PSYCHO-PASS サイコパス 3(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』とは、2012年10月からフジテレビ「ノイタミナ」にて第1期が放送された、Pruduction I.G制作のオリジナルテレビアニメの第3期。人間のあらゆる心理状態や性格傾向などが数値として計測可能な「シビュラシステム」の導入された東京を舞台に、厚生省管轄の警察組織「公安局」がシビュラシステムのもと治安維持活動に日々尽力する。登場人物達の葛藤やジレンマを追う群像劇や近未来的事件解決の物語は国内外からも厚い支持を受けている。

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』の概要

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』とは、2012年10月からフジテレビ「ノイタミナ」にて第1期が放送された、Pruduction I.G制作のオリジナルテレビアニメ及びこれを原作としたメディアミックス作品の第3期である。
第1期は2015年のSUGOI JAPAN AWARD アニメ部門9位を受賞。第2期もNEWYORK FESTIVALS 2016 WORLD'S BEST TV & FILMSにてアニメーション部門 銀賞を受賞している。2015年のNewtype×マチ☆アソビ アニメアワードでは劇場版が脚本賞、作品賞を受賞するなど評価も高い作品となっている。
人間のあらゆる心理状態や性格傾向などが数値として計測可能な「シビュラシステム」(以下シビュラ)の導入された2112年の東京。人々は数値や色相を「PSYCHO-PASS(サイコパス)」と呼び、仕事の適性や結婚相手までもがこのサイコパスによって判明するため、人々はこれを理想の人生の指標として生きていく。その中で、犯罪に関する数値は「犯罪係数」とされ、規定値を超えれば罪を犯していなくとも「潜在犯」としてシビュラから裁きの対象となっていた。シビュラの監視社会の中、厚生省管轄の警察組織「公安局」が治安維持活動に日々尽力していた。公安局刑事課は「執行官」として社会活動が許された潜在犯の部下(コールサイン:ハウンド)と、公安適性の出た「クリア」なエリートの「監視官」(コールサイン:シェパード)で構成されている。「近未来SF」「警察もの」「群像劇」のコンセプトのもとストーリーが展開される。
1期ではシビュラシステムの導入された社会と、AIが生活の大部分を占めた近未来な世界観、その世界でサイコパスの数値に踊らされながら繰り広げられる事件と、犯罪係数の揺らがない人間が起こす残忍な犯罪行為などを巡り、スピード感があり、なおかつ自分もその社会の一部となったかのように考えさせられる展開のストーリーであった。2期では、1期に被害者の友人として登場した人物が監視官になったり、2期の犯人が実は1期でも登場していたなど、伏線の回収が多かったりと奥が深いアニメとしてファンの間では名高い。1期での登場人物のその後などが2期でも濃く描かれており、自身が登場人物たちの近くでその社会に存在しているような感覚になるアニメである。
そして3期では、ガラリと登場人物が変わり、鎖国政策が解除されているなど社会情勢も変化している。新たに日本に「入国者」という住民が増えたことで起きる事件や、入国者であるメインキャラの葛藤、受ける迫害やところどころにちりばめられた入国者への差別などがリアルに描かれている。グローバルに住民の幅が広がり、戦地からの移民も存在しているからか、事件も爆破テロなどの規模が大きいものとなっており、アクションシーンが多いのも魅力となっている。

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』のあらすじ・ストーリー

物語の導入

舞台は第2期エンディングから5年後の東京。日本は従来の鎖国政策を段階的に緩和し、移国民の受け入れを徐々に開始していた。1期、2期のメインキャラであった常守朱(つねもりあかね)は何らかの理由で現場を退き、拘留されていた。1期で執行官として犯罪と対峙し、失踪していた狡噛慎也や1期では監視官、2期では執行官として活躍していた宜野座伸元、2期では元刑事課二係の執行官であった須郷徹平(すごうてっぺい)は、外務省海外調整局行動課課長である花城(はなしろ)フレデリカが組織した外務省行動課に所属。1期では被害者の友人の学生として登場し、2期では監視官として奔走した霜月美佳(しもつきみか)は公安局刑事課課長に昇進し、ホログラムに精通する執行官、雛川翔(ひなかわしょう)や1期からのお馴染みの分析官、唐之杜志恩(からのもりしおん)は刑事課に残留。新たに廿六木天馬(とどろきてんま)、入江一途(いりえかずみち)、如月真緒(きさらぎまお)、3名の執行官を加え、新体制の刑事課は治安維持活動に励む。とある車両事故によって色相が曇り、監視官2名が除名され、新たに監視官として配属されたのが、メンタリストの中でも特に「高い共感力」を持つ特A級メンタリスト、慎導灼(しんどうあらた)と、元軍人でロシア系の帰化移民の炯(けい)・ミハイル・イグナトフだった。この2人は、それぞれの家族を殺された「ある事件」を追っているという訳ありであった。

