ボーン・スプレマシー(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ボーン・スプレマシー』とは『ボーンシリーズ』の2作目で、2004年に公開されたサスペンス・アクション映画。記憶を失くした元CIAトップ工作員ジェイソン・ボーンの2年後を描く。インドでマリーと暮らしていたボーンの元に暗殺者が現れ代わりにマリーが殺されてしまう。自分を追う理由を知るため動き出したボーンだが、ある事件の容疑者に仕立てられる。CIAの追跡をかわしながら自分を巡る陰謀の真相を探るボーン。トンネルの中のカーチェイスなど前作以上にスピード感あるスリリングなシーンの連続で観る者を魅了する。
『ボーン・スプレマシー』の概要
『ボーン・スプレマシー』とは、『ボーンシリーズ』の2作目で、2004年に公開されたサスペンス・アクション映画。原作はロバート・ラドラムの小説のシリーズ2作目『殺戮のオデッセイ』だが内容は小説とは異なっている。映画の『ボーンシリーズ』は全5作で、1作目は『ボーン・アイデンティティー』、2作目が今作、3作目以降は公開順に『ボーン・アルティメイタム』『ボーン・レガシー』『ジェイソン・ボーン』。シリーズのうち『ボーン・レガシー』のみ主人公が異なり、時系列で『ボーン・スプレマシー』と『ボーン・アルティメイタム』の間のスピンオフ的作品となっている。
監督は前作のダグ・リーマンから替わり、ポール・グリーングラスを新たに迎えた。グリーングラスは1972年の北アイルランドで起きた「血の日曜日」事件を描いた社会派ドラマ『ブラディ・サンデー』で、2002年ベルリン国際映画祭金熊賞の受賞歴がある。主人公ジェイソン・ボーンを『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』、『オデッセイ』、『フォードvsフェラーリ』などのマット・デイモン、ボーンの恋人マリーを『ラン・ローラ・ラン』のフランカ・ポテンテが続投。新たに『ザ・コンテンダー』のジョアン・アレン、『ロード・オブ・ザ・リングシリーズ』のカール・アーバンなどが出演。
今作では手持ちカメラを用いた撮影を行い、沢山の短いカットを繋ぐ編集をしており、前作以上にキレとスピード感、臨場感のあるシーンが満載。モスクワの町でのカーチェイスは大迫力でスリリングな展開の連続で観る者を引き込んでいく。マット・デイモンは前作に引き続き、カリやボクシングなどのトレーニングを受けて食事にも気を遣い、さらに鍛えた肉体でアクションシーンに挑んでいる。また、デイモンは今作では追われるだけでなく、追う者へと立場を変え、自らCIAに近づき陰謀の真相に迫っていく主人公ボーンを好演。タイトルの『スプレマシー』(supremacy)は、至高、至上、主権などを意味する。
CIAの元トップ工作員だったボーンは任務失敗が原因で記憶を失い、CIAに追われる身となった。ボーンを追っていたCIAの責任者コンクリンに「自分を追ったら殺す」と最後通牒を突きつけてから2年後、ボーンは恋人マリーと共にインドのゴアで生活していた。ボーンの記憶は完全には戻っておらず、断片的なシーンを夢に見るだけだったが、その記憶の欠片をノートに書きとめ、過去の新聞などから情報を集め続け、自分が何者かを知ろうとしていた。ある日、暗殺者がやってきたことに気づいたボーンはマリーと車で逃げるが、車内でマリーが射殺されてしまった。自分たちの痕跡をすべて消し、ボーンはなぜ自分を狙うのか知るため、CIAの情報を探ろうとする。
CIAではある事件の捜査を進めており、犯人が残したと思われる指紋がボーンのものと一致した。捜査責任者のパメラ・ランディはボーンを追う途中で、CIA幹部のワード・アボットの様子がおかしいことに気づく。ボーンもCIAの職員ニッキーからの情報で、アボットが自分に暗殺者を差し向けた人物だと探り当てる。アボットがCIAの金を石油王に横流しして自分も利益を得ていたこと、その罪をボーンに被せ、口封じとしてボーンを殺そうとしていたことがわかり、ボーンはアボットとの会話の録音テープをパメラに残した。パメラがアボットを問い詰めるため訪れた時、アボットは自殺。ボーンは最初の任務で、ロシアの政治家ネスキーとその妻を暗殺し、ネスキーを妻が殺し妻は自殺したように工作していたのだ。最初の任務の記憶を思い出したボーンはネスキーの娘の元へ行くためロシアに向かった。ロシアでは彼が生きていることを知った暗殺者やCIAから連絡を受けたロシア警察に追われるが振り切り、ボーンはネスキーの娘の家に行き、真実を話し、去っていった。
