鯉登音之進(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
鯉登音之進とは野田サトル原作の漫画・アニメ『ゴールデンカムイ』に登場する人物で、大日本帝国陸軍第七師団歩兵第27聯隊に所属する陸軍少尉である。鶴見篤四郎中尉を崇拝しており、彼からも「お気に入り」とされている。銃器が多く登場する本作において、薩摩に伝わる日本剣術・自顕流を実践で通用するレベルにまで鍛え上げた一流の使い手。海軍少将の鯉登平二を父に持ち、裕福な家庭で育ったいわゆる「ボンボン」。様々な場面で月島基軍曹の補佐を必要としたが、最終的には一人前の将校へと立派に成長した。
金塊争奪戦に参戦
日露戦争終結後に陸軍士官学校を卒業した鯉登は、その後敬愛する鶴見の所属する第七師団歩兵第27聯隊に少尉として任官される。金塊の手がかりである刺青囚人を追う鶴見により、全道各地に散らばる部下の一人として旭川の第七師団本部に配置された。
物語開始の5年前、苫小牧でアイヌを殺害し金塊を奪って逃亡したのっぺら坊は、金塊の在処を隠したま網走監獄に収監された。そこでのっぺら坊は金塊の在処を示す刺青を囚人らに施す。このアイヌの金塊を元手に北海道で軍事国家樹立を目指す第七師団は、このアイヌの金塊を手に入れるため囚人達を移送すると称して強引に監獄から連れ出すが、護衛の兵を囚人達によって皆殺しにされ、集団脱獄されてしまう。これにより、北海道中に身を隠した囚人らの刺青を手に入れ暗号を解き金塊を得るべく、鶴見率いる第七師団は画策していく。
物語の主人公である日露戦争の英雄・杉元佐一(すぎもとさいち)は、亡き親友・剣持寅次(けんもちとらじ)の嫁の目の手術を受けさせる資金を得るため、軍を満期除隊すると北海道で砂金採りをしていた。そこでアイヌの噂を耳にしたことで単独で金塊争奪戦に参戦する。同じ頃に杉元と偶然出会ったアイヌの少女アシリパも、のっぺら坊により殺害された父ウイルクの仇を取るため、彼と手を組む形で金塊争奪戦に参加する。しかしその中で「のっぺら坊の正体はウイルクである」という情報を入手し、のっぺら坊の正体と目的を突き止めるため網走監獄の中にいる彼と接触する方法を求めていく。刺青を持つ囚人の1人、脱獄王の白石由竹(しらいしよしたけ)も自身を博打好きと称し、「杉元・アシリパに賭ける」として2人に協力し旅に同行する。
刺青をもつ囚人達の中には、公には箱館戦争で戦死したとされていた元新選組の副長であり幕末の侍・土方歳三(ひじかたとしぞう)もいた。土方歳三は、アイヌの金塊を元手に蝦夷共和国を再建するという目標のため金塊を求める。
金塊争奪戦のさなか、夕張の剥製工房で刺青人皮の偽物が鶴見の依頼で製作される。これに気付いた土方とアシリパは、第七師団に対抗する勢力としてお互いの目的が相反しないこともあり一時的に結託する。この中にはウイルクの旧友のアイヌ・キロランケと、鶴見から離反していた第七師団の狙撃手である尾形も居た。
しかし、以前より土方と内通していた白石は、事実が明るみになって杉元に報復されることを恐れ、月形で一行が宿泊している間に逃走を図る。偶然にも第七師団の前へ躍り出てしまった白石は捕縛されてしまう。第七師団は、土方らの妨害に遭いながらも拠点とする旭川本部に白石を連行する。
白石奪還を画策した杉元一行は、旅の途中で出会った刺青囚人である詐欺師・鈴川聖弘(すずかわきよひろ)を網走監獄の典獄である犬童四郎助(いぬどうしろすけ)に変装させ、「網走監獄から脱獄した白石を典獄自ら奪い返しに来た」という体裁で第七師団本部へ潜入する。
そこへ小樽の鶴見から電話で指令を受けた鯉登が、面会中の淀川と鈴川の前に現れた。鯉登は「犬童四郎助は月形で典獄をしていた折に薩摩藩出身の囚人と接する機会が多く薩摩弁を使いこなす」という情報から、薩摩弁による誘導尋問で鈴川の変装を見破り拳銃で射殺する。しかし、尾形による援護射撃もあり、白石は鈴川に同行していた杉元に奪われ、彼らの逃走を許してしまう。鯉登はこの失態に対するせめてもの償いとして、射殺した鈴川の刺青を手に入れ、自ら鞣し服のように仕立て上げ鶴見に献上した。
これにより鯉登は旭川本部での任を解かれ、鶴見の傍で「囚人狩り」に参加することとなった。
鶴見は、鈴川の刺青を得た経験から「刺青人皮を使えば他の脱獄囚が誘き寄せられる」と考え、小樽の賭場で偽物の刺青人皮を囮に作戦を実行する。これにより、刺青囚人の一人でその駿足から稲妻強盗と呼ばれる坂本慶一郎(さかもとけいいちろう)とその妻・蝮のお銀(まむしのおぎん)が賭場に誘い出された。
賭場の店内は客などに扮した第七師団の軍人ばかりで、稲妻らが襲撃すると、鯉登ら部下を引き連れ周囲を包囲して鶴見が現れる。鶴見は稲妻へ他に刺青を所持しているならば隠し場所を明らかにするよう交渉するが、稲妻はこれを断り決裂する。
稲妻が窓から脱走すると、鯉登も軽業の如く店内の梁を渡り窓から屋根へ出ると、彼を追跡する。この時鯉登は自身の所在を明らかにするため、拳銃で発砲しながら追走。鯉登の発砲音に誘導され、鶴見は機関銃を携え登場し稲妻を射殺した。これを見ていたお銀も報復として鶴見を襲うが、鯉登によって背後から首を落とされ死亡した。
この後、刺青人皮が隠されている可能性があるとし、お銀が肌身離さず携えていた荷物を鯉登が確認しようとしたところ、中からは稲妻とお銀の息子が現れた。彼らの子どもは鶴見に保護され「どこか信頼のできる人間に託す」とアシリパの祖母フチのもとへ金百円とともに預けられた。
稲妻の刺青を手に入れた鯉登ら第七師団は、網走監獄に看守として潜入していた宇佐美時重(うさみときしげ)上等兵と根室にて合流する。そこで、犬童が鉱山会社へ囚人を貸出して硫黄山で働かせることで不当に資金を得て、それを武器購入に当てていることが報告された。
