夜のピクニック(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『夜のピクニック』とは、恩田陸の青春長編小説『夜のピクニック』を原作としたヒューマンドラマである。「みんなで夜歩く。ただそれだけなのに、どうしてこんなに特別なんだろう」をキャッチコピーにして、2006年9月30日に公開された。主人公の甲田貴子は、北高に通う高校3年生である。北高には、一昼夜かけて80㎞を歩く「歩行祭」という伝統行事があった。貴子は、高校生活最後の歩行祭で「同じクラスの西脇融と話をする」という1人だけの秘密の賭けをしていた。青春時代の輝きや、友人の大切さなどを感じる青春映画である。

右側が西脇融

北高に通う3年生。テニス部に所属している。クラスは7組である。
甲田貴子とは異母兄弟だが、貴子と同じく、誰にもそのことを話していない。貴子とは、中学生の頃、融と貴子の父親が亡くなった時に、葬式の席で初めて顔を合わせたが、話をすることはなかった。偶然にも、融と貴子は同じ高校に通うことになったが、3年生になるまで口を利いたことがなかった。3年生になり、初めて同じクラスになったが、それでもお互いに無視をし続ける関係だった。
融には、戸田忍という親友がいる。融と忍は歩行祭でも、一緒に歩いている。あまりにお互いを気にしている融と貴子の様子から、歩行祭の間中、忍に「融と貴子は両思いなのではないか」と疑われていたが、融は、自分から貴子と兄妹であることを打ち明けられなかった。
融はテニス部の活動の最中に、膝を痛めてしまったため、歩行祭の自由歩行で走るかどうか迷っていたが、親友の忍と一緒にゴールするために走ることを決めた。しかし、走る際に膝をかばうあまり、途中で足首を捻挫してしまい、足を引きずってしか歩けなくなってしまう。足を捻挫したことがきっかけで、後から来た美和子と貴子が、融の荷物を交代で持って一緒に歩くことになり、結果的に貴子と融は初めて話をすることが出来た。

戸田忍(とだしのぶ/演:郭智博)

右側が戸田忍

北高に通う3年生。水泳部に所属している。クラスは7組である。
西脇融とは親友で、歩行祭でも一緒に歩く。融のことを好きで狙っていると噂の内堀亮子とは、昔付き合っていたことがある。
歩行祭の間、融にひとつ打ち明けごとをする。「西高に通ういとこが妊娠して子どもを堕ろした」と言って、同じ学年の古川悦子がいとこの写真を回覧し、北高にいる子どもの父親を探していた。その西高の女の子と、忍は友人の彼女として会ったことがあり、彼女の相談にも乗っていたが、次第に女の子は忍を異性として意識するようになった。しかし、忍は「友人の彼女」として女の子と会っていたため、距離を置いて数カ月間会うことを止めた。数か月後に、女の子から久しぶりに連絡が来て「子どもを堕ろした」という話をされた。忍は、その女の子の言動が忍への当てつけであると感じた。忍は、女の子との一件以来、「何事も、タイミングと順番が大事」であると考えるようになった。融にも、歩行祭の間、「タイミングと順番」という話を何度もしている。
融と貴子がお互いに気にかけている様子を感じ取り、融と貴子が両思いであると勘違いし、それぞれに「話せば良いのに」と会話することを勧める。しかし、実は忍は貴子のことが気になっており、融に遠慮して貴子に告白することが出来ずにいる。
歩行祭の自由歩行の時に現れた、榊杏奈の弟の話から、初めて貴子と融が異母兄弟であることを知る。その後、親友である融が、自分の口から兄妹であることを教えてくれなかったことに怒り、貴子にずっと「融のことを好きなのでは」と言い続けていたことを後悔する。しかし、貴子と融が兄妹であると知ったことで、2人が会話できるように取り計らってくれ、貴子と融は初めて話をすることが出来た。

遊佐美和子(ゆさみわこ/演:西原亜希)

右が遊佐美和子

北高に通う3年生。スキー部と剣道部に所属している。クラスは3組である。
甲田貴子とは親友で、毎年の歩行祭でも一緒に歩いている。
貴子の口から直接聞いたわけではないが、実は融と兄妹であることを知っており、貴子には知らないふりをしている。高校2年生の時に、貴子の家に泊まりに行った際、貴子の母から融と貴子が兄妹であることを打ち明けられた。融と貴子が兄妹であると知ってから、融のことを気にかける貴子に、さりげなく融と話してみるように勧めるなどするが、貴子は頑固に話をしようとしなかった。
高校生活最後の歩行祭でも、融に話し掛けることが出来ずにいる貴子に、融と話すチャンスを作ってあげようと奮闘する。歩行祭の自由歩行の際、足を捻挫して動けずにいる融を見つけ、「貴子と交代で荷物を持ってあげる」と提案し、融と貴子を近づけることに成功した。その後、融に思いを寄せる亮子の邪魔が入った時にも、融と亮子を引き離すのに一役買い、貴子と融は話をすることが出来た。

