夜のピクニック(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『夜のピクニック』とは、恩田陸の青春長編小説『夜のピクニック』を原作としたヒューマンドラマである。「みんなで夜歩く。ただそれだけなのに、どうしてこんなに特別なんだろう」をキャッチコピーにして、2006年9月30日に公開された。主人公の甲田貴子は、北高に通う高校3年生である。北高には、一昼夜かけて80㎞を歩く「歩行祭」という伝統行事があった。貴子は、高校生活最後の歩行祭で「同じクラスの西脇融と話をする」という1人だけの秘密の賭けをしていた。青春時代の輝きや、友人の大切さなどを感じる青春映画である。
榊杏奈の弟。
普段はアメリカに住んでいるが、杏奈が歩行祭についての話をよくするため、どんなイベントか気になって内緒で歩行祭に参加する。実は昨年も、杏奈に秘密で歩行祭に参加しており、記録写真に写りこみ、「誰も知らない少年が歩行祭を歩いていた。幽霊なのではないか」と噂になっていた。
歩行祭の間、杏奈の好きな人を、杏奈の友達に聞き込みしている。貴子と美和子のもとにも「どんなやつか知らないか」と尋ねにやって来た。杏奈からは「好きな人は友達の兄弟である」という情報を聞いている。歩行祭2日目の自由歩行の際に、融と忍と一緒に歩く貴子と美和子を見つけ、「杏奈の好きな人はテニス部であることを思い出した」ともう一度尋ねに来る。その際、一緒に歩いていた融の名前と、融がテニス部であるということを聞き、「もしや杏奈の好きな人は融なのでは」と思い、融に「みんなの知らない兄妹はいないか」と聞く。すると、貴子と融、そして事情を知っている美和子が気まずそうにしており、3人の様子から貴子と融が兄妹であることを知る。しかし、順弥が何を聞いても貴子も融も黙ったままであったことから、「聞いてはいけないことを聞いてしまった」と悟ってそそくさと帰ってしまう。
その後、歩行祭のゴール直前の上り坂で、貴子、融、美和子、忍がやって来るのを待っており、貴子と融に無神経な発言をしてしまったことを謝りに来る。謝る順弥の様子を見て、杏奈の手紙の裏に書いてあった絵は、順弥が被っている帽子であることに気付いた美和子は、「杏奈の手紙に書いてあった『おまじない』とはこのことだった」と言い、順弥が歩行祭に参加して杏奈の好きな人を探るように杏奈がわざと仕向けていたと知る。
矢部(やべ/演:海老澤健次)
北高に通う3年生。野球部のエース。クラスは3組である。
内堀亮子の元彼氏である。高校生活最後の歩行祭では、亮子に振られたショックから、完歩する気力がなく、救護バスに乗せられてしまった。
さくら(演:近野成美)
北高に通う3年生。
歩行祭スタッフ。歩行祭の最後のチェックポイントで、生徒の名簿をチェックする役割をしていた。
藤巻(ふじまき/演:嶋田久作)
北高の教師。
歩行祭では、昼間は生徒に声を掛けて励ますなどしていたが、夜になって倒れてしまい、救護バスで運ばれてしまった。
校長(演:田山涼成)
北高の校長先生。
歩行祭では、スタートの挨拶をしていた。また、80㎞の道のりを歩き切って帰ってきた生徒たちに、ゴールのところで順位を書いた紙を配り、慰労していた。
貴子の母(演:南果歩)
甲田貴子の母親。西脇融の父と浮気をし、貴子を授かった。シングルマザーとして貴子を育てている。
貴子が高校2年生のゴールデンウィークに、美和子と杏奈が貴子の家に泊まりに来た。美和子と杏奈にケーキを買いに貴子が留守にした際、貴子の母は美和子と杏奈に西脇融と貴子が異母兄妹であることを告白した。そして、貴子の母は「貴子は自分からは言わないと思うから。貴子はたぶん、西脇融くんに罪の意識を持っている。あなたたち二人には貴子のことを分かっていてほしくて。貴子のことをよろしくね」と杏奈と美和子に話していた。
『夜のピクニック』の用語
歩行祭
毎年全校生徒が一昼夜かけて80kmを歩く、北高の伝統行事。1日目はクラスごとに2列に並んで歩き、2日目は自由歩行となって生徒が思い思いに歩いたり、走ったりしてゴールを目指す。自由歩行は、運動部は毎年走り切って上位を狙うのが通例となっている。全生徒、上下白いジャージを着ることも毎年のことである。
一昼夜かけて80㎞を歩くという、なかなか過酷な行事であるため、毎年途中で歩けなくなる生徒、教師がいる。歩けなくなった生徒や教師は、救護バスという看護師が乗ったバスに乗せられる。救護バスに乗ると、歩行祭をリタイヤするということになり、最後まで歩き切ることが出来なくなるため、皆乗りたがらない。
