ファイト・クラブ（Fight Club）のネタバレ解説・考察まとめ
『ファイト・クラブ』とは、1996年に発表されたアメリカの小説家チャック・パラニュークによる同名小説が原作となっている、1999年制作のアメリカ映画である。不眠症で悩む会社員「僕（エドワード・ノートン）」はある日火事が原因で住む家を失くし、謎の男タイラー・ダーデン（ブラッド・ピット）の家に居候することになった。「泊めてもいいが条件がある。俺を殴れ」という突拍子ないタイラーの言葉をきっかけに、2人はお互いを殴り合う行為にハマっていく。
タイラーは既にこの痛みを経験し、彼（ナレーター）にも同じ痛みを経験させ、それを乗り越えろ、という演出に見える。
しかし実際には二人は同一人物なので、彼（ナレーター）が火傷をした時に、まったく同じ火傷がタイラーにも出来たのであった。
主人公とタイラーとマーラの三者間の描かれ方
タイラーとマーラの関係でも不自然な点がある。
主人公がタイラー邸に居候し、タイラーと共にファイト・クラブを開催する。その頃から、彼女はタイラー邸に出入りするようになる。
奇妙なことに、マーラが主人公と会話しているとタイラーは画面に登場せず、彼女が画面から出て行くと、今度はタイラーが登場する。
この演出もタイラー＝ナレーターという意図からであろう。
三人が揃って画面に登場し会話するシーンは無い。
しかし一度だけ、主人公がタイラーとマーラの情事を覗きに、タイラーの部屋に行くシーンで、三人が揃いかける。
この時もマーラは背後を向いており、マーラが主人公と顔を合わせる事はない。
マーラが振り返り、「誰と話してるの？」とタイラーに問う。だがタイラーは「うるさい！」と言い、ドアを閉めてしまう。
タイラーがプロジェクト・メイヘムの活動を始めた頃。
いつものようにマーラがタイラーと一夜を過ごす。マーラから見れば、タイラー＝ナレーター（同一人物）である。
翌朝、キッチンで主人公とマーラは会話をする。彼（ナレーター）は、彼女にタイラーとの関係を問う。
家の地下ではタイラーが作業をしている。その作業音がキッチンにまで響く。
だが当然その作業音は、同一人物の主人公にしか聞こえていない。
彼（ナレーター）は、「弱い人間（マーラ）が、強い人間（タイラー）に、寄りかかろうとする理由がわからない。」と彼女に伝える。
マーラは「そういうあなたはどうなの？」と聞き返す。
これに対して主人公は、「僕ら（ナレーターとタイラー）の関係は、君たち（マーラとタイラー）の関係と全然次元が違うんだよ。」とマーラに伝える。この「僕ら」発言にマーラは驚いた。マーラは、「僕ら？それ何のこと？」と答える。
主人公はこの時点では、タイラー・ダーデンと自身が同一人物だとの自覚も認識もない。
タイラーとナレーターが同一人物という伏線が、この会話にも表れている。
二人の会話の間も地下の作業音が響き続ける。
当然マーラには聞こえない。気になる主人公は会話を遮り、地下の作業音の確認に向かう。
地下通路のドア越しにタイラーは、「俺の話をしているのか？この話はここまでだ。」と主人公に命ずる。
彼（ナレーター）は言われるままに、タイラーの口調をまねる。
ドアを隔てて三人揃って会話する事はなく、タイラーは彼（ナレーター）の心の声、妄想、二人は同一人物だという伏線がここにもある。
『ファイト・クラブ』の主題歌・挿入歌
OP（オープニング）：The Dust Brothers『Stealing Fat』
オープニングの印象的なサウンドを作り出したのは、イギリスのテクノ・エレクトロ二ック・ユニットのケミカル・ブラザーズ（ダスト・ブラザーズ）である。
挿入歌：The Dust Brothers『Marla』
主人公が自助グループに通い、「毎晩僕は死に、そして毎晩僕は生まれ変わった。」と独白が入る。そこに流れる。マーラ・シンガーの登場シーンにも流れる曲だ。ダスト・ブラザーズ制作。
挿入歌：Tom Waits『Goin' Out West』
ファイト・クラブを開催するルーの酒場に、タイラーとナレーターが赴くシーンで使われる。アメリカのミュージシャンのトム・ウェイツの曲。
挿入歌：The Dust Brothers『Homework』
タイラーの“宿題”を、プロジェクト・メイヘムのメンバーが実行するシーンに流れる。ダスト・ブラザーズの作曲。
