半沢直樹（ドラマ）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『半沢直樹』の概要

『半沢直樹』とは池井戸潤による小説『半沢直樹シリーズ』を原作としたTVドラマ作品。監督は福澤克雄。シーズン1は2013年7月7日から9月22日まで、続くシーズン2は2020年7月19日から9月27日までTBSにて放送された。また、シーズン2に先駆けてスピンオフドラマ『エピソードゼロ〜狙われた半沢直樹のパスワード〜』が2020年1月3日に放送された。視聴者層はビジネスに関心を持ったサラリーマンをはじめ主婦や学生、シニア層まで幅広く取り込み、半沢の決め台詞「やられたらやり返す。倍返しだ！」は2013年の流行語大賞を受賞する程、世間で盛んに多用された。視聴率はシーズン1の最終回で42.2%を記録し、平成の歴代ドラマ第1位となった。続くシーズン2でも毎回高視聴率を記録し続け、世間に絶大な影響力を与えた日曜21時枠のドラマである。シーズン1では『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』、シーズン2では『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』を原作として脚本が制作されているが、一部につきドラマオリジナルの設定がある。

舞台は大手都市銀行の「東京中央銀行」。バブル末期に入行後20年を経て中間管理職という立場にいる銀行員・半沢直樹が、組織内外における人間の醜い手口や不正を真っ向から暴き倒していく姿を一貫して描いている。シーズン1は半沢が大阪西支店の融資課長として「西大阪スチール」への5億円の債権回収、東京本部の営業第2部次長として「伊勢島ホテル」再建を担当するなかでの物語である。シーズン2は半沢が東京セントラル証券の営業企画部長として「電脳雑技集団」による「スパイラル」の買収計画、そして再び営業第2部次長として「帝国航空」再建を担当するなかの物語である。

『半沢直樹』のあらすじ・ストーリー

シーズン1

大阪西支店編

半沢直樹（はんざわなおき）が務めている産業中央銀行は、多額の不良債権を抱えていた。そこで生き残りを懸け、産業中央銀行は東京第一銀行と合併するのであった。その結果、世界3位のメガバンク東京中央銀行が誕生。そして半沢は現在、大阪西支店の融資課長を務めている。

ある日、支店長の浅野匡（あさのただす）から新規融資先の西大阪スチールに対して、5億円の無担保融資をで取り付けるように指示を受ける。
その後西大阪スチールの粉飾決算が発覚し、東京中央銀行が5億円の融資をだまし取られてしまう形になった。

そして西大阪スチールは倒産し、浅野は全責任を半沢に負わせようと画策していた。
さらに、予告もなく国税局査察部の黒崎駿一（くろさきしゅんいち）が銀行に押しかけてきた。そして国税局の調査の対象が、西大阪スチールであることが分かったのである。

その後、西大阪スチールの社長である東田満（ひがしだみつる）が個人で持っていた東京中央銀行の口座から、5000万円の振込を行っていた事をつきとめる。東田は以前に海外のどこかに物件を購入していたのだ。

そしてハワイに東田の別荘があるという情報を手に入れ、現地へと向かうも既に東田には逃げられてしまっていた。
さらに同期の渡真利忍（とまりしのぶ）から半沢に電話が入った。東田が持っているハワイの物件が、国税庁に押さえられてしまったという事実を聞かされる。

ハワイから戻った半沢には裁量臨店という本部審査が待っていた。裁量臨店とは融資判断が正しく行われているかを探る本部審査の事である。
厳しい状況にあった半沢は、人事部次長の小木曽忠生（おぎそただお）の不正を明らかにした事で、無事裁量臨店を乗り切ったのだった。

そしてついに半沢は東田の居場所の情報を手に入れるのであった。
さらに、東田と浅野が裏で繋がっているという事実を知る。

二人は中学時代の同級生であった。半沢は浅野が東田から何らかしらの見返りを受けていないか、証拠を探し始める。
半沢は部下の協力により、東田の愛人である未樹が浅野に5000万を送金した証拠が記載された通帳を見つけ出した。

未樹の協力を得て、半沢はついに東田の隠し口座と浅野が5000万の報酬を受け取っていた証拠を手に入れる。
集めた証拠を元に5億円全額を差し押さえるのであった。

その後半沢は営業第2部へと移動し、浅野は東アジアに出向となった。

伊勢島ホテル再建編

半沢が本部の中枢である営業第2部に栄転してから既に1年が経とうとしていた。

ある日半沢は、部長の内藤寛（ないとうひろし）から伊勢島ホテルの経営再建をまかされる。くわえて半沢は、金融庁検査の対応も任されたのである。
東京中央銀行は伊勢島ホテルに200億円の融資をしたが、運用失敗により120億円の損失が出ることが明らかになっていた。

