万引き家族 / Shoplifters

『万引き家族』とは、是枝裕和監督による2018年公開のヒューマンドラマ映画作品。公開1週間で10億円の興行収入を記録したヒット作品。第42回日本アカデミー賞では最優秀作品賞、最優秀監督賞など、8つの部門で優秀賞を獲得。海外でも、第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞、第91回アカデミー賞で外国語映画賞にノミネートされるなど、高い評価を得ている。
東京下町の狭い平屋を舞台に、祖母の年金と万引きによって生計を立てるという経済的に社会の底辺に位置する一家を中心とした“家族を超える絆”を描いた物語。家族のあり方や、日の目を見ない日本社会の隅にある課題を考えさせられる作品と話題になる一方で、犯罪を助長するなどと批判も受ける。是枝監督は、本作について実際に起きた家族に関する事件を参考に制作していると語っている。俳優陣はリリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、樹木希林らが参加。子役の城桧吏、佐々木みゆの演技も話題となった。

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万引き家族(英題:Shoplifters)とは、2018年に公開された日本映画である。監督は『そして父になる』などで知られる是枝裕和。主演はリリー・フランキーと安藤サクラ。 第71回カンヌ国際映画祭において最高賞のパルム・ドールを獲得するなど、国内外で高い評価を受けた。 貧困のなか、万引きによって生計を立てながら身を寄せ合う家族6人の姿を描く。

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『凶悪』とは、ノンフィクションベストセラー小説『凶悪 -ある死刑囚の告発-』を元に、2013年に映画化された社会派サスペンス映画である。雑誌記者の藤井(ふじい)は、上司から須藤(すどう)という死刑囚に会うように言われる。須藤は数々の犯罪に手を染めてきていた。そして、須藤と共謀して多くの犯罪を犯し、最後には須藤をだました木村(きむら)という男の話を聞く。藤井は話を聞くうち、家庭を顧みず取材にのめりこんでいく。この映画は、私たちの身の回りのどこにでも存在しうる犯罪をリアルに描く作品となっている。

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『そして父になる』とは、”赤ちゃん取り違え事件”を扱った、2013年制作の日本映画。TVドキュメンタリー出身の是枝裕和が監督・脚本・編集を担当し、主演の福山雅治が初の父親役を演じた。第66回カンヌ国際映画祭では見事に審査委員賞を受賞し大きな話題となった。ある日、突然6年間育てた息子が病院で取り違えられた他人の子どもだったと知らされた対照的な2組の夫婦が、過酷な決断を迫られ、それぞれに葛藤を繰り返す中で本当に大切なものを学んでいく姿を描く。

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兄の命日に久々に実家に集まった横山家。しかし次男の良多は父と折り合いが悪く、気が重い。食卓には母の作った手料理が並び、思い出話に花が咲く。そんな何気ない会話の中に、家族それぞれが抱えた事情が見え隠れする。どこにでもある家族の夏の一日を静かに繊細に描いた、是枝裕和監督の思いが詰まったホームドラマ。

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『バクマン。』とは、大場つぐみと小畑健による漫画を原作とするアニメ作品。 2010年よりNHK教育テレビにて第1シリーズ~第3シリーズ、全75話が放送された。 高い画力を持つ『真城最高』と文才と発想に長けた秀才の『高木秋人』を主人公とし、二人の少年がコンビを組んで漫画家を目指していく道のりを描いた作品である。 多くの漫画関係の固有名詞が実名で使用されるなど、リアル志向な作品。

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『愛の渦』(映画)とは劇団「ポツドール」の主宰者であり劇作家として活躍中の三浦大輔が監督を務めた、セックスが題材の成人向け映画作品である。戯曲『愛の渦』は岸田國士戯曲賞受賞。待望の映画化に注目が集まった。舞台はとあるアパートの一室。そこはセックスを目的に集まった男女が乱交パーティーを行う裏風俗だ。集まったのはニートや女子大生、保育士にサラリーマンと見ず知らずの男女10名。肉欲に溺れる男女と交錯する人間模様を浮き上がらせた、セックスがテーマの映画となっている。

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『コウノドリ』とは、2012年より鈴ノ木ユウが「モーニング」(講談社)で連載を開始した産科医療漫画である。産婦人科医でありながら、正体を明かしていないピアニストでもある、主人公鴻鳥サクラ。サクラが勤務する聖ペルソナ総合医療センターで、妊婦とその家族を中心に物語が繰り広げられる。7年間の掲載を経て、2020年10月23日最終巻が発売され完結している。コミックの累計発行部は800万部を超えている大人気コミックである。

