呪怨 -ザ・ファイナル-(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『呪怨 -ザ・ファイナル-』とは日本を代表するホラー映画『呪怨』シリーズの完結編である。監督は落合正幸。キャッチコピーは「最恐が、終わる。」。
それまでの『呪怨』シリーズが1作ごとに独立していたのに対し、今作は『呪怨 終わりの始まり』の続編となっており、失踪した妹の行方を追う女性と不気味な少年を引き取った母子が様々な心霊現象に襲われていく。
2015年6月20公開。全国144スクリーンで上映され、映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第7位であった。
『呪怨 -ザ・ファイナル-』の概要
『呪怨 -ザ・ファイナル-』とは日本を代表するホラー映画シリーズの完結編である。『呪怨』シリーズは日本のみならず諸外国でもヒットし、2004年と2006年、2009年にはハリウッド版リメイク『The Grudge』、『The Grudge2』、『The Grudge3』が製作された。また2009年夏にはWii用ゲームソフト『恐怖体感 呪怨』が発売された。
『呪怨』、『呪怨2』、『呪怨 終わりの始まり』が独立した内容で単品でも鑑賞できる作品であるのに対し、今作は『呪怨 終わりの始まり』の続編となっている。そして今作もまたオムニバス形式で話は展開していく。
前作の主人公である生野結衣(演:佐々木希)の姉・生野麻衣(演:平愛梨)が、失踪した妹の行方を探すうちに様々な恐ろしい心霊体験に巻き込まれていくという内容だ。また、それまで存在すら知らなかった従弟の俊雄(演:小林颯)と急に同居することになった女子高生・玲央(演:おのののか)視点でも話が進んでいく。彼女たちが遭遇する心霊現象の描写は、今作でも変わらず生々しく恐ろしいものとなっている。
また、「呪怨」という言葉の意味は映画冒頭にて「つよい恨みを抱いて死んだモノの呪い。 それは、死んだモノが生前に接していた場所に蓄積され、『業』となる。 その呪いに触れたモノは命を失い、新たな呪いが生まれる」と説明されるが、今作ではその呪いが蓄積された家が解体されて更地となってしまっている。
訪れた者全てに死、もしくは失踪という結末をもたらしてきた家そのものがなくなり、その家に巣食っていた伽椰子(かやこ)と俊雄の霊は果たしてどうなってしまったのかという点も見どころの1つである。
『呪怨 -ザ・ファイナル-』のあらすじ・ストーリー
麻衣
ホテルの客室係として働く生野麻衣(演:平愛梨)は、ある晩、妹の結衣(演:佐々木希)が不気味な少年・俊雄(演:小林颯)を伴って訪れた夢を見た。その翌日、仕事中に俊雄の幻覚を見た矢先に妹の結衣が失踪したという知らせを受ける。
麻衣と同棲中の恋人・北村奏太(演:桐山漣)は駅員として働いているが、時折心霊現象を経験するほどに霊感が強い。彼が帰宅した時、麻衣に失踪した結衣から届いたという謎のメッセージを聞かされる。それは「あ゛あ゛あ゛あ゛」としか表現しえないような不気味な呻き声だった。
玲央
玲央は父を亡くし、母(演:中原果南)と二人暮らしをしている女子高生。ある日突然、それまで存在すら知らなかった従弟の俊雄を家に引き取ることになる。友人の碧(演:柳ゆり菜)は突然弟ができる玲央に揶揄いの言葉をかけるが、碧本人は10年前に姉・弥生(演:黒島結菜)が突如失踪したという過去を持っていた。口をきかず、部屋に引きこもっている俊雄に玲央は戸惑うが、母から俊雄は母親を亡くしたばかりであると知らされる。父の仏壇にお供えをして参る玲央だったが、供えられた白米はみるみるうちに黴ていき、背後には謎の女の手が迫っていた。
麻衣の元に結衣が小学校に置いていた私物が届く。そして麻衣は学級写真の中に夢で見た少年とそっくりな佐伯俊雄という少年を見つける。
絵菜
玲央の自宅の近所にある病院に入院している絵菜(演:RIMI)。彼女の趣味は玲央の家を観察することだった。そんな彼女は俊雄が気絶している間、彼にそっくりな白い少年が、家の中を動き回るところを目撃する。
一方、「俊雄君がついてくる。離れないの」と言う結衣の幻覚を見る麻衣。自宅ではシャワー中に頭を謎の手に鷲掴みにされる。奏太は結衣の所持品の中にあった佐伯伽椰子(演:最所美咲)という女性の日記を見るが、その異様さに即座にその日記をゴミに出す。
まどか