その後、鯉登ら第七師団は斜里に移動。寄港していた鯉登平二海軍少将の指揮する雷型駆逐艦へ、網走監獄襲撃時の戦闘に備えて、有坂成蔵(ありさかなりぞう)中将の手配した機関銃などの兵器を積載した。
この頃の杉元一行には、放浪の占い師であるアイヌ女性インカラマッと、第七師団の元を離れている間に軍人をやめてマタギに戻ることを決意した谷垣源次郎(たにがきげんじろう)一等卒が合流を果たしていた。このインカラマッは鶴見と内通していたため、杉元らが新月の夜闇に紛れて網走監獄に潜入すると、同じタイミングで第七師団も網走監獄を急襲する。
急襲にあたっては鯉登平二海軍少将率いる雷型駆逐艦も出動しており、これを動かすために「最近起こっていた蝗害収束のために青森から駆逐艦が道東へ寄港していた」「網走監獄で囚人の暴動があったため応援に駆けつけた」という体裁を整え、看守側の証言者を殲滅することまでが第七師団の計画にあった。
鯉登は鶴見とともに網走監獄に突入すると、替え玉の独房の前で先に潜入を果たしていた杉元と鉢合わせ、立てこもられてしまう。また、混乱に乗じて第七師団の背後から逃げ出した看守部長の門倉利運(かどくらとしゆき)が苦し紛れに一斉開房装置を使用すると、700人の囚人らが一挙に解放され、鯉登を含む第七師団は襲ってくる囚人と看守を相手に激しい戦闘を繰り広げた。
本物のっぺら坊はアシリパの父ウイルクであったことが明らかになるも、キロランケ・尾形の謀略により射殺され、父の射殺犯を知らないアシリパはキロンラケ・尾形に白石を加えて彼らとともに樺太へ逃亡した。これにより結果として第七師団は網走監獄急襲による後始末だけが残った形となった。
この急襲で、キロランケの裏切りに気付いたため腹部を刺され重傷となったインカラマッ、床下から脱出したものののっぺら坊と遭遇したことで頭部を狙撃された杉元、重傷の杉元の保護を優先し逃げ遅れた谷垣、森で土方らとはぐれた刺青囚人の天才外科医・家永カノ(いえながかの)は第七師団に身柄を確保された。
樺太先遣隊
第七師団は、金塊の謎を解く鍵を握るアシリパを手に入れるため、彼女から絶大な信頼を得ている杉元と一時的に結託し、樺太へ兵を派遣することになる。網走監獄急襲での後始末が残る第七師団は、この樺太に先遣隊として鯉登・月島を選出した。また、旅の間に愛するようになっていたインカラマッを害されて怒り心頭であった谷垣もこれに加わった。さらに鯉登の大量の荷物に紛れ込んでいたアイヌの少年チカパシと猟犬のリュウが旅に随行することになった。
樺太・大泊港に到着した一行は、杉元のもつアシリパの写真を手がかりに周辺へ聞き込みを開始する。しかし、鯉登は見知らぬ土地に湧き上がる好奇心を抑えられず、ひとり観光気分でフレップワインなどを楽しんでいた。偶然にも鯉登が楽しんでいたフレップワインを販売していた女性から「初めて見るアイヌの女の子」の話を聞きつけた一行は、急いで目撃証言の後を追いかける。追いかけた先でであった現地のアイヌ少女エノノカからアシリパの目撃証言を得ると、犬ぞりに乗って旅をするため鯉登が身銭を切ってエノノカとその祖父ヘンケと契約した。
次に訪れた在留ロシア人の村では、目撃証言を求めて入った酒場ですげなく扱われたことで機嫌を損ねた杉元が、逆に酔っ払いを殴り倒してしまった上、そり犬達が盗まれてしまう。杉元が殴り倒した男は賭けスチェンカの参加者であり、刺青囚人もその試合に参加しているとの情報を得た一行は、犬の返却を交換条件にスチェンカに出場することになる。鯉登らは日本人対ロシア人という体格差もありながら大健闘し、強い相手としか戦わないとされる刺青囚人の岩息舞治(がんそくまいはる)と出会う。
岩息とは決着がつくことはなかったが、彼からアシリパ・白石の目撃証言を得ることができた上、この賭けスチェンカの裏でチカパシ・エノノカが犬を取り戻したことで一行は旅を続けることができた。
岩息の刺青の写しをとって別れた一行は、樺太最大都市の豊原を訪れ、そこで手癖の悪い軽業師・長吉(ちょうきち)に荷物を盗まれてしまう。身体能力に覚えのあった鯉登が家屋の屋根に飛び乗り長吉を追跡すると、追いついた先でヤマダ曲馬団に出会う。杉元は、これまでの目撃情報からアシリパたちはそれほど離れた距離にいないと考え、曲馬団の宣伝能力を使ってアシリパに自分たちを発見させる策に出る。これにより、鯉登は軽業師として才能を多分に発揮し、公演を大成功に収める。また山田座長の正体がロシアで諜報活動をしていた元帝国陸軍将校であったことがわかると、山田座長からの情報により極東の少数民族を守るためパルチザンとして活動していたキロランケの目的地を亜港監獄と定め、さらに北を目指すことになった。
後日新聞に掲載された公演の記事はほとんどが鯉登に関する内容で、杉元に関してはたったの二行、それも「不死身の杉元」ではなく「不痔身の杉元」になっていた。宣伝能力を期待しアシリパに気づいてもらう作戦であったが、この時アシリパらは杉元の予想を大きく外れ国境付近の敷香という町まで移動していたため、豊原での杉元の活躍を知ることはなかった。
監獄のある亜港を目指し北上中に激しい吹雪に見舞われ、鯉登らは付近の小屋への避難を目指すも、後続だった杉元・谷垣・チカパシのそりがはぐれてしまう。前列の鯉登・月島・エノノカ・ヘンケが吹雪に耐えかね後続を待たずに小屋へ避難すると、そこへ合流のため月島が鳴らしていた銃声から異変に気付いた小屋の持ち主のロシア人が現れる。
月島の説明で遭難した仲間がいることを知ったロシア人夫婦は、近くにあった燈台の使用を許可する。燈台の明かりが点くと、鯉登は物珍しさから落ち着きなく灯の前をうろつき明かりを遮ったりしていたが、却ってこれが功を奏し、不自然に点滅する燈台に気付いた杉元・谷垣・チカパシらの道しるべとなり一行は無事合流を果たした。
アシリパ奪還
