ファイト・クラブ(Fight Club)のネタバレ解説・考察まとめ

『ファイト・クラブ』とは、1996年に発表されたアメリカの小説家チャック・パラニュークによる同名小説が原作となっている、1999年制作のアメリカ映画である。不眠症で悩む会社員「僕(エドワード・ノートン)」はある日火事が原因で住む家を失くし、謎の男タイラー・ダーデン(ブラッド・ピット)の家に居候することになった。「泊めてもいいが条件がある。俺を殴れ」という突拍子ないタイラーの言葉をきっかけに、2人はお互いを殴り合う行為にハマっていく。

ブラッド・ピットが殴られることを知らなかった最初のファイト

タイラーと主人公がルーの酒場で、初めて殴り合いをするシーン。「俺を殴れ!」というタイラーに対し、主人公は誤って彼の耳を殴る。
実はこのシーンは当初、殴るフリをするだけの予定だった。しかし本番直前、フィンチャー監督は、エドワード・ノートンに「実際に殴れ」と指示をだした。主人公役のエドワード・ノートンは指示通り、ブラッド・ピットを殴った。ピットは監督の指示を知らなかった。タイラー・ダーデンが痛がるシーンは、本当に痛かったのである。

サブリミナル効果

本作では、意図的にサブリミナル効果が演出の一環として挿入されている。
ここでは映画本編で登場する、サブリミナル効果が使われているシーンを紹介する。

タイラー・ダーデン

映画前半の主人公(ナレーター)とタイラーが出会うまでに、タイラーが頻繁に一瞬現れる。
彼らが同一人物だという暗示が表現されている。
物語の後半に続く伏線としての演出だ。

物語前半の主人公が、職場のオフィスでコピーをとるシーン。

不眠症で眠れない彼(ナレーター)が、「意識が朦朧として、コピーのコピーのコピーのようだ。」とナレーションを入れるシーンに、一瞬タイラーが映る。

同じく前半。彼(ナレーター)が受診した精神科医に、睾丸ガン患者の自助グループに出てみるように勧められるシーン。
主人公が初めて睾丸ガン患者の会に出席した時、この時もタイラー・ダーデンが一瞬映り込むシーンがある。
彼(ナレーター)がマーラ・シンガーに出会ってからもタイラーは映り込む。
彼(ナレーター)が出張先のホテルで見るテレビにも、タイラーがちゃっかり映り込む。
そしてラストシーン。崩壊していくビルの前で主人公とマーラが手を取り合うシーン。このシーンにも一瞬、演出としてサブリミナル効果が使われている。
演出の意図は、この物語の男性的な部分の強調としてか。
タイラー・ダーデン(主人公の男性的部分)が、彼(ナレーター)の意識の中に取り込まれたという暗示か。
またはシリアスな展開になりすぎぬように製作者側の意図的なジョーク的演出としてか。
解釈の仕方は諸説ある。

ちなみにこのシーンは、Blu-ray版では無修正で収録されている。

スターバックス コーヒー

デヴィット・フィンチャー監督によると「全てのショットのどこかにスターバックスのカップが映り込んでいる」との事。
スターバックス社は、フィンチャー監督がスターバックスのロゴを使う事を許可した。
しかし映画本編の爆破シーンで、スターバックスの看板も爆破する案が出たそうだが、スターバックス社に断られた。

同一人物という伏線

実は本作はサブリミナル効果以外にも、タイラー・ダーデンと主人公(ナレーター)が同一人物であるという描写がいくつかある。

動く歩道

空港ですれ違うタイラーとナレーター

映画前半まだ主人公とタイラー出会う前。空港の動く歩道で二人はすれ違う。
二人は別々の方向を見ていて、互いの存在に気付かない。
「全然違う時間に、全然違う場所で目覚めるんだから、全然違う人間になってたりして?」とナレーターのセリフが入る。

同じバッグ

初めて飛行機何にてタイラーと主人公が会話をするシーン。
何故か彼らのバッグは、そっくり同じ型のバッグであった。
タイラーが先に鞄を持って降りたため、主人公の鞄も一時的に消失するシーンがある。(同一人物のため)
鞄の中身が振動したため、一時的に手荷物検査に引っかかったのだ。何が振動したのかは不明。
主人公と空港職員の会話では、振動したものはバイブレーターだと暗示している。

映画フィルムの切り替え

タイラーは映画館で映画技師のパートもしている。
タイラーの説明では、画面の右上に出る黒い丸印が、フィルムの切り替えの合図だと言う。
そのタイミングでフィルムが切り替わるが、映画を見ている観客は気付かない。

タイラーと主人公が入れ替わるのも、映画フィルムの切り替えのように誰も気付かないという暗示か。

またタイラーはフィルムの切り替えのタイミングで、ファミリー映画にポルノの一コマを入れ込む悪戯を行う。
これは本作で頻繁に登場するサブリミナル効果の伏線と説明でもある。見ていないと思っても、必ず見ているという意図的な演出だ。

右手の甲の火傷

主人公がタイラーに右手の甲を、薬品で焼かれるシーン。
このシーンではタイラーの右手にも、同じく薬品による火傷があったという演出がある。

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