ザ・クラウン(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ザ・クラウン』とは、イギリス女王エリザベス2世の治世を描く、アメリカ合衆国とイギリス合作のテレビドラマシリーズ。Left Bank Picturesおよびソニー・ピクチャーズ テレビジョンが製作。2016年11月より配信開始となり最終シーズンは2023年12月に配信され、全6シーズン、各10エピソードの合計60話構成。2シーズンごとに主要キャストが入れ替わる。当時の美術・衣装などが忠実に再現されており、各界から高い評価を得ている。

『ザ・クラウン』の概要

『ザ・クラウン』とは、イギリス女王エリザベス2世の生涯を描いた、ピーター・モーガンによる原作・脚本のドラマ。全6シーズンのうち、2シーズンごとに主要キャストが入れ替わる形で制作され、エリザベス女王治世の初期、青年期をクレア・フォイ、壮年期はオリヴィア・コールマン、老年期をイメルダ・スタウントンが演じた。
エリザベス女王がフィリップ王配と結婚するシーンから始まり、亡くなる直前までが描かれており、豪華絢爛な美術セット・衣装や、実際の出来事を忠実な再現、そして精巧な演技など、普段見ることのできないイギリス王室の裏側を垣間見れる作風は多くの視聴者を魅了した。
各シーズンにおいて、ゴールデングローブ賞やプライムタイム・エミー賞において主演女優賞・助演女優賞・主演男優賞・助演男優賞をキャストが受賞するほか、衣装賞歴史ドラマ部門、監督賞ドラマ部門、脚本賞ドラマ部門など多くの賞を受賞し、とくにシーズン4がエミー賞のドラマ主要7部門を受賞・制覇した。

『ザ・クラウン』のあらすじ・ストーリー

エリザベス女王誕生~シーズン1~

王冠と身につけ、戴冠式の準備をするエリザベス女王

シーズン1では、1947年のエリザベスとフィリップの結婚式から、女王の即位・戴冠式を経て、1955年の第3次チャーチル内閣からイーデン内閣のもとでの1955年までの女王の治世が描かれる。

1947年エリザベス王女(のちのエリザベス女王)は、かねてより交際していた、フィリップ(のちのエディンバラ公爵フィリップ王配)と正式に結婚し盛大な結婚式が催された。結婚後二人の子供(チャールズ王子とアン王女)をもうけ、育児をしながら公務に勤しんでいた。そんな中、エリザベス王女夫妻がケニアを訪問した1952年に父ジョージ6世が崩御し、エリザベス女王が誕生。イギリスおよび当時のイギリス統治国であったアフリカの諸国やオーストラリア・ニュージーランドを統治することとなった。当時彼女は25歳で、自身が女王として、国内および他国の政治家とも意見交換、時には議論をする中で教育が足りてないと感じ、自身の家庭教師をつけ、知識となる力を身に着けていった。
同時に、妹のマーガレット王女が、侍従武官タウゼントとの恋と破局も描かれている。マーガレット王女は、タウゼントとの結婚を希望していたが、タウゼントには離婚歴があり、二人の結婚をエリザベス女王は賛成・応援し、結婚できるよう、イギリス国教会と議会の説得を試みたものの、激しい反対意見により、二人が結ばれることはなかった。

国内政治の混乱とエドワード王子の誕生~シーズン2~

1956年に発生したスエズ運河の動乱から、イーデン首相とマクミラン首相の辞職そしてジョン・F・ケネディ米大統領夫妻の訪英、1964年の第4子(三男)となるエドワード王子誕生までが描かれているシーズン2。