亜港監獄の近くまでやってきていた鯉登らは、監獄から爆発音とともに煙があがるのを確認する。実はこの時キロランケたちは、パルチザンの親玉である女囚ソフィア・ゴールデンハンドの脱獄のため、亜港監獄の塀を爆破しており、杉元らが見たのはその爆発であった。
ソフィアを脱獄させたキロランケ達は、彼女を連れニヴフの漁師に紛れて逃亡、流氷原を歩いてロシアを目指した。しかし、白石が尿意を覚え彼らと離れた際に流氷が割れて合流できなくなる。白石がこの進路を一旦戻って合流するのを待つ間にひどい吹雪となり、キロランケ達は立ち往生してしまう。尾形とアシリパは燃やせる流木を探しに行き、キロランケとソフィアは氷で吹雪を凌げるように囲いを作って白石を待つことにした。
亜港監獄に到着した鯉登らだったが、ほんの数分前にソフィアは脱獄を果たした後であった。アシリパの匂いを辿らせていた猟犬リュウの様子から、アシリパ達は亜港監獄から流氷を渡ったことに気付く。一刻も早くアシリパを無事に奪還したかった杉元は、足場が悪いために犬ぞりでは流氷原を渡れず立ち往生する鯉登らをおいて、猟犬のリュウの嗅覚を頼りに先行する。
杉元はその先で進路を戻っていた白石と合流を果たす。さらにリュウを頼りにアシリパを追った杉元は尾形がアシリパを懐柔しようとして決裂した場面に出くわした。
その間、先行する杉元を徒歩で追いかけていた鯉登・月島・谷垣だったが、ひどい吹雪の中脱獄囚たちに襲われる。谷垣は村田銃で、鯉登は軍刀で応戦し脱獄囚たちを倒す。
谷垣たちが脱獄囚と戦闘する最中、後方からの谷垣らの銃声をきいたキロランケは、ソフィアをその場に残し1人銃声を確認しに来た。そのキロランケと偶然会敵した谷垣は、激しい戦闘を繰り広げる。負傷したキロランケは、谷垣の落とした小銃に爆弾の仕掛けを施して逃走。少し遅れて谷垣の負傷に気付いた鯉登と月島は、キロランケの血痕を辿って近くにあった谷垣の小銃を発見する。鯉登がそれを拾い上げると、仕掛け爆弾が起爆され、鯉登をかばった月島が重傷を負った。
部下を害され怒り心頭となった鯉登はさらに血痕を追いかけ、会敵したキロランケへ斬りかかる。しかし鯉登の自慢の必殺の太刀は小銃の銃床で受けられ、両者は組み合いの戦闘を繰り広げる。戦闘中の2人のもとへ負傷した月島・谷垣が追いつくと、それぞれキロランケへ発砲、これによりキロランケは重傷となる。ここへ杉元との合流を果たしたアシリパが登場すると、キロランケから直接父ウイルクを殺した理由を聞くためトドメを刺すのを制止したが、それが叶うことはなくキロランケは絶命した。
この合流の直前にアシリパを懐柔し刺青の謎を解くヒントを聞き出そうとした尾形は、尾形を警戒していたアシリパが背後から登場した杉元の声に驚いて放った毒矢により、片目を喪う重傷となる。
またこのキロランケと鯉登らの戦闘の最中に逸れたままだったソフィアは、戻らないキロランケを探し出すも、戦況が不利とわかると鯉登らの前へ現れるのを耐え忍び、鯉登らが去ったあとにキロランケの死を悼むと形見とばかりにマキリを持ちロシアへ渡った。
帰国までの道のり
アシリパの奪還に成功した一行は、先のキロランケとの戦闘で重傷となった月島と、右目を失った尾形の治療のためロシア人の医者を頼る。この診療所で手術を受け一命をとりとめた尾形であったが、医師によると生存の確率は低いとの見立てであった。しかし、尾形は脱走を演じてみせ周囲をかく乱した後、鯉登に「Барчонок(ボンボンが)」と吐き捨て「今度鶴見に会ったら南満州鉄道について聞いてみろ」と疑惑の種を撒き、術後間もない体で馬を奪って逃走した。
鯉登が動揺したのは、尾形がロシア語を話せると知らなかったこともあるが、「Барчонок」がかつて誘拐犯に言われたものと同じ言葉だったからである。この「疑惑の種」により鯉登は、尾形が謀反を起こしたのは「南満州鉄道計画に抵抗していた尾形の父・花沢幸次郎(はなざわこうじろう)中将の死が鶴見による謀略と知ったからだ」と考えた。さらに「函館で誘拐劇を演じていたのは鶴見配下の尾形達である」と仄めかすことで、「政権転覆のコマとして鯉登親子を利用している」と知らしめ、鯉登にも鶴見の元を離反するよう促していると考えた。実際には花沢中将は尾形本人により自刃に見せかけ殺害されており、その殺害に協力したのもまた鶴見であったため、尾形の動機は鯉登が推測する「父の死への恨み」ではなく「父殺しを為したかった自身を利用されたこと」という違いがある。
月島が回復すると鯉登らは南樺太の敷香まで戻り、鶴見へ当てて電報を打つため犬ぞりを停めた。一行がそれぞれ過ごしていたところ、白石がどこからか足を狙撃される。鯉登が手鏡で確認したことで、かなりの距離からの狙撃であることが判明する。尾形の襲撃であると全員が息を飲むが、実際はロシアの脱走兵ヴァシリ・パブリチェンコによる狙撃だった。ヴァシリは元々ロシア皇帝暗殺犯のキロランケを追っていたが、キロランケ・尾形・アシリパ・白石が国境超えをする際に尾形との狙撃対決で事実上敗北しており、この再戦のために脱走兵として尾形を追ってきていた。白石を狙撃したのは尾形を誘い出すためであったが、すでに尾形は一行の元を離れ逃亡した後であったため、再戦は叶わなかった。月島の通訳を経てキロランケの死亡と尾形の脱走を知ったヴァシリは、一行が北海道へ帰るのを見送った。
犬ぞりの契約を満了しエノノカ・ヘンケとその村に残ることになったチカパシ・猟犬のリュウと別れた鯉登らは、大泊港で鶴見の到着を待った。
これまでならば鶴見の登場を心待ちにしているはずの鯉登であったが、尾形の残していった「疑惑の種」によって鶴見への猜疑心を募らせていた。この浮かない様子の鯉登に気付いた月島に、鯉登は「尾形の父・花沢幸次郎中将の死に鶴見が関わっているのか」「自分が誘拐されたのは仕込みか」と疑問を投げかける。これに対して月島は「誘拐劇」について否定しなかった。腹心である月島であっても鶴見の本当の目的は見えないが、金塊を資金源に鶴見がやろうとしていることは「北海道の軍需産業樹立」「政変を起こし軍事政権を樹立」「第七師団の地位向上」とその先に「南満州を日本の領土にする」など、彼に付いていく人間が救われるのだから何の問題もないとし、その「鶴見への疑念」は胸にしまって置くべきだと忠告した。これは、月島は「鯉登の補佐官」という立場だが鶴見の腹心として人生を賭けており、鶴見が鯉登を邪魔だと判断した場合、彼を排除するための汚れ仕事を請け負うのは月島自身である、と理解していたためである。