巨大輸送機墜落事故編

新東京国際空港近海に、ハイパー・トランスポート社が所有する大型輸送機が墜落する事故が発生した。厚生省公安局刑事課に着任したばかりの灼と炯を加えた一係も捜査のため出動する。彼らはそこで、ハイパー・トランスポート社の会計士である旭・リック・フェロウズが行方不明になっていることを知る。捜査のため灼は追跡対象者になりきる「メンタルトレース」を駆使してリックの動向を追っていくが、その先にリックの遺体を発見する。墜落事故の際、機体の外に放り出されたのだろうということで事故死であると判断が下されるも、リックが何かに怯え機内を逃げ回った、偶然の積み重ねによる事故に見せかけられた事と、それを設計する何者かの存在に気づき、2人は捜査を続行することに。捜査の中で、リックは同社でのサブプライムローン詐欺を突き止め告発しようとしたことが明らかになり、事故は偽装であり内部告発の口封じのために仕組まれたものであったと判明する。偽装事故の手口を掴んだ一係は、目星をつけていたトランスポート社役員である与根原(よねはら)を追い、廃棄区画に足を踏み入れる。スラム街出身の執行官、入江のツテで逃亡先を突き止めるも、既に与根原は遺体となった状態で発見された。捜査でもう1人、同社顧問の些々河にも目をつけていた灼と炯は彼が主犯であると踏み、霜月の命令を無視してまさに逃亡しようとする些々河を追って有明空港へと急いだ。しかしそこで見知らぬ男たちに行く手を阻まれた。彼らは外務省行動課の宜野座伸元と狡噛慎也であった。些々河を逃がしてしまうと焦った炯であったが、灼はそうではないと気付く。既に外務省行動課によって機内の些々河は身柄を拘束されていた。外務省預かりという形でこの事件は幕を下ろした。

マカリナ編

事件解決後某日、選挙放送の流れる街中のホテルから、男性が転落死する事故が発生。亡くなったのは脳科学者・土谷荒城(つちやこうじょう)博士。状況からして自殺に他ならなかったが、灼と炯は「偶然の不具合の連鎖」が起きたという点で、旭・リック・フェロウズの死亡した輸送機墜落事故と類似している点が多いことに気が付く。事件捜査のため、選挙テロの防止という名目で、土谷がメンタルケアスタッフを務めていたというアイドル都知事候補・小宮カリナと、その対立候補である薬師寺・ヘラクレス・康介の捜査を開始。入江、灼は小宮、廿六木、炯は薬師寺の元へ向かった。小宮カリナと対面した灼は、土屋博士は小宮のストーカーであったと話を受けるが事件との関連は掴めず、彼女の潜在犯を一目で見抜いたような言動から得体の知れない何かを感じる。

薬師寺の元へ向かった廿六木、炯も事件との関連性は掴めずじまいだった。薬師寺の去り際、関係者に廿六木の親族がいたことが発覚し、潜在犯落ちの身内に対する侮蔑的な発言を残して去っていった。その後、薬師寺の秘書、リー・アキが土屋博士と同じホテルに同日宿泊していたことが判明する。事情聴取を進めていくも、関与を否定。その最中、付近のサイコパス数値上昇を知らせるエリアストレス警報が鳴り、謎の数人組に襲撃を受け、リー・アキは殺害されてしまった。リー・アキの襲撃者が一人逃げおおせたことから一係は、襲撃者の集団は廃棄区画の住人ではないかと睨む。廃棄区画に縁のある入江の推察で茗荷谷の廃棄区画の裏チャンピオン、榎宮春木が関与しているのではないかと絞った一係は、榎本の元を訪れ任意同行を試みるも失敗してしまう。容疑者としては濃厚だが決定的な手掛かりは掴めずにいた。改めて入江、灼は廃棄区画、廿六木、炯は薬師寺陣営の捜査へ向かった。薬師寺側の廿六木親族に拒絶と暴言の限りを尽くされ、炯が暴力を振るい謹慎されてしまう。その夜、執行官が二人の監視官について調べており、炯の兄が灼の父親を殺して自殺したことを知る。謹慎された炯の代わりに、公安局と捜査コンサルタント契約を結んでいるフリージャーナリスト、六合塚弥生(くにづかやよい)が加わることに。リー・アキ殺害時の襲撃者の侵入方法は、仮死状態での街頭スキャナーのスルーと、複数業者を介した輸送であった。それと同時に入江は、秋葉原の廃棄区画に土屋博士の事務所が借りられていることを突き止めていた。事務所に訪れた灼、入江、廿六木は、土屋博士のオフラインAIと遭遇し、博士が思考誘導AIのマカリナを作り、小宮はそれを使って選挙活動をしていたことが明らかになる。