エリザベス女王は女王としてエジプトとの関係、国内の労働者からの反発対応など、多忙を極めていた。そんな中、フィリップ王配は自身の価値が見いだせず一人で長期の外遊を楽しんでおり、ふたりには溝ができ始めていた。しかし、外遊中にであった男性の言葉で、フィリップ王配はエリザベス女王との関係構築のアイディアをもらい、二人は結婚10周年を迎え、第3子となるエドワード王子が誕生するのであった。
そしてジョン・F・ケネディ米大統領夫妻が訪英。ファーストレディのジャクリーン夫人とエリザベス女王、ジョン・F・ケネディ米大統領とフィリップ王配、それぞれ交流を深めたことも、エリザベス女王とフィリップ王配が関係を修復したきっかけの1つとなっている。
一方、タウンゼントとの結婚が認められず自暴自棄になっていた、マーガレット王女は、平民で写真家のアンソニーと出会う。これまで出会うことのなかったような考え方、クリエイティブな姿をみたマーガレット王女は、アンソニーとのプロポーズを受諾、結婚した。

チャーチル元首相の死とエリザベス女王即位25周年~シーズン3~

1964年から1977年までが描かれるシーズン3では、チャーチル元首相の死去からヒース内閣をはさんだ2度の労働党ウィルソン内閣のもとでの治世が描かれる。

1964年、ハロルド・ウィルソン率いる労働党が政権をとり、政治的な変革の時を迎えた。
1966年に発生した南ウェールズの炭鉱町での山の崩壊、1967年のギリシャクーデター、国内の貿易赤字や財政赤字のため、政府やアメリカ政府の援助に奔走していた。
そんな中、エリザベス女王は第一子であるチャールズ皇太子との関係にも悩み始めていた。将来の国王として、厳しく接していたが、あまりにも冷たい態度に、チャールズ皇太子自身も反発し始める。そしてチャールズ皇太子とカミラ・シャンド(のちに王妃)の恋模様が描かれていく。
シーズン終盤では、エリザベス女王は銀婚式と即位25周年を迎え、華やかな式典が描かれる一方で、マーガレット王女とアンソニーの結婚生活が破綻し、マーガレット王女の不倫や自殺未遂をしてしまう女王の妹としての自己の葛藤も描かれている。

イギリス初の女性首相の誕生とチャールズ皇太子の結婚~シーズン4~

シーズン4では、1979年にイギリス発の女性首相として発足した、サッチャー内閣の成立から1990年の辞任、そして、チャールズ皇太子のダイアナ妃の出会い・結婚とその破綻が描かれている。

1979年に首相となったサッチャーは、「鉄の女」と呼ばれるほど、強固な姿勢で、財政赤字・イギリス領フォークランド諸島での紛争に奮闘していた。同性・女性同士としてエリザベス女王とも少しずつではあった関係構築をしていくのだった。
カミラとの結婚をエリザベス女王に反対され、カミラはアンドリュー・パーカー・ボウルズと結婚していたが、チャールズ皇太子はカミラとの関係を続けていた。しかし、適齢期を迎えた息子が独り身であることが気がかりである王室は、チャールズ皇太子に結婚を急かしていた。そのタイミングでチャールズ皇太子はダイアナ・スペンサー(のちのダイアナ妃)と出会う。チャールズの家族もダイアナを気に入り、二人は結婚し二人の息子を授かった。
しかしながら、チャールズ皇太子は自身よりも目立ち人気がでたダイアナに対して、強い嫉妬心をもってしまうのであった。

王族のスキャンダル~シーズン5~

1990年の保守党であるメージャー内閣の成立から1997年の労働党ブレア内閣成立・政権交代と王族の結婚をめぐるさまざまなスキャンダルが描かれるシーズン5。なかでも、センセーショナルなチャールズとダイアナの別居と離婚がストーリーの中心となっている。

在位40年を迎え、老境にはいっているエリザベス女王による長い治世に飽きると同時に、ダイアナ妃の人気もあり、早期退位・チャールズ国王の誕生を国民が望むようになる。しかしながら、チャールズ皇太子とダイアナ妃の間は完全に冷え切っており、そんな状況打破のため、ダイアナ妃は王室の暴露本を執筆、王室に大きなダメージを与える。これにより、チャールズ皇太子とダイアナ妃は別居を開始。双方離婚を望むも条件を巡り交渉は難航。チャールズ皇太子はダイアナ妃と離婚成立後に、アンドリュー・パーカー・ボウルズと離婚していた、カミラとの結婚を望んでおり、自身のイメージアップのため、ダイアナ妃の条件を飲む形で離婚を成立させた。