金融庁検査で伊勢島ホテルが実質破綻先として分類されれば、金融庁から伊勢島ホテルへ莫大な引当金を積むことを要求されてしまう。
半沢は金融庁検査が行われる前に、伊勢島ホテルの経営再建と損失120億円の補填を課せられたのである。

半沢は伊勢島ホテルの元経理の戸越の元を訪れた。戸越茂則（とごししげのり）は資産運用失敗について東京中央銀行に内部告発していたが、そのことを京橋支店の古里則夫（こざとのりお）がもみ消していた。
半沢は戸越の協力により、京橋支店の金庫から120億円の損失の証拠書類を持ち出すことに成功した。

そして半沢は戸越から歴代の京橋支店長と伊勢島ホテルの関係は黒い闇であり、その中心には大和田暁（おおわだあきら）がいるということを告げられたのである。

その後、金融庁調査を率いる黒崎が現れ、次の聞き取り調査までに損失の確実な補填案が出せなければ多額の引当金を積んでもらうと告げるのであった。
半沢は、伊勢島ホテルの会長が美術品や美術館向け不動産を所有していることを知る。そして社長の湯浅威（ゆあさたけし）の協力で、それらを差し押さえることに成功するのであった。

第2回の金融庁検査のさなか、伊勢島ホテルが再建の為の最新予約システムの開発を任せていたナルセンエンジニアリングが、特許侵害で告訴されたというニュースが入ってきたのである。

半沢が伊勢島ホテルに向かうとそこには大和田の姿があった。そこで大和田は湯浅社長を退任させ、自身が裏でつながっている専務の羽根夏子（はねなつこ）を社長にすることを提案する。そして半沢には担当から外れるように指示するのだった。

一方、タミヤ電機の不正を調べていた半沢の同期の近藤直弼（こんどうのすけ）は、東京中央銀行から借りていた3000万がラフィットという会社に転貸資金として横流しされている事実を突き止める。

半沢の処分をめぐり模擬金融庁検査が始まる。
そして半沢は、担当に相応しいのは我々であると大和田に言い放ち模擬検査を終えるのだった。

そんななかラフィットの社長の棚橋貴子（たなはしたかこ）を追跡していた近藤から半沢へ一本の連絡が入る。棚橋が入った家の表札は、なんと大和田という名前だったのだ。
ラフィットの社長は大和田の妻であった。5年前、京橋支店からタミヤ電機に融資された3000万はラフィットに横流しされていたのだ

大和田を追い込む証拠を突き止める為、半沢は近藤に社長である田宮基紀（たみやもとのり）の証言を取るように依頼するのだった。
半沢は湯浅に対し、アメリカ最大手のホテルチェーンのフォスターの傘下に入るように提案するのであった。すぐには湯浅も結論を出せなかったが、ついには傘下に入る決断をするのであった。

半沢は、大和田による不正についての報告書を頭取の中野渡謙（なかのわたりけん）に提出し、中野渡は3日後に行われる取締役会にて審議することを半沢と約束したのであった。

半沢は、常に大和田の隣にいる岸川慎吾（きしかわしんご）が影で大和田を裏切っていたという事実を知る。
そして半沢の妻から岸川の娘と黒崎が結婚することを聞いたのであった。

取締役会当日、半沢はこれまで大和田が犯した不正を全て述べた。それに対し大和田は当然のように証拠が無いものだとシラを切ったのである。
ラフィットに関する釈明する大和田。しかし半沢はラフィットが赤字経営で、巨額の借金を抱えている証拠をその場で突き付け、大和田を糾弾するのであった。
ついに岸川は半沢の報告書に書かれていることが事実だと認めるのである。

しかし中野渡頭取が大和田に言い渡した処分は、常務から取締役への降格という異例の軽さだった。そして半沢は、東京セントラル証券への出向を言い渡されたのであった。

エピソードゼロ〜狙われた半沢直樹のパスワード〜

半沢出向先である東京セントラル証券では、新しいトレーディングシステムを入れ替えるコンペを行うこととなった。

ある日、突然システムダウンが発生してしまう。そこで専務の加納一成（かのうかずなり）からの指名により、IT企業スパイラルに所属する新人プログラマーの高坂圭（こうさかけい）は凄まじいスピードでシステムを復旧させる。

その後スパイラルは、東京セントラル証券のコンペに応募することを決めるのだった。そして高坂のずば抜けた能力に注目した加納専務は、彼をプロジェクトリーダーに任命したのだった。

コンペ説明会で初めて高坂と新入社員の浜村瞳（はまむらひとみ）は挨拶をかわす。そして高坂達スパイラルのチームが東京セントラル証券に打ち合わせに来た際、何者かによって半沢の社員IDとパスワードを狙う不正アクセスが行われた。