玲央は友人の碧とまどか(演:松浦雅)に泊りがけで遊びに来るように誘う。玲央の自宅では、最近、冷蔵庫の中の野菜が急激に腐敗するなどの異変が生じていた。玲央とまどかが中座して碧が部屋に1人になったとき、飾ってあった写真立てが勝手に動き出して落ちてしまう。それを拾った碧が見た写真の中の玲央とその母の表情は異様なものに変化していた。碧が怯えているところに戻ってきた玲央とまどか。そしていつの間にか部屋にいた俊雄。まどかは俊雄を見て「可愛い」と言って色々と話しかけるが、玲央は俊雄が初めて口を開いて自己紹介をしたことに驚き、碧は俊雄の気配の無さに不気味なものを感じていた。
一方、奏太は夜中に目が覚めた時に隣に麻衣が居ないことに気付く。その麻衣は机に向かって不気味なハミングを口ずさみながら、渦巻き模様を描いていた。驚いて声をかけた奏太に「ごめん、寝てた」と答える麻衣だが、奏太は捨てたはずの伽椰子の日記が戻ってきていることに驚く。
俊雄
俊雄の目の前で飼い猫のマーを電子レンジで焼き殺した父(演:緋田康人)がそのまま包丁を構えて俊雄に近づいてくる。その時、俊雄の中から白い俊雄が現れて「ニャーッ!」と叫んだのだった。
場面は一転して、俊雄は自分を引き取ってくれた叔母に連れられて彼女の家に入っていく。そんな彼の隣にはひっそりと伽椰子の霊も憑いてきていたのである。
麻衣は結衣の手がかりを得るために佐伯家を訪ねるが、その佐伯家は取り壊されて更地の売地になっていた。そこで麻衣は不動産業者の竹田(演:袴田吉彦)と出会う。彼の妻と義妹もまた、ただ佐伯家に入っただけなのに謎の死を遂げていた。何らかの事情を知っていそうな竹田に麻衣は俊雄の行方を尋ねるが、彼は「何も知らない方がいい」と答える。「家は壊し、恨みは消滅した。起きてしまったことは諦めるしかない」と告げる竹田。麻衣は竹田の言葉に到底納得などできず、俊雄の行方を捜すのだった。
絵菜は今日も玲央の家を観察していたが、とうとう謎の白い少年と目が合ってしまう。
一方、奏太は終電が過ぎても駅に立ちすくむ女性に声をかける。出口まで送るために先導する奏太だったが、その女性はぶつぶつと何事かを呟いている。聞き取れたその言葉は「こどもがほしい」。伽椰子が日記に何度も何度も書いていた言葉だった。驚き振り向く奏太だったが、そこには誰も居なかった。
碧
俊雄のことを変わった子と評する碧と可愛かったというまどか。玲央が俊雄のことを何も知らされていないということで、俊雄の事を調べてみるとまどかが申し出るが、碧はそんなことはしないように忠告して立ち去る。
1人でカラオケで熱唱する碧だったが、画面が突如乱れ始めてしまう。店員に確認をお願いしてからトイレへ行って戻ってきた碧が見たのは、10年前に失踪した当時そのままの姿の姉・弥生だった。懐かしさのあまり姉に駆け寄る碧だったが、不気味な笑みを浮かべる弥生と、いつの間にか現れていた白い少年に殺されてしまう。
不審に思って部屋を覗いた店員は、天井に頭を突っ込み、ぶらさがった状態の碧の死体を発見して悲鳴を上げるのだった。
一方、ファミレスでイカ墨パスタを食べながら俊雄の事を調べていたまどかは、佐伯家の事件について書かれた記事を発見し玲央にスマホで詳細を送る。そんなまどかは辿り着いた真相に興奮して、パスタがいつの間にか髪の毛に変化し、皿の中から自分を見つめる目にも気づいていなかった。
テーブルの下に猫がいることに気付いたまどかは、覗き込んだ先に白い少年がいることに驚いて飛びのく。気づけばファミレス内は無人になっており、静まり返っていた。人を呼ぶまどかだったが、徐々に体が黒ずみ始め、プスプスと煙を上げながら炭化して死亡する。
ぐったりとした女子高生を発見したファミレス店員(演:HIKAKIN)が声をかけようと近づくが、その少女が焼死していることに気付き驚きへたりこむのだった。
まどかに知らされた佐伯家の事件の内容に驚愕する玲央。俊雄の部屋に向かった玲央は、気絶したようにぐったりする彼を見つける。驚き駆け寄る玲央にずしり、と何かがのしかかる。振り向いて見たそれは真っ白い俊雄だった。悲鳴を上げて逃げ出した玲央は階段を転がり落ちてしまう。玲央と慌てて駆け寄った母が目撃したのは、階段を這いおりてくる伽椰子の霊の姿だった。
ダイニングに飛び込み、ドアをテーブルで塞いで立てこもる玲央と母。長い間兄一家と交流せず、生まれた事すら知らなかった俊雄のことを可哀想と言う理由だけで引き取った母を玲央は責める。自分は伯父さんが伯母さんを殺したことを知っている、このままここで死ぬのかとパニックになる玲央。家から逃げようと母に縋り付いたが、母は「帰るところが無くなればあの子は消える」と包丁を手に取り、俊雄を殺すことを決意する。しかし、そんな母の首は伽椰子の霊にぽっきりと折られ、そのまま母は死んでしまう。玲央も包丁を持って俊雄のところへ向かうが、伽椰子の霊にサバ折にされて死んでしまった。