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ハゲタカとは、日本人作家・真山仁の経済小説を原作にしたテレビドラマ・映画。2007年にNHKで全6話が放送されている。日本企業買収の使命を帯びて、米国投資ファンドの敏腕マネージャーの鷲津が帰国し、企業の社長や銀行とのマネーゲームが繰り広げられる。鷲津は企業を救うために模索するが、その気持ちとは裏腹に金が悲劇を巻き起こす。ドラマが国内外で高い支持を受けたことで、映画化もされた。

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『SUNNY 強い気持ち・強い愛』とは、韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』を原作とした2018年公開の青春音楽映画。90年代、社会の中心にいた“コギャル”たち。コギャルとして青春を共に過ごした“SUNNY”の6人は、ある事件の後バラバラになってしまう。20年以上の時を経て、あるきっかけから一人、またひとりと再会していく。光と影、理想と現実をそれぞれ抱えて生きてきた6人の複雑な思いが、懐かしい90年代ヒットソングに乗せて、90年代と2018年の場面が交差しながら展開される愛と青春の音楽ストーリー。

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2010年に国内の映画賞を総ナメにした大ヒット作「悪人」の原作者吉田修一と監督李相日が6年振りにタッグを組み、音楽に坂本龍一を加え、実力派のオールスターキャストで挑んだ感動のヒューマンミステリー。八王子の平静な住宅街で残忍な夫婦殺人事件が起こる。一年後のある日、千葉と東京と沖縄に素性の知れない3人の男が現れ、それぞれに重厚な人間ドラマが展開する。愛した人は、殺人犯なのか?2016年9月全国公開。

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『バクマン。(Bakuman.)』は週刊少年ジャンプで2008年から2012年まで連載していた漫画作品である。ジャンプで連載マンガ家を目指す中学3年生の真城最高と高木秋人は、ヒロインの亜豆美保と真城の「描いたマンガがアニメになり亜豆がそのヒロインの声優をやる」との約束をお互いの夢として努力を続ける。夢・友情・青春に関する数多くの名言が連載終了後も作品の魅力として語られ続けている。

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『あのこは貴族』とは、山内マリコの小説『あのこは貴族』を原作としたヒューマンドラマ映画である。2021年2月に公開され、「富裕層」と「庶民」の鮮やかな対比が観客からの高い支持を得る。お嬢さん育ちの華子は婚活の末に理想の男性と結婚するが、嫁ぎ先からの重圧に悩む。大学進学を機に上京したが学費が続かず中退後、就職した美紀。「他力」を享受する特権階級と「自力」が前提の一般人を隔てる見えない壁。交わらないはずの「階層」を飛び超えた2人に見えてきた新しい自分。監督は、「グッド・ストライプス」の岨手由貴子。

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バクマン。に登場する物語・作中作・劇中劇・連載まとめ

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『バクマン。』とは、原作・大場つぐみと作画・小畑健による少年漫画作品。2010年にNHK教育テレビにてアニメ化された。 絵の才能を持つサイコーこと真城最高(ましろ もりたか)と、文章に長けた秀才のシュージンこと高木秋人(たかぎ あきと)がコンビを組み、『週刊少年ジャンプ』で売れっ子の漫画家になるべく研鑽するサクセスストーリーだ。 作中では主人公たちが描く漫画の他に、多くのライバル、仲間たちが作り出す多種多様な漫画が登場する。

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『リトル・フォレスト』とは、主人公の成長を描くヒューマンドラマであり、五十嵐大介による漫画、漫画を基にした森淳一監督、橋本愛主演の映画である。漫画『リトル・フォレスト』は、作者の実体験を基に制作され、2002年12月から講談社発行の『月刊アフタヌーン』で連載された。映画『リトル・フォレスト』は、2014年8月に公開された『夏』『秋』、2015年2月に公開された『冬』『春』の4部作である。東北地方の小さな村に住む主人公のいち子が、自然に向き合いながら自分を見つめ直すストーリーとなっている。

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南極料理人(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

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『南極料理人』とは、西村淳の著書『面白南極料理人』『面白南極料理人 笑う食卓』を原作とした、2009年の日本映画である。海上保安庁に勤務する「西村」は、同僚スズキの代理で、南極観測隊として派遣されることになった。そこでは、様々な個性やクセを持った7人の隊員と共同生活を送らなければならない。初めは打ち解けずトラブルもある隊員たちだったが、次第に南極での生活を楽しみ始めることとなる。この映画は人との関わりを考えさせつつも、くすっと笑えるポイントが随所にちりばめられた、ヒューマンコメディ作品である。

