009ノ1(石ノ森章太郎)のネタバレ解説・考察まとめ

『009ノ1』(ゼロゼロナイン・ワン、ゼロゼロクノイチ)とは、1967年8月より1974年11月まで週刊漫画アクションで連載された石ノ森章太郎のSFスパイ・アクション作品。原作は漫画で、それを元にした映像作品が制作されている。サイボーグの女性を主人公として、当時の国際情勢のまま東西冷戦が続いていたと仮定している未来が舞台となっている。石ノ森章太郎が初めて青年向け漫画雑誌に掲載した作品で、性描写や救いのないストーリーがふんだんに盛り込まれた大人向けの作風が特徴である。

指令No.23 「No.100」

ミレーヌは新人であるNo.100の教育を任された。訓練で優秀さを認められたNo.100は、ミレーヌから機密情報の受け渡しを行う最終テストを指示される。本番当日、No.100は受け渡しの相手を撃ち殺し、ニセモノだったことをミレーヌに示した。機密情報を返すと、No.100は姿を消した。実はNo.100はイーストブロックのスパイで、撃ち殺した相手は本物の受け渡しの相手であり、ミレーヌに返した機密情報はすり替えられていた。ボスのナンバー0にそのことを指摘されるミレーヌだったが、彼女もNo.100に渡した機密情報はニセモノだった。

指令No.24 「死霊の館」

幽霊に怯える小説家ロマン・ギルの屋敷を訪ねたミレーヌ。ロマンによると、幽霊たちはミレーヌの名を呼び、連絡先を教えてきたという。落ち着きのないロマンを鎮めるため、ミレーヌはベッドを共にする。ロマンが寝静まった頃、ミレーヌの前に幽霊が現れる。彼らはみんな、ミレーヌに殺されたイーストブロックのスパイだという。精神攻撃に追いつめられるミレーヌだが、寸前で目が覚める。幽霊の正体は、イーストブロックのスパイであるロマンがイメージ投射機で見せた映像だった。

指令No.25 「夜明け」

ウエストブロックの月基地で、イーストブロックのスパイが消息を絶った。調査に来たミレーヌは、スパイが最後に会った人物のDr.ダーク・グリーンと入れ替わったと推測する。Dr.グリーンを訪ねたミレーヌは、親密になり身を任せる。情事を終えたミレーヌは、グリーンに消息を絶ったイーストブロックのスパイの話をする。そしてそのスパイのポール・ホフマンが、自分の行方不明の弟であることを告げる。ミレーヌが正体を知っていることを悟ったグリーンは、変装を解除してポールの姿をあらわし、自ら命を絶った。

指令No.26 「深海魚」

海底基地M-8からイーストブロックへの機密漏えいが発見された。ミレーヌは機密を流していると思われる潜水技術者(アクアノーツ)の調査を開始する。ボスのナンバー0からは、男しかいない海底基地で、性欲がキーになると助言があった。しかし性欲処理の施設を使用しないアクアノーツも多く、彼らをミレーヌが誘っても、拒否され追い返される。アクアノーツの基地外作業を尾行すると、作業途中で謎のドームに向かっていく。そこはアクアノーツの機密情報を代償に、複数の女性たちが歓待を行う、イーストブロックのスパイ基地だった。ミレーヌはドーム内の人間を全て射殺し、基地を爆破。任務を完了させた。

指令No.27 「目覚め」

イーストブロックとの国境にある町「R」に突如現れた白いカプセル。中からは記憶喪失の男が現れる。ミレーヌへの指令は男の秘密を探りつつ、敵を排除すること。男は徐々に記憶を取り戻すと、やがて一つの機械を作り始める。機械の完成間近で、イーストブロックの襲撃が激しくなるが、男の持つ精神コントロール装置で争いが止まる。男は未来から来たウエストブロック人で、現在では防ぎようがない精神コントロール装置で世界を支配するために送り込まれてきていた。だが、ミレーヌとの交流で、愚かな企みだったと言い、機械を壊して自殺する。

指令No.28 「R&B」

二重スパイの疑いがある同僚・36号に接近したミレーヌ。しかし眠っている間に体内に爆弾を仕込まれてしまう。36号ことサミュエル・ブリットは黒人のバンドマンで、バンド仲間の黒人たち全員が同志だという。イーストブロックとウエストブロック両者に渡って同志がいて、差別のない平和な世界を目指していた。自分の全ての計画をミレーヌに明かした36号は、爆弾を発動させて死亡した。爆弾は自らの体内に仕込んでいたのだ。(冒頭で爆弾を仕込んだという記述が、ミレーヌにではなく36号にであったという、記述トリック)

指令No.29 「昨日の暦」

ミレーヌはマシンで深層意識の検査を受ける。小さい頃の戦争に巻き込まれ、両親が死に姉弟が離ればなれになったことから、訓練を受けてスパイになった経緯。指令No.25の弟との再会と別れ。その他の指令での出会いと別れが次々と浮かび、ミレーヌの悲哀に満ちた告白が続く。この検査の意図は、直前の指令でイーストブロックのスパイ、ゴドノフを見逃したことの理由を探るためだった。調査の結果明らかになったのは、ミレーヌの心が不安定であることだった。それを知ったナンバー0はミレーヌを諦めるしかないかと思ったが、検査を行った研究員たちは再調整で元に戻ると伝え、多少の心の不安定さは活動にプラスになると告げる。

