サウンド・オブ・ミュージック(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『サウンド・オブ・ミュージック』とは、ブロードウェイミュージカルを原作に、1965年にアメリカ合衆国で制作されたミュージカル映画の金字塔。オーストリアからアメリカへ亡命して合唱団を結成したトラップ一家の実話が基になっている。退役海軍トラップ大佐の7人の子供達の家庭教師となったマリアが、持ち前の明るさと優しい歌声で子供達の心を開いていく。雄大なアルプスの風景とナチスドイツの脅威に立ち向かう勇気、そして家族愛が描かれ、アカデミー作品賞、監督賞、録音賞、編集賞、編曲賞の5部門に輝いた。

『サウンド・オブ・ミュージック』の概要

『サウンド・オブ・ミュージック』とは、ブロードウェイミュージカルを原作に、1965年にアメリカ合衆国で制作されたミュージカル映画の金字塔。オーストリアからアメリカへ亡命して合唱団を結成したトラップ一家の実話が基になっている。ブロードウェイミュージカルはマリア・フォン・トラップの自叙伝『トラップ・ファミリー合唱団物語』を原作としている。

1930年代、オーストリアのザルツブルク。修道院に住むマリアは明るくて歌が好きな見習い修道女。彼女はある日、修道院長からトラップ大佐の7人の子供達の家庭教師になるように告げられ、不安を胸に抱えながらトラップ大佐の屋敷に向かっていく。今まで11人の家庭教師が手を焼いていた子供達にいたずらをされながらも、ある雷雨の日にマリアは子供達と心を通わせる。マリアは厳しい規律に縛られていた子供達に遊びと歌を教え、笑顔を取り戻させていく。そして、初めはマリアのやり方に反発していたトラップ大佐も心を開いていく。
やがてマリアはトラップ大佐と恋に落ち、結ばれる。しかし、幸せな日々を送る一家にナチスドイツと戦争の脅威が忍び寄ってくるのであった。

明るく歌が好きな修道女見習マリアを演じるのは1964年の映画『メリー・ポピンズ』でアカデミー主演女優賞を受賞したジュリー・アンドリュース。厳格な退役海軍大佐ゲオルグ・フォン・トラップを演じるのは2011年の映画『人生はビギナーズ』でアカデミー助演男優賞を受賞したクリストファー・プラマー。
1961年のミュージカル映画『ウェスト・サイド物語』でアカデミー作品賞と監督賞を受賞したロバート・ワイズが監督を務めた。
第38回アカデミー賞で録音賞、編曲賞、編集賞、ロバート・ワイズが監督賞と作品賞を受賞した。

『サウンド・オブ・ミュージック』のあらすじ・ストーリー

歌が大好きなマリア

1930年代のオーストリア・ザルツブルク、最後の黄金時代。

見習い修道女マリアは自然あふれる高原で高らかに歌い踊っていた。歌うことが大好きな彼女は歌いたいという気持ちを抑えることができず、今日もまた高原にやって来たのだ。
歌い終えた彼女は遠くから聞こえてきた鐘の音を耳にして、大慌てで修道院へ戻っていった。

修道院では修道院長やシスター達が、マリアはお転婆で自由奔放な性格であるので修道院での生活が合わないと考えていた。修道院長とシスター達がマリアのことについて話していた最中、高原で歌い終えたマリア本人が大慌てで戻ってきた。

院長に会うことになったマリアは修道院の中で歌ったことを謝罪した。
そして、高原に行ってしまったことも院長に謝った。歌うことが好きであるマリアの気持ちを考えた院長は家庭教師としてトラップ家に行くように勧める。
大佐には7人の子供達がいることを教えられたマリアは驚く。

院長はマリアに、トラップ大佐が妻を亡くして以来、子供達の家庭教師が長続きしないことを伝える。
修道院に残りたいと願うマリアであったが、神の導きと考えて院長に言われるとおり家庭教師となった。

トラップ大佐の屋敷へ

修道院を出たマリアはカバンとギターを持ってトラップ大佐と7人の子供達が住む屋敷へと向かっていく。
不安を抱きながら屋敷の呼び鈴を鳴らすと、執事フランツが出迎えた。しかし、マリアは出迎えたフランツをトラップ大佐と勘違いしてしまう。