後藤梨香(ごとうりか/演:貫地谷しほり)

左側が後藤梨香

北高に通う3年生。演劇部に所属している。クラスは7組である。
貴子のクラスメイトで友人である。高校生活最後の歩行祭の、1日目はクラスごとに歩くため、同じクラスの貴子と千秋と歩いていた。
演劇部に所属することから、シナリオを考えるために妄想癖があり、歩行祭の最中も色々な妄想話をしていた。また、妄想から派生した寸劇をしてクラスメイトを笑わせる一面もある。感情表現が豊かで、リアクションも大きく、杏奈の弟を幽霊と間違えて田んぼに落ちたり、犬に追いかけられて大声で逃げたりして、貴子たちクラスメイトを笑わせていた。
貴子が融のことを好きだと勘違いしており、歩行祭の最中に何度も融との関係を、貴子に尋ねている。

梶谷千秋(かじたにちあき/演:松田まどか)

右側手前が梶谷千秋

北高に通う3年生。クラスは7組である。
貴子のクラスメイトで友人である。高校生活最後の歩行祭の、1日目はクラスごとに歩くため、同じクラスの貴子と千秋と歩いていた。
貴子が融のことを好きだと勘違いしており、歩行祭の最中に何度も融との関係を、貴子に尋ねている。気の利く性格のため、歩行祭のお昼休憩などに、融に声をかけて一緒にお昼を食べる機会を作り、貴子と融を近づけようとしていた。

高見光一郎(たかみこういちろう/演:柄本佑)

真ん中の黒い帽子、黒い服を着ているのが高見光一郎

北高に通う3年生。クラスは7組である。
ロック音楽が好きで、いつもヘッドホンを身に着けている。毎日夜通し音楽を聴いてしまうため、朝はゾンビのように元気がないことから、あだ名は「ゾンビ」である。一見風変わりだが、友達思いである。
貴子が融のことを好きだと勘違いした光一郎は、貴子と融が話をすることができるように、歩行祭の間、色々と協力してくれた。歩行祭1日目の夜には、融のことを好きで狙っている亮子から融を引き離すことに成功し、おかげで貴子や忍などの他の友人たちが融の誕生日をみんなで祝うことが出来た。また、歩行祭2日目の自由歩行の時に、融のことを待ち伏せして一緒にゴールしようと融のことを連れて行ってしまった亮子に、貴子、忍、美和子が何もできずにいたところ、光一郎が「俺に任せろ」と言って亮子を融から引き離した。その後貴子と融は2人きりで話をすることが出来た。融と引き離された亮子は、最初はとても嫌がっていたが、その後すぐに光一郎とロック音楽の話で意気投合し、光一郎と亮子は一緒にゴールした。

内堀亮子(うちぼりりょうこ/演:高部あい)

右側が内堀亮子

北高に通う3年生。クラスは3組である。
短い間、気に入った男の子と付き合ってはすぐ別れてしまうため、校内で付き合った男子は数知れず。野球部のエースやサッカー部のキーパー、そして戸田忍も亮子の元彼氏である。
高校生活最後の歩行祭では、西脇融のことを好きで狙っており、歩行祭1日目の夜には融に誕生日プレゼントのタオルを渡しに7組の列までやって来た。融は、亮子のあからさまな態度にとまどっているが、お構いなしに融に付きまとう。歩行祭1日目の夜は、高見光一郎の機転によって、融と亮子は引き離され、特に何事もなく亮子は自分のクラスへ帰って行った。歩行祭2日目の自由歩行の際には、融のことを待ち伏せし、一緒にゴールしようと無理やり融のことを連れて行ってしまう。どうすることも出来ずに貴子、美和子、忍が、亮子が融を連れて行くのを見ていたが、またも光一郎が亮子を融から引き離すことに成功。亮子は融と歩くことが出来ず、最初はとても嫌がっていたが、すぐに光一郎とロック音楽の話で意気投合し、光一郎と亮子は一緒にゴールをした。

榊杏奈(さかきあんな/演:加藤ローサ)

右から2番目が榊杏奈

高校2年生まで北高に通っていたが、3年時にはアメリカへ帰国してしまった。帰国子女である。
貴子と美和子の親友であり、高校2年生までの歩行祭では一緒に歩いていた。同じ学年に好きな人がいるが、それが誰かを貴子と美和子には言わずにアメリカへ行ってしまった。
貴子の口から直接聞いたわけではないが、実は融と兄妹であることを知っており、貴子には知らないふりをしている。高校2年生の時に、貴子の家に泊まりに行った際、貴子の母から融と貴子が兄妹であることを打ち明けられた。
歩行祭の前日に、貴子に歩行祭のエールの手紙を送る。手紙には、「貴子と美和子の悩みが解決して、無事にゴールできるように去年おまじないをかけておいた。たぶん私も一緒に走っているよ」と書かれていた。

榊順弥(さかきじゅんや/演:池松壮亮)

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