自身の補佐官にまで「必要ならば殺す」と宣言された鯉登は、鶴見への不信感から目を逸らし「仕込みをされるほど必要とされてたなんて嬉しい」「早く鶴見中尉に会いたい」と全身で歓喜しているように振舞った。しかしこれは、鯉登自身にとっては身の安全のために彼への忠誠を装ったに過ぎず、「鶴見の目的はなんなのか」「鶴見について行く我々や部下達は救われるのか」という疑惑が晴れることは無かった。
大泊港で帰還船に乗って現れた鶴見はアシリパに対面すると、彼女を保護し北海道へ帰還することにする。
しかし、この時に鶴見とアシリパとの間で「保護されたあとのアシリパと杉元それぞれの処遇」と「アイヌの金塊の使い道」について、交渉が決裂する。これにより、第七師団の手を借りることを拒否したアシリパは矢を虚空へ放ち周囲を牽制すると、杉元とともに逃走する。逃走した2人を追った月島の銃撃により杉元が倒れると、鯉登は拳銃でアシリパ・杉元を威嚇しながら近づく。しかし銃撃を受け負傷したことで怒り狂った杉元により、左胸に銃剣を突き立てられ反撃される。実戦経験の少ない鯉登はつい先程まで旅を共にしていた杉元のただならぬ雰囲気に恐れをなし立ち竦み、杉元の鬼神の如く戦う様に一撃も返すことができぬまま、2人の逃走を許した。
この際アシリパと対面した時から耳障りの良い「甘い嘘」を並べ立てる余裕を内心失っていた鶴見は、負傷した鯉登を心配する素振りすら見せず、一瞥をくれただけであった。
鯉登はこの時の戦闘について、帰還する船の中で「情けない」とこぼしており、帰還船の司令官であった平二に「生きてるなら良い」と慰められた。
インカラマッの出産に立ち会う
負傷した鯉登は北海道へ帰還すると軍務から一時離れて小樽の病院にて療養することになる。そこには網走の病院で療養していたはずのインカラマッも居た。彼女は樺戸監獄潜入の以前から谷垣の子を妊娠しており、樺太から帰還後も杉元やアシリパから信頼されている谷垣を駒として利用するべく、秘密裏に網走の病院から小樽の病院へ移されていた。
インカラマッとその子を人質にされ、杉元らを追うしかない谷垣だったが、危険を承知でインカラマッと産まれてくる子の傍にいることを選び、臨月のインカラマッを奪うため病院へ潜入する。
月島は谷垣が鶴見の命令を反故にしたことに気付き、谷垣・インカラマッを射殺しようとしたが、家永により背後から動きを封じる薬剤を注射されると、その場に崩れ落ちる。鯉登もこの騒ぎに気づいて谷垣らの前に現れたが、鶴見への疑惑を深めていた鯉登はわざと2人の逃走を許す。
しかし、谷垣らが山中で休息を取っている間に回復した月島は、谷垣の血痕を辿って逃走する彼らに追いつく。さらなる逃走を余儀なくされた谷垣らだったが、山中で臨月のインカラマッが破水してしまうと、止むなしとフチのもとへ駆け込んだ。フチの居場所を知っていた月島もまた、頼る宛のない谷垣の少ない選択肢であるとして襲撃する。そこへ谷垣たちが無事に逃げられるよう月島を尾行してきた鯉登が現れ、月島を制止する。
鯉登は「谷垣に頼るのがアシリパを見つける唯一の方法ではないから放っておけ」と月島を諌めるが、月島は鯉登が鶴見に対して疑念を持ち始めていたことを指摘し、裏切り者として処分すると宣言する。これに対して鯉登は、自身が利用されていたとしても鶴見に付いて行って納得できる正義が果たされるならば構わないとし、だからこそ今後自身らを脅かすはずがない「金塊争奪戦を降りて妻と共に去る者」をわざわざ追いかけて殺すのは、自身らの正義を穢す行為であるとした。
これまで捨ててきた「愛した女性への未練」や「利用して殺してしまった人間に対する後悔と罪悪感」から意地になっていた月島だったが、月島の厳格さを「これまで捨ててきたものの大きさ故か」と鯉登が同情すると気持ちを揺り動かされた。
この直後、インカラマッは無事に女児を出産し、鯉登によって見逃され谷垣・インカラマッとその子は逃亡を果たした。
このインカラマッの出産の際に、鯉登・月島は谷垣と共に分娩の用意を手伝わされたり、フチが養育中だった孤児の世話を任されたりしている。なお、この時世話を任された孤児は、先に第七師団が殺害した稲妻強盗夫婦の息子であったが、それについて鯉登や月島が言及した描写はなかった。
札幌麦酒工場での囚人狩りと鶴見への疑念
小樽での療養後、鶴見より「札幌で待つように」と指示を受けた鯉登は、月島・二階堂と共に札幌へ向かい、宇佐美と菊田特務曹長と合流する。鯉登らは札幌の連続娼婦殺人事件の犯人が刺青囚人の1人であると考え、犯人の確保へと向かう。鯉登らが次の犯行が札幌麦酒工場だという情報を得て現場へ向かうと、土方と行動を共にする刺青囚人の牛山辰馬(うしやまたつうま)と宇佐美が掴み合っているのを発見する。鯉登は宇佐美に助太刀しようとするが、牛山に宇佐美を投げつけられて反射的に避ける。鯉登らが宇佐美を避けている隙を付いて牛山が麦酒工場内へ逃げ込むと、その後を追いかけ鯉登・月島・二階堂も侵入する。
侵入した麦酒工場の貯酒室で偶然にも杉元とアシリパに遭遇した鯉登らは戦闘を開始するが、杉元の助け舟として牛山がビール樽を崩し、鯉登らは杉元と共にビールを頭から被ってしまう。大量のビールに押し流され、鯉登らは酩酊しながらも杉元と戦う。この隙に後から侵入してきた菊田がアシリパを奪い工場外へ連れ出すと、「鶴見中尉はウイルクの死の真相について知っている筈だから会ってこい」と説得する。