トラップ大佐と対面したマリアは「子供達を紹介する」と言われる。笛を吹いて子供達を呼び出した大佐はマリアに対して、子供達に規律正しい生活を送らせることを命じる。
リーズル、フリードリッヒ、ルイーザ、クルト、ブリギッタ、マルタ、グレーテルと順番に子供達の自己紹介を受けたマリアは、早速スカートのポケットにカエルを入れられるという子供達なりの歓迎を受けた。

トラップ家の家政婦シュミット夫人から部屋に案内されたマリアは、トラップ家の事情を聞かされる。大佐は妻を亡くして以来、子供達に厳しい規律だけを教えており、屋敷は軍艦のようになってしまったという。シュミット夫人は「トラップ家の子供達は行進し、遊ぶことも歌うこともしなくなってしまった」と嘆いた。

夕食の席に来たマリアはイスに座った時に思わず叫ぶ。イスの上に松ぼっくりが置かれていたからだ。
夕食の途中でリーズルは席を外し、電報を届けてきたロルフに会いに行く。リーズルとロルフは恋人同士であった。お互いの愛を確かめ合い、最後にはキスを交わした。
しかし、門限が過ぎてしまったためにリーズルは屋敷に戻ることができなくなってしまう。

子供達と打ち解けていくマリア

ロルフと会っていたことで屋敷から閉め出されたリーズルだったが、マリアの部屋の窓からそっと入ってきた。リーズルは「初めは家庭教師なんて必要ないと思っていたけれども、考えが変わって、今は必要だと思う」と言った。外は雷が鳴り、雨が降っている。雷を怖がる弟や妹達もマリアの部屋にやって来た。部屋にやって来た子供達に対してマリアは、哀しい時やつらい時には楽しいことを考えることを教える。
リーズルやクルト達は自分が好きなものや楽しいことを次から次に挙げていく。マリアは子供達とすっかり打ち解けていったが、就寝時間を守らなかったことをトラップ大佐に厳しく注意されてしまう。

次の日、トラップ大佐がウィーンへ向かった後、マリアは子供達に不要になったカーテンで作った遊び着を着せる。山に出掛けていったマリアは子供達に、どうしていたずらをするのかと聞く。子供達がいたずらをしたり悪さをしたりするのは「父親であるトラップ大佐の気を引きたいからだ」と答える。
子供達の答えを聞いたマリアは歌うことでトラップ大佐の気を引こうと考える。母親を亡くして以来、音楽を忘れていた子供達にマリアはギターを弾きながら歌を教えていく。

数日後、トラップ大佐は婚約者エルザ・シュレーダー男爵夫人と共通の友人マックス・デトワイラーを連れてウィーンから戻ってきた。木登りをしたりボートに乗ったりしていたのが自分の子供達だと知った大佐は怒りをあらわにする。

マリアはトラップ大佐に「子供達のことをわかっていない。子供達は父親である大佐を怖れ、そして愛している」と伝える。しかし、子供達のことについて余計な口出しをされたと感じた大佐はマリアに、「すぐに荷物をまとめて出て行くように」と言うのであった。

心を和ませていくトラップ大佐

自分の子供達のことを何もわかっていないとマリアに言われたトラップ大佐だが、屋敷の中から歌声が聞こえてきて、自分の子供達が歌っていることをマリアから聞く。
シュレーダー男爵夫人を歓迎する歌をマリアは子供達に教えていたのだ。
歌声に導かれるように屋敷の中に入っていった大佐は歌う子供達を目にする。そして子供達に合わせるかのように自身も歌い始めた。

歌い終わると大佐は7人の子供達と抱き合う。そしてマリアに自身の言動を謝罪し、「家庭教師としてこのままいて欲しい」と依頼する。マリアも「自分が役に立てるのならば」と言ってトラップ大佐の依頼を引き受ける。

忘れかけていた歌が屋敷によみがえり、子供達に笑顔が戻ったことで大佐は心を和ませた。そして子供達とマリアのリクエストでギターを弾きながら「エーデルワイス」を歌い始める。長女リーズルも父親であるトラップ大佐と共に歌い始める。
トラップ大佐が歌い終えた後、シュレーダー男爵夫人は大佐の屋敷で「大佐の友人達と知り合うためにパーティーを開催してはどうか?」と提案する。