指令No.30 「ポップ」

ミレーヌが人里離れた山小屋に訪れたのは、3年前に失踪した諜報部員Mr.アイアンハートに会うためだった。失踪前にアイアンハートが手に入れていたエクセトラ博士の研究成果が、重要性を増したからだ。イーストブロックもその事に気づき、アイアンハートを狙っているため、ミレーヌは彼に組織に戻るか、この場で命を絶つかの選択を迫る。ミレーヌはサイボーグであるアイアンハートの命を絶つために、「ポップ」という新しい爆弾を持ってきていた。ちょうどその頃、イーストブロックの大群が山小屋に押し寄せてくる。アイアンハートはイーストブロックの連中を道連れにすることに決めた。「ポップ」を手に取り、イーストブロックの大群に突っ込んでいくアイアンハートに、ミレーヌは約束通り起爆スイッチを押す。

指令No.31 「走る五人」

ミレーヌの元に集められたのは、特殊技能を持った4人の民間人。それぞれ変装の名人・ショーン・イミティ、男色家・ヒップ・マン、軽業師モンキー・パンチ、機械の専門家・リック・エレクト。チームへの指令は、イーストブロックに潜入し、亡命を望むゾンド・ソユーズ博士を救出すること。イーストブロクに無事潜入した5人は、ショーンの能力で美少年宿を乗っ取り、男色趣味がある情報局長のウラル・ツンドラーへヒップ・マンを送り込む。ヒップ・マンはゾンド博士が収容されている研究所の場所を聞き出す。研究所にもショーンの能力で入り込むと、入り込むのに使ったトラックでヒップ・マンが陽動を行い死亡する。その後モンキーがリックの作った爆弾を仕掛ける間に、ショーン、リック、ミレーヌでゾンド博士の元へたどり着く。ショーンは変装でゾンド博士と入れ替わる。陽動作戦で暴れていたモンキーは、やってきた情報局次長のイワン・ゴドノフにヘリから射殺される。イワンの追撃をかわすためにミレーヌ、ゾンド、リックの3人はゾンド博士が脱出のために用意していたロケットへ向かう。ミレーヌとゾンドがロケットに乗り込むと、間一髪発射ボタンを押したリックがイワンに殺される。結局イーストブロックを脱出したのは、ミレーヌとソユーズ博士の2人だけだった。

指令No.32 「HARD BOILED」

「エッグ」と呼ばれる一匹狼の殺し屋が、ミレーヌの組織のスパイたちを次々と狙撃していた。5人目の標的となったのはミレーヌだった。エッグはライフル一発で対象を仕留める古いタイプの殺し屋で、ミレーヌにも同じスタイルの仕事を仕掛けた。しかしサイボーグのミレーヌは、弾が当たる寸前にかわしてみせた。プライドを傷つけられたエッグは、わざわざ山中で罠にかけてミレーヌを捕まえる。銃弾をかわす装置がイヤリングだとミレーヌから聞きだして取りあげると、拘束から解放して決闘をうながす。だが決闘に勝ったのはミレーヌだった。イヤリングはただの通信装置で、銃弾をかわす装置は体内にあるのだとネタバラシをしたミレーヌは、エッグにトドメを刺して立ち去った。

指令No.33 「地平線の家」

一週間前にイーストブロックのスパイが逃げ込んだ、地平線に立つ謎の家。その後を追いかけたウエストブロックのスパイと、連絡を受けていた2人の仲間がその家に入り、全員が行方不明となっていた。5人目としてミレーヌがその家に入ったが、誰もいない。夜、寝室らしきところで休息していると、女性の悲鳴が聞こえた。音を頼りに部屋を探すと、昼間は部屋があった扉が外へ通じていた。海辺の崖の上に家があり、その中には行方不明となっていた4人の死体と、それを囲む妖怪たちがいた。全てが妖怪たちの罠だと確信したミレーヌは、海辺の家から逃げだし、地平線の家からも脱出する。しばらく走って後ろを振り返ると、地平線の家はなくなっていた。

指令No.34 「聖夜」

クリスマスイブの夜にミレーヌが受けた指令は、No.109を殺した子どもを”狩人”部隊が始末するところを見届けるものだった。部隊は一軒家に乗り込み、両親を殺害するが、肝心の子どもが見当たらない。ミレーヌが発見した地下道を使って逃げだしていた。部隊は地下道を進んで出口を抜けて、森で標的の捜索を開始する。しかし子どもの発見前に子どもの超能力が部隊を襲う。子どもの超能力とは、自分に敵意のある相手の攻撃を、相手自身に向けるというもの。部隊全員が自らの銃口を自分に向けて発射して、あっという間に全滅してしまう。子どもの超能力が敵意を持った相手だけに発動すると気づいて、ミレーヌは武器を捨てる。丸腰になったミレーヌの前に超能力者の子どもは姿を現したが、会話もなく泣いて走り去る。ミレーヌは子どもを見送ることしかできなかった。

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