スティール・ボール・ラン(ジョジョ第7部)のネタバレ解説・考察まとめ

『ジョジョの奇妙な冒険 Part7(第7部) スティール・ボール・ラン』は、『ジョジョの奇妙な冒険』の単行本81〜104巻に収録されている漫画、およびそれをもとにしたメディア展開作品である。19世紀末に開催された架空の北アメリカ大陸横断レース「スティール・ボール・ラン」に挑む二人を主軸に、レースの裏に潜む国家の陰謀を描く、ホラー・アドベンチャー。

『ジョジョの奇妙な冒険 Part7(第7部) スティール・ボール・ラン』の概要

『ジョジョの奇妙な冒険 Part7(第7部) スティール・ボール・ラン』とは、荒木飛呂彦による『ジョジョの奇妙な冒険』の単行本81〜104巻に収録されている漫画、およびそれをもとにしたメディア展開作品である。前作までは『週刊少年ジャンプ』に掲載されていたが、本作の途中から月刊雑誌である『ウルトラジャンプ』に移籍している。
また、連載開始時は、『ジョジョの奇妙な冒険』部分がない『スティール・ボール・ラン』のみのタイトルだったが、移籍後に現在の『ジョジョの奇妙な冒険 Part7 スティール・ボール・ラン』というタイトルとなった。

2004年第8号の『週刊少年ジャンプ』巻末にて、「ジョジョの奇妙な冒険はパラレルワールドに突入」という作者コメントが掲載されていた。第6部にて宇宙が一巡したため、本作からはパラレルワールドの世界観となっている。実際に、第7部のキャラクターたちには前作までの血縁などの大きなつながりはない。しかしジョジョシリーズを代表するスタンド能力は依然主軸となっているほか、今まで登場してきたキャラクターと似た名前や設定がなされている。

北アメリカ大陸横断レース「スティール・ボール・ラン」とは

「スティール・ボール・ラン」とは、作中で繰り広げられる大々的なレースである。
1890年9月25日にサンディエゴビーチから始まり、ステージは9つに分かれている。それぞれのステージの最後にあるチェックポイントを通過して、ゴールのニューヨークへ向かう。総距離は約6000キロメートル。
チェックポイントごとの順位と各行為の減点に応じてポイントが入り、スコア合計で1位を決める。

馬を使用する参加者が多いが、自転車や車も使用可能であり、中にはラクダに乗ったり徒歩の参加者も存在している。
また、「犯罪に関わる行為」以外は制限されておらず、武装も許可されるが、自分の身は自分で守る必要がある。

『ジョジョの奇妙な冒険 Part7(第7部) スティール・ボール・ラン』のあらすじ・ストーリー

北アメリカ大陸横断レース

謎の男、ジャイロ・ツェペリ

舞台は西部劇の時代、19世紀末。アメリカでは東部から西部へ開拓し、蒸気機関鉄道が横断した。その逆ルートを、乗馬にて大々的にレースするというのが、スティーブン・スティールが主催する北アメリカ大陸横断レース「スティール・ボール・ラン」である。優勝5000万ドルをかけ、3852名の挑戦者がサンディエゴビーチに集まった。
下半身不随の元ジョッキーの青年、ジョニィ・ジョースターはレースのスタート地点を訪れ、ジャイロ・ツェペリという謎の男に出会う。ジョニィはかつては一流の騎手だったが、それを鼻にかけた高慢な性格が災いし、トラブルを起こして銃撃されてしまった。そのせいで、彼は下半身不随となってしまったのだった。ジョニィがジャイロが持つ鉄球に触ると、ジョニィの足はひとりでに車椅子から立ち上がった。もう一度、自分の足で歩くことができるかもしれない。そう考えたジョニィは、ジャイロを追うようにレースへの参加を決意する。

レースの真の目的

9月25日、ついにレースがスタートする。そこでジャイロは天才騎手、ディエゴ・ブランドーとの接戦になる。ジャイロの愛馬・ヴァルキリーの癖を見抜き、彼を追い抜く加速をするディエゴ。
最初のチェックポイントで1位は無理かと諦めかけるジョニィを差し置き、ジャイロはヴァルキリーの癖を逆に利用、さらに鉄球の「回転」を使用して1位でゴールした。しかし鉄球を他の選手に投げたことが違反行為とみなされ、ジャイロは21位に降格されてしまった。

