Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-(FGOバビロニア)のネタバレ解説・考察まとめ

『Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-』とは、スマホアプリゲーム『Fate/Grand Order』から派生したアニメ作品である。魔術王ソロモンによって奪われた人間の歴史を取り戻すため、「聖杯」と呼ばれる万能の力を持った杯を探し求めて時代を渡り歩く魔術師の少年・藤丸立香が、紀元前2700年の古代メソポタミアの世界に降り立って、人類の滅亡を目論む「三女神同盟」に立ち向かう姿を描いた物語となっている。

原作『Fate/Grand Order』における2017年の夏イベント「デッドヒート・サマーレース」のラストで登場した牛の神獣・グガランナ。イシュタルはレース大会を進める裏でこのグガランナを復活させようと暗躍していた。

これに屈辱を覚えて腹を立てたイシュタルは、父神であるアヌにギルガメッシュに振られたと泣きつき、さらに巨大な牛の神獣グガランナを召喚してギルガメッシュごとウルクを滅ぼすよう求めた。しかし、アヌもイシュタルの愛人たちの死が彼女の気まぐれさによるものであることを知っており、さらに戦で活躍した馬を鞭打ちにして泥水を飲ませたり、人間を泣かせたり獣に変えたりなどという彼女の悪行の数々にほとほと手を焼かされていた。そのためアヌはグガランナの召喚を拒否し、その上で事を大きくしないようイシュタルを宥めようとした。しかし、可愛さ余って憎さ百倍とばかりにイシュタルのギルガメッシュへの怒りは収まらず、彼女はあろうことか冥界から多数の死者を蘇らせて地上の人間たちを喰わせると父を脅迫し、グガランナを召喚させたのだ。

こうしてグガランナがイシュタルに導かれてウルクに降りると、地面が割れて川の水が干上がり、ウルクを荒らしまわって大勢の民が命を奪われた。この事態にギルガメッシュはエルキドゥと共に立ち上がり、彼と協力して大激闘の末にグガランナを仕留める。イシュタルは振られた上にグガランナまで倒されたことに激怒し、ギルガメッシュに向かって怨嗟を叫ぶが、その厚顔無恥ぶりがエルキドゥの怒りを買うことになる。エルキドゥはグガランナの死骸(腿の一部)をイシュタルに投げつけ、「お前を捕まえさえすれば、あれ(グガランナ)にしたのと同じようにお前もこうしてやりたいところだ」と一喝する。死骸で顔を汚され、さらにエルキドゥのその一喝で面目も潰されたイシュタルは泣きながらウルクを逃げ去っていった。

原作第1部最終章「VII 生命院サブナック」より。表情と物腰こそ穏やかなエルキドゥだが、この言葉からイシュタルに対する憎しみがありありと感じられる。

エルキドゥの皮肉と狙い撃ちに対して笑顔で受け流そうとするイシュタルだが、生前の彼からグガランナの死骸の一部を投げつけられた屈辱は忘れていないらしく、その笑顔は殺意が感じられるものとなっている。

その後ウルクは歓喜し、民たちはギルガメッシュとエルキドゥを英雄として大いに讃えるが、神々はギルガメッシュとエルキドゥのこの活躍を耳にし、ふたりを恐れるようになった。そして、彼らが力を合わせれば自分たちにも届き得るだろうと危惧した神々は、彼らのうちどちらかが死ななければならないと決め、「ギルガメッシュは殺してはならない」とした神罰としてエルキドゥに死の呪いを受ける。その結果、エルキドゥは呪いによる高熱で12日間も苦しんだ挙句に命を落とし、ギルガメッシュは彼の死を酷く嘆き悲しむと共に、死の恐怖のあまりしばらく眠れなくなったという。

こうした一幕から、ギルガメッシュだけでなくエルキドゥも表情にこそ出さないがイシュタルに対して並々ならぬ憎しみを抱くようになる。そこでエルキドゥは、原作の第1部の最終章では魔神柱もろともイシュタルを狙い撃ちにしようとしたり、倒した魔神柱の残骸を髪飾りにしたらどうだと真っ向から挑発をかけたりした。一方でイシュタルも先述の一幕からその因縁を消そうとせず、エルキドゥと顔を合わせただけでいきなり殺し合いに持ち込むレベルの犬猿の仲となっている。そして、カルデアに召喚されてからもイシュタルとエルキドゥの仲は特に変わらず、お互いに丸くなっていない。