正装した男女が続々とトラップ大佐の屋敷を訪れ、ワルツを踊っている。正装したトラップ大佐は華やかなドレスを着たシュレーダー男爵夫人と共にパーティーのゲストにあいさつをしている。
屋敷の一角でトラップ大佐の子供達はパーティーの様子を眺めていた。リーズルが1人でダンスをしている時、フリードリッヒがリーズルと共に踊り始める。
そんな2人を見ていたマリアは「どうして踊れると言ってくれなかったの?」と子供達に言った。クルトは「踊らされたらかなわないよ」とマリアに言った。
パーティー会場からはオーストリアの民族舞踏「レンドラー」の曲が聞こえてきた。クルトはマリアに「踊って欲しい」と頼むが、マリアは「踊ったのは子供の時だから覚えていない」と言った。それでもクルトに頼まれたマリアは、踊り方を教えていく。クルトはマリアにレンドラーを教えてもらったうが、クルトはマリアから「練習が必要ね」と言われる。
そのような時、トラップ大佐がクルトにマリアと踊りたいと伝えた。マリアはトラップ大佐とレンドラーを踊り始める。マリアは大佐の周りを回り、大佐が手を叩いた。そして大佐がマリアの周りを回っていく。息が合う2人の姿をシュレーダー男爵夫人が見つめていた。
すると急にマリアは「これ以上覚えていません」と大佐に言う。ブリギッタから「顔が真っ赤になっているわ」と言われたマリアは「踊り慣れていないから」と言葉を返した。

子供達がおやすみのあいさつをパーティーのゲストにした後、マリアは部屋に戻る。マックス・デトワイラーから「夕食に同席して欲しい」と言われたため、マリアはシュレーダー男爵夫人にパーティーに合うドレス選びを手伝ってもらっていた。そのとき、男爵夫人からトラップ大佐がマリアに恋をしていることを指摘される。
マリアは屋敷を出ることを決め、荷物をまとめた。そしてトラップ大佐が住む屋敷を出て、修道院へ戻っていくのであった。

トラップ大佐との結婚

マリアは7人の子供達にさようならを言わないまま修道院へと戻っていった。マリアに会いたいと思った子供達は修道院へ行く。シスター・ベルテが応対し、しばらくするとシスター・マルガレータがやって来た。「マリア先生に会いたい」と子供達は言うが、「マリア自身はずっと部屋にこもりきりである」とシスター・マルグレータは言った。「皆さんが会いに来たことをマリアに伝える」と子供達に伝え、シスター・マルグレータは子供達に「家に帰るように」と伝えた。

トラップ家から修道院に戻ってきたマリアは幸せそうに見えて、実は幸せではなかった。「トラップ大佐に恋をしていて、そのことで混乱し息苦しくなった」とマリアは修道院長に話した「修道院は自身が直面する問題から逃げるための場所ではない」と修道院長はマリアに厳しくも愛を込めて言った。

トラップ大佐は自分の子供達が修道院から戻ってきたと明らかにわかっていながら、「どこに行っていたのか?」と聞いている。子供達は「ベリーを摘みに行っていて、みんな食べちゃったんだ」と言った。「ならば夕食を抜いていいな」とトラップ大佐は言った。
本当のことをトラップ大佐に言わなかった子供達はお腹が空いたと言い始める。そんな時、ブリギッタが「元気を出したいと思ったら歌うといい」とマリアから教えてもらったことを思い出す。
子供達が歌い始めると、マリアの歌声が聞こえてきた。
子供達と再会できたことをマリアは喜び、子供達もマリアと再会できたことを喜んだ。だが、トラップ大佐とシュレーダー男爵夫人が結婚することをブリギッタから聞かされたマリアは悲しげな顔をした。

マリアが修道院から戻ってきた夜、トラップ大佐は湖が見えるテラスにいた。シュレーダー男爵夫人が彼の隣に来て、結婚の贈り物を決めかねていることを話す。新婚旅行の行き先はどこにしようかと言った時、大佐から婚約解消を告げられる。シュレーダー男爵夫人は水が合うウィーンへと戻ることになった。

