ファイト・クラブ(Fight Club)のネタバレ解説・考察まとめ

『ファイト・クラブ』とは、1996年に発表されたアメリカの小説家チャック・パラニュークによる同名小説が原作となっている、1999年制作のアメリカ映画である。不眠症で悩む会社員「僕(エドワード・ノートン)」はある日火事が原因で住む家を失くし、謎の男タイラー・ダーデン(ブラッド・ピット)の家に居候することになった。「泊めてもいいが条件がある。俺を殴れ」という突拍子ないタイラーの言葉をきっかけに、2人はお互いを殴り合う行為にハマっていく。

ジェイコブス警察署長は、タイラー・ダーデン率いるスペース・モンキー達が、本格的なテロ行為を始めた時期に登場する。
スペース・モンキーはビルの爆破事件を起こす。ビル爆破現場にはテレビのリポーターが駆け付け、中継を始めている。その現場に到着したジェイコブス警察署長は、リポーターからインタビューを受け「地下に潜伏している謎のボクシングクラブの仕業だ。我々は、断固取り締まりを強化する。」とリポーターに答えた。この後、警察はホテルで記者会見を開く。しかし会場のホテルには、既にタイラーとメンバーがウェイターとして忍び込んでいた。
そして署長がトイレにたつや、彼を拉致して脅迫する。そして“謎のボクシングクラブによる犯行の取締の発表”を中止させる。

空港の警備員(演:ボブ・スティーブンソン)

警備員はナレーターの話を遮ると、ペンで頭をかく。
DVDのコメンタリーにおいて、監督と出演俳優が後日談として「頭をかく音がまるで振動するバイブの様な音だ。」と話していた。警備員のセリフの暗喩かもしれない。

空港の警備員は、主人公(ナレーター)が、飛行機でタイラー・ダーデンに初めて出会った後に、登場する人物だ。
飛行機を降りた彼(ナレーター)は、“鞄が振動した”と空港の手荷物検査に引っかかる。ナレーターは、「僕の鞄から時計の音が?」と警備員に聞く。空港の警備員は、「最近の爆弾は時計の音などしない」と言う。ナレーターは「じゃあ何が、引っかかったのです?」と彼に問う。警備員は「最近は振動だ。荷物に振動を感知すると、警察を呼ぶ規則でね」と彼(ナレーター)に述べる。「僕の鞄が振動を?」とナレーターは聞き返す。
空港の警備員は彼に、「9割方は電気カミソリの振動だ。ところが時々…バイブレーターだ」と言う。さらに警備員は、「そういう時は、航空会社は持ち主に気を使う。“このバイブ”という表現を使う。これだけはダメだ。“あなたのバイブ”」とナレーターを見つめて言う。主人公(ナレーター)は、「でも僕は持っては…」と警備員に反論しかける。だが警備員は電話応対に入ってしまい、ナレーターとの会話を中断する。
同一人物のタイラーがバイブを持っていたという暗示か。ただの警備員の与太話か。本編ではわからない。

メカニック(演:ポルト・マッカラニー)

メカニックは、タイラーとナレーターが開催するファイト・クラブに、参加していたメンバーだ。当初メカニックは、スキンヘッドではなく、服装もラフな私服であった。彼はプロジェクト・メイヘムが本格的に始まると、スキンヘッドに髪型を変え、黒シャツ、黒ズボンの、構成員の一人としての出で立ちに変化する。
プロジェクト・メイヘムでは、重要な役回りを任されているらしく、ボブ(ロバート・ポールセン)と一緒に、一石二鳥作戦に参加していた。一石二鳥作戦とは、公園にある大型の円形のオブジェの土台を破壊し、転がるオブジェを利用して、コーヒーチェーン店も同時に破壊する作戦だ。作戦は成功に見えたが、逃走中、ボブが追ってきた警官に頭を撃ち抜かれ、死亡する。一方でメカニックも、足を撃たれ負傷してしまう。メカニック達はボブの遺体を、タイラー邸に運び込む。

ボブの死体の周りには、スペース・モンキー達が取り囲んでいる。騒動に気づいた主人公(ナレーター)も駆けつける。「一刻も早く、証拠である死体を処分しよう」と主張する、メカニック。エンジェル・フェイスも「裏庭に埋めてやりましょう」と言う。それに賛同するスペース・モンキー達も、さっそく死体の処分に取り掛かろうとする。だが主人公は、「ボブは僕の親友だ。裏庭なんかには埋めさせないぞ!」と言い放ち、ボブの死体に手を出させない。
ナレーターの悲しむ姿と、「彼には名前がある。彼の名はロバート・ポールセンだ!彼は僕たちの犠牲者だ!いいかこの意味がわかるか!?」と主張するナレーターの姿に、メカニックは感銘を受ける。本来、プロジェクト・メイヘムに参加する者には、名前などはないのだ。そしてメカニックはその感激を他のメンバーに伝えるのであった。メカニックは主人公を見つめながら、「わかります。死んだ者は名前を持つ。彼の名前はロバート・ポールセン!」と高らかに叫ぶ。すると周りにいる、スペース・モンキー達も「彼の名はロバート・ポールセン!」と連呼するのであった。

