鑑賞後の気持ちの整理がつけづらい作品
予告CMが印象的だったので気になり映画館で見ました。サスペンスのような作品で、実際の殺人事件をテーマにしたものだとは分かっていましたが、思っていた以上に鑑賞後の気持ちが重たく、なかなかうまく消化できない作品でした。
東京、千葉、沖縄で現れた身元不明の男たちと、関わっていく人々の群像劇ですが、特に沖縄パートはうまく消化できませんでした。東京、千葉の展開は幸せとはいきませんが、しっかり納得いく結末でした。その反面、沖縄パートは弱者として踏み躙られ、抵抗することも許されない、やり場のないもどかしさが後半になるにつれて露わになっていくのがきつかったです。私は沖縄出身なので、米軍による婦女暴行や、県外から来た人たちとのギャップなどが、他人事に思えなかったという事も関係しているかもしれません。見ていくうちにやり場のない憎しみ、いら立ちが募ってくる映画でした。
また、タイトルである「怒り」のメッセージが、作中でどう表現されていたのかは感じ取ることができず、終始もどかしい気持ちもありました。個人的には、この映画を通して見た人々が何かのメッセージを受け取るというより、見て感じた苛立ちや理不尽さを通して、それぞれの「怒り」や社会にかき消されている理不尽さに気づくような映画なのかなと思いました。どちらにせよこの映画は私には合わなかったです。