落日(小説・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『落日』とは、湊かなえによる小説、およびそれを原作として2023年9月にWOWOWプライムで放送されたミステリードラマである。主演は北川景子で、吉岡里帆や黒木瞳や竹内涼真などが出演する。新進気鋭の映画監督・長谷部香が、新人脚本家の甲斐真尋に脚本の相談を持ち掛ける。それは15年前に引きこもりの男が高校生の妹を自宅で刺殺し、放火して両親も殺害した事件を題材にした映画だった。事件を追うことで、香と真尋はある過去と向き合い、衝撃の真実にたどり着く。ドラマは2024年日本民間放送連盟賞で優秀賞を受賞した。

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『落日』の概要

『落日』とは、湊かなえによる小説、およびそれを原作として2023年9月10日から10月1日まで22時からWOWOWプライム・WOWOWオンデマンドの連続ドラマWで放送されたミステリードラマである。脚本は『いま、会いにゆきます』や『クロサギ』などを手掛けた篠崎絵里子。主演は北川景子で、吉岡里帆や黒木瞳や竹内涼真などが出演する。小説は角川春樹事務所から2019年9月3日に単行本が発売され、第162回直木三十五賞候補作に選ばれた。

初監督作品で国際的な評価も得た新進気鋭の映画監督・長谷部香(はせべかおり)は、新人脚本家の甲斐真尋(かいまひろ)に映画の脚本の相談を持ち掛ける。その脚本の元となるのは、15年前に引きこもりの男性である立石力輝斗(たていしりきと)が高校生の妹・立石沙良(たていしさら)を自宅で刺殺後、放火して両親も殺した笹塚町一家殺人事件だった。事件を追うことにより、香と真尋はある過去と向き合い、衝撃の真実にたどり着くのだった。

本作は事件の衝撃的な真相と、主人公が過去を乗り越えていく姿が見どころとなっている。2024年日本民間放送連盟賞番組部門テレビドラマ番組において、優秀賞を受賞した。

『落日』のあらすじ・ストーリー

真尋に脚本を依頼する香

初監督作品「1時間前」で国際的な評価を得た新進気鋭の映画監督、長谷部香(はせべかおり)は、有名脚本家の大畠凜子(おおはたりんこ)の元で働く新人脚本家の甲斐真尋(かいまひろ)に脚本を書いてほしいと持ち掛ける。題材となるのは15年前に引きこもりの立石力輝斗(たていしりきと)が妹の立石沙良(たていしさら)を刺殺後、家に放火して両親も殺害し、死刑判決を受けた笹塚町一家殺害事件である。実は香も笹塚町出身で、真尋の姉の甲斐千穂(かいちほ)が香の同級生だった。香は事件の真相を知りたいと言うが、真尋は今更なぜ真相を知る必要があるのかと脚本を断った。

その後、真尋が従兄弟で香の同級生でもある神池正隆(かみいけまさたか)にそのことを話すと、彼に沙良と同級生だった橘イツカ(たちばなイツカ)を紹介される。イツカは中学時代沙良と友人だったが、彼女に騙されて大怪我させられたことがあると語った。それを聞いた真尋は沙良が才能のある人を引きずり下ろすことに快感を得るサイコパスだったのではないかと感じ、沙良に興味を持って脚本を書くことを決意する。だが香は真尋の話を聞いて、沙良の印象が想像と違うことにショックを受ける。

実は幼い頃に香は立石家と同じアパートで隣の部屋に住んでいたことがあったが、香が教育熱心な母親から虐待を受け、冬の夜にベランダに放り出された際に同じようにベランダに放り出された隣の子と仕切りの下の隙間から手を触れあって励まし合っていた。その子を沙良だと思い込んでいた香だが、力輝斗だったのではないかと思い始める。

香と真尋の過去

香は力輝斗の精神鑑定をした医師の葛城淳和(かつらぎじゅんな)の元を訪れる。葛城によると力輝斗は、沙良から虐待を受け精神的に追い詰められたことや両親が沙良のことばかり可愛がっていて恨んでいたなどと語っていた。だが葛城は彼が嘘の証言をしていると感じ、別の動機があったのではないかと推測する。