『ボーン・スプレマシー』のあらすじ・ストーリー
前作までのあらすじ
銃に撃たれ、マルセイユ沖を漂っていたところを漁船に救出された男。記憶を失っていたその男には、マイクロカプセルが埋め込まれており、スイスの銀行口座が示されていた。自分を知る唯一の手掛かりとなる銀行の貸金庫の中には、パリ在住のジェイソン・ボーン名義のアメリカのパスポートや彼の写真が貼られた複数のパスポート、拳銃などが入っていた。
CIAのコンクリンの元に、マルセイユ沖での暗殺任務に失敗した工作員ジェイソン・ボーンが生きていると連絡が入る。暗殺指令を隠蔽するため、コンクリンは直ちにボーン抹殺指令を下す。
アメリカ領事館に向かったボーンは、居合わせた女性マリーにお金を払って、車で自分の住所があるパリへ向かう。しかし行く先々で警察やCIA、暗殺者に狙われる。
行動を共にするうちに2人は惹かれ合うが、マリーまでもがCIAに手配されてしまう。マリーを危険から遠ざけようと、彼女と別れたボーンはコンクリンの元へ向かう。
コンクリンの元に着き、ボーンは自分のことを聞く。それによりボーンは、暗殺任務に失敗した時の記憶を取り戻す。ボーンはコンクリンに自分を追ってきたら殺すと告げ去る。
数か月後、自分の店を持ったマリーを捜し当てたボーンは店を訪れ、2人は再会を果たしたのだった。
マリーを殺されたボーンと陰謀の幕開け
ボーンはマリーと共に、インドのゴアで暮らしていた。
その頃ドイツのベルリンでは、パメラ・ランディが指揮するCIAの作戦が進行中だった。CIAの内部スパイの情報を買い取る作戦で、CIA本部のマーシャル次官が許可し実行に移った。
そこに密かに現れた男が、彼らの取引場所に爆弾を2つ仕掛ける。そのうちの1つに用意していた指紋をつけ、1つを爆発させてブレーカーを落とした。暗闇の中、男は買い手の情報員と売り手の両方を射殺し、大金と情報を記載したファイルを奪い去った。
男はロシアのペコス石油CEOグレツコフの元に赴き、奪ったファイルと大金を渡し、約束の金の一部を受け取った。「残りは仕事の後だ」と言うグレツコフに、男はボーンの所在を確認する。
インドのゴアでは、ボーンが町に出ていた。しかし、町にそぐわない高級車を見かけて警戒する。その車から降りてきた男が暗殺者だと感じたボーンは、その場から走り去った。
車から降りた男はCIAからファイルを奪った男であり、グレツコフから仕事を請けた男であった。男は店に入り、ボーンの写真を店主に見せボーンを探していた。
ボーンは停めていた車に急いで戻り、買出しに来ていたマリーを探す。マリーを見つけ、クラクションを鳴らして急いで車に乗せる。ボーンを探しに来ていた男は、そのクラクションの音で振り向き、ボーンと目を合わせてしまう。
ボーンはすぐに車で逃げるが、男もすぐ車に乗って追いかけてくる。ボーンは銃を取り出そうとマリーに運転を任せる。しかし男はボーンの進路を先読みし、運転席を狙撃する。狙撃が命中したボーンの車は、川に落ちてしまう。
ボーンは必死に車の中からマリーを出して人工呼吸をしたが、マリーは既に息絶えていた。悲痛な思いでボーンはその場を離れていった。
暗殺者の男は、誰も浮かび上がってこないことを確認してから去った。その後、暗殺者はグレツコフにボーン暗殺成功の報告をして、残りの金を受け取っていた。
その頃ベルリンの取引を指揮していたパメラは、現場に残されていた爆発物から採取した指紋が、最高機密の「トレッドストーン」の関係者だと知る。彼女は「トレッドストーン」を調べるため、アメリカのCIA本部に戻った。
インドのゴアでは、川から車が引き上げられる様子をボーンが涙をためながら見ていた。ボーンは家に戻り全ての思い出を焼いた後、イタリアのナポリに向かった。
濡れ衣を着せられたボーンはCIAの情報を探る
CIA本部に戻ったパメラは、作戦失敗をマーシャルから責められていた。しかし彼女は指紋を得られたと伝え、「トレッドストーン」について尋ねる。マーシャルは詳細な報告と引き換えに、最高機密である「トレッドストーン」の情報を渡す。
これによりパメラは、採取された指紋がジェイソン・ボーンのものだと掴む。早速パメラはこの作戦の関係者であるアボットに会い、「トレッドストーン」について聞くが、アボットは話すことを拒否する。しかしパメラは、ベルリンの事件の犯人はボーンだと告げた。