弁慶と並んで源義経が誇った豪傑「常陸坊海尊(ひたちぼうかいそん)」

牛若丸こと源義経に仕えていた豪傑・武蔵坊弁慶は、義経と並ぶ日本の伝説として語り継がれているが、本作も含めた『Fate/Grand Order』で登場する彼の本当の名前は「常陸坊海尊(ひたちぼうかいそん)」である。そして、この『Fate/Grand Order』の武蔵坊弁慶は、常陸坊海尊が彼の名前を借りてサーヴァントになったという設定となっている。
常陸坊海尊は、弁慶と同じ僧兵であり彼と並ぶ豪傑として名を馳せ、義経からも頼りにされていたが、義経の最期の戦いである衣川の合戦で怖気付いて逃げ出してしまった。そして結果として義経を死なせてしまったことを海尊は痛いほど恥じており、義経と弁慶の物語の語り手として日本を旅して回るようになった。その後は仙人となり、詳しい生没年は不明だが400年前後は生きてきたという逸話となっている。

ティアマトが生み出した11の魔獣たち

メソポタミア神話の中でティアマトは、神々に戦いを挑む際に新しい子供としてキングゥと共に11の魔獣たちを産み出している。その魔獣たちはティアマトと共に神々を大いに脅かしたが、ティアマトが神々に討たれた際にある者は処刑され、ある者は神々の配下となるか、野へ下りたとされている。ちなみに、11の魔獣たちの概要は以下の通りとなる。

ラフム

海の嵐などを神格化したとされる魔獣で、「凶暴」を意味する名前を持つ。本作及び原作『Fate/Grand Order』では「双貌の獣ラフム」という名前の敵として登場しており、節足動物と人の口を掛け合わせたような生理的嫌悪感を放つ見た目が特徴的。さらに生命体としても非常に強靭で、捕食などの行為をする必要がなく、無性生殖で繁殖できるという厄介極まりない能力を持っている。また、体の一部を翼に変形させて飛行特化形態に変化した「ベル・ラフム」と呼ばれる個体も存在する。キングゥがティアマトから産まれたこの魔獣を「新しい人類」と定義づけている一方、Dr.ロマンは解析の結果この魔獣がエルキドゥの遺伝子や細胞を元に作り出されたことを突き止め、それを踏まえて「エルキドゥの量産型」と呼んでいる。

母であるティアマトの意思に従って自分たちが人類に代わる新たな生命体となるべく、メソポタミアの世界の人類を滅ぼすために行動を開始した。大半がティアマトによって生み出されたが、作中にてウルクを襲ったラフムがウルクの住民たちを捕らえ、住民たちの体を遺伝子と細胞単位で作り替えることで新たに生み出したラフムも存在する。そして、このラフムに作り替えられた人間は元の性格や意識が消滅して考えることもできなくなり、肉体も材料として使われるだけで人間の面影などまるで残らないため、すぐさま他のラフムと同じ魔獣となってひたすらに殺戮や破壊活動を繰り返すようになる。

ギルタブリル

蠍人間の姿をした魔獣で、メソポタミア神話に登場する太陽神シャマシュと深い関係にあるとされている。本作及び原作『Fate/Grand Order』では「知恵者ギルタブリル」と呼ばれる魔獣たちの司令官的存在として登場し、巴御前と相討ちになって死亡している。

バシュム

マムシか角の生えた蛇の姿をした魔獣。本作及び原作『Fate/Grand Order』では「竜獣バシュム」という名前でのみの登場となるが、『Fate/Apocrypha』ではセミラミスによって擬似的に召喚された。

ムシュマッヘ

7つの頭を持つ大蛇、もしくは7匹の大蛇の総称で、ティアマト自身とする説もある。本作及び原作『Fate/Grand Order』では「7つの頭の蛇たちムシュマッヘ」という名前でのみの登場となる。

ウシュムガル

ムシュマッヘと同一視されているが、別存在であると言われている凶暴な竜。本作及び原作『Fate/Grand Order』では「水蛇ウシュムガル」という名前でのみの登場となる。

ムシュフシュ

「バビロンの竜」として名高い神々の聖獣である、蠍の尾を持った竜。伝承ではティアマト討伐後にティアマトを討伐した功労者にしてバビロニアの守護神であるマルドゥークのしもべとなったされている。しかし、原作『Fate/Grand Order』では「バビロンの竜ムシュフシュ」という敵として登場しており、本作でも敵として立香たちの前に立ち塞がった。

ウガルルム

ティアマトの権力と軍勢の強さを示すとされる、巨大な獅子の姿をした怪物。古代メソポタミアにおいて獅子は力と王権を示す動物であったため、ティアマトと、彼女が率いる魔獣たちの強さを象徴する存在であるとされている。本作及び原作『Fate/Grand Order』では「獅子ウガム」という名前でのみの登場となる。

ウリディンム

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