屋敷の庭にある東屋にいるマリアのところへトラップ大佐はやって来た。シュレーダー男爵夫人と婚約を解消したことを伝え、そしてマリアを愛していることを伝える。家庭教師として初めて屋敷に来た時、夕食の席で松ぼっくりの上に座った時からマリアが好きだったと大佐は言った。マリアは大佐が笛を吹いた時からずっと好きだったと伝えた。
そして子供達の許可を得たトラップ大佐とマリアは結婚した。

オーストリアからの脱出

子供達と修道女の祝福を受けて、マリアはトラップ大佐と結婚した。マリアとトラップ大佐が新婚旅行に出掛けている間、オーストリア併合に伴ってナチスドイツはオーストリアに進軍してきた。ナチスドイツ軍はザルツブルクにも駐屯していた。ザルツブルク音楽祭が行われる日、歌の練習を終えたリーズルは恋人のロルフを見かける。かつての恋人ロルフはナチスドイツの一員となっており、リーズルに対して冷たい態度を取っていた。

マリアとトラップ大佐は新婚旅行から戻ってきたが、邸宅にはナチスドイツの旗が掲げられており、激昂したトラップ大佐は旗を破り捨てた。
リーズルは父親であるトラップ大佐に電報を渡した。そこにはドイツ海軍からの出頭命令が書かれていたが、愛国者でありナチスドイツによるオーストリア併合に反対するトラップ大佐は一家でスイスへ脱出することを決める。
脱出を決めた夜、トラップ一家の執事フランツの密告を受けたナチスドイツ党員ハンス・ツェラーが邸宅の外で待ち構えていた。ツェラーはトラップ大佐を出頭先へ護送しようとするが、トラップ大佐は「ザルツブルク音楽祭に出場する」と言う。ツェラーは「音楽祭が終わり次第、出頭する」という条件でトラップ大佐と一家が音楽祭に参加することを許可した。

ザルツブルク音楽祭の出演が決まったトラップ一家は、ツェラーに監視されながら「ドレミの歌」をステージで歌っている。歌い終えた後、今度はトラップ大佐がギターを持って「エーデルワイス」を歌い始めた。途中で感極まって歌えなくなったが、マリアが歌い始める。そして会場にいる人達も合唱を始め、場内は歌声で満ちていった。
音楽祭の審査結果が発表され、フォン・トラップ一家が優勝となったが、ステージに一家が現れることはなかった。もう一度フォン・トラップ一家が呼ばれるが、やはりステージに一家は上がらなかった。
彼らはオーストリアを脱出し、スイスへ向かっていたのだ。途中、修道院に一家はかくまわれるが、ナチスドイツの兵士に見つかってしまう。一家を見つけたのはリーズルの恋人ロルフだった。大佐に銃を向けるロルフであったが、銃を撃つことはできなかった。
修道院から出たトラップ一家はアルプスを越え、亡命先のスイスへと向かっていくのであった。

『サウンド・オブ・ミュージック』の登場人物・キャラクター

主人公

マリア(演:ジュリー・アンドリュース)

日本語吹替え:武藤礼子(NETテレビ版・フジテレビ版・ソフト版)/新妻聖子(テレビ東京版)/島田歌穂(製作40周年記念版)/平原綾香(製作50周年記念版)
明るく歌が好きな修道女見習い。修道院長からの勧めでトラップ大佐の7人の子供達の家庭教師となる。子供達は家庭教師は必要ないと考えていたが、雷雨の夜に心を通わせていく。持ち前の明るさと優しい歌声で子供達の心を開き、やがて大佐の心も開いていく。トラップ大佐と結婚するが、ナチスドイツの脅威が迫ってきたことを機にオーストリアを脱出することを決める。

トラップ一家

ゲオルグ・フォン・トラップ(演:クリストファー・プラマー)

日本語吹替え:井上孝雄(NETテレビ版)/若山弦蔵(フジテレビ版)/金内吉男(ソフト版)/井上和彦(テレビ東京版)/布施明(製作40周年記念版)/石丸幹二(製作50周年記念版)
オーストリア海軍の退役大佐。7人の子供達を厳格に育てている。マリアが子供達に遊び着を着せて木登りやボート遊びを堪能させていることに激怒した。しかし、子供達が明るく笑顔を取り戻していく姿を目にしたことで心を和ませ、マリアと子供達に心を開いていく。後にマリアと結ばれるが、戦争の脅威が迫ってきたことを機に、オーストリアを脱出することに決める。

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@tsayay12171

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