ダイアナ元妃の事故と譲位~シーズン6~

1997年のダイアナ元妃の事故死から、チャールズ皇太子とカミラの結婚までが描かれた最終シーズン。

ダイアナ元妃は、ドディ・アルファイドと出会い仲を深めていく。ドディは当時婚約者がいたが、王室と接点を持ちたいと強く願う父から婚約者ではなく、ダイアナ元妃との結婚を急ぐよう詰め寄っていた。その時、離婚によるダメージは多少あったものの、世界中で「ダイアナフィーバー」は続いてたこと、そしてドディとのロマンスをいち早く撮影しようとするパパラッチに追われ、ダイアナ元妃とドディは、パリで事故を起こし亡くなってしまう。
ダイアナ元妃の死に悲しみ、マスコミと熱狂的なファンに追いかけられていたチャールズ皇太子とダイアナ元妃の息子ウィリアム王子は、エリザベス女王やフィリップ王配と話しながら徐々に将来の王としての自覚・知見を身に着け、大学で将来の妃となる、ケイト・ミドルトンと出会った。
そして、エリザベス女王は80歳を迎え自身の葬儀や譲位について考えるよう周囲から言われ始める。健康に異常もなく気が早いと思いつつも、衰えも感じ、チャールズ皇太子とカミラの結婚式で譲位を考えるも、これまでの人生を振り返り残りの人生を女王として生き、務めを果たすこと決意するのだった。

『ザ・クラウン』の登場人物・キャラクター

王族

エリザベス2世(演:ヴィオラ・プレテヨーン/クレア・フォイ/オリヴィア・コールマン/イメルダ・スタウントン)

左から、老年期・壮年期・青年期のエリザベス女王

イギリスのウィンザー朝第4代女王。また、英連邦王国及び王室属領・海外領土の君主およびイングランド国教会の首長。在位期間は70年と214日で、イギリス史上最高齢かつ最長在位の君主。
若年期は、ヴィオラ・プレテヨーン、青年期をクレア・フォイ、壮年期、オリヴィア・コールマン、老年期にイメルダ・スタウントンがそれぞれ演じた。

伯父のエドワード8世が在位わずか325日で退位したため、10歳で、王位継承権者第1位となり、その頃から、帝王学教育のため、イギリス国制史を学び始めた。しかし、他の王位継承権者のように、大学等で学友とともに学ぶのではなく、別室で1人で国政などを学んでいた。そのため、自身の知識不足や、共感性が欠落していると感じ、女王就任後も家庭教師をつけるなど、自身を研鑽していた。厳しいイギリス王室のルールに縛られる仲、1990年代・2000年代という変革期である時代に世の中の動き・変革に併せて柔軟に制度を変えていった。
馬や犬などの動物好きでしられ、ドラマ内でも馬の様子を気にかけたり、犬と戯れる描写が多い。

エディンバラ公爵フィリップ王配(演:マット・スミス/トビアス・メンジーズ/ジョナサン・プライス)

左から、老年期・壮年期・青年期のフィリップ王配

女王の王配。青年期をマット・スミス、壮年期はトビアス・メンジーズ、老年期、ジョナサン・プライスが演じた。
女王を支えるべく奮闘するが、王室や政治家からの反対、下位の席次など屈辱的な扱いも多く、エリザベス女王に強く反発・当たることも多かった。しかし、外遊や、王室メンバーとの交流を経て、エリザベス女王を支え、助言する様子が度々描かれた。
自身の屈辱的な扱いもあってか、息子であり、将来の国を担うチャールズ皇太子に対しては幼い頃から、王としての教育に熱をいれていた。そのため、チャールズ皇太子から反抗的な態度を取られてしまうこともあった。

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クィーン(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