香と真尋は立石家が住んでいたアパートの住人に聞き込みをして、力輝斗が父親から殴られてベランダに出されていたことや沙良がそれを見て笑っていたことを知る。

そんな中、香は真尋の姉の千穂が17年前に交通事故で亡くなっていたことを知り、なぜ千穂が生きていると嘘をついたのか真尋に尋ねる。真尋によると千穂は16歳の時に車にはねられて亡くなったが、加害者が真面目で人望があったことから、赤信号で飛び出してきたという彼の証言を警察も周りの人間も信じたという。真尋の両親も加害者に怒りをぶつけることができず、心のやり場がなく千穂が生きているように振舞うしかなかった。運転手の人柄を知らなければ良かったと真尋は語り、香が力輝斗の動機にこだわっていることが理解できないという。そんな真尋に香は知らなければ前に進めない、自分は人を殺したのだと言い、過去のことを語り始める。

香が5歳の時、母親から毎日出世できないことを罵られていた父親が自殺を図った。それが原因で母が精神的に壊れてしまったことから香は父親の実家に引き取られる。それから中学時代、香はいじめられている男子生徒を助けたのだが、彼から好意を持たれて映画に誘われる。香がそれを断ると彼は彼女のことを押し倒してキスしようとしたため、香は彼のことを拒絶して罵った。その直後、彼は自殺してしまい、彼の母親は遺書を見て香の元に怒鳴り込んできた。だがその遺書には香への謝罪の1文の次のページに母親への謝罪文がビッシリ記されていた。自殺は彼が母親に精神的に追い詰められたことが原因だったが、そのことを母親が知ったら母も死んでしまうと思った彼の姉が遺書の2枚目を破ったのだ。香は父と同級生の自殺という過去と向き合うため、映画「1時間前」を作った。笹塚町一家殺害事件も真相を知り、過去のことにケリをつけて前に進みたいと香は真尋に語った。

だが真尋は香から千穂のことを聞き出されたことや、香の真相を知りたいという気持ちが理解できず脚本を降りてしまう。

嘘の証言をしていた力輝斗

香は新聞記者への取材で、両親の遺体が寝室とは別の部屋で見つかったことを知り、力輝斗が両親が家にいることに気づいていなかった可能性を考える。そして死刑になるために、力輝斗が気づいていたと嘘の証言をしたのではないかと香は推測する。さらに力輝斗は近所の子供たちから、猫将軍と呼ばれていたことが分かった。家に居場所がなかった力輝斗は近所の神社に行き、寄って来る猫たちに餌をやっていた。その姿が家来と将軍みたいだと言われ、猫将軍と呼ばれるようになったようだ。また力輝斗は事件を起こす2年前に工場でバイトを始め、前向きに頑張っていたことが分かる。

一方、真尋は父と会い、千穂が生きていることにするのはもうやめようと告げ千穂の死を受け入れた。大畠に背中を押された真尋は、香にもう1度脚本を書かせてほしいと頼む。その矢先、香は拘置所から力輝斗が精神的に不安定になるため、彼に手紙を書くのをやめてほしいと言われてしまう。

そんな中、真尋は千穂の日記を読み、千穂が男性と交際していたことが判明する。その男性は猫将軍と呼ばれていた力輝斗だった。力輝斗が働いていた時期に千穂と交際していたこと、千穂の交通事故と彼が突然バイトを辞めた時期が一致することに気づいた香と真尋は、千穂の死が殺害事件に関係しているのではないかと考える。

力輝斗の真相

香たちは千穂と力輝斗がやり取りしていた手紙を探す中、千穂の携帯電話のデータを復元する。その中に2人で灯台に行ったときの写真が出てきた。香はその灯台へ行き、写真を手掛かりに地面に埋まっている千穂と力輝斗がやり取りした手紙をついに発見する。真尋は手紙を元にプロットを作成し、力輝斗に送った。

千穂はピアニストを目指して日々練習していたが、中学時代スランプに陥った。そんな時、神社で猫に囲まれている力輝斗と出会う。だが力輝斗は話すことが苦手だったため、2人は手紙でやり取りするようになり、千穂は前向きになってフランス留学を目指すようになる。ある日、力輝斗の手紙を勝手に読んだ沙良は千穂に接近しようとする。力輝斗は千穂にあいつには近づかない方が良いと忠告し、手紙を灯台の下に埋めた。そして力輝斗は工場で正社員を目指して千穂に恥ずかしくない人間になると決意し、それまで千穂と会わないと決め、それぞれ自分の道を歩み始める。そんな矢先、沙良はアイドルのオーディションに落ちる。その怒りの矛先を千穂に向けた沙良は、力輝斗が自殺しようとしていると嘘を吹き込んで千穂を呼び出し、焦る彼女にわざと赤信号の道路を渡らせて事故死させた。新聞で交通事故を知った力輝斗はバイトを辞めて引きこもるようになる。そして事件当日、沙良は力輝斗に事故の真相を明かし、彼に自殺を強要して包丁を渡す。すると力輝斗はその包丁で沙良の体を何度も突き刺した。沙良が暴れた影響でケーキに刺さっていたロウソクの火が部屋に燃え広がったが、両親が1階で寝ていることを知らない力輝斗はそのままで家を出たのだった。