実は鶴見はウイルクがのっぺら坊とならざるを得なかった「7人のアイヌの殺害事件」について、彼らが仲違いを起こすように情報を吹き込んだ張本人であり、さらに事件当時アイヌ殺害現場の調査をした人物でもあったからである。しかしこれに対してアシリパは「父の汚名を返上することよりも父に託されたアイヌの未来を優先する」と菊田の提案を蹴り、工場内に残されている杉元と合流すべく逃走した。
同じ頃杉元も、酩酊しながらもアシリパの不在に気付くと、鯉登らを振り切り逃走する。
工場内で再会を果たした杉元・アシリパだったが、連続娼婦殺人事件の犯人であるマイケル・オストログが各勢力に追い詰められ苦し紛れに放った火によって、煙の充満する建物の出口を見失っていた。そこへ、一時的に杉元らと行動を共にしていた刺青囚人の1人である海賊房太郎(かいぞくぼうたろう)がアシリパを救出するため現れる。しかし、房太郎は杉元を裏切りスコップで殴打すると、アシリパを奪って逃亡した。
逃走した杉元・アシリパを捜索していた鯉登は、炎上する建物から逃れた所でアシリパを抱えた房太郎と遭遇する。鯉登・月島との戦闘から逃れ再び建物に逃走した房太郎は、煙の少ない地下からの脱出を試みるが、追いついた鯉登に斬りつけられる。鯉登は「アシリパを確保した」と月島の合流・応援を求めるが、月島の合流前に房太郎によりビールの海に引きずり込まれてしまう。取り残されていたアシリパを見つけた月島は、一度はアシリパの確保を優先させようとするも、鯉登を見捨てることが出来ず救出へと戻りアシリパを捕り逃してしまう。これには鯉登もアシリパの確保をせずに救出に来たことを責めたが、月島も自身の行動に戸惑っていた。
なんとか脱出したアシリパだったが、結局は建物から脱出しようとした先で遭遇した二階堂に確保され、麦酒工場に到着後、外で待機していた鶴見の元へ引き渡された。そこへ麦酒工場からの脱出した月島と鯉登も合流する。
ここで鯉登が麦酒工場外で待機していた鶴見に報告しようと口を開いたところ、流暢な標準語が口をついて出た。これには鯉登本人も驚き、鯉登の変化に気付いているにも関わらず深追いしない鶴見の反応に表情を強ばらせた。
これまでの鯉登は鶴見を前にすると早口の薩摩弁になり、会話には部下の通訳を必要としていた。鶴見を相手に流暢な標準語で話せるということは、彼への忠誠心が薄れていることの象徴であり、隣で見ていた月島に「鯉登もいつか裏切るつもりではないか」と疑念を抱かせた。
鶴見は鯉登らと別行動していた宇佐美が土方陣営から奪ってきた刺青と二階堂が確保したアシリパで十分な収穫を得たため、これ以上の犠牲は不要と判断し、戦果の死守と撤退を命じた。
札幌麦酒工場でアシリパの確保に成功した第七師団は、燃え盛る麦酒工場を消火するために出動していた薄野地区の消防組から防火服や蒸気ポンプなどの装備を奪い、杉元らの目を掻い潜って脱出を試みる。
鶴見らは、第七師団にアシリパを奪われたと知った杉元・土方からの猛追を凌ぐため、部隊を三手に分けて杉元らを攪乱する。鯉登が囮を演じた部隊には追手が来ていなかったが、引き返そうとしたところで樺太からパルチザンの仲間を連れて追ってきたソフィア・ゴールデンハンドが襲撃してくる。ソフィアを気絶させ捕虜にした鯉登らだったが、彼女の所持品からキロランケのマキリが出てくると、彼女がキロランケの仲間であるパルチザンの一味であることを察する。ここに合流した鶴見はソフィアの登場で月寒の兵営まで逃げ切るのが困難だと判断し、旭川から応援が到着するまで近くの教会にアシリパを隠しソフィアからも情報を得ることにする。
鶴見は鯉登と月島・菊田に別れた部下の捜索と追跡者の排除を命じるが、鯉登は鶴見がアシリパを相手に何を伝え、何を問うのか確かめたい気持ちが抑えられず、教会の勝手口から侵入すると、そこには既に扉の前で密かに鶴見の言動を観察しようとする月島がいた。
鯉登は月島に「コソコソと嗅ぎまわる気か」と問い詰めるが、逆に麦酒工場での鯉登の変化を指摘されてしまう。これに対して鯉登は何も言い返すことが出来ず黙り込む。
鶴見は鯉登らだけでなく二階堂にまで任務を与えて追い払うと、既に確認したはずの室内が無人であることを再度確認する。そのまま教会に隠れ忍んだ月島と鯉登は、17年前から起こっていた鶴見とウイルクの因縁と真の目的を聞くこととなる。
鶴見はロシアでスパイ活動を行っていた際に現地で妻子を得ており、ソフィアを含むパルチザンとのやり取りの中で命を落とした妻子の墓がロシア極東部のウラジオストクにあった。日露戦争中に様々な理由で断念されたウラジオストクの占領であるが、「戦友達が眠るウラジオストクを日本にする」という目標を掲げる鶴見の真の目的が、個人的な復讐と家族の弔いである可能性がでてくると、鯉登の隣でこれを聞いていた月島は怒りを噛み殺したような声を発した。
しかし、鶴見が「目的はあくまでも日本国の繁栄であり、進むべき道の傍らに自分の小さな小さな個人的な弔いはあるが、そのために道を逸らすことはない」と断じると、鯉登は無言ながら歓喜し、月島は安堵の表情を浮かべた。
鶴見の妻子を死に至らしめたウイルクの罪を知ったアシリパは鶴見の脅しと説得に負け、暗号解読のヒントを告げてしまう。その場で刺青人皮を広げて暗号解読を始める鶴見のもとへ、第七師団と土方陣営の二重スパイをこなす有古力松(ありこりきまつ)一等卒が現れ、アシリパを開放する。異変に気付いた月島・鯉登は扉を蹴破り突入するがアシリパによって解放されたソフィアにより、座椅子を投げつけられ扉が閉まると締め出され、ソフィア・アシリパは有古とともに教会を脱出した。この間、鶴見は戦闘に目もくれず暗号解読に勤しんでいた。
アシリパ・ソフィアは近くで待機していた杉元・白石の運転する車に乗り込むが、有古は追いかけてきた月島の射撃により左脚と腹部に被弾、負傷のため意識喪失し現場に倒れた。