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『借りぐらしのアリエッティ』とはメアリー・ノートン著書の『床下の小人たち』を原作として、米林宏昌が監督のスタジオジブリ制作アニメーション映画である。最終興行収入は92億5000万円で2011年に日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞。とても美しい映像は劇中の音楽とよく合い、見ている人を夢中にさせた。人間に見られてはいけない小人が、人間の家で物を借りながらどのように隠れて暮らすのか、そして短い間に築かれていく小人であるアリエッティと少年の翔との友情と絆を描く。

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勝手にふるえてろ(綿矢りさ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

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『勝手にふるえてろ』とは2017年に公開された日本のラブコメディ映画。芥川賞作家の綿矢りさの原作小説を松岡茉優主演で映画化。10年間も中学の同級生に片想い中で恋愛経験ゼロのヒロイン「ヨシカ」。そんな彼女に人生初めての彼氏ができる。ヨシカは片想いだけど妄想彼氏の「イチ」と初めて告白されてできた彼氏・会社の同僚「二」で勝手に二股を作り葛藤する。傷つきながらも暴走する主人公をコミカルに描く。監督は『でーれーガールズ』の大九明子。「第30回東京国際映画祭コンペティション部門」で観客賞を受賞した話題作。

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夜のピクニック(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

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『夜のピクニック』とは、恩田陸の青春長編小説『夜のピクニック』を原作としたヒューマンドラマである。「みんなで夜歩く。ただそれだけなのに、どうしてこんなに特別なんだろう」をキャッチコピーにして、2006年9月30日に公開された。主人公の甲田貴子は、北高に通う高校3年生である。北高には、一昼夜かけて80㎞を歩く「歩行祭」という伝統行事があった。貴子は、高校生活最後の歩行祭で「同じクラスの西脇融と話をする」という1人だけの秘密の賭けをしていた。青春時代の輝きや、友人の大切さなどを感じる青春映画である。

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いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう(いつ恋)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

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『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(いつ恋)とは、東京という街で必死に生きる若者たちの恋愛を描いた日本のテレビドラマである。フジテレビ系列で2016年1月から3月まで放送された。坂元裕二によるオリジナル脚本作品。主演を有村架純と高良健吾がつとめた。東日本大震災が発生する2011年前後と、5年後の2016年からの2部構成で描かれている。第3回コンフィデンスアワード・ドラマ賞作品賞・脚本賞などを受賞した。

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『ちょっと思い出しただけ』とは、2022年2月に公開された松居大悟による監督・脚本の実写映画作品で、自身初の完全オリジナルラブストーリーである。池松壮亮演じる怪我で夢を諦めた元ダンサーの男と、伊藤沙莉演じるタクシードライバーの女の6年間に及ぶ恋愛模様を、7月26日の1日を通して描いている。クリープハイプの尾崎世界観が作曲した「ナイトオンザプラネット」に松居が触発され、脚本を執筆した。また、クリープハイプは主題歌を担当し、劇中バンドとしても出演している。第34回東京国際映画祭で観客賞を受賞した。

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梅澤梨花は夫と二人で暮らす銀行の契約社員。平凡だが穏やかに暮らしている。不自由のない生活をしているものの、夫とは気持ちがすれ違い始めていた。年下の大学生と出会ったことをきっかけに、彼女の生活は歪み出し、巨額の横領事件を起こしてしまう。ベストセラーとなった角田光代の同名小説を映画化。監督は吉田大八。

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男子バレーボール部のキャプテンだった桐島が部活をやめた。その噂はあっという間に学校中に広まるが、肝心の桐島は恋人の前にも、親友の前にも姿を現さない。桐島はなぜ部活を辞めたのか、そしてどこへ行ってしまったのか。突然の出来事は、あらゆるところで小さな波を立てていき、やがて映画部の前田の所にもやってくる。第22回小説すばる新人賞を受賞した朝井リョウのデビュー作を、吉田大八が映画化した青春群像劇。

