フラジャイル 病理医岸京一郎の所見（漫画・ドラマ）のネタバレ解説・考察まとめ

『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』の概要

『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』とは原作の草水敏と作画の恵三朗によって、2014年より『月刊アフタヌーン』にて連載している、病理医の葛藤とドラマを描いた医療漫画である。作画の恵三朗は、別名義で『月刊ガンガンWING』や『月刊少年シリウス』で作品を発表しているが、同名義での発表は今作が初めて。また「TOKIO」の長瀬智也が主演で、2016年にテレビドラマとして実写化をしており、平均視聴率は約10％と人気を博していた。2018年には第42回講談社漫画賞一般部門を受賞している。同年の受賞の『BEASTARS』はアニメ化や「YOASOBI」のタイアップ曲が有名であり、同受賞である当作品の人気の高さがうかがえる。
物語の舞台は「壮望会第一総合病院」という架空の病院で、「病理科」という自分の患者を持たず、各科からのデータをもとに治療方針を定める医科の人々を描いている。主人公は変人ではあるが腕利きの病理科長「岸京一郎」。人が良い新人の「宮崎智尋」、ぶっきらぼうだが優秀な臨床検査技師「森井久志」の3人を中心に、生命を扱う苦悩や葛藤・信念、そして患者や親類の悲哀をフィクションでありながら鮮やかに表現している。1つ1つのエピソードを通して、「岸京一郎」は過去に救えなかった命を思い出す。「宮崎智尋」は未熟な自分を恥じそれでも信念を曲げず、「森井久志」は過去の後悔と未来へと進む道を考えてゆく。

『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』のあらすじ・ストーリー

宮崎の転属

物語は悩める宮崎の葛藤から始まる。
患者に誠実である彼女は、病院での立場と板挟みになり、そんなおり岸からの助言により自己の信念を貫く。
事件後に岸を尊敬し、病理科への転属を願い出る。

病理科に来た宮崎は診断の難しさに思い悩む。
自信を持てず正直に謝罪した彼女に、上司としての岸のアドバイスとは……

末期癌の患者と知り合ったことにより、自分の過去を振り返る森井。
変に患者に入れ込んでしまう彼の後悔と心境の変化を描く。

宮崎の転属、そして病理の面々を1つ1つの患者とのエピソードと共に描く序章。

製薬会社との関わり

患者とのやり取りを通して、大手製薬会社「アミノ製薬」の火箱と知り合う病理科の面々。

病院の嘘・医者の嘘・患者の嘘・そして自分を騙す嘘。
様々な嘘に彩られた医療現場で、それでも信じるモノとは……

医師のプライドや、患者にとって何が一番大切なのか？
そして確信できる診断とは？

登場人物達の葛藤の裏で、火箱が心の隙間に入り込もうとする前半の転機。

製薬会社への告発

「アミノ製薬」の新薬「JS1」の治験が始まっていく。

自信を持って勧める新薬の副作用に、火箱はやがて懐疑的になっていく。
彼女の過去と「JS1」への妄信。そして製薬会社の隠ぺい。
全てが明らかになった時、彼女は涙する。

徐々に人間味を出していく火箱を中心に、病理の面々を描いていく前半の山場。
はたして岸は製薬会社を裁くことが出来るのか？

『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』の登場人物・キャラクター

主人公

岸 京一郎 （きし けいいちろう／演：長瀬智也）

長身でガラの悪い見た目の男性。壮望会第一総合病院病理科長。
病院内では逆らえる人がいない程有能な病理医である一方、他の医者の無知・無策に対しては辛辣であり、
よく罵倒や批判をまき起こすトラブルメーカーである。
医療に携わるものとして確固たる知識と信念をもっており、衝突した臨床医からは疎まれているが、
一部の優秀な医者達からは一定の信頼も勝ち取っている。

病院関係者

宮崎 智尋（みやざき ちひろ／演： 武井咲）

人が良さそうな見た目の新人女医。
病院の思惑と患者への誠実さにはさまれ葛藤していたが、ある時岸に助言され病理科へと転属した。
自己の経験不足に自信を無くしているが、それでも逃げず前に進もうとする努力家。
なまじ常識がある性格のせいで、変人の多い病理科のオモチャにされることが多い。

森井 久志（もりい ひさし／演：野村周平）

あいそが無い、ぶっきらぼうな性格の臨床検査技師。
人数の少ない病理科を陰から支えている縁の下の力持ちであり、技師としては特に優秀。
医師を目指していた過去があり、たびたび思い出しては後悔している。

細木 まどか（ほそき まどか／演：小雪）

気だるげな印象の外科医。
岸の古くからの知人であり、孤立する岸に対してよくちょっかいをかけている。
岸の診断を信頼しており、手術の途中に相談に来ることもある。