救護バス
歩行祭は一昼夜かけて80㎞を歩く過酷な行事であるため、最後まで歩き切ることが出来ず、途中で体調を悪くする生徒や教師が出る。具合の悪くなった生徒や教師を、介抱するために用意された救護用のバスのことである。救護バスに乗ってしまうと、歩行祭をリタイアすることになるため、皆乗りたがらない。
梨香が歩行祭の途中で、疲れて歩きたくない時に「ここで救護バスが来るのを待つ」と言い、貴子と千秋が励ますシーンがあるが、生徒たちの間で「救護バスに乗ることがないように頑張ろう」という意味でよく会話に登場するワードである。
自由歩行
歩行祭は、1日目にクラスごとに並んで歩き、2日目には自由歩行として、各々が走ったり歩いたりしてゴールを目指す。自由歩行では、クラスなど関係なく部活動や違うクラスの友人と一緒に歩くことが出来る。野球部や陸上部などの運動部に所属する生徒は、毎年上位を狙ってゴールまで走り切るのが通例となっている。自由歩行は歩行祭スタッフの合図で一斉にスタートを切るのだが、運動部員は上位を狙うため、出来るだけ前でスタートをしようと場所取りをする。運動部所属の融と忍も、ゴールまで走り切る予定だったため、集団の前方でスタートの合図を待って走り出していた。運動部ではない千秋や梨香などの生徒は、ゆっくり歩いてゴールすることが多いため、運動部員たちが走って行ってしまった後でスタートしていた。
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目次 - Contents
- 『夜のピクニック』の概要
- 『夜のピクニック』のあらすじ・ストーリー
- 北高歩行祭の前日
- 歩行祭の幕開け
- 何事もなく進んでいく歩行祭
- 杏奈の弟・順弥の登場
- 貴子と融の初めての会話
- 動き出す貴子と融の友人たち
- 自由歩行の始まり
- 杏奈のかけたおまじない
- 『夜のピクニック』の登場人物・キャラクター
- 甲田貴子(こうだたかこ/演:多部未華子)
- 西脇融(にしわきとおる/演:石田卓也)
- 戸田忍(とだしのぶ/演:郭智博)
- 遊佐美和子(ゆさみわこ/演:西原亜希)
- 後藤梨香(ごとうりか/演:貫地谷しほり)
- 梶谷千秋(かじたにちあき/演:松田まどか)
- 高見光一郎(たかみこういちろう/演:柄本佑)
- 内堀亮子(うちぼりりょうこ/演:高部あい)
- 榊杏奈(さかきあんな/演:加藤ローサ)
- 榊順弥(さかきじゅんや/演:池松壮亮)
- 矢部(やべ/演:海老澤健次)
- さくら(演:近野成美)
- 藤巻(ふじまき/演:嶋田久作)
- 校長(演:田山涼成)
- 貴子の母(演:南果歩)
- 『夜のピクニック』の用語
- 歩行祭
- 救護バス
- 自由歩行
- 『夜のピクニック』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 戸田忍「さっきまで歩いていた時間があそこ、これから何分後かにはあそこ。こうやってさ、一瞬一瞬が過去になっていくっていうかさ、もう後戻り出来ないっていうかさ」
- 榊杏奈「並んで一緒に歩く。ただそれだけなのに、どうしてこんなに特別なんだろうね」
- 『夜のピクニック』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 実在する歩行祭
- 歩行祭の前日譚『ピクニックの準備』
- 『夜のピクニック』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:MONKY MAJICK「フタリ」
- 挿入歌:DAKOTA STAR「I’ll Be There For You」
- 挿入歌:DAKOTA STAR「Go」
- 挿入歌:DAKOTA STAR「STAY」
- 挿入歌:DAKOTA STAR「Rock Star」
- 挿入歌:The Hollies「Bus Stop」
- 挿入歌:DAKOTA STAR「Touch What's Real」
- 挿入歌:千綿ヒデノリ「逢えない夜を越えて」
- 挿入歌:Frederic Chopin「Marcha Funebre」
- 挿入歌:Richard Wagner「Ride Of The Valkyries」
- 挿入歌:Deep Purple「Smoke on the Water 」