仮面ライダーリバイス（Revice）のネタバレ解説・考察まとめ

『仮面ライダーリバイス』の概要

『仮面ライダーリバイス』とは、東映制作の特撮テレビドラマ、および作中に登場するヒーローの名称である。巨大な悪魔ギフと、ギフを崇拝する悪魔崇拝組織デッドマンズの侵略から人々を守るために戦う、仮面ライダーリバイとバイスのコンビの戦いを描いている。2021年9月5日から2022年8月28日まで、テレビ朝日系列で毎週日曜9:00から放映されていた。
主人公で仮面ライダーリバイに変身する五十嵐一輝（いがらしいっき）は、幼い頃にベイルという悪魔に襲われた時に、自ら生み出した悪魔のバイスに助けてもらったことがある。それ以来ずっとバイスが体内にいる状態で過ごしていた。この物語が始まる頃にはバイスは具現化されて一輝の外にでてくるようになっていたのだが、成り行き上一輝、すなわちリバイと共闘することになる。リバイとバイスのコンビで戦うため、人は二人合わせてリバイスと呼ぶ。
過去のシリーズでは『仮面ライダーW』や『仮面ライダーオーズ／000』などのように主人公が人外のパートナーと共に戦うという設定はあるものの、戦うときは基本一人であった。
それに対して本作は基本的にコンビで戦うことが多く、シリーズの中でもユニークな特徴を持っている。
また一輝には五十嵐大二（いがらしだいじ）という弟と、五十嵐さくら（いがらしさくら）という妹がいるが、彼らもそれぞれ、仮面ライダーライブと仮面ライダージャンヌに変身する。仮面ライダー兄弟という設定は『仮面ライダーセイバー』などでもおなじみであるが、3人兄弟が仮面ライダーに変身する設定は珍しいものであり、そういったところも本作のユニークな特徴である。

ところで本作のテーマに関しては、主に2つのことが挙げられる。ひとつは人間の中に潜んでいる悪魔という存在である。
現実世界でもあり得ることだが、一見おとなしく善良そうに見える人が、バイスタンプを使用すると、内に潜む悪魔の力が暴走し、大暴れする。
五十嵐一輝も最初の頃はバイスのコントロールに苦戦していたが、本格的な契約を結んだことによって力をコントロールすることが可能となり、仮面ライダーとして、戦いに身を投じることになっていく。
内なる悪魔とどのように向き合うかは、架空の物語とはいえ、考えさせられるテーマである。

作品のもう一つのテーマは、家族である。本編ではしばしば家庭での食事シーンが描かれており、加えて五十嵐家が風呂屋を営んでいる設定上、湯船の中で語らうシーンも時々ある。
他にも様々な家族風景を描きながら、家族というものを全面的にアピールしていた。
一見平和そうな家族関係だが、意外な家族の秘密も隠されていた。五十嵐一輝の父親である五十嵐元太（いがらしげんた）には壮絶な過去があり、そのことが現代での出来事に大きくつながってくるのである。
『仮面ライダーキバ』などでも用いられたが、本作は過去の因縁が現代の話に大きく関わっているのも特徴である。
これらの要素が絡み合っていて最後まで見続けないと話しが分からなくなる事もあるが、全編通して鑑賞すると作品の魅力がより深く味わえる。

『仮面ライダーリバイス』のあらすじ・ストーリー

プロローグ 戦いの始まり

始まりは50年前にさかのぼり、中南米にてとあるものが発見されたところから物語はスタートする。そこには謎のスタンプと、ギフと呼ばれる悪魔がミイラの姿で眠りについていた。

やがて時は流れ、デッドマンズと名乗る組織が、崇拝対象のギフを復活させようと暗躍していた。彼らは人間の弱みに付け込み、人々を怪人にかえてギフの復活のための生贄にしようとしていたのである。
政府は治安を守るために、デッドマンズに対抗するための組織フェニックスを結成していた。フェニックスとデッドマンズの抗争が続く中、ひとつの転換期が訪れていた。
フェニックスの科学者ジョージ狩崎（かりさき）は50年前に発見されたスタンプの有効利用化に成功して、己の中の悪魔をコントロールして力に変えるためのシステムを発明していた。
バイスタンプの登場である。
そのシステムを使えば新たな仮面ライダーが誕生し、フェニックスの大きな力となることが期待されていた。
やがて適合者も選ばれて、フェニックスは大々的に式典を催し、世の中にアピールしようとしたのである。しかし、その式典はデッドマンズにとっても襲撃を試みるための機会でもあった。