開発段階で新システムにウィルスが仕込まれていたり、システム移行後もハッキングを受け不正に送金される事態に陥ったりとトラブルが生じた。そして高坂は、浜村の上司の城崎勝也（しろさきかつや）がその犯人であると見破ったのだった。

その後城崎は闇サイトで知り合った仲間と詐欺を計画し逮捕された。そして今回の新システムの導入は延期となったのである。

シーズン2

東京セントラル証券編

営業企画部長として働くこととなった半沢のもとに、大型買収案件が舞い込んできた。それは大手IT企業の電脳雑技集団が、急成長を遂げているIT企業のスパイラルを買収したいといというものであった。

一方、大和田の部下である東京中央銀行証券営業部長の伊佐山泰二（いさやまたいじ）は、半沢を潰しにかかる計画を目論んでいた。

ある日、東京セントラル証券は、突然電脳雑技集団にアドバイザー契約をなかったことにしてほしいと断られてしまう。
そして東京セントラルの持つ情報が漏れており、東京中央銀行が契約を横取りした事実を半沢は知ることになる。

その後電脳雑技集団の社長である平山一正（ひらやまかずまさ）は、時間外取引で大量の株式を取得したと発表したのである。

そんな中半沢は、買収に関する情報が漏れていたのは、銀行からの出向者である諸田祥一（もろたしょういち）と三木重行（みきしげゆき）による仕業だという真実を突き止める。彼らは伊佐山と組んでいたのでる。

スパイラルの社長である瀬名洋介（せなようすけ）は、半沢の部下である森山雅弘（もりやままさひろ）に相談を持ちかける。瀬名は大洋証券の広重多加夫（ひろしげたかお）に促され、新株発行の手段を取ろうとしていた。

半沢は正式にスパイラルとアドバイザー契約を結んだ後、フォックスとの逆買収を提案して計画を進め始めた。

半沢は、電脳雑技集団が親会社の銀行ではなく、東京セントラル証券に依頼してきた理由と黒崎の本当の目的は何かを考えていた。そして黒崎がスパイラルではなく、電脳雑技集団について調査を行っていたことが判明したのである。

半沢は諸田に、電脳雑技集団について不審点があることを記したメモを伊佐山に渡すように頼んだ。しかし、伊佐山の動きは変わることなく計画は続行され、違和感を感じる半沢であった。

一方、大和田は自身が帝国航空の再建メンバーに加わっていなかった事で伊佐山の裏切りを知る。そして半沢はそんな大和田に、電脳雑技集団への追加融資を止める為に協力を頼む。

大和田は役員会議で今回の買収案件にはリスクがあるとし、証言者として半沢を会議室に招き入れた。半沢は電脳雑技集団は多額の赤字を抱えており、粉飾の疑いがある旨を話した。

さらにこの会議で、粉飾は副頭取の三笠洋一郎（みかさよういちろう）の指示だったことが発覚する。そして東京セントラル証券に戻った半沢は、自身が東京中央銀行に戻ることになったとを知るのである。

帝国航空再建編

東京中央銀行に復帰した半沢は、中野渡から帝国航空の再建を託された。

新しく国土交通大臣に就任した白井亜希子（しらいあきこ）は、帝国航空再生タスクフォースを立ち上げ一律7割の債権をカットする旨宣言する。それは東京中央銀行がもつ債権500億を手放せという意味を持つのであった。

半沢が作成した帝国航空再建案はマイナス面の身を記載され、帝国航空の社内メールにリークされてしまう。半沢は情報を流した犯人を探る為、瀬名に協力を求めた。そしてこのメールは丸山商工から送られたことを突き止めるのであった。

そして丸山商工の社長である丸岡耕二（まるおかこうじ）が参加していた、進政党のパーティー会場へと向かったのである。そこには東京中央銀行から出向している帝国航空の財務担当である永田宏（ながたひろし）の姿もあった。

半沢は社員たちへ向けて説明会を開き、本来の再生計画を説明したのである。そして、情報を改変しリークした犯人は、永田であると訴えたのだ。

反発する永田であるが、動かぬ証拠を突きつけられた。永田は経費を丸岡と結託して経費を水増しし、そのお金を進政党の兄の政治資金としていたのである。さらに半沢は、丸岡が社内にメールを流したことを白状させたのである。

その後半沢は、タスクフォースのリーダーであり弁護士の乃原正太（のはらしょうた）に呼び出された。乃原は半沢に対し債権放棄を認めるように依頼し、半沢はそれを拒否するのであった。

半沢が作成した帝国航空の再建案は、一部暗礁に乗り上げていた。それは全社員の5分の1の人員の整理であった。そして帝国航空の財務部長である山久登（やまひさのぼる）は社員たちの非難を多く浴びていたのである。