レースを通してジャイロもジョニィのことを認め、二人は協力関係を築くことになる。しかし、アメリカ合衆国大統領ファニー・ヴァレンタインが、そんなジャイロの活躍に目を留めた。実は彼こそが真の「スティール・ボール・ラン」の主催者だった。
レースを開催した大統領の目的は、北アメリカ大陸に散らばっている「聖人の遺体」を回収すること。聖人の遺体を所有する国には、1000年の繁栄と栄光が約束されるという。ヴァレンタインは9つのパーツに分かれている聖人の遺体を見つけ出し、マンハッタン島に埋葬・保管し、アメリカを「世界の全ての中心」にしようとしていたのだ。
そんなヴァレンタインの思惑など知らないジャイロは、まったく経歴が分からないこと、外国人であることなどから、刺客に命を狙われることになってしまう。

ジャイロの職業は、イタリア半島にあるネアポリス王国の法務官である。ジャイロは伝統ある家系で順風満帆な生活を送っていたが、実は死刑執行人の家系だった。父の後継ぎとして受けた最初の任務で、彼は処刑を渋る。そのとき処刑される予定だったのは、靴磨きの少年・マルコ。彼はたまたま密会の現場に勤めていたというだけの理由で、「国家叛逆罪」とされていたのだった。
父から「感情を捨てろ」と諭されるが納得できずにいたところ、ジャイロは「スティール・ボール・ラン」のことを知る。このレースに勝利することはとてつもなく名誉なことである。そのため、「国王の恩赦」を願って、ジャイロはレースに参加していたのだった。

大統領の刺客との戦い

第2ステージであるアリゾナ砂漠では、ジャイロとジョニィは全員スタンド使いの殺人鬼というブンブーン一家に襲撃された。しかしそこでマウンテン・ティムに助けられ、スタンド能力について知る。さらにジョニィが聖人の遺体の左腕を手に入れたことからスタンド能力に目覚め、のちに自らが「タスク(牙)」と名付ける能力でジョニィは一家を撃破することに成功する。そして二人は、このレースの真の目的が聖人の遺体の収集であることを知ったのだった。ヴァレンタイン大統領は、既に遺体の心臓を所有していた。

ジャイロとジョニィは、レースで上位を目指しながら次々にさし受けられる刺客と戦うことになる。第3ステージでは再びディエゴの襲撃を受けるが、これを撃退した。ジャイロが遺体の右眼を、ディエゴが左眼を獲得する。次の第4ステージでは、独自に遺体を追っていたホット・パンツが二人に接触してくる。
一方、レースの表向きの主催者であるスティーブン・スティールの妻、ルーシー・スティールは、レースの真の目的を知ってしまう。ルーシーは聖なる遺体の脊椎を入手するものの、大統領配下の追跡を受けることになり、ルーシーを庇ったマウンテン・ティムは死亡した。

第5ステージでは、ディエゴと大統領が接触することになる。そしてジャイロとジョニィは、ディエゴと手を組んだインディアンのサンドマンから襲撃を受ける。サンドマンは白人移住者に奪われた土地を買い戻すためにレースに参加していたが、優勝するよりも大統領と取引をしたほうが現実的だと判断した。しかしジョニィはサンドマンとの戦闘中にスタンド能力を進化させ、「黄金の回転」Act2によってサンドマンを撃退することに成功したのだった。

いともたやすく行われるえげつない行為

第6ステージにおいて、ジャイロとジョニィは雪山で遺体の両耳と右腕を手に入れるが、やむを得ず手放す。一方、ルーシーは大統領から遺体を奪うことに失敗し、大統領夫人に成り代わって潜伏していた。
ジャイロには次なる刺客としてウェカピポが送り込まれたが、勝利したジャイロが1位でゴールした。第7ステージでは、ジャイロとジョニィ、ホット・パンツが聖人の遺体の胴体を発見する。ジョニィは「無限の回転」Act3を獲得し、襲ってきた敵を撃退するものの、それまで静観していた大統領が二人の前に姿を現し、遺体を奪ってしまった。

大統領のスタンドは、「Dirty Deeds Done Dirt Cheap(いともたやすく行われるえげつない行為)/D4C」という人型のスタンドだった。「D4C」はパラレルワールド間を自在に行き来することができ、他者を並行世界へ引きずり込む、または送り出すことができる。そのため、たとえこの世界で致命傷を負ったとしても、即死さえ回避することができれば並行世界へ逃げ、その世界の大統領とD4Cに記憶を引き継がせて作戦を続行することができるのだった。

