コンテイジョン(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『コンテイジョン』とは、2011年にアメリカで公開されたスリラー映画。危険な未知のウイルスが、次々と人間の命を奪い、恐怖というパニックにも感染していく世界を描いている。世界各地で同時多発的に謎の病が発生する。それは咳・発熱を発症後、急激に症状が悪化し、亡くなってしまうという新種のウイルスだ。世界中で感染が広がるこの病に医師たちは敢然と立ち向かう。しかし人々は翻弄され、国家は瞬く間に崩壊していくのだった。ウイルス感染の恐怖を様々な視点から捉えた、リアル感溢れるパニック・スリラー・ムービーだ。
スン「英仏が治療薬を独占。我々は列の最後尾だ」
スンの生まれ故郷の村に感染が広がり、彼の母親も亡くなってしまった。そこでスンはオランテス医師に「英仏が治療薬を独占。我々は列の最後尾だ」と言い放ち、彼女を誘拐する。彼女を人質として治療薬と取引しようと目論んだのだ。スンは香港の政府職員である立派な男性であり、世界情勢を読む力がある。それゆえに自分達が治療の優先順位が低い位置にあることが見え、オランテス医師を誘拐するという暴挙に及んだのだ。現実社会のコロナ禍においても、国によってワクチンが供給される優先順位が明らかになった。この映画が公開された2011年時点で、既にこのような現象が予測されていたことに驚愕するばかりだ。
集団埋葬されるミアーズ医師
MEV-1ウイルスの調査にあたっていたミアーズ医師は、誤って自分も感染してしまう。チーヴァー医師は彼女を設備の整った施設に輸送しようとするが、社会情勢が不安定となりそれもままならなかった。結局ミアーズ医師は臨時に作られた野戦病院で、しっかりとした医療を受けることもできず、そのまま亡くなってしまう。そして郊外に掘られた臨時の墓地に集団で埋葬された。死体袋さえ間に合わず、ナイロン製の袋に密封され大きな穴に集団で並べられての埋葬だ。このシーンは、新型コロナウイルスの感染が世界的に広がった際にテレビで流れた、どこかの国のコロナ死者の集団埋葬の映像そのものである。まるでデジャブとしかいいようのない非常にショッキングなシーンだ。
チーヴァー医師「恐怖の要因はネットやテレビの噂」
MEV-1の広がりにより社会情勢が不安になったため、チーヴァー医師はテレビ番組に出演してCDCの見解を公表した。チアーズ医師は「握手をせず、病気なら家にいて、頻繁に手を洗うこと」が一番大事な予防策であることを語るが、アランはCDCを真っ向から避難する。それに対してチーヴァー医師は「恐怖の要因はネットやテレビの噂」であることを指摘し、「クラウィディ氏の言葉はウイルスより危険だ」と反論した。コロナ禍でもさまざまなデマがネットを駆け巡り、人々は恐怖や不安に苛まれた。この映画のキャッチコピーは「恐怖は、ウイルスより早く感染する。」なのだが、まさにその通りのことが現実社会でも起こったのだ。
『コンテイジョン』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
コロナ禍との驚くべき類似
本作が公開されたのは2011年だが、2019年末から流行の兆しを見せた新型コロナウイルス感染症の世界がまるで予言されたかのように描かれている。デマや陰謀論がネット上に拡散、パニックによる買い占め、医療現場の崩壊、ロックダウンや緊急事態宣言などなど、本作でも同じような事象が忠実に描かれている。このような医学的考証の的確さが、この映画の評価を大きく上げたことは間違いない。出演者のローレンス・フィッシュバーン、ケイト・ウィンスレット、マット・デイモンなどの有名人が手洗いや不要不急の外出を控える必要性を動画で呼びかけ、感染症対策に一役買うこととなった。
アカデミー女優が次々と死体に
ベス役を演じたグウィネス・パルトローは、1998年『恋におちたシェイクスピア』(1998)でアカデミー賞主演女優賞やゴールデングローブ賞主演女優賞などを受賞した実力派女優だ。今作では大変重要な役どころを演じているが、冒頭であっという間に亡くなり、解剖までされてしまう。またミアーズ医師役のケイト・ウィンスレットは『タイタニック』(1997)のヒロイン、ローズ役で一躍世界中に注目された女優で、『愛を読むひと』(2008)ではアカデミー賞主演女優賞を受賞している。今作では袋の中での死体をケイトは熱演している。二大アカデミー女優に死体役を演じさせるとは、なんとも贅沢な女優の起用だ。
『コンテイジョン』の主題歌・挿入歌
挿入歌:マイケル・J・トーマス「アマンテ・デル・ヴィーノ」
ミッチがショッピングモールを訪れた時に流れる曲。
マイケル J トーマスは、「City Beat」(2010)でデビューしたサックス奏者。
シンガーとしての評価も高く、シングル「I Think About Amy」(2011)は大ヒットした。
挿入歌:U2「オール・アイ・ウォント・イズ・ユー」
ミッチがジュリーのために用意したパーティーで流れる曲。
1988年に発表され、『エンターテインメント・ウィークリー』誌の「50グレイテスト・ラヴ・ソング」で9位に選ばれた大ヒットソング。
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目次 - Contents
- 『コンテイジョン』の概要
- 『コンテイジョン』のあらすじ・ストーリー
- 最初の感染
- 調査開始
- ウイルスの正体とは
- 世界的大流行
- 恐怖の感染
- 国家の崩壊
- ワクチンの奪い合い
- ウイルスの克服
- 感染1日目の真実
- 『コンテイジョン』の登場人物・キャラクター
- エムホフ家の人々
- ベス・エムホフ(演:グウィネス・パルトロー)
- ミッチ・エムホフ(演:マット・デイモン)
- クラーク・エムホフ(演:グリフィン・ケイン)
- ジョリー・エムホフ(演:アンナ・ジャコビー・ヘロン)
- 医療関係者
- エリス・チーヴァー医師(演:ローレンス・フィッシュバーン)
- エリン・ミアーズ医師(演: ケイト・ウィンスレット)
- アリー・ヘクストール医師(演:ジェニファー・イーリー)
- レオノーラ・オランテス医師 (演: マリオン・コティヤール)
- その他の人物
- アラン・クラムウィディ(演:ジュード・ロウ)
- スン・フェン(演:チン・ハン)
- ライル・ハガティ(演: ブライアン・クランストン)
- オーブリー(演:サナ・レイサン)
- イアン・サッスマン博士(演:エリオット・グールド)
- 『コンテイジョン』の用語
- 媒介物
- R-O
- MEV-1ウイルス
- 『コンテイジョン』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- スン「英仏が治療薬を独占。我々は列の最後尾だ」
- 集団埋葬されるミアーズ医師
- チーヴァー医師「恐怖の要因はネットやテレビの噂」
- 『コンテイジョン』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- コロナ禍との驚くべき類似
- アカデミー女優が次々と死体に
- 『コンテイジョン』の主題歌・挿入歌
- 挿入歌:マイケル・J・トーマス「アマンテ・デル・ヴィーノ」
- 挿入歌:U2「オール・アイ・ウォント・イズ・ユー」