教会に戻った鯉登は鶴見へ状況報告をしようとするが、彼の「真の目的」を知り忠誠心を取り戻したために早口の薩摩弁になってしまい、会話が困難になる癖が再発していた。この際アシリパ追跡で不在の月島に変わり二階堂を呼びつけ通訳を頼んだ。
しかし、二階堂が他の隊員から「ビールを頭からかぶったみたいに臭う」と指摘されているのを目撃すると、自身にも酒気がまとわりついていることに気付く。酒を嗜まない鶴見が独特のビール臭に気づかない訳はなく、臭気から鯉登らの盗み聞きに気づいた鶴見が「月島や自分の信じたい鶴見中尉を演じていただけ」なのではと新たな疑念を覚えた。しかし鯉登はこれについて、鶴見への忠誠を改めて深めた月島を案じつつも、たとえ鶴見劇場の舞台の上であっても鶴見の話していたことは尤もであるとして、個人的な疑念に蓋をすることにした。
五稜郭攻囲戦
刺青の暗号解読の開始とともに、隠し場所がどこであっても最短時間で迎えるよう、鶴見は大湊要港部司令官の鯉登平二少将へ室蘭に駆逐艦を寄港させるよう手配する。
鶴見自ら暗号解読を行い、開始から15時間後、金塊の隠し場所が五稜郭であることが明らかとなる。その隠し場所は、奇しくも鯉登がその昔誘拐された折に監禁された場所・五稜郭であった。鶴見は現地函館に配備している部下らに緊急の電報を送り、金塊捜索の手配をする。さらに鶴見は室蘭から寄港している駆逐艦に乗り込み函館湾を目指した。
一方の鯉登らは、鶴見の命で札幌で停車している汽車に乗り込み、陸軍という権威を乱用し定刻外に汽車を発車させ、殆ど乗っ取りのような「鉄道会社のご協力」で函館へ向かう。さらに夕方の函館行き列車に追加の兵を載せて到着する手はずを整えた。
「ウイルク達が移す前に金塊が隠されていた場所は函館にあるロシア領事館である」という情報を死に際の房太郎から聞いた杉元らは、第七師団という大勢力を相手にするため土方やパルチザンと手を組み、暗号解読と同時並行で函館へ向かう。暗号を解読し五稜郭へ向かうと、金塊によって購入された北海道の土地の「権利書」が明け方に見つかった。
早朝函館に到着した鶴見だったが、土方一派の元新選組・永倉新八(ながくらしんぱち)が交渉のため現れ、金塊は権利書に成り代わっている事実を知る。日清戦争・日露戦争後の明治政府の羽振りの良さに気づいていた鶴見は、「権利書」が事実であると認め、艦砲射撃を中断すると「南口・北口・東口の三方向から突入」に作戦を変更するため鯉登らの到着を待った。
鶴見に少し遅れて鯉登・月島は夜間に定刻外で発車させた列車で函館に到着する。艦砲射撃を再開し、稜堡の堡塁(橋の外側)を徹底的に破壊すると鶴見・鯉登・月島は南口から突入した。しかし橋の内側にもさらに堡塁があり、南口では土方・牛山らが待ち構え、突入した第七師団に向かって一斉射撃を開始した。これを抑制するため鶴見は、射撃目標の橋の入口近くに鯉登がいるにも関わらず、稜堡にもう一度艦砲射撃を行うよう指示する。忠誠心の薄れている鯉登がどうなろうと関心がなかった可能性もあるが、周囲には「鯉登が志望している聯隊旗手としての働きを期待する」という旨の発言をしている。
艦砲射撃でもう一度城内の堡塁を吹き飛ばすと、難を逃れた鯉登と鶴見らは再度突入する。鯉登も徐々に旗手として兵を鼓舞するようになる。南口から東口に到達した鶴見・鯉登・月島は城内の建物を捜索し、残りの兵には北口を目指すよう指示する。3名は陸軍訓練所から捜索を開始すると、かつてこの場所で誘拐劇を演じられた鯉登は、鶴見に「嘘で試した人間の愛しか本物と思えないのでは?」と、抱えていた疑念をぶつけてしまう。続けて鯉登は、この戦いで何も得られなければ、金塊を得るために勝手に軍を動かしている第七師団が中央政府から反乱分子として裁かれぬよう部下を守らなくてはならない、と戦いの後始末についても言及する。「もしそうなったら貴方を…」と言い淀む鯉登に対し、鶴見は「負けるつもりはない」と断言した。
この時の鯉登は、殆ど「貴方を殺し悪者に仕立て上げて皆が助かる道を選ぶ」と宣戦布告したようなものであった。鯉登は鶴見が正々堂々と助けを求めることを望んでいたが、鶴見は部下の進退を一切顧みなかったため、鯉登は彼と袂を分かつことにした。
月島を自身の部下として手元に置いておきたかった鯉登だったが、この時の月島は鶴見から試す様に「私の部下はお前だけになってしまったな?」と尋ねられると鶴見の下に残ることを選び、鯉登だけが鶴見の前を去った。
この後に北側の馬小屋が大きく燃えだすと、鯉登は何者かが権利書を持って逃走しようとしていることに気付き、水没を免れるために堀には近づかないと考え南口に向かう。
南口では白石が軍服を着て馬に乗り、大荷物で伝令に扮して脱出を試みようとしていた。
伝令が白石であると気付いた鯉登は白石を足止めし、荷物の背負い縄を切り落とすことに成功する。しかしそこへ、白石の脱出を手助けするため永倉新八が切り込んでくる。
鯉登の自慢の剣術であるが、元新選組という歴戦の猛者を相手に「うぬが太刀筋、未熟なり」と鶴見の部下としても軍人としても迷いがあった心情を見透かされてしまう。
戦闘の最中、白石が持ち出そうとした荷物が堀へ落ちそうになると、鯉登はそちらを庇うことを優先し堀へ飛び込んだが、中身はアシリパや権利書ではなく、アシリパ脱出に使用する予定の縄だった。
その頃燃える馬小屋を見て、何者かの逃走計画に気付いた鶴見もまた堀伝いに南口を目指し、発見したアシリパを猛追していた。
当初の予定とは違う方法となったがアシリパは杉元・白石と合流し脱出を試みる。土方もまた、白石の合図でアシリパの脱出に気付くと、杉元らと合流し脱走を図る。
鶴見と別行動で兵糧庫の捜索を終えた月島は、北口から土方が逃走したと聞き、馬に乗って追跡を開始する。月島がアシリパ追跡のため疾走する鶴見に追いつくと、彼を乗せて杉元らを追った。鯉登も月島が杉元らを追跡していることに気づくと、数名の兵を連れて馬で追った。