主人公、五十嵐一輝（いがらしいっき）は、適合者に選ばれた弟の五十嵐一輝大二（いがらしだいじ）を祝福するために式典に出席していたのだが、その式典を襲撃してきたデッドマンズと鉢合わせすることになった。
混乱する式典会場の中で奮闘する一輝であったが、力及ばず行き詰っていた。その時、一輝は自分の中から「外に出してくれれば一緒に戦う」というバイスの声を聞いた。その言葉を信じ対外へ具現化させてみたものの、一輝の言葉に耳をかさず、自由に暴れるバイス。そんなバイスをコントロールするため、大二が使用するはずであったバイスタンプを使用し、一輝は変身してしまう。一輝とバイスの二人はデッドマンズの怪人を蹴散らした後、フェニックスと正式に契約をかわし、ここに新たな仮面ライダーが誕生した。それを見つめる弟の大二。彼には兄の姿は誇らしいのだが、同時に妬ましいものでもあった。その思いは大二の中の悪魔カゲロウを生み出すこととなってしまう。カゲロウは大二の意識を乗っ取り、一輝を亡き者にしようと戦いを挑んできた。デッドマンズの怪人と戦いながら、意識を乗っ取られた弟と戦うことは一輝にも辛いことであったが、何度目かの戦いの後、やがて大二は意識を取り戻していく。そしてカゲロウを抑え込み、ひと回り精神的につよくなったことで、大二もまた仮面ライダーに変身する能力を得たのであった。
それでも兄弟の試練は完了とはならず、今度は末の妹であるさくらに試練の時が訪れていた。日頃から兄たちと共に戦うことを望むさくらだが、バイスタンプを持たない彼女にとってそれは叶わぬ夢であった。そんな折、ある日彼女のもとに変身するためのバイスタンプが送られてきたのだが、それを使用しても何故か変身できず、さくらは焦ってしまう。それは心の弱さが原因と指摘されても受け入れられず苦悩は深まるばかりであったが、彼女の中の悪魔ラブコフの励ましも相まって、ついに変身に成功する。高い戦闘力を見せた彼女は兄たちにとっても大きな助けとなり、ここに3人兄弟の仮面ライダーが勢揃いした。五十嵐3兄弟とデッドマンズの戦いは激しさを増していくのであった。

デッドマンズの崩壊と新たなる敵の出現

五十嵐3兄弟を迎え入れたフェニックスと、デッドマンズとの戦いは続いていたが、戦況はデッドマンズにとって有利となり、生贄集めが進んでいることもあって、ギフ復活は目前に迫っていた。
しかしデッドマンズも一枚岩でないことが発覚して、事態は意外な方向に流れていた。デッドマンズはリーダーのアギレラを筆頭に幹部のオルテカとフリオの3人が中心となっている組織であったが、実は3人の願いは全く異なっていた。アギレラはギフの花嫁になることを望んでいたが、それはギフと一体化することを意味していた。彼女のボディガードであるフリオは、内心では彼女が花嫁とならず無事なままであることを願っていた。
そしてオルテカは、二人とは違い、ギフを復活させた後、自分自身が征服者として世界に君臨することを目論んでいたのである。

実はオルテカはある事実を隠していた。ギフが復活するためには怪人たち数体の生贄が必要なのだが、それだけでは不十分であり、追加条件としてアギレラが生贄になることが必要だったのである。
花嫁ではなく、単なる食料になることにショックを受けるアギレラ。そしてそんなアギレラを助けようとするフリオ。組織としてのまとまりに欠けて内紛が発生したデッドマンズは、一輝たちに攻め込む隙を与えてしまい敗北してしまう。
ギフ復活は目前まで迫っていたのだが、辛くも防がれたのである。

しかし戦いは終わらない。ギフの身体は目覚めることなくフェニックスに回収されていたのだが、そんなギフの復活を密かに手助けしている者がいた。
それは誰あろう、フェニックスの長官である赤石英雄（あかいしひでお）であった。彼こそは数千年もの間ギフに仕えていた眷属であり、人類はギフに隷属すべきという危険な思想の持ち主だったのである。
彼が本性を現したことで、フェニックスは内側からどんどん崩壊を始めていくのである。
そんな中、五十嵐さくらにバイスタンプを送った者たちの素性が明るみとなった。
彼らは、ジョージ狩崎（かりさき）の父親である狩崎真澄（かりさきますみ）をリーダーとするウィークエンドという組織であった。。
ウィークエンドは長年の間、ギフの危険性に気づいていながら本格的にギフを封印してこようとしなかったフェニックスの活動に疑問を感じており、独自にギフ復活を阻止しようとしているのであった。
ウィークエンドと狩崎真澄の登場により、物語は大きく転換していくことになる。

明かされた宿命

仮面ライダーとして戦う五十嵐3兄弟。ひとつの家族に、悪魔を具現化して変身することができる者たちが揃っていたわけだが、それには理由があった。
彼らの父親、五十嵐元太（いがらしげんた）は若い頃に大怪我をおい、命の危機に瀕していた。
彼を助けたのが、誰あろうウイークエンドのリーダーである狩崎真澄（かりさきますみ）であった。
普通の方法では助けることが出来なかったため、狩崎真澄は、恐るべき手段を選択した。
心臓にギフの細胞を移植したのである。命を長らえた五十嵐元太の子供たちである五十嵐3兄弟は、いわばギフの血族と言えるのだ。
彼らの中で、今後の戦いを続けていく資格があるのか否か、大きな迷いが生じ始める。