そのプロットを読んだ力輝斗は号泣し、ようやく香との面会を受け入れる。力輝斗は自分と関わったせいで千穂は死んだのだと責任を感じ、自ら死刑を受けようとしていた。そんな彼に香は昔アパートで励まし合った子供は自分だったと明かし、あの時自分は救われたのだと話す。そして香はあなたは千穂を殺したのではなく救ったのだと思うと語り、昔アパートで仕切りの下の隙間から手を触れ合った時のように、香は彼とガラス越しに手を触れ合わせたのだった。

『落日』の登場人物・キャラクター

主要人物

長谷部香(はせべかおり/演:北川景子)

新進気鋭の映画監督で、初監督作品「1時間前」で国際的な評価を得た。15年前に起きた笹塚町一家殺害事件を元に映画を作りたいと考え、笹塚町出身で新人脚本家の甲斐真尋(かいまひろ)に脚本を依頼する。幼い頃に教育熱心な母親から虐待を受けていたが、その際にアパートの隣の部屋に住んでいたのが笹塚町一家殺害事件が発生した立石家だったことから、事件の真相を知りたいと思うようになった。また虐待を受けてベランダに放り出された際、隣のベランダに放置されている子供と励まし合っていたが、その子供が事件を起こした立石力輝斗(たていしりきと)だった。常に冷静であまり感情を出さないが、真相を知りたいという探求心が強いため、真尋のプライバシーに踏み込んでしまい一時は決別した。だが後に再び結束し、協力して真相を暴いて脚本を完成させる。幼い頃に母親に毎日罵られていた父親が自殺したことについて自責の念に駆られていたものの、真尋のおかげで父が事故死だったことが判明し、過去を清算して前に進むことができた。

甲斐真尋(かいまひろ/演:吉岡里帆)

人気脚本家の大畠凜子(おおはたりんこ)の元で働く新人脚本家である。後ろ向きで気弱な面がある。過去にドラマを1本しか担当したことがない無名の脚本家だったが、笹塚町出身という理由で、香から笹塚町一家殺害事件を元にした映画の脚本を依頼される。初めは15年前の事件を今更知る必要はないと依頼を拒んでいたが、事件の被害者である立石沙良(たていしさら)がサイコパスだったことを知って興味を示し、脚本を引き受ける。過去に交通事故で亡くなった姉の甲斐千穂(かいちほ)の死を受け入れられず、今も生きているように振舞っていたが、香からそのプライバシーに踏み込まれたことや香の真相を知りたいという気持ちが理解できず一時は脚本を降りる。だがその後、千穂の死を受け入れ大畠から背中を押されたことから再び脚本を書くことを決意し、香と協力して真相に辿り着き無事脚本を書き上げた。

笹塚町一家殺人事件の関係者

立石力輝斗(たていしりきと/演:竹内涼真)

15年前の笹塚町一家殺害事件の犯人である。妹の沙良を包丁で殺害し、自宅に火をつけて両親も殺したことを認め、死刑囚として拘置所で刑の執行を待っている。幼い頃から父親に虐待を受けており、沙良からも蔑まれて引きこもりとなっていた。だが心優しく純粋な面があり、アパートで隣に住んでいて同じように虐待されていた香を励ましたり、神社で猫に餌をやったりしていた。後に神社で出会った真尋の姉の千穂と親しくなって、文通するようになり交際を始める。千穂のおかげで前向きになり、バイトを始めて正社員を目指して頑張るようになる。だが沙良に千穂と交際していることを知られたため、千穂を守るために2人でやり取りした手紙を灯台の下に埋め、正社員になって千穂に恥ずかしくない人間になってから再会すると約束してそれぞれの道を歩み始める。だが沙良がアイドルのオーディションに落ちた腹いせに千穂を交通事故に遭わせ、新聞で千穂の事故死を知った力輝斗はショックを受けて引きこもりに戻る。そして沙良から事故の真相を聞き、包丁を渡されて自殺を強要されたことから、その包丁で沙良のことを惨殺。沙良が暴れた影響でテーブルの上のケーキに刺さっていたろうそくが落ちて部屋に火が燃え広がったが、両親がリビングで寝ていることを知らずにそのまま家を出た。自分と関わったせいで千穂が死んだと責任を感じて死刑を受け入れようとしていた。

立石沙良(たていしさら/演:久保史緒里)

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