一方、ボーンはジェイソン・ボーン名義のパスポートを用いて、イタリアのナポリに入国していた。CIAはすぐにボーンがナポリに現れた事を掴む。
パメラは会議で7年前に起こった、CIAのお金が消失した事件について報告していた。ロシアの政治家ネスキーから、犯人はCIA内部のスパイだと電話があった。しかし直接会って話を聞く前にネスキーは彼の妻に殺されたのだ。
そして今から1か月前に、ネスキー殺しに関するファイルをベルリンで渡すと情報提供があったが、その情報提供者を殺したのがジェイソン・ボーンだとパメラは話した。
そこにナポリでボーンを拘束したという報告が来た。CIA本部はボーンを尋問していた領事館職員兼CIA調査官のネビンスに電話し、どんなことをしてでも彼を勾留しておくように命令する。
CIA本部からの電話を切ったネビンスが銃を取り出すと、ボーンはすぐさまネビンスと見張りの警官を倒し、ネビンスの銃を奪った。
ボーンは彼らが気を失っている間に、ネビンスの携帯電話の情報をコピーし、別の携帯電話で通話の内容を聞けるように細工をした。
奪った車のナンバープレートを変え、逃げたボーンはネビンスにかかってきたパメラからの電話を盗聴し、パメラ・ランディという名前や自分がベルリンで2名殺害した危険人物になっている事を知る。パメラはベルリンに戻ると言っていたため、ボーンもベルリンに向かった。
パメラはベルリンに向かう前にオランダのアムステルダムに寄り、「トレッドストーン」工作員の健康チェック等を担当していたニッキーも来るように言う。
記憶を辿って自分を追う理由を探るボーン
その頃、ドイツのミュンヘンのある家に男が帰って来た。家に入った男は警報装置を触り、キッチンの冷蔵庫を開けようとする。そこに侵入していたボーンが、銃口を向けると男も冷蔵庫から銃を取り出してボーンに銃口を向けた。
「弾は抜いた」と言うボーンは、男に自分の手を自分で拘束するよう拘束具を渡す。ボーンはコンクリンを捜すためにここに来たのだが、男はコンクリンが死んで「トレッドストーン」は終わったこと、残ったのは自分たちだけだということを伝える。
終わったのになぜ自分を追うのか男に訊くボーンだが、男は「俺は知らない」と言う。ボーンが自分を殺しに来たわけではないことを知り、男は「すまなかった」と既に通報していたことを伝える。男は室内に入った瞬間、誰かが侵入したことに気づき警報装置を作動させていたのだ。
その後、男はボーンの隙を見て襲い掛かるが、ボーンの返り討ちにあい死亡する。すぐにボーンはガス管をひねり、トースターに雑誌を入れタイマーをセットして外に出る。CIA職員が駆け付けてきたが、その時トースターで焼かれて火が付いた雑誌にガスが引火し爆発が起き、ボーンはその間に逃走した。
CIAの指揮官パメラに接触し、ニッキーを寄越すよう連絡するボーン
ベルリンに着いたボーンは、公衆電話でベルリンにあるホテルに目星をつけて電話をかけ、パメラの宿泊先を突き止める。
ボーンはそのホテルに行き、フロントでパメラを呼び内線電話を繋いでもらうところを見て、彼女の部屋番号を確認する。ボーンは彼女を尾行して、ベルリンの指揮所に入るのを見届けると、指揮所の窓が見える向かいのビルの屋上に出る。そしてライフルで彼女の様子を捉えながら、パメラの携帯電話に電話をした。
ボーンは電話でトレッドストーンのことやなぜ自分を追うのかを訊く。パメラはベルリンの事件のことを覚えていないのか訊く。ボーンの脳裏には、ベルリンの標識やネスキーという声が浮かび上がった。
ボーンは「出頭したい」と言うと、「どうやって」とパメラが返答した。ボーンはパリで仲間だった女性を呼べと言う。そして「アレクサンダー通り。世界時計の下。一人で来させろ」と言うボーンに「彼女を捜さないと」とパメラが答える。ボーンは「簡単だ。君の横にいる」と言って電話を切った。パメラとニッキーは、自分たちを今見ているのかと驚いて窓の外を見る。
自分を追う理由や最初の任務についてニッキーに問うボーン
指定された場所に立つニッキー。周辺には多数の監視チームが配置され、指揮所では周辺の防犯カメラ映像から彼らに指示を出していた。そこにボーンから電話があり、ニッキーに「市電に乗れ」という指示が出る。ニッキーは市電に乗るが、CIAはボーンを発見できない。