再び榎宮の関与する運搬業者が選挙討論会のある会場に向かっていた。小宮に出演中止を促すも一蹴されてしまう。停職中の炯もプライベートの名目で単独行動を行い、六合塚も共に会場に向かい榎宮の小宮カリナ殺害計画を何とか阻止する。しかし榎宮が遺体で見つかり、再び被疑者死亡という形で事件は幕を下ろした。薬師寺は、知人の榎宮が事件の首謀者であったこともあり色相が悪化。小宮カリナが選挙で当選し、都知事となる。その後、廿六木は前任監視官の事故の際に聴取した「梓澤康一」の名刺を灼と炯に託し、一連の不審死の影にこの男が居ると2人に告げる。榎宮もこの梓澤に事件であるかのように見せかけて殺害された。

信仰特区自爆テロ編

廿六木からもらった名刺をもとに、事故により色相悪化した一係の前任監視官に接触した炯は、車両事故の裏に、公安局内にもメンバーがいる狐と呼ばれる犯罪組織が関与していることを伝えられる。そんな中、信仰特区新設説明会で自爆テロが発生。賛成派が1名を除き死亡する中、反対派が全員生存だったため、反対派のテレーザ陵駕、ジョセフ・アウマ、トーリ・S・アッシェンバッハの3名と現場付近にいた賛成派、久利須=矜治・オブライエンの中に犯人がいるとみて捜査を開始する。反対派の3人と会い、色相チェックや事情聴取を行うが、色相もクリアで特にこれといった手掛かりは掴めず、残る捜査対象はメンタルケアのために入院している久利須のみとなった。炯、廿六木、如月の3人が、久利須が入院している病院を事情聴取の為訪れるも、面会直前で久利須のいる病室が爆破されてしまい、聴取に失敗する。捜査を進めていくにつれ、第一の自爆テロ犯同様に身体の内部に爆弾が埋め込まれた人間が5人いたことが判明、残り3発の爆弾が残っていることを特定する。

病室爆破前夜に久利須と面会し、その後失踪した陵駕の捜査をする過程で、国賓を利用した密貿易の証拠を入手。アウマがそれに関与しているのではないかという疑惑が挙がり、さらに自爆犯がどちらもトーリの教団、ヘブンズリープの信者だったことから炯と如月は国賓の夫妻に成りすまし、ヘブンズリープへの潜入捜査を開始することに。しかし、その最中にアウマが自爆テロにより死亡してしまう。その知らせを聞いた如月は動揺してしまいトーリに潜入捜査を感づかれてしまう。それを知らない2人は祈祷中のヘブンズリープ教祖の仁世に接触しようとするも、祈祷中の仁成はホログラムによる偽装だった。その現場をトーリに見られ、2人は拘束されてしまい、公安局とは別に潜入している外務省の情報を入手するために拷問を受ける。炯は朦朧とする意識の中、トーリと彼の母親の裁園寺莢子との会話を耳にする。あらゆる事件を傍観している謎の組織ビフロストや、その中枢人物コングレスマン、そしてその手先であるインスペクターの存在などの情報を得る炯だったが、外務省の情報を知らないために口を割らない炯に対して痺れを切らしたトーリは、炯の妻で潜入直前に視力回復手術を受けたばかりの舞子・マイヤ・ストロンスカヤを病院から誘拐。彼女を人質に口を割らせようとする。

