四月は君の嘘(君嘘)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『四月は君の嘘』とは、新川直司のピアノを題材にした漫画作品。2011年から2015年まで『月間少年マガジン』にて連載された後、アニメ化、実写映画化、舞台化、ミュージカル化もされている人気作品だ。母の死をきっかけに、ピアノの音が聴こえなくなった元天才ピアニストの有馬公生。暗い日々を過ごす中、圧倒的な個性を持つヴァイオリニストの宮園かをりと出会い、再び音楽を通じて成長する物語である。音楽に情熱を注ぐ演奏家たちや彼らを支える周りの人の言葉は、心を動かされるものが多い。

『四月は君の嘘』の概要

『四月は君の嘘』とは、新川直司によるピアノを題材にした漫画作品で、『君嘘』と略される。2011年5月号から2015年3月号の『月間少年マガジン』にて連載されていた。2012年度、マンガ大賞にノミネートされ、2013年には講談社漫画賞少年部門を受賞する。2017年6月時点でシリーズ累計発行部数が500万部を突破しており、多くの人に支持されている人気作品である。2014年秋から2015年春にかけてフジテレビの『ノイタミナ』と呼ばれる深夜アニメ枠で放送され、2016年には山崎賢人(やまざき けんと)と広瀬すず(ひろせ すず)を主演に実写映画化された。その他に、舞台化やミュージカル化もされている。また、その人気は国内で留まらず、海外にも多くのファンがいる。

主人公は中学3年生の元天才ピアニスト有馬公生(ありま こうせい)。ピアニストの母から毎日厳しく指導され、数々のコンクールで優勝した実績を持つ。楽譜に忠実な演奏スタイルから、『ヒューマンメトロノーム』、『母親の操り人形』と揶揄されていた。しかし、母の死をきっかけに、自分の奏でるピアノの音が聴こえなくなってしまい、音楽の世界から遠ざかる。そんなある日、天真爛漫で個性の強いヴァイオリニスト宮園かをり(みやぞの かをり)と出会い、彼女に振り回されながら再びピアノを弾くようになる。音楽と真剣に向き合った演奏家だからこそ出てくる説得力のある熱い言葉や、彼らを陰ながら支える友人や家族の優しい言葉は、多くの読者を感動させた。

有馬公生の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「母さんが僕に残したものを引っ張り出せ」

藤和音楽コンクール二次予選本番。途中から自分のピアノの音が聴こえなくなった公生は、ヒステリックに音をかき鳴らす。伴奏は乱れたままだったが、ふと「赤ちゃんの頭をなでるように」という母のアドバイスを思い出す。音が聴こえない代わりに音をイメージすると、ピアノの音色が優しく変化した。公生とかをりの個性をぶつけ合った演奏に会場は魅了され、大きな盛り上がりを見せる。人前での演奏を避けていた公生は、再び音楽の楽しさを思い出した。

「忘れられるはずないよ。僕は君と同じ演奏家なんだ」

藤和音楽コンクール二次予選後、かをりは体調を崩して検査入院する。無事に退院し、そのお祝いとして公生は一つ願いを聞くと約束する。かをりは、ピアノのコンクールに出場するようお願いするが、公生はすぐに首を縦に振らなかった。かつて楽譜を投げ捨てた公生は、自分のことを奏者として失格だと語る。だが、かをりと共演した際に舞台から見た観客の笑顔や降り注ぐ拍手、自分の音楽が人に届いた時の高揚感を公生は忘れることができなかった。話の途中、急にかをりが近くの川に飛び込んだ。すると公生も、勇気を出して川に飛び込む。この川に飛び込むという行為は、再びピアノの世界へ飛び込む公生の決心を表現している。

「僕の世界は鍵盤でさえ、カラフルになっていたんだ」

毎報コンクールへの出場を決め、練習に励む公生。楽譜通り正確に演奏することも大切だが、自分なりのその曲解釈して表現することで、より深みのある音色になる。公生は、選択課題曲『バッハ平均律NO.15 Gメジャー ショパン エチュード OP.25-5』のイメージ作りに苦戦し、毎日夜遅くまで楽譜と向かい合っていた。かをりは、無責任に「ピアノを弾いて」とお願いしたことに申し訳なさを感じていた。公生は確かに苦しんでいたが、かをりと出会ってから、モノクロの鍵盤がカラフルに色付いて見えるほど毎日が充実していると感じていた。鍵盤がカラフルに見えるという表現は、ピアニストの公生ならでは言葉である。

「君のために弾こう」

毎報コンクール一次予選。序盤は正確に弾けていた公生だったが、徐々にピアノの音が聴こえなくなり、乱暴な速弾きになっていく。どうにもならない状況に演奏を中止しようとするが、かをりからの言葉や思い出が浮かび、「君のために弾こう」と曲を弾き直す。かをりへの一途な想いをのせたメロディーで、会場は優しく温かな空気に包まれる。機械のような演奏をしていた公生が、自分の音を奏でるきっかけとなった。

「僕を伴奏者に据える宮園かをりはもっと凄い」

藤和音楽コンクールのガラコンサートに招待された公生とかをり。2人は、クライスラー『愛の悲しみ』を選曲し、練習を重ねる。しかし、本番当日にかをりは姿を現さなかった。時間になってもやってこないかをりのことを、他の演奏家が侮辱する。腹を立てた公正は、1人で舞台に立つことを決意する。自分が腕のあるピアニストであることを聴衆に見せ、その自分を伴奏者に据えるかをりはもっと凄いのだと証明するためだった。普段は保守的な公生が、自分の衝動に委ねて行動することは非常に珍しいことだ。

「僕は幸せだよ」

公生は一人で藤和音楽コンクールのガラコンサートに挑む。曲はかをりと弾くはずだった『愛の悲しみ』のピアノ編曲版。弾き始めは、自身の高等なテクニックを見せつける様な耳障りな演奏をする。だが、途中で母との思い出を頼りにピアノを奏でると、音がカラフルに色めきだした。公生の音色は、聴衆の胸に優しく響く。演奏中、母が音楽を教えてくれたから出会えた感動や人、想いがあることに気づかされる。「僕は幸せだよ」と公生は心の中で母に語りかける。公生の母である有馬早希(ありま さき)は、生前、自分がいなくなっても公生が幸せになれるかどうかを懸念していた。その答えを、公生が音にこめた感動的なシーンである。

「いてもいなくても一緒なら、一緒にいるよ。側にいるよ」

椿が悩み落ち込んでいる時、公生はドビュッシーの『月の光』を優しい音色で慰める。しかし、ピアノを奏でるだけで何も言わない公生に、椿は「いてもいなくても一緒じゃん」と泣いて怒る。すると公生は、「いてもいなくても一緒なら、一緒にいるよ。側にいるよ」と微笑む。椿はずっと気が付かなかった公生への恋心をようやく自覚し、ずっと側にいたいと願うのであった。

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