函館行き車両内での延長戦
杉元達が追跡を逃れるために馬を捨て函館行きの汽車に乗り込むと、鶴見もそれに続き列車に乗り込む。杉元らは鶴見の裏をかいたつもりであったが、車内は追加投入される予定の鶴見の部下が大勢おり、車内での戦闘を余儀なくされる。
月島は引き続き馬で列車と並走し、増援に気付いた杉元らの降車を牽制した後、3両目の車内へ乗り込むと、鯉登もそれに続いて5両目から乗り込んだ。
月島が3両目の車内で牛山と対峙すると、鯉登は5両目で土方歳三と対峙した。ここでも鯉登は土方に「迷いがある」と太刀を振る上での精神の未熟さを指摘される。
「初の太刀に命をかけろ」と幼少より鍛えられていたものの、若輩のボンボンである自身に土方歳三ほどの大物に打ち勝てるほどの重さもないと評価する鯉登であったが、この後も多くの部下達を守るという使命があることに気付き、「勝たないかん」と腹を据えて構えた。
鯉登に対峙する土方は初太刀を打たせまいと銃剣付き小銃を足で持ち上げ鯉登の左頬を切りつけたが、これに怯まず鯉登は斬り込む。この太刀を土方が刀剣で受け止めたところ鯉登の軍刀の方が折れたが、軍刀が折れても振り下ろし残った根本の刃で頭部を斬り込むと土方に重傷を与えた。
幕末の侍・土方を戦闘不能に追い込んだ鯉登は、3両目に乗り込んだ月島を追う。
3両目で未だ戦闘を繰り広げていた月島は、心中覚悟で牛山に掴み掛かり手投弾を爆破しようとするが、彼を助けに現れた鯉登に動揺してしまう。
鯉登・月島諸共に牛山に放り投げられると、月島は左肘を打ちつけ骨折し、たまらず手投弾を投げ落としてしまう。そこにはちょうどアシリパがおり、アシリパを庇って牛山は爆破に巻き込まれ絶命した。
爆発に巻き込まれつつも一命を取り留めた月島は、牛山の死に嘆くアシリパの隙をついて権利書を奪い、前の車両の上で尾形と対峙していた鶴見に権利書を渡す。しかし、車両の上に上がってくるよう促されると、骨折した左腕と牛山との激しい戦闘で消耗した身体では落とした小銃を拾うこともできなかった。
月島のあまりの状態に、鯉登は「行くな」と彼を制し、鶴見に「もうこの男を解放してください」と懇願する。最後は鶴見もこの2人を捨て置き、権利書だけを持って前の車両へ移動した。
これにより鶴見は先頭車両で杉元とアシリパと対峙するも、アシリパによって権利書を奪い返される。機関士もなく暴走する汽車の上で杉元とお互いを掴み合い、線路の終点を突き抜け汽車もろとも函館の海へ転落し姿を消した。
金塊争奪戦より生還した鯉登・月島だったが、鶴見に従うも金塊を得られず多大な損害を出した第七師団は、政府から反乱分子として裁かれる未来が待っていた。最後まで鶴見についていた月島は函館湾で行方不明の鶴見の消息を探すも、骨一本どころか額当てすら見つけることが出来ず途方にくれていた。一方、父や最大の恩人であった鶴見を喪ったはずの鯉登は金塊争奪戦からすぐさま立ち直っており、「金塊や権利書に頼った国防であってはいけない」と前を向いていた。鯉登は既に「反乱分子として裁かれる部下達を守る」と道を定めていたからである。勝目はないに等しいこの大仕事に対して、経験豊富で優秀な右腕となる人物が必要であるとして月島をスカウトし、2人は軍務に復帰した。
後に鯉登は中将へ昇進・日本帝国陸軍「最後の第七師団長」となり、月島は彼の右腕を全うした。
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岩息舞治(がんそくまいはる)とは、野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』に登場する刺青の囚人のうちの一人で、屈強な肉体と暴力への飽くなき欲求を併せ持つ男だ。樺太にあるロシア人の村で、男たちが集団で殴り合う競技「スチェンカ」に参加していた。キロランケやアシリパを追跡する杉元と出会い、拳を通して心を通わせる。刺青は剥がずに書き写された後、強者との出会いを求めてロシアへ渡っていった。
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マンスール(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
マンスールとは、『ゴールデンカムイ』のキャラクターで、ロシア皇帝の暗殺にも加担したパルチザンのソフィア・ゴールデンハンドの仲間の1人にして砲撃手である。 アイヌの隠し金塊を手に入れるため、ソフィアや仲間たちと共に北海道に乗り込み、主人公の杉元たちに協力。金塊を我が物にせんとする第七師団と壮絶な戦いを繰り広げ、敵の駆逐艦を旧式の大砲で撃破するという大殊勲を挙げた。突如鳴り物入りで登場し、作品の内外からその力量に疑問を持たれるも、鮮やかな活躍で評価を覆したキャラクターである。
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二階堂浩平(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
二階堂浩平(にかいどう こうへい)とは、『ゴールデンカムイ』の登場人物で、アイヌの隠し金塊争奪戦に参加している大日本帝国陸軍第七師団の兵士である。双子の兄弟の二階堂洋平を返り討ちにした杉元佐一に激しい殺意を抱くようになり、復讐を果たさんとたびたび死闘を演じた。戦いを経る毎に両耳や手足を失って行き、治療の際に使用したモルヒネによって薬物中毒者と化し、その副作用で子供のような性格の異常者となった。最終的に武器の仕込まれた義手や義足を装備し、心も体も壊れていきながら金塊争奪戦の最前線で戦い続けた。
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津山睦雄(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