まるで兄弟たちの迷いに付け込むかのように、大胆に活動する赤石長官。怪しさにいち早く気づき、赤石長官と対峙する大二であったが、一敗地に塗れてしまう。
しかも敗れたうえに、仲間になれと勧誘を受けてしまう。仮面ライダーの力では、ギフにかなわない。いたずらに犠牲を増やすよりは、ギフの言う事に従い、人類の隷属を進めていくのだ。
そうすれば、人類の被害は最小限に抑えられるので、それしか道はないのだと諭されてしまう始末であった。文字通り、悪魔の囁きに心乱れる大二は、結局赤石長官の誘いに応じるのであった。
運命に翻弄されるのは、さくらとて同様であった。ウィークエンドの接触をうけ、入団を勧められていく中で、やがて彼女も兄たちとは異なる独自の道を歩み始めていく。
一輝は、弟や妹とは袂を分かつことになったが、それでもなお愚直なまでに、人々を守る戦いに身を投じていくのであった。

破滅の予感に立ち向かう仮面ライダー達

やがて社会に激震が走る。一般の人々に向けて人類はギフに従うべきと公言した赤石長官の発言は社会を不安と混乱に陥れた。
当然人々はそのような発言を受け入れらないのだが、恫喝のために多数の怪人が送り出されてしまい、街は大混乱となった。
人々を守るためウィークエンドは表立って戦いを始めた。一輝も共に戦うことを選び、再びさくらとの共闘が始まった。
それは赤石長官に従う大二との激突にもつながり、分断された兄弟の激突は何度も続いていた。
終着点が見えない争いであったが、転機は不意に訪れた。ギフは人類を見限ってしまったのである。血族である五十嵐3兄弟を残し後の人類を滅ぼそうとし始める。
人類滅亡の危機に面して、何のために戦うのかわからなくなった大二であるが、内側からカゲロウの声が語りかけてくれて心のバランスを取り戻し、原点に戻ってギフと戦うことを決意するのであった。
そうして、五十嵐3兄弟の絆と力が再びひとつとなり、ついに赤石長官とギフは倒されるのであった。

エピローグ

いつの頃からか変身するたびに、家族の記憶がなくなっていく一輝。
それはバイスと契約して仮面ライダーとしての力を得るための代償でもあった。
一輝はやがて家族全員の記憶を失ってしまい、五十嵐家に居づらくなってしまったため、バイスと二人だけで暮らすために家を飛び出していく。
その時、バイスは気づいてしまった。一輝は自分に対しても家族としての愛情を抱いているため、自分がいなくなれば契約が解除となり、記憶を戻すことができることに。
バイスはあえて一輝と戦う道を選ぶ。決闘の末、消えていくバイス。そして家族の記憶をすべて取り戻す一輝。

全てが終わった後で、兄弟たちはそれぞれの道を歩むことになった。
さくらは、勉強に集中することが出来るようになり、医者になることを宣言した。
大二はフェニックスやウィークエンドの生き残りの人たちと共に新組織ブルーバードを立ち上げ、街の復興作業に尽力していった。
一輝のみいつもと変わらない様子であったが、サッカーに興じているときに、プロサッカー選手の三浦知良（みうらかずよし）から、「夢をおいかけるのに早いも遅いもない」とのアドバイスを受けて、新たなる人生のステージに向かう決意を固めるのであった。

『仮面ライダーリバイス』の登場人物・キャラクター

五十嵐家の人々と味方の悪魔たち

五十嵐一輝（いがらしいっき／演：前田拳太郎）／仮面ライダーリバイ

本編の主人公。
五十嵐一輝は五十嵐家の長男であり、仮面ライダーリバイに変身する。
非常に責任感が強く、またお節介焼きである。そのため、ややうざったいキャラクターとして描かれている。
物語の後半から、変身するたびに家族の記憶が失われていくという事態に見舞われることになるが、それでも戦いをやめない熱血漢である。

バイス（演：木村昴）／仮面ライダーバイス

相棒のバイスは五十嵐一輝の中から具現化した悪魔であり、仮面ライダーバイスに変身する。一輝本人が自覚したのはつい最近のことであるが、実は彼の子供時代に既に具現化しており、その時に一度契約を交わしている。
一輝が物語の終盤で家族の記憶を失っていくのは、その時の契約によるものである。当初こそ悪魔らしく怖い一面も見せていたが、話が進行するにつれ、優しさを垣間見せるようになってきた。

仮面ライダーリバイス（リバイ ＆ バイス）

五十嵐一輝が変身する仮面ライダーリバイと、バイスが変身する仮面ライダーバイスのコンビであり、二人合わせて、リバイスである。
リバイは恐竜がモチーフであること、色がピンクを基調としていること、そして奇怪な牙が描かれていること等、歴代の仮面ライダーに比べると独特のセンスが光る存在である。
バイスは普段実体のない存在であるが、変身すると実体化する。画像は二人の基本形態のものであり、物語の進行につれ、様々な形態に変化していく。