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『クィーン』とは、2006年にイギリスで制作された政治映画である。ダイアナ元皇太子妃の交通事故死を受けて、ただ1人沈黙を貫き通すエリザベス女王の姿と就任間もないブレア首相が国民と王室との和解に奔走する姿が描き出されていく。 『ゴヤの名画と優しい泥棒』のヘレン・ミレン、『フロスト×ニクソン』のマイケル・シーンが共演し、『ヴィクトリア女王 最期の秘密』、『疑惑のチャンピオン』などを手掛けたスティーブン・フリアーズが監督を務めた。

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ロブスター(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ロブスター(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ロブスター』とは、ギリシャのヨルゴス・ランティモスが監督した近未来SF恋愛映画である。2015年公開され、第68回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した。国家が市民にルールを押しつけ、市民はそれに従っている。独身であることが罪というルールがある世界。“独身者”は、郊外のホテルに連れていかれ、45日以内にパートナーを見つけないと、自分が希望する動物に変えられてしまう。主人公デヴィッドが希望した動物は「ロブスター」だった。全体的にユーモアが散りばめられており、コメディ映画でもある。R15+作品。

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【トリビア・伏線】ファイト・クラブの徹底解説・考察まとめ【ネタバレ】

【トリビア・伏線】ファイト・クラブの徹底解説・考察まとめ【ネタバレ】

『ファイト・クラブ』とは1999年公開のアメリカ映画。鬼才と呼ばれるデヴィッド・フィンチャーが監督を務めた。不眠症の”僕”は自分とは正反対の自信家でマッチョな男タイラーと出会い、男同士が素手で殴りあう「ファイト・クラブ」と言う組織を結成していく。殴り殴られることで自分の存在意義を確認するが、やがて組織はテロリズムに傾いてき、”僕”は衝撃の事実を知ることとなる。 巧妙に張り巡らされた伏線とサブリミナル効果、ラストシーンの解釈、製作時のトリビアなどをネタバレ解説していく。

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【レ・ミゼラブル】ヘレナ・ボナム=カーターの七変化まとめ!ジョニー・デップに負けてない!【ハリー・ポッターシリーズ】

【レ・ミゼラブル】ヘレナ・ボナム=カーターの七変化まとめ!ジョニー・デップに負けてない!【ハリー・ポッターシリーズ】

ヘレナ・ボナム=カーターといえば、『レ・ミゼラブル』のテナルディエ夫人役や『ハリー・ポッター』シリーズのベラトリックス・レストレンジ役が有名ですよね。なんとなく想像される通り、どこかぶっ飛んでいる役が多いのが彼女の特徴です。他にどんなのを演じているか、この記事でまとめました。ジョニー・デップも良い意味で変な役が多いけど、ヘレナだってそれに負けてないですよ!

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ハリー・ポッターと死の秘宝でハリーが折れた自分の杖をニワトコの杖で直す描写がなかった件

ハリー・ポッターと死の秘宝でハリーが折れた自分の杖をニワトコの杖で直す描写がなかった件

『ハリー・ポッターと死の秘宝』は、シリーズ完結編にあたる第7作です。原作と映画版で内容が違っていることはよくある話ですが、どうやらそれは本作でも見られたそう。ハリーが所持していた杖が折れてしまい、原作ではこれをニワトコの杖で直す描写がありました。しかし、映画ではそれがなく、そのことを悲しむ声がSNSで挙がっています。どっちが良いかは、その人の感性によりますよね。気になる方は、原作と映画を実際に見比べてみてください。

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大人のための童話原作の実写映画特集!1度は見るべき名作ばかり!

大人のための童話原作の実写映画特集!1度は見るべき名作ばかり!

『不思議の国のアリス』や『赤ずきん』、『眠れる森の美女』など、おなじみの童話を新解釈し実写化した映画をまとめました。美しく勇敢なヒロインや、ちょっとホラーな展開など、過去のイメージに囚われない設定ばかりです。上記以外にも『人魚姫』、『美女と野獣』、『ピノキオ』など、どれもこれも「1度は見るべき」といえる名作なので、視聴して損はありません。

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