その一方で、灼は無理を通してメンタルトレースを行う。そこで見えたのは病室を爆破され死亡したと思われた久利須の生存している姿だった。行方をくらましていた陵駕とも再会した一係は、陵駕から一連の事件の発端は陵駕、アウマ、オブライエン、ニセイの4人が入国者への犯罪を告発するために立てた計画だったという話を聞かされる。彼女たちが計画していた、入国者を守るために紛争国の武器流通を管理、爆弾テロで悪党を排除し今までの入国者に対する犯罪を暴露する、という終末救済プランを利用して久利須自身が爆弾となり、宗教の名のもとに虐待を受け植物状態となった自身の息子の復讐として、今回の犯罪が行なわれていることが判明するのだった。しかし何者かの襲撃を受け、陵駕が死亡。残り1発の爆弾を探すことになった一係は脱出した如月の証言もあり、終末救済プランの中には小宮カリナの殺害も含まれていると判明し、灼達は小宮の安全の確保のため動き始めた。そして炯は潜入していた外務省行動課の宜野座、須郷の手により脱出に成功。そして、炯救出のため霜月が局長に掛け合っていたヘブンズリープへの強制捜査実施の許可が満を持して下り、強制捜査が開始される。灼は狙われる小宮と入れ替わり久利須と対峙。計画を止めるよう説得を試みるも、かねてからの持病により久利須は死亡してしまう。舞子を単独で捜索するが、舞子は既にトーリによって連れ去られており、追いかけた炯はトーリに妻の解放を要求するが拒否。炯を煽る隙を突いて舞子が反撃、トーリが死亡する。その結果彼女の色相が悪化してしまい、施設送りとなる。炯は舞子を守れなかった灼を激しく責め、2人の間に亀裂が入る結果となった。

その数日後、如月は過去に狐との接触があったことを炯に暴露する。一係と行動課はそれを利用してビフロストの尻尾を掴むことに。梓澤からの接触で、炯は1人で待ち合わせ場所に向かうが、そこにいたのは梓澤ではなくコングレスマン・法斑静火だった。法斑は炯に、自分を狙う武装組織、ピースブレイカーから自分を守って内密に脱出、インスペクターになる代わりに舞子を施設から出所させると持ち掛ける。一度は拒否するも最終的には承諾し、13thインスペクターに任命される。その後、ジャーナリストとして行っていた一係への取材を終えた六合塚は、突如事故に遭い意識不明に。さらにその現場に梓澤が現れるのだった。

第3期のストーリーはここまでとなっており、番組終了直後にサイコパス3の映画が2020年の春に公開されることが発表された。タイトルは『PSYCHO-PASS サイコパス3 FIRST INSPECTOR』。舞台は第3期の最終回直後からとなっている。

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』の登場人物・キャラクター

公安局刑事課

慎導灼(しんどうあらた)

CV:梶裕貴、三浦千幸(少年時代)
24歳。炯とともに一係に新たに配属された新人監視官。推薦者は常守朱。明るく飄々とした性格。特A級メンタリストの資格を持ち、対象を一瞥しただけで人間心理をある程度分析できるほどの高い洞察力の持ち主。現場の情報や情景を頭に思い浮かべて精神集中を行い、統計に基づいた推理を組み合わせて事件の被害者や追跡対象者になりきる「メンタルトレース」という技能を駆使し捜査する。超高精度のトレースを可能とする心理学の最先端をゆくが、これを行っている最中は急激にサイコパスが悪化するほか、死者の意識をトレースしている場合、その死の状況まで再現してしまいかねない危険な副作用を伴う。そのため、炯が常に側について、トレースのブレーキ的役割を担っている。身体能力にも優れ、パルクールを用いてビルの屋上や建物の鉄骨など、危険な高所を素早く移動する特技がある。厚生省の大臣官房に所属していた高級官僚である父親・篤志(CV:菅生隆之)は、2年前に炯の兄を殺害し自殺している。その事件に裏の存在を感じた灼は炯とともに監視官になったのだった。1期で登場した槙島聖護と同じく免罪体質者であり、久利須=矜治・オブライエンとの対峙中に犯罪係数が0になるところを雛河翔が観測している。潜在犯に対して偏見がなく、平等に扱うため執行官がたじろぐ場面も。犯罪者といえども、殺人銃エリミネーターでの執行に対して強い抵抗がある。

炯・ミハイル・イグナトフ(けい)

CV:中村悠一
ロシア系帰化移民の24歳。妻は同じくロシア系移民の舞子・マイヤ・ストロンスカヤ。灼と時を同じくして一係に配属された新人監視官。推薦者は霜月美佳。2年前に兄を灼の父に殺害されているが、背後の存在を追うため監視官になった。元軍人で、殺人を行ってもサイコパスが濁りにくい体質のため、監視官にしてはエリミネーターでの執行に躊躇がない。普段は冷静沈着で、メンタルトレースによって脱線しがちな灼のストッパーとなっているが、自身もかなり頭に血が上りやすく、突発的に手が出る一面もある。小宮カリナに「そういう部分が問題を大きくしている」と指摘されてしまう場面もあった。

霜月美佳(しもつきみか)

masayan8645
masayan8645
@masayan8645

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