ステフ(演:エバン・ミランド)

プロジェクト・メイヘムの殉教者ボブ(ロバート・ポールセン)。
その名をステフも、メンバー達と一緒に唱え続けるのだ。

ステフはファイト・クラブ、プロジェクト・メイヘム、両方で活動するメンバーだ。
ステフは他の主要メンバー(ボブ、エンジェル・フェイス、メカニック、リッキー)と比べると、目立った活躍をしている印象がない。彼はどちらかというと、縁の下の力持ちタイプだ。ステフは、髪を剃り上げ、中央の頭髪だけを残しモヒカンにしている。彼の口元と顎は、短く整えているが、濃い髭をサークル状に覆っている。モヒカンと髭で、かなり強面な印象の人物である。だが映画本編のラストで、自らの口の中を、銃で撃ち抜いた主人公(ナレーター)の身を最後まで案ずるなど、思いやりの心も強いようだ。

トーマス(演:デイヴィド・アンドリュース)

トーマスは、主人公(ナレーター)が最初に訪れた自助グループ、“睾丸ガン患者の会”に在籍するメンバーだ。彼は自身の辛さ、苦しみの思いの丈をメンバーに語るのだった。トーマスの、「離婚した妻が、新しい夫との間に、初めて子供ができた。(泣きながら)だって素晴らしい事じゃないか。彼女は幸せになる権利がある」という主張に、同じ病を持つメンバー達は、深い悲しみと、共感を表す。そしてメンバー達は、トーマスが苦しみを打ち明けてくれた事に対して、深い感謝の意を表すのであった。

インターン(演:リッチモンド・アークウェッド)

インターンは、不眠に苦しむ主人公(ナレーター)が相談した、精神科医だ。彼は主人公に睡眠薬を処方せず、「薬より自然で健康な眠りが一番だ。カノコソウの根でも噛んで、もっと運動してください」と彼(ナレーター)に伝える。薬を処方してほしいナレーターは、インターンに苦しみを訴える。しかしインターンは、「あなたが苦しい?火曜の夜に、睾丸ガン患者の会合に出てみると言い。あれが苦しみだ」と言い、自助グループに出る事を勧める。
主人公の不眠症が、タイラー・ダーデンという人物を生み出し、後々のテロ行為にまで発展してしまった事を考えると、インターンの診断が正しかったのか、わからない。

演説の男(演:シドニー・“ビッグ・ドーグ”・コルストン)

演説の男は木曜日に開かれる、血液感染症の会で、出席者の前で演説をしている。彼の演説に、会合の出席者は皆、真剣に耳を傾ける。マーラ・シンガーも会合に出ている。彼女も真剣に演説の男の主張に耳を傾けるが、一人だけタバコを吸い、明らかに周囲とは異質の存在だ。後ろの黒人女性も、マーラのタバコを煙たがる。反対側のテーブルでは、ナレーターがそんなマーラを、訝しそうに睨む。

女リーダー(演:クリスティーナ・キャボット)

女リーダーは、グループセラピーの主催者である。
彼女の主催する自助グループで、女リーダーは出席者に瞑想の手ほどきをする。ナレーターも彼女の会合に出席している。女リーダーの瞑想への導き方が上手いのか、ナレーターは彼女の言う、「心の洞窟」の中に入っていく。女リーダーは「洞窟の奥に、あなたの力になる動物が待っている」と伝える。ナレーターは、瞑想の中でペンギンに遭遇する。ペンギンはナレーターに「滑って!」と言う。そしてペンギンは、氷の上を無邪気に滑るのだった。
マーラ・シンガーが会合に出席する用になってからは、彼(ナレーター)の意識はマーラに傾く。そのためか、女リーダーの主催する会合で、彼女が皆を瞑想に導くと、今度は洞窟から、マーラ・シンガーが登場するのであった。マーラもペンギンと同じく、彼(ナレーター)に「滑って!」と言う。ただしマーラの場合は、くわえタバコで、煙をはきながらである。

ウェイター(演:エドワード・コワルジク)

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