挿入歌：The Dust Brothers『Who Is Tyler Durden?』
タイラーの行方を追って、全米を探し回る主人公の前にタイラーが現れる。そのシーンの曲である。ダスト・ブラザーズ制作。
挿入歌：The Dust Brothers『Finding the Bomb』
タイラーの計画を阻止するため、街中を走り回る主人公の背景で流れる曲。ダスト・ブラザーズ制作。
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目次 - Contents
- 『ファイト・クラブ』の概要
- 『ファイト・クラブ』のあらすじ・ストーリー
- ビルの最上階
- 「僕」の経歴とタイラー・デーン
- 「僕」の真実
- 計画の妨害
- 『ファイト・クラブ』の登場人物・キャラクター
- 主人公（ナレーター）（演：エドワード・ノートン）
- タイラー・ダーデン（演：ブラッド・ピット）
- マーラ・シンガー（演：ヘレナ・ボナム＝カーター）
- ロバート・ポールセン（ボブ）（演：ミート・ローフ）
- エンジェル・フェイス（演：ジャレッド・レト）
- レイモンド・K・ヘッセル（演：ジョン・B・キム）
- リチャード・チェスラー（演：ザック・グルニエ）
- アーヴィン（演：ポール・ディロン）
- クロエ（演：レイチェル・シンガー）
- リッキー（演：アイオン・ベイリー）
- スターン刑事（演：ソム・ゴッサムJr.）
- ジェイコブス警察署長（演：レナード・タルモ）
- 空港の警備員（演：ボブ・スティーブンソン）
- メカニック（演：ポルト・マッカラニー）
- ステフ（演：エバン・ミランド）
- トーマス（演：デイヴィド・アンドリュース）
- インターン（演：リッチモンド・アークウェッド）
- 演説の男（演：シドニー・“ビッグ・ドーグ”・コルストン）
- 女リーダー（演：クリスティーナ・キャボット）
- ウェイター（演：エドワード・コワルジク）
- 『ファイト・クラブ』の用語
- 自助グループ
- 石鹸
- 僕はジャックの○○です。
- 僕はジャックの怒れる胆のうです。
- 僕はジャックの冷や汗です。
- 僕はジャックの驚かない心です。
- 僕はジャックの復讐心です。
- 僕はジャックの無駄な人生です。
- 僕はのけ者に怒っているジャックの心です。
- 僕はジャックの裏切られた心です。
- 『ファイト・クラブ』の名言・名セリフ／名シーン・名場面
- ルーの酒場で語るタイラー
- 物を所有するな
- 完璧を目指すな
- 持っている物が自分を束縛する
- タイラーの主張とプロジェクト・メイヘム
- 歌って踊るだけのこの世のクズだ。
- 「ファイト・クラブへようこそ。ルールその1、ファイト・クラブについて話すな。ルールその2、ファイト・クラブについて絶対に話すな」
- 「痛みを感じろ。苦しみと犠牲が尊いんだ。痛みから逃げるな。人生最高の瞬間を味わえ」
- 『ファイト・クラブ』の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話
- ブラッド・ピットがタイラー・ダーデンを演じるにあたっての役作り
- ファイト・クラブはエドワード・ノートンお気に入りの映画
- ヘレナ・ボナム・カーターが参考にしたジュディ・ガーランド
- ブラッド・ピットが殴られることを知らなかった最初のファイト
- サブリミナル効果
- タイラー・ダーデン
- スターバックス コーヒー
- 同一人物という伏線
- 動く歩道
- 同じバッグ
- 映画フィルムの切り替え
- 右手の甲の火傷
- 主人公とタイラーとマーラの三者間の描かれ方
- 『ファイト・クラブ』の主題歌・挿入歌
- OP（オープニング）：The Dust Brothers『Stealing Fat』
- 挿入歌：The Dust Brothers『Marla』
- 挿入歌：Tom Waits『Goin' Out West』
- 挿入歌：The Dust Brothers『Homework』
- 挿入歌：The Dust Brothers『Who Is Tyler Durden?』
- 挿入歌：The Dust Brothers『Finding the Bomb』
- ED（エンディング）：Pixies『Where Is My Mind?』