第8ステージでは大統領が遺体の正当な所有者となったため、ジョニィとジャイロは「聖なる遺体を冒そうとする邪悪」と認定される。先に死亡していたディエゴの遺体は大統領に奪された。ルーシーは最後の遺体である頭部を懐胎し、全身が遺体に変質してしまった。ホット・パンツも大統領の前に敗れ、ジャイロも「黄金の回転」で挑むが、僅差で敗北するのだった。

相棒との死別とレースの終わり

ジャイロの遺志を継ぎ、ジョニィはスタンド能力を進化させた。なすすべがなくなった大統領は攻撃をやめるようにジョニィに取引を持ち掛けたが、隠し持っていた銃でジョニィを撃とうとする。しかしそのことを察知していたジョニィに「黄金の回転」Act4を叩き込まれ、大統領は敗北するのだった。
その時には、ジョニィは自分の足で立って歩けるようになっていた。そしてすべてを見届けたジャイロの魂はジョニィに別れを告げ、天へと昇って行った。

しかし大統領は、ジョニィに敗亡する直前に「THE WORLDを発現させた平行世界のディエゴ(ディオ)」と接触していた。大統領のスタンドによって平行世界から連れてこられたディオは遺体を盗み、再びレースは続行する。大統領から情報を得ていたディオは、片脚を犠牲にする形でジョニィに勝利。レースの最終ステージ1位と総合優勝を果たす。
優勝後、ディオは大統領を信じて「聖人の遺体」をシェルターに納めようとする。しかしルーシーが持ってきた「基本世界のディエゴの生首」により、異なる2つの世界の頭部が接触。頭部が崩壊し、首なし死体となってしまった。ディオはその後、レースのルールを破ったと判断されたため、本人不在のまま優勝を取り消された。

ディオに敗北したジョニィは落馬し、命の危機にあったが、スティールに助けられる。そしてレースはリタイヤとなったが、生還した。
その後、ジョニィはジャイロの遺体を収めた棺を背負い、ジャイロの愛馬であるヴァルキリーを連れ、ヨーロッパ行きの船に乗船するのだった。

『ジョジョの奇妙な冒険 Part7(第7部) スティール・ボール・ラン』の登場人物・キャラクター

ジョニィ・ジョースター

第7部の主人公。愛馬はスローダンサー。
下半身不随だったが、ジャイロの「鉄球の回転」により一瞬脚が動いたことから、再び希望を見出し、ジャイロに同行することになる。レース中にスタンド能力を発現。
ジョースター姓ではあるものの、前作までのジョースター家とつながりはない。前作とは違うパラレルワールドにて、ジョージ・ジョースターとアンという女性の息子として生まれている。

ジョニィのスタンド「タスク(牙)」は、自分の爪を高速回転させるスタンド。弾丸のように発射したり、物体を切り裂くことができる。
また、物語が進むにつれ成長していくスタンドとなっており、赤子のような姿からたくましい人型へ姿が変わるのも特徴である。

ジャイロ・ツェペリ

第7部のもう一人の主人公。金歯を差し、「鉄球」を持ち歩いている謎の男。愛馬はヴァルキリー。
本名は「ユリウス・カエサル・ツェペリ」。英語読みすると、「ジュリアス・シーザー・ツェペリ」になる。第1、2部にも同じ姓のキャラクターが登場する、パラレルワールドであるためつながりはない。

ジャイロは鉄球を回転させる特殊技術を使用し、振動が生み出す「波紋」を駆使して戦う。また、「遺体」を入手したことで鉄球に右目がつき、「スキャン」というスタンドも発現した。

ディエゴ・ブランドー

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ストーンオーシャン(ジョジョ第6部)のネタバレ解説・考察まとめ

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『ジョジョの奇妙な冒険 Part6(第6部) ストーンオーシャン』とは、『ジョジョの奇妙な冒険』の単行本64〜80巻に収録されている漫画、およびそれをもとにしたアニメなどのメディア展開作品である。舞台は2011年のアメリカ。無実の罪で刑務所に収監された女性主人公・空条徐倫が仲間達とともに、「天国へ行く方法」を実現させようとするプッチ神父を止めるべく奔走する物語となっている。

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ジョジョリオン(ジョジョ第8部)のネタバレ解説・考察まとめ

ジョジョリオン(ジョジョ第8部)のネタバレ解説・考察まとめ

『ジョジョの奇妙な冒険 Part8(第8部) ジョジョリオン』とは、『ジョジョの奇妙な冒険』の単行本105〜131巻に収録されている漫画作品である。第4部の舞台と同じ名前を持つパラレルワールドの杜王町で、3月11日に起きた震災でできた「壁の目」から出てきた記憶喪失の主人公・東方定助が、自分の記憶を探っていくサスペンス・ホラーとなっている。