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『真実』とは、2019年の日仏共同制作のヒューマンドラマ映画。2018年にカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した是枝裕和監督の作品。代表作は『万引き家族』『誰も知らない』など。主演には、フランスを代表する大女優カトリーヌ・ドウーヴを起用し、すべての撮影をフランスで行った監督の初の国際共同製作映画ということで、世界から注目を浴びる。『真実』の出版を機にベテラン女優ファビエンヌとその娘リュミールが心に秘めている真実、彼女たちを取り巻く人々の思いが暴かれてゆく。

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万引き家族 / Shopliftersのレビュー・評価・感想

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万引き家族 / Shoplifters
7

いい人ってわけでもない。

是枝監督の作品はいつも何かしらあると思っていましたが、本作もすごく胸にきました。
万引きをして生活なんて、なんで奴らだって感じですが、そうせざるを得ない何かはたしかにありました。でも、それが本当にその道しかなかったかと言われると、そうともいえないところがあって、そこがリアルです。もっと、父頑張れよだし、生活保護とかもあるだろだし、いろいろ思うところがあります。こういう、悪い人じゃないけどいい人でもない人を描くのがすごくうまい監督さんだなと思います。子どもたちも病んでるところがあり、見ていて切なかったです。それでも、兄に懐くところとか、兄が両親を求めるところとかは子どもらしい表情でそこがまた悲しかったです。思った以上にびっくりの展開もあって、ずっと見入ってしまいました。祖母、父、母の役者さんが、全員素晴らしかったです。3人とも雰囲気があって、代わりがいない役者さんです。特に、安藤さくらさんはほんとすてきで、なんともいえないアンニュイ感、どうしようもないところもあるけど、娘の顔を包み込むように手を添える時の優しげな表情とか、もう母の顔でした。
あの家族はいつかは壊れる家族だったし、あの生活を続けられるはずはなかったからあの展開で正解だったとは思います。でも、なんとも悲しい話でした。

万引き家族 / Shoplifters
6

とある家族を描いたヒューマンストーリー

万引き家族は、万引きという犯罪を続けながら生きていく家族を描いたストーリーです。リリー・フランキーや安藤サクラ、樹木希林が出演しています。特に、樹木希林は、この映画の撮影にあたり、あえて入れ歯をしないなど、白熱の演技をしています。この万引き家族は東京の下町にて暮らしています。父親の柴田治と、母の信代、祖母の初枝、息子の祥太、娘の亜紀の五人家族でした。柴田治は、いつものように万引きをした後、その帰り道、通りかかったアパートから喧嘩している声が聞こえ、ベランダを見るとゆりという小さな女の子を見つけます。どうやらゆりは、親から追い出されたらしいのです。その夜は、ゆりを家に連れて帰ります。翌日ゆりを送り届けようとしますが、ゆりは両親から虐待を受けている事実を語ります。その日から、6人での生活が始まります。
ある日、治は仕事現場で骨折してしまいます。治は労災をあてにしていましたが、労災は降りず家族の生活費は、妻の年金のみとなりました。ある日、治と祥太は凛を連れて釣りやで万引きします。釣竿は高値取引されるので、当面の生活は大丈夫だと治は語ります。その一方、信代は不況の煽りをうけて、職を失います。初枝はパチンコ屋で他人の玉を盗んだり亜紀の両親からお金をもらって生活していました。
ある日、初枝は眠ったまま息を引き取ります。初枝は建前上一人暮らしをしていることになっていることと、死んだことがバレると年金が受け取れないため、初枝の遺体は床下に隠されてしまいます。数日後事件が起こります。祥太が凛を連れて万引きしようとした際、見張り役であった凛が店員に見つかりそうになり、祥太はとっさに商品をひっくり返し、みかんを盗んで逃げ出すことで凛を守ります。捕まりそうになった祥太は崖に飛び降り骨折して病院送りとなります。すべてが警察にバレてしまうと思った治は、夜逃げしようとするのですが、張り込んでいた刑事に捕まります。警察による事情聴取が進む中で、実は祥太も治とは血がつながっていないことがわかるのです。それと同時に、初枝を埋めたことも警察にバレてしまいます。それで、家族はバラバラになってしまうのです。
その後、治は祥太に「おまえをパチンコ屋で拾った」と打ち明けます。また、本当の親が見つかるかもしれないことも打ち明けます。その夜、祥太は治の家に宿泊するのですが、祥太は「父ではなく、おじさんのところに戻るよ」と打ち明けます。この映画のポイントは、子ども達がひとり持ちがつながっていないのにもかかわらず、親子の間の愛情が深いところが見どころです。