監視チームは市電では警護不可と判断し、ニッキーを市電から降ろそうとするが、ボーンが先にニッキーを連れ出した。監視チームはニッキーを見失うが、彼女に付けられた隠しマイクからボーンとニッキーの会話が聞こえてきた。ボーンはニッキーを連れて地下に入る。
そこでボーンは、矢継早にニッキーに質問した。ニッキーは怯えながら質問に回答していく。ボーンは「最初の任務はベルリンだった」とニッキーに言うが、彼女は「違う。ジュネーブよ。ベルリンは記録にない」と答えた。
ボーンの記憶として残っているのはネスキー暗殺任務だったが、ニッキーに違うと言われボーンは激しく動揺した。そして彼女をその場に残したまま立ち去っていった。
自分の関与を隠すために部下を殺すアボット
指揮所では姿を消したボーンとニッキーを探していた。アボットはその姿を見て、「ボーンは自分たちが盗聴していたことを知っていたから自分はやっていないと言っている。彼はその時ベルリンにいた」と声を荒げて主張する。
イラつき疲れた様子のアボットのそばに、元コンクリンの部下で現在はアボットの部下のダニーが近づき、「見せたい物がある」と連れ出す。その様子をパメラは見ていた。
ダニーは内部スパイ情報の取引現場のビルで、指紋が残っていた爆発物が仕掛けられていた場所にアボットを連れて来た。ダニーはその現場に不審なところがあると、アボットに報告する。
そしてダニーは、誰かがコンクリンとボーンに罪をなすりつけようとしており、ボーンは関係ないのではないかと考えを伝えた。それを聞いたアボットは、ダニーを殺害しその場を去った。
その頃ボーンはネットカフェで、ネスキーについて調べていた。ネスキーは宿泊先のドイツのホテル・ブレッカーで妻に射殺され、その妻も自殺していた。その記事を読み、ボーンはコンクリンから「これは本物の任務だ」と言われ、ネスキーを暗殺した記憶を思い出した。
ボーンはホテル・ブレッカーに赴き、ホテルを見て回る内に次々に記憶が蘇ってくる。しかしボーンはすぐに手配書の顔だとして通報され、警察に追跡されるが逃走に成功する。
追い詰められて自死を選んだアボット
パメラは、ホテル・ブレッカーの645号室に行き、なぜボーンはここに来たのか考えていた。そこに警察からダニーの遺体が見つかったと報告を受け、パメラはアボットのところに行き、直接話を聞くことにする。
アボットはグレツコフに電話で、ボーンを殺せと依頼するがグレツコフは無視して電話を切った。絶望したアボットは電話を切られた直後に、後ろから気配を感じる。ボーンがアボットの部屋に潜み、電話のやりとりを聞いていたのだ。
アボットは「早く殺せ」と迫るが、ボーンは「マリーが嫌がるから生かしておく」と言い、電話と自分たちの会話を録音したレコーダーを置いて去っていった。
その後パメラがアボットの部屋を訪れる。酒を飲んでいたアボットは部屋に入ってきた彼女に銃を向け、ダニーを殺した事を認める。どうするつもりかパメラは問うと、アボットは彼女に向けていた銃で自らの命を絶ったのだった。
暗殺者とのカーチェイス
ベルリンの指揮所では各地の監視カメラから、ロシアのモスクワ行きの電車に乗るボーンを発見した。パメラはアボットの部屋に残された録音を聞き、事件の詳細を知る。ボーン発見の報告を受けたパメラは、ロシア内務省に連絡しボーンを手配した。
モスクワでは、暗殺者がグレツコフから呼び出され、ボーンが生きていたことを告げられる。ボーン暗殺依頼を最後まで遂行するよう促されたのだ。
モスクワに到着したボーンは、ネスキーの娘の家にタクシーで向かうが、そこにネスキーの娘はいなかった。近所の人から引越し先を聞きだそうとした時、タクシーが走り去った。ロシア警察がボーンの乗ったタクシーを特定し、運転手に連絡したのだ。
ボーンはタクシーが走り去ったことで見つかったことを知り、その場から逃走する。しかし町を歩いて逃げるボーンの姿を、警察車両に乗った暗殺者が見つけてしまう。
暗殺者が撃った弾はボーンの左肩に命中したが、銃撃を見た警官たちが暗殺者を拘束する。暗殺者は身分証を警官たちに見せると解放されたが、その間にボーンを見失う。
肩から血を流しながら徒歩で逃げるボーンは、途中警官に見つかるが、その警官をすぐに倒した。そしてすぐそばに停まっていたタクシーを盗んで逃げる。
騒ぎを聞きつけた暗殺者は、倒れている警官の無線機を持って車で追った。モスクワの街中を多数のパトカーで追うがなかなかボーンを捕まえることができず、警察はFSB(ロシア連邦保安庁)に応援を頼む。
激しいカーチェイスを繰り広げ、ボーンの車はトンネルに入る。暗殺者もボーンの車を追い、運転しながらボーンを銃撃する。