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ジョジョ第3部(スターダストクルセイダース)のネタバレ解説・考察まとめ

ジョジョ第3部(スターダストクルセイダース)のネタバレ解説・考察まとめ

『ジョジョの奇妙な冒険 Part3(第3部) スターダストクルセイダース』とは、『ジョジョの奇妙な冒険』の単行本12〜28巻に収録されている漫画、およびそれを元にしたアニメなどのメディア展開作品である。1987年、復活したDIOを倒すために、主人公の空条承太郎らが世界中を旅して敵を戦う冒険活劇となっている。今作に登場した「スタンド(幽波紋)」はジョジョシリーズを代表する能力となった。

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ジョジョ第2部(戦闘潮流)のネタバレ解説・考察まとめ

ジョジョ第2部(戦闘潮流)のネタバレ解説・考察まとめ

『ジョジョの奇妙な冒険 Part2(第2部) 戦闘潮流』とは、「ジョジョの奇妙な冒険」の単行本5〜12巻に収録されている漫画、およびアニメなどのメディア展開作品である。第1部から50年後、ジョナサン・ジョースターの孫であるジョセフ・ジョースター達「波紋」の戦士と、第1部から続く石仮面と吸血鬼の力を持ち、「究極生命体」を目指す「柱の男」との死闘が描かれている。飄々とした主人公ジョセフのキャラクターや、「人間讃歌」というテーマの通り、誇りをもって生き抜く人間の姿が見どころの作品。

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岸辺露伴は動かない(ジョジョスピンオフ)のネタバレ解説・考察まとめ

岸辺露伴は動かない(ジョジョスピンオフ)のネタバレ解説・考察まとめ

『岸辺露伴は動かない』とは、荒木飛呂彦による漫画、及びそれを原作とするアニメ、ドラマ作品であり、荒木の代表作『ジョジョの奇妙な冒険』Part4『ダイヤモンドは砕けない』に登場する岸辺露伴のスピンオフである。リアリティを追求する漫画家の岸辺露伴が、作品の取材で奇妙な現象に巻き込まれ、持ち前の知識、機転、スタンドと呼ばれる超能力で危機を回避する。日常に潜む恐怖や、意外な真実との遭遇を奇抜なアイディアで描く。派生作品『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』の他、短編小説集もある。

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ジョジョ第4部(ダイヤモンドは砕けない)のネタバレ解説・考察まとめ

ジョジョ第4部(ダイヤモンドは砕けない)のネタバレ解説・考察まとめ

『ジョジョの奇妙な冒険 Part4(第4部) ダイヤモンドは砕けない』とは、荒木飛呂彦による『ジョジョの奇妙な冒険』の単行本29〜47巻に収録されている漫画、およびそれを元にしたアニメや実写映画などのメディア展開作品である。1999年の日本M県S市の杜王町(もりおうちょう)にて、主人公の東方仗助が、町に潜む連続凶悪殺人鬼と、次々と登場するスタンド使いに挑む、サスペンスホラー風の漫画となっている。

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ジョジョ第5部(黄金の風)のネタバレ解説・考察まとめ

ジョジョ第5部(黄金の風)のネタバレ解説・考察まとめ

『ジョジョの奇妙な冒険 Part5(第5部) 黄金の風』とは、『ジョジョの奇妙な冒険』の単行本47〜63巻に収録されている漫画、およびそれを元にしたアニメなどのメディア展開作品である。主人公ジョルノ・ジョバァーナが、ギャング組織のチームメンバーとともに「ギャングスターになる」という夢を追う物語である。組織のボスや、ボスの放つ刺客たちとの戦いが、2001年のイタリアを舞台に繰り広げられる。

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ジョジョ第1部(ファントムブラッド)のネタバレ解説・考察まとめ

ジョジョ第1部(ファントムブラッド)のネタバレ解説・考察まとめ

『ジョジョの奇妙な冒険』とは、荒木飛呂彦のマンガ作品、およびそれをもとにしたアニメ、小説、ゲーム作品。第1部「ファントムブラッド」は今なお続く大人気シリーズ「ジョジョ」の原点であり、ジョナサン・ジョースターとディオ・ブランドーとの青春と対立が描かれている。ジョースター家と宿敵ディオの因縁の物語はここから始まり、様々な時代と舞台で「波紋」や「スタンド(幽波紋)」を駆使して戦いを繰り広げていくことになる。

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