万引き家族 / Shoplifters
10

一度は見るべき現代社会を風刺したストーリー

ーあらすじー
万引きで生計を立てる柴田治、妻の信代、息子の祥太、信代の妹亜紀、治の母初枝による5人家族のストーリー。
ある冬の夜治と祥太は近所の団地のベランダでひとり震える女の子を見つけ、匿うように家に連れて帰った。数時間後、ゆりと名乗るその女の子を家に返そうともう一度団地へ行くと、若い夫婦のけんかの声を耳にすることとなる。虐待の事実を察した家族はゆりと暮らしていくことを決める。
小学校に通っていない祥太は日中外に出てゆりと二人で行動し、休みの日には家族で出かける。次第に家族の仲は深まっていった。
そんなある日テレビをつけると、ゆりが誘拐されているとの報道が流れていた。誘拐、万引き、家族のしたことは次第に様々な形で発覚することとなる。
本当の家族とは何かを改めて考えさせられる映画。

この映画はとにかくストーリー構成がしっかりとしていて、一瞬足りとも飽きのこない作りになっていました。
役者は一人として違和感の感じないはまり具合です。適役とはまさにこのことと感じました。
そのうえ、一人一人の演技力が秀逸であるため作品に対する引っ掛かりがありません。セットや衣装に対するリアリティも強く、なすべきことを確実にこなした作品といえると思います。
他の方のレビューを見ると賛否両論といった印象がありますが、上映当時日本が抱えていた社会の裏にある問題に対して真摯に取り組んだかなり質の高い作品であると私は感じました。

万引き家族 / Shoplifters
10

選んだ家族の絆

万引き家族というタイトルからとても興味をそそられて映画をみました。
タイトルにもあるように、父と子どもの連携プレイによりスーパーで万引きをするシーンでこの映画は始まりました。万引きをしながら生活している貧乏な家族のお話なのかなと最初は思っていましたが、物語が進む中で同じ家で生活をともにしているその家族は、誰一人として血の繫がっていない、偽者の家族だということが分かってきます。
子どもは親を選ぶことができない。子も親を選ぶことができない。それが現実ですが、この家族はそれぞれが自分で選んだ家族でした。
生活を共にするにつれて本物の兄妹や親子のようになっていく場面には、絆の深さを感じ思わずジーンとしてしまいました。
拾われてきたりんと安藤サクラさん演じる母親・信代が、お互いのやけどの傷跡をお風呂でなであって、「同じだね」というシーンなんて本当に心に残っています。
それなりに仲良く暮らしている偽の家族でしたが、結局最後はみんな離ればなれになってしまいます。刑事から「こどもたちはあなたのことを何と呼んでいたの?」と聞かれて、「何だろうね…」と消えそうな声で呟きながら、髪を掻き毟り泣くシーンは本当に印象的でした。一言では言い表せない、いろいろな感情が混ざり合った涙なんだろうなと思いました。
心に残る良い作品でした。

万引き家族 / Shoplifters
10

たくさん泣きました

血がつながっていれば家族なのか。血のつながりがなければ家族になれないのか。と考えさせられました。虐待のニュースをテレビで見ます。子供は親を選ぶことができません。そのとき、子供はそこから逃げ出すことができません。血のつながりがないところに引き取られたほうが幸せになれる可能性がたくさんあります。そう考えさせられました。
安藤サクラさんの取り調べの場面はすごい演技だと思いました。泣けました。安藤サクラの演技力と細野晴臣の音楽は見ていて圧巻でした。
父親が追いかけるバスの中で、息子は声に出さずにつぶやきました。子供たちの演技がすごいです。この場面もたくさん泣きました。
演出はさすがと思わせるところがあります。「見せずに感じさせる」シーンが随所にあって、上手いです。常識や正義だけで人は、はかることができません。そんな一顧を与える、ささやかなメッセージがあります。
家族の意味、人と人とのつながりの意味について深く考えさせられる良作です。
社会的にはいけない行動ばかりですが、家族を幸せにできる力があるのだなと思いました。今ある家族というのはとてもかけがえのないものなのだと感じました。この作品をもっとたくさんの人に知ってもらい、虐待がなくなってほしいです。

