仮面ライダーW FOREVER AtoZ／運命のガイアメモリ（映画）のネタバレ解説・考察まとめ

『仮面ライダーW FOREVER AtoZ／運命のガイアメモリ』の概要

『仮面ライダーW FOREVER AtoZ／運命のガイアメモリ』とは、毎年夏に公開される仮面ライダーシリーズの1つであり、平成版仮面ライダー10年目の映画にあたる。劇場版「W・ゴセイジャー7」製作委員会が製作し、東映株式会社から『天装戦隊ゴセイジャー』の映画も同時に上映されている。
物語は、世界各国で破壊活動を行ってきた凶悪な傭兵集団「NEVER」が風都にやってくるところから始まる。彼らのの目的は、仮面ライダーWの舞台である風都を占領、支配することである。そのためにT2ガイアメモリを輸送中だったヘリコプターを襲った。AからZの26個のメモリのうちEのメモリを隊長の大道克己（だいどうかつみ）が奪い、残りの25個は風都の街にばらまかれた。仮面ライダーWである左翔太郎（ひだりしょうたろう）とフィリップと仲間たちはT2メモリの行方を探し始めるが、大道がEのメモリで変身した仮面ライダーエターナルにより、自分たちのメモリの力を失ってしまう。しかし、風都を救うためにWともう1人の仮面ライダーアクセルも再び戦いを挑み、風都の市民を守りきる。
2人で1人の仮面ライダーWなのだが、今回は翔太郎よりは親を思うフィリップの気持ちにフォーカスを当てた作品になっている。さらに悪役側も子を思う親の気持ちがNEVERを産んでしまったという事実があり、親子の絆について考えさせられる展開になっている。
主なキャストは2人の仮面ライダーWに菅田将暉、桐山漣、ゲスト出演に松岡充、杉本彩がいる。

『仮面ライダーW FOREVER AtoZ／運命のガイアメモリ』のあらすじ・ストーリー

仮面ライダーWと風都

仮面ライダーWこと左翔太郎（ひだりしょうたろう）とフィリップは2人で1人の仮面ライダーに変身し、彼らが住む街の風都（ふうと）をドーパントという怪物から守ってきた。仲間には翔太郎の探偵事務所の先代である、鳴海荘吉（なるみそうきち）の娘亜樹子（あきこ）や、仮面ライダーアクセルに変身できる警視の照井竜（てるいりゅう）がいる。照井はドーパントに家族を殺された過去を持っており、復讐のために仮面ライダーアクセルに変身できるガイアメモリを手に入れたのだが、現在は復讐も終わり翔太郎たちの良き助っ人である。
一方、風都を裏で操っている組織が「ミュージアム」であり、園崎琉兵衛（そのざきりゅうべえ）がその長を務めている。「ミュージアム」はガイアメモリを風都の人々に売りさばいていた。ガイアメモリとスロットを使用することにより、人はドーパントに変身することができるのだ。自分の願いをかなえるために、ガイアメモリを購入し怪物に変身する市民がたびたび事件を起こしていた。
NEVERは大道を隊長とする不死身のテロリスト集団である。かつて、莫大な資金を持つ謎の闇組織財団Xの投資対象の座を琉兵衛と争っていたが、結果的に財団Xは琉兵衛を対象に選んだ。財団Xから資金を得た琉兵衛たちはガイアメモリを開発し、新しいT2ガイアメモリも生み出した。T2ガイアメモリは直接人体に入り、倒してもブレイクできないという高性能メモリである。しかし、財団Xのヘリコプターの輸送中にNRVERに襲われ、T2メモリは風都の街中にばらまかれてしまうのだった。

NEVERの狙い

NEVERの狙いは風都の占領と支配であった。ガイアメモリを風都タワーに集め、特殊光線装置エクスビッカーを作動させることにより、風都市民を強制的にNEVERのメンバーのような不老不死の怪物にさせようとしていたのだ。傭兵部隊NEVERのメンバーは驚異的な身体能力、戦闘能力を持ち、風都を守ろうという人たちを追い詰めていく。NEVERの隊長で死者蘇生技術により不死身の仲間を連れている大道克己（だいどうかつみ）は財団XからT2メモリ「エターナル」を強奪し、その力で仮面ライダーエターナルに変身すると、ドーパント軍団を率いて風都へ侵攻する。それはかつて財団Xとの資金争いに敗れてから激しい憎悪を抱いている、ガイアメモリとミュージアムへの復讐のためだった。

助っ人のマリアの登場

事態の収拾に動こうとするWとアクセルは、国際特務調査機関から訪れたというマリア・S・クランベリーからNEVERの情報を聞く。フィリップには、かつて園咲家にいて、今は所在不明の実の母であるシュラウドがいる。シュラウドのような髪型や、同じようなしぐさをするマリアが気になって仕方がない。やがてフィリップは彼女こそシュラウド本人ではないかと疑い、やがて自分の母親だと思い込んでいくのだった。
その一方で、NEVERは風都タワーを襲い占拠する。マリアから回収したT2メモリをチェックしたいと連絡をうけたフィリップは、翔太郎たちと指定された場所へむかう。しかし、マリアの隣に現れたのは大道だった。実はマリアはNEVER側の人間だったのだ。襲ってくるエターナルたちと戦うWとアクセルだったが、エターナルの攻撃にメモリを無力化されてしまう。回収したメモリを持っている亜樹子を、NEVERたちが攻撃して奪おうと攻撃した瞬間、マリアがサイクロン・ドーパントに変身して亜樹子をかばった。味方として現れたのに裏切ったことへの後ろめたさからか、亜樹子を他のNEVERからは守ったのだ。マリアは亜樹子が持っているメモリを預かり、コンプリートを目指すNEVERたちに渡すために去っていった。マリアもドーパントの一員であることに、さらに衝撃を受ける翔太郎たちであった。