そんな中、白井大臣と乃原が銀行にやってきた。白井は再建放棄を拒否した半沢の態度を批判し、調査によっては業務改善命令をだす可能性があると脅しをかけてきたのである。

半沢は、開発投資銀行の谷川幸代（たにがわさちよ）の元へ行き、帝国航空の残りの約500人の受け入れ先について相談を持ち掛ける。谷川は大型融資を依頼してきたLCC航空・スカイホープの名を挙げた。そしてその融資担当は森山であった。半沢は森山にこの件について協力を依頼した。

そんな中、白井大臣の手によりスカイホープは新規路線の認可を取り下げられ、社員受け入れが不可能となる事態になってしまったのである。そして白井大臣の手は、開発投資銀行にまで及んだ。

役員会議当日、半沢は断固として債権放棄の拒否を主張した。すると半沢の主張に大和田が乗っかり賛同をし、それをきっかけに他の役員たちの賛同も得ることとなった。しかし紀本平八（きもとへいはち）は、債権放棄を他の銀行と同様に受け入れるべきと主張した。最終的に開発投資銀行が債権放棄を拒否した際は当行もそれに準ずるという話でまとまる。

合同報告会当日、半沢は準主力銀行として債権放棄を拒絶することを述べた。そして開発投資銀行もまた、債権放棄を見送ることを告げるのであった。

半沢はタスクフォースが作成した帝国航空再建案は、自身が作成したものの真似だと気付くなか、唯一異なる点をみつけた。それは、赤字で撤退予定としていた羽田の伊勢志摩路線が残されていることだった。伊勢志摩空港は進政党の幹事長である箕部啓治（みのべけいじ）にとっての選挙地盤であった。

半沢は大和田と共に箕部の事を探る。半沢は、東京中央銀行は合併前に箕部に対し20億の無担保融資を行っていたという事実を突き止めた。そして箕部への融資を裏で手をまわしていたのは紀本という事実にたどり着いたのである。

しかし半沢は箕部の圧力に屈してしまい、自宅謹慎となってしまった。ところが半沢は黒崎の指示もあり、自宅謹慎を破り不動産会社の伊勢志摩ステートを調べるのであった。

伊勢志摩ステートで目にしたのは、箕部の秘書をしている笠松茂樹（かさまつしげき）の姿であった。

証拠を探す為奔走する半沢。そして半沢を尾行していた紀本はついに姿を現し、真相を話す。半沢は紀本から不正が記された書類の在処を聞き出しそこへ向かうが、既に大和田が持ち去っており、すでに箕部の手へと渡っていたのだ。さらにその場にいた中野渡から、担当を外れるように言い渡されてしまうのであった。

中野渡に裏切られたショックで以前のような勢いがなくなる半沢であった。しかし瀬名と森山に渇を入れられて、本来の自分を取り戻す。半沢は、紀本のいる場所を突き止め、大和田に奪われた証拠の中身は何かを問い詰める。

やがて100億8000万円という巨額の金が箕部に流れていることが明らかになり、半沢は黒崎に協力を求めに行った。そして中野渡は半沢に対し、あえて大和田を箕部の側につけ隠し口座の在処を探っていたことを明らかにしたのだった。

そして東京中央銀行が債権を放棄する会見を開く。会見当日頭取の代理として半沢は改めて債権の放棄を拒否したのだった。

さらに半沢はその場で箕部の不正融資を公表したのである。動かぬ証拠を出され、箕部は収賄と脱税の容疑で逮捕されたのである。

そして中野渡は辞職し、半沢もまた辞意を示していた。しかし大和田は半沢に銀行を託し、逆に自身が辞職するのであった。

『半沢直樹』の登場人物・キャラクター

主人公

半沢直樹（はんざわ なおき）

演：堺雅人
主人公。慶応義塾大学卒業後、バブル末期に産業中央銀行（現・東京中央銀行）へ入行。石川県金沢市出身。中学生の頃、父親の経営するネジ工場が倒産の危機に瀕したときに当時の融資元・産業中央銀行の担当者が融資を取り上げたことが原因で父親が自殺した。そのことをきっかけにあえて産業中央銀行に強い意志で就職を決めた。大阪西支店の融資課長から営業第2部次長となったが頭取の命令で東京セントラル証券に出向する。やがて買収計画の裏を暴き、東京中央銀行の営業第2部次長へと復帰した。その後、巨大企業である帝国航空再建担当を頭取から命じられる。不正を決して許さず、ありとあらゆる手段を使ってでも真実を暴き、上司に対してもその姿勢を崩さないため反感を買うこともしばしばある。だが部下に対しては常に親身であり、半沢のモットーである「感謝と恩返し」を持ったビジネスマンとしてのあり方は尊敬されている。

半沢直樹の家族