない。

アーチャー

CV：関智一

時臣が召喚した弓兵の英霊。華美な黄金の甲冑に身を纏った青年。
真名は英雄王ギルガメッシュで、遥か昔に世界の全てを手中に収めるほどの力を持ったことから「人類最古の英雄」「バビロニアの英雄王」と語り継がれている。この世の全ての宝は自分のものだと思っており、聖杯もまた最初から自分のもので、その自分の宝を奪おうとする全ての賊を葬り去るという理由で聖杯戦争に参加した。

天上天下唯我独尊を体現したかのような傲慢な性格で、自らを唯一無二の王と称してはばからず、マスターと離れても行動できる「単独行動」と呼ばれるひとつの能力を持っているために時臣を意に介さず、自分の心の赴くままに行動する。
また、魔術師としての生き方に忠実であろうとする時臣の性格や、彼の鈍重な作戦に退屈を感じる一方、逆に綺礼に興味を移していくようになり、彼に「楽しむ」ということについて教えを説き、自分へ引き込もうとする。そしてセイバーに対しても戦いの中で何度か顔をあわせるうちに興味を持つようになり、彼女も自分の宝として認め、手に入れようと目論む。

遠坂 葵（とおさか あおい）

CV：伊藤葉純

時臣の妻で、凛と桜の母親。旧名は「禅城葵」であり、かつては魔術師の家系であったが魔術師としての能力を持たず、代わりに配偶者の血統の潜在能力を引き出した子供を設けるという特異な体質を持っている。

時臣の指示により、聖杯戦争が始まる直前に凛と共に冬木から鉄道で二駅先にある禅城の実家に避難していた。
また、間桐雁夜とは幼馴染の関係にあたり、雁夜からは好意を寄せられているが、葵は時臣を素直に思慕し愛しており、雁夜の気持ちには全く気付いていなかった。そして、時臣の決定に従って娘の桜を間桐家に養子に出したことが雁夜参戦の発端となっている。

遠坂 凛（とおさか りん）