奏太
麻衣は俊雄が引き取られた家を訪れるが、全く応答がなかったため立ち去る。その直後に訪れた奏太は、玲央の家を見下ろしている絵菜に気付く。絵菜の元へ訪れ「知っていることがあったら教えてくれ」と頼む奏太。絵菜の肩を掴んだ奏太の頭の中に絵菜の記憶が流れ込んでくる。ある晩、絵菜のところに黒猫を抱いた白い少年が訪れた。絵菜は彼に対して怯えることなく言葉を交わす。「死んでるのね、あなたも。マーも」と語る絵菜は自分ももうすぐ死ぬから、死んでも仲良くしてねと約束したのだった。
玲央の家に上がり込んだ奏太が見つけたのは、ぐったりした俊雄の姿だった。駆け寄った奏太の首を絞める俊雄に抵抗するうちに、奏太も俊雄の首を絞めてしまう。
麻衣はホテルで仕事中に奏太の姿を見かける。彼を追いかけた麻衣は、エレベーター内にみっしりと立ち並び「にゃーっ!」と叫ぶ白い少年たちの幻覚を見る。
自宅に逃げ戻った奏太は、俊雄の首を絞めた感触に恐怖を覚えていた。さらに捨てたはずの伽椰子の日記が戻ってきていることに気付き、今度こそ消し去るためにガスコンロで日記を燃やす。その時、玄関のドアが執拗にノックされ、郵便受けから忍び込んできた伽椰子の霊によって奏太も殺されてしまった。
仕事中に見た幻覚に不安を覚えて帰宅した麻衣は、変わり果てた奏太の姿を発見する。
伽椰子
麻衣は繰り返される惨劇を止めるために玲央の家に向かう。鍵の開いた家に上がり込んだ麻衣が出会ったのは、死んだはずの玲央と玲央の母だった。佐伯俊雄の行方について尋ねる麻衣に、彼女たちが俊雄だと言って紹介したのは絵菜。3人のあまりにも不気味な様子に後ずさる麻衣の前で、絵菜の姿が俊雄へと変貌していく。逃げようとする麻衣の後ろから伽椰子の霊が追いすがる。そしていつの間にか麻衣の足元に居た結衣。思わぬ再会に驚愕する麻衣だったが、結衣の姿は徐々に伽椰子に変わっていく。
そして玲央の家が新たな呪いの家になったのだった。
『呪怨 -ザ・ファイナル-』の登場人物・キャラクター
主要キャラクター
生野麻衣(しょうのまい/演:平愛梨)
ホテルの客室係として働いている。妹の結衣がトシオという少年と訪ねてきた夢を見た直後に結衣の失踪を知らされる。結衣が失踪した謎を追ううちに数々の心霊現象に襲われるようになった。妹が遺した日誌から佐伯俊雄の存在を知り、彼の家を訪れたがそこは既に更地になっていた。佐伯俊雄の行方を捜すうちに恋人の奏太も謎の死を遂げ、ようやく見つけた俊雄の引き取り先である玲央の家で変わり果てた結衣との再会を果たす。
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目次 - Contents
- 『呪怨 -ザ・ファイナル-』の概要
- 『呪怨 -ザ・ファイナル-』のあらすじ・ストーリー
- 麻衣
- 玲央
- 絵菜
- まどか
- 俊雄
- 碧
- 奏太
- 伽椰子
- 『呪怨 -ザ・ファイナル-』の登場人物・キャラクター
- 主要キャラクター
- 生野麻衣(しょうのまい/演:平愛梨)
- 北村奏太(きたむらそうた/演:桐山漣)
- 玲央(れお/演:おのののか)
- 佐伯家の人間
- 佐伯俊雄(さえきとしお/演:小林颯)
- 佐伯伽椰子(さえきかやこ/演:最所美咲)
- 佐伯剛雄(さえきたけお/演:緋田康人)
- その他の登場キャラクター
- 碧(みどり/演:柳ゆり菜)
- まどか(演:松浦雅)
- 生野結衣(しょうのゆい/演:佐々木希)
- 竹田京介(たけだきょうすけ/演:袴田吉彦)
- 弥生(やよい/演:黒島結菜)
- ファミレス店員(演:HIKAKIN)
- 絵菜(えな/演:RIMI)
- 玲央の母(演:中原果南)
- 『呪怨 -ザ・ファイナル-』の用語
- 呪怨
- 伽椰子の日記
- 『呪怨 -ザ・ファイナル-』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 竹田「この家さえなくなれば呪いは断ち切られる」
- 絵菜「私が死んでも一緒に遊んでね」
- 結衣「止められない。終わりはないの」
- 『呪怨 -ザ・ファイナル-』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 俊雄の設定が初期設定から大幅に変更
- 取り壊された呪いの家
- HIKAKINの銀幕デビュー作
- 『呪怨 -ザ・ファイナル-』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:DOUBLE「Circle of Life」