ボーンは暗殺者の車のタイヤを銃でパンクさせ、自分の車で暗殺者の車を押しながら分離帯にぶつけた。暗殺者の車は大破し、暗殺者は頭から血を流しながらもまだ生きていた。タクシーから降りたボーンは暗殺者に止めを刺すことはせず、その場を歩いて立ち去って行った。
ボーンの本名
グレツコフはパメラからの情報でロシア警察に逮捕された。
ネスキーの娘が自分のアパートに帰ると、家の中には傷を負ったボーンがいた。ボーンを強盗と勘違いした彼女を落ち着かせ、彼女の両親の死について話し始める。最後に涙を流す彼女に、「すまない」と謝罪してボーンは去って行った。
ニューヨークのオフィスにいたパメラに、ボーンから電話が掛かってきた。パメラはボーンにデビッド・ウェッブという彼の本名と、ミズーリ州ニクサで1971年4月15日に生まれたことを教える。
「話に来ない?」と言うパメラに、ボーンは「少し休め。疲れた顔をしている」と言って電話を切った。それを聞いたパメラは驚いて窓の外を見る。ボーンはニューヨークの町を歩き去っていった。
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目次 - Contents
- 『ボーン・スプレマシー』の概要
- 『ボーン・スプレマシー』のあらすじ・ストーリー
- 前作までのあらすじ
- マリーを殺されたボーンと陰謀の幕開け
- 濡れ衣を着せられたボーンはCIAの情報を探る
- 記憶を辿って自分を追う理由を探るボーン
- CIAの指揮官パメラに接触し、ニッキーを寄越すよう連絡するボーン
- 自分を追う理由や最初の任務についてニッキーに問うボーン
- 自分の関与を隠すために部下を殺すアボット
- 追い詰められて自死を選んだアボット
- 暗殺者とのカーチェイス
- ボーンの本名
- 『ボーン・スプレマシー』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- ジェイソン・ボーン(演:マット・デイモン)
- ヒロイン
- マリー・クルーツ(演:フランカ・ポテンテ)
- CIA関係
- パメラ・ランディ(演:ジョアン・アレン)
- ワード・アボット(演:ブライアン・コックス)
- マーティン・マーシャル(演:トーマス・アラナ)
- トム・クローニン(演:トム・ギャロップ)
- ダニー・ゾーン(演:ガブリエル・マン)
- ニッキー・パーソンズ(演:ジュリア・スタイルズ)
- テディ(演:ジョン・ベッドフォード・ロイド)
- キム(演:ミシェル・モナハン)
- ジョン・ネビンス(演:ティム・グリフィン)
- アレクサンダー・コンクリン(演:クリス・クーパー)
- ジャーダ(演:マートン・チョーカシュ)
- ロシア関係
- キリル(演:カール・アーバン)
- ユーリ・グレツコフ(演:カレル・ローデン)
- ウラジーミル・ネスキー(演:エブゲニー・シトーチン)
- イレーナ・ネスキー(演:オクサナ・アキンシナ)
- 『ボーン・スプレマシー』の用語
- CIA(中央情報局)
- 工作員
- トレッドストーン(踏み石作戦)
- FSB(ロシア連邦保安庁)
- 『ボーン・スプレマシー』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ボーン「いいことは忘れない。君とのことは」
- ニッキー「彼らはドジをしないし、思いつきもない。常に狙いがある」
- ジャーダとの格闘
- ボーン「簡単だ。君の横にいる」
- ボーン「マリーが嫌がるから生かしておく」
- モスクワでのカーチェイス
- 『ボーン・スプレマシー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 暗殺者キリル役のカール・アーバンは、セリフより行動で語る役に魅力を感じオファーを快諾した
- インドの撮影では望遠による隠し撮りが多く行われた結果、映像中の緊張感を増すことに繋がった
- ボーン役のマット・デイモンに殴られたネビンス役のティム・グリフィンは本当に気絶していた
- ニッキーの生年月日はニッキー役のジュリア・スタイルズの生年月日と同じだった
- 『ボーン・スプレマシー』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:モービー『エクストリーム・ウェイズ』