万引き家族 / Shoplifters
7

ニュースと被って泣きそうになりました…。

是枝裕和監督が長い間構想を温めていただけのことはあって、凄まじい衝撃に襲われる作品でした。
彼が一躍メジャーになった「誰も知らない」から13年。
その連作なのではないかと思わせるほどのデジャヴに、見終わった時にはくらくらしてしまうほど、パワーを吸い取られた作品です。
映画館に行く前に、ネットで予告編や解禁された様々なシーンを見ていましたが、そこで目にしていたよりも数倍、数十倍、闇の深い物語でした。
都会のエアポケットのような小さな家に肩を寄せ合うようにして暮らしていた大人たち、そして子供たち。
最後に家族として加わった”りん”は、実の親に、真冬だというのに表に放り出されていた被虐待児でした。
それを連れてきて、温かい食べ物を与えたのは間違っていたのでしょうか。
血はつながらないけれど、愛情をもって接していた大人たちと、産みはしたけれど、その子の前で「産みたくなかった」と言い放ち、傷を作り邪険に扱う親。
その対比は観る者の思考を揺さぶり、価値観を根底から覆すほど濃密な問いかけをしてきます。
万引きは悪いことです。
しかし、彼らがそこで暮らしていた日々のすべては駆逐されなければならないほどの悪だったのか。
一人一人が抱えてきた事情の重さもあいまって、鋭利な刃物のように様々な問いかけが見る側に投げかけられる、そんな映画でした。

見終わって、その日報じられていた、虐待されて亡くなった小さな女の子のニュースとかぶり、涙が溢れました。
あの子がもし誰か、他の大人に発見され、きちんと保護されていたらきっと今も生きていたはず。
でも、映画の中の彼女の未来は一体どうなるのか。

今この映画が公開されたのは本当に偶然なのでしょうが。
それだけとは思えない不思議な力を感じた映画でした。

万引き家族 / Shoplifters
7

血の繋がりはない、だけど強い絆で繋がっている。家族とは何か?

映画のタイトル通り、この家族は血の繋がりがありません。ある事情があって、みんなこの家を拠り所に集まってきた人たちです。
両親から虐待をうけていたりんちゃん、夫のDVに耐えられず治と駆け落ちした信代、家族に邪険にされて飛び出した亜紀。万引きして生計をたて、常識で考えれば犯罪に手を染めている家族。
一方で、この家族の絆の深さも描かれています。虐待を受けていたりんちゃんの傷をみて、心から涙を流し抱きしめてくれる信代。本当の親子のように、亜紀は治に恋愛の相談をしていたり。結末は、万引き家族が生活していた家がばれてしまい、それぞれ元の家族のところへ返されます。元の家族へ帰っていったあと、それぞれの子が「本当にこれで良かったのかな」と視聴者へ問いかけるような結末になります。ここに映画が伝えたいメッセージが込められています。
日本の法律にしたがい、世間体で言えば「普通の家族」になった。だけれど、どこかみんな「万引き家族に戻りたい」と心のどこかで思っている。
みんな誰かの子供として生まれ、育てられ、大人になる。その過程で、思春期や反抗期の頃に「なんでこの家族に生まれてきちゃったんだろう」と思う時があると思います。その疑問は亜紀にもあったように、家族ってなんだろうという疑問を抱くことはすごく普通なことなのです。「家族って、絆って何か」そういう疑問に対しての答え、言葉だけでは伝わらない答えがこの映画にありました。大切な人をもっと大事にしたくなる、そんな映画でした。

万引き家族 / Shoplifters
5

是枝監督らしい作品。

観て良かったか、良くなかったかと言われれば、絶対に観て良かったです。
映画ファンはこれとスリービルボードは観ておかなくてはいけない作品だと思います。ただ、これは大作家さんの名言・『死にたくなったら読書100冊うち太宰2冊、ただ太宰は続けて読むなよ。』と同じアドバイスが出来ると思います。なにかツライ時、苦しい時、ひたすら100本くらい映画観てみたら?ただ是枝作品は続けて観ちゃダメだよと。
是枝監督はとても底辺の暮らしぶり、社会から外れた人間というものに興味があるのだと思います。それをうまく映画化して、嫌悪感や、疑問を増幅していく。その結果のパルムドールだと思います。
正直、あの家族の日常は絶対に続けてはいけない日常です。ですが、その家族を越える幸せをこれからの人生であの家族が得られるのか。あの海の思い出が、ずっと幸せだったら、それからの人生がずっと辛かったら、そう思うと涙が出ます。あの刑事さんたちが言う常識が凄く善だし、万引き家族は悪です。でも悪でも愛があったら、でも悪の愛が一番悪であるなとも思って、とても辛いです。人生って辛くなくてもいいのに。楽しくてもいいのに。せめて映画は夢を見たいのに。凄く凄く辛い映画体験でした。

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