津山睦雄(つやま むつお)とは、野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』に登場する刺青の囚人のうちの一人で、「三十三人殺し」と呼ばれている。本編には登場せず、第七師団の鶴見中尉が刺青人皮を持っている。津山から剥いだ刺青人皮をベストのように着こなす鶴見中尉の姿は、多くの読者に衝撃を与えた。「三十三人殺し」という経歴から、モデルは「津山三十人殺し」の都井睦雄(とい むつお)であるという見方が一般的だ。
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菊田杢太郎(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
菊田杢太郎(きくた もくたろう)とは、野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』の登場人物で、鶴見中尉率いる第七師団の一員。作中では珍しく、比較的常識的な言動をする男だ。日露戦争で倒したロシア将校の銃を奪い、戦争が終わった後でも持ち歩いている。金塊争奪戦には途中から参戦したが、その正体は軍中央から鶴見中尉に差し向けられたスパイ。また、かつて故郷を出たばかりの杉元佐一(すぎもと さいち)と出会い、軍に入隊するきっかけを作っており、「不死身の杉元」の生みの親とも言える。
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江渡貝弥作(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
江渡貝弥作(えどがいやさく)とは、野田サトルによる漫画作品『ゴールデンカムイ』の登場人物で、北海道・夕張で剥製工房を営んでいる青年である。剥製職人としての腕は良いが、人間の死体の皮で革細工を作るという歪んだ趣味を持っている。自分の実の母親を剥製にして所有。母親の偏った教育の下で成長したが、母を慕うなどマザコン気質の持ち主である。鶴見の依頼により贋物の刺青人皮を作成したが、刺青を狙う尾形や杉本に狙われる。初めて自分を受け入れてくれた鶴見を慕っており、最期は鶴見の為に自らの命を犠牲にした。
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インカラマッ(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
インカラマッとは、『週刊ヤングジャンプ』にて連載されていた野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』に登場する人物で、占いで生計を立て北海道を旅するアイヌ女性。少女の頃にアシリパの父ウイルクと交流があり、金塊争奪戦の渦中にいるアシリパの周囲に現れる。目的を明かそうとせず、周囲を占いで惑わすような行動を取るため、その存在を怪しまれている。鶴見中尉率いる第七師団から離れ小樽のアシリパのコタンで療養していた谷垣源次郎と、疱瘡で家族を失ったチカパシとともに、アシリパを追いかけ旅をする。
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目次 - Contents
- 鯉登音之進の概要
- 鯉登音之進のプロフィール・人物像
- 鯉登音之進の能力・装備
- 身体能力
- 自顕流
- 天才的な軽業の能力
- 武器
- 軍刀
- 二十六年式拳銃
- 三八式歩兵銃
- その他
- 刺青人皮
- 鶴見中尉ブロマイド
- 手鏡
- お手製メンコ
- 三輪車 ド・ディオン ブートン
- 鯉登音之進の来歴・活躍
- 兄・平之丞の戦死
- 鹿児島での鶴見との出会い
- 鯉登音之進誘拐事件
- 金塊争奪戦に参戦
- 樺太先遣隊
- アシリパ奪還
- 帰国までの道のり
- インカラマッの出産に立ち会う
- 札幌麦酒工場での囚人狩りと鶴見への疑念
- 五稜郭攻囲戦
- 函館行き車両内での延長戦
- 鯉登音之進の関連事物・キャラクター
- 鶴見篤四郎(つるみとくしろう)
- 月島基(つきしまはじめ)
- 尾形百之助(おがたひゃくのすけ)
- 鯉登平二(こいとへいじ)
- 鯉登平之丞(こいとへいのじょう)
- 鯉登ユキ(こいとゆき)
- 杉元佐一(すぎもとさいち)
- アシリパ
- 土方歳三(ひじかたとしぞう)
- 永倉新八(ながくらしんぱち)
- 鯉登音之進の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「キエエエッ(猿叫)!!」
- 「おぉおのれ よくも…私の部下たちをッ」
- 「銃を下ろせ これは上官命令だ」「私は鶴見中尉殿と月島軍曹を最後まで見届ける覚悟でいる」
- 「もうこの男を解放してあげてください」
- 「だからこそ優秀な右腕となる人間が必要だ」「月島軍曹 私のちからになって助けてくれ」
- 鯉登音之進の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 杉元に小便をかけられるシーンは『花の慶次』のオマージュ
- 稲妻強盗夫婦の息子を鶴見が抱く姿は『歌を歌う天使達(1881)/ウィリアム・アドルフ・ブグロー』のオマージュ
- 週刊誌掲載分と単行本とで演出が異なる「五稜郭攻囲戦にて鯉登と鶴見が対峙するシーン」
- 鯉登少尉のキエエエッ(猿叫)!!ボタン
- 鯉登音之進のモチーフとなった鯉登行一
- 鶴見との出会いのアイテムになった「月寒あんぱん」
- 五稜郭攻囲戦の前に土産として持参した「大沼だんご」
- 鯉登が進学した東京海城学校
- 樺太先遣隊として駆逐艦で航行した稚内~大泊連絡航路