それぞれの思い

T2メモリを手中に収めた大道は、残りのT2メモリを風都市民に褒美を用意し回収するよう、電波を通じて指示をする。
マリアが去った後もフィリップは、親の存在が感じられるマリアを信じ、「悪い人だとは思えない」と発言した。いつもは自分が他人に甘いことを自覚する翔太郎が、普段冷静なフィリップに対して「らしくない」と言ってしまう。感情的になったフィリップは翔太郎を殴ってその場を去り、マリアに会いに行ってしまった。そこでマリアが化学薬品とクローニングによって死者蘇生技術を開発し、交通事故で死んだ息子の大道を蘇らせた張本人だったこと、フィリップを最初からだますつもりだったことを知る。ショックを受けるフィリップは捕まり、26個のT2メモリをコンプリートすることにより、不老不死の怪物へと変えるビームを発するエクスビッカーに固定されてしまう。フィリップの特殊能力がエクスビッガーの1つとしてプログラムに組み込まれていたのだ。
一方、翔太郎は事務所で亜樹子の親であり、先代事務所長ことスカルの幻影を見る。そして家族との過去の記憶がないフィリップが、マリアに家族の影を見た思いに気づく。そこに突如、NEVERの一員羽原レイカ（はねばられいか）が現れて翔太郎を襲い、ヒートドーパントに変身する。翔太郎は偶然にも落ちていた最後のT2メモリ「ジョーカー」を見つけたため、変身することができた。ヒートドーパントを倒した翔太郎はアクセルと共にNEVERと戦い、フィリップの救出に向かう。

最後の戦い

風都タワーに向かった照井と翔太郎だったが、多数の敵であるショッカーに襲われる。照井がNEVERの芦原賢（あしわらけん）に捕まるが、「気にせず行け」と言う照井の後押しを受け、タワーの上に向かう翔太郎だった。そこにメタル・ドーパントが襲い掛かるが渾身の戦いの末に倒し、フィリップのもとに駆けつける。だが、エターナルに変身した大道によって倒された翔太郎が。ジョーカーのメモリを奪われたため、エクスビッカーに26個のコンプリートが完了する。さらに大道はエクスビッカーを起動させ、風都の住民を怪物に変えるするビームを発射しようとする。しかし装置につながれたままのフィリップが、発射プログラムを脳内のパワーで書き換えてそれを阻止した。そんな中、NEVERの仲間のレイカ達が不死の効力が切れたことが明らかになり、大道が最後の一撃を加えると消滅していく。克己は「いくらNEVERでも大きなダメージがあれば死ぬ」とにべもない。克己がこれまで共に戦ってきた仲間を平然と消す行為に、翔太郎は怒りを覚えた。
さらに再度エクスビッカーを作動させようとする大道に、マリアが細胞分解酵素の注射をする。苦しむフィリップの姿に耐えられず、息子の暴走を止めようとしたのだ。大道は激高し、実の母のマリアを何発も撃つ。倒れたマリアを見たフィリップがエクスビッガーを止め、力を振り絞り抜け出し、彼女のそばへ駆け寄った。マリアはフィリップの腕の中で、わが子と重ねた思いを彼に伝え、息を引き取る。一方大道は、エターナルとなって再度エクスビッカー発射を試みるが、復活したメモリでフィリップと翔太郎が仮面ライダーWに変身する。定職も定住もしない放浪青年の火野映司（ひのえいじ）が変身した仮面ライダーオーズと、アクセルも助っ人で現れ、残りのNEVERを倒す。今まで仮面ライダーWやアクセルが救った風都の人々が風都タワーの下でWを応援し、見守る。人々の協力で大道との戦いに集中できた仮面ライダーWは大道を倒し、風都は救われたのであった。

『仮面ライダーW FOREVER AtoZ／運命のガイアメモリ』の登場人物・キャラクター

鳴海探偵事務所

左翔太郎（ひだりしょうたろう）／仮面ライダーW（演：桐山漣）

「おやっさん」こと今は亡き鳴海庄吉を尊敬し、鳴海探偵事務所を引き継いでいる。ハードボイルドに憧れるが、心優しくて「ハーフボイルド」になってしまっている探偵。フィリップと共にガイアメモリを使って変身する2人で1人の仮面ライダーWの1人。持っているメモリの種類はジョーカー、メタル、トリガーが基本である。今回の話の中では、母を思うフィリップの気持ちがわからず「おまえらしくないぜ」と言ったことでフィリップが単独行動をしたため、T2ジョーカーメモリで1人で変身することになる。

フィリップ／仮面ライダーW（演：菅田将暉）

鳴海庄吉によって研究所から連れ出されている謎の少年。脳内に「星の本棚」という膨大な知識を持ち、世の中のことを探偵事務所の中から見つめている。その正体は園崎琉兵衛の実の息子である来人（らいと）なのだが、過去のすべての記憶を失っている。
翔太郎とはガイアメモリを使って2人で1人の仮面ライダーに変身する。持っているメモリは、サイクロン、ヒート、ルナにファングが加わっている。変身している間は肉体の方は倒れて眠っている。『仮面ライダーW』のテレビ放送の中で、シュラウドが母であることがわかっている。そのためシュラウドの背格好そっくりな姿で、決めポーズまで同じマリアに母の影を感じ近づいていく。

鳴海亜樹子（なるみあきこ／演：山本ひかる）