本田透(フルーツバスケット)の徹底解説・考察まとめ

本田透(ほんだ とおる)とは、高屋奈月の漫画『フルーツバスケット』の主人公である。両親を失いながらも、前向きに生きる少女。他人を思いやり、相手をあるがままに受け入れる慈悲深さを持つ。天然ボケの気があり、ずれた言動も多いが本人が言う所の頑固さも持ち合わせている。十二支の呪いに苛まれる草摩(そうま)家と関わりを持つ中、十二支と猫の物の怪に取り憑かれた「物の怪憑き」を救いたいと願うようになる。

紅野

ありさがバイトを全て変えた。コンビニで気になる男性と出会ったありさだが、その後客が来るたびに彼かもしれないとの期待を抱くのは自分らしくないとそれまでのバイトを辞めたのだ。その人物は「クレノ」といい、透は草摩家の紅野かもしれないと意を決し、草摩家本家を訪れて紅野と会うことにする。たまたま出会った紅葉の妹モモによって「中」に入った透は、一度紅葉と出会う。
透の目的と知った紅葉は、紅野には会ってはいけないが、それは慊人に言われた為で、こっそり会いに行けば大丈夫かもしれないとも言う。紅野の家の住所を渡した紅葉は、誰かに会った際は自分の名前を出すように念を押して透を送り出した。
どうにか紅野の家の前に来た透だが、慊人に似た誰かに声を掛けられる。紅野が現れ透を匿ったことで事なきを得た。紅野はありさの出会ったコンビニ客で、彼女のことも覚えていた。しかし、もうありさに会うことはないと言う。透はありさが紅野に会いたがっていると言い、彼女の連絡先を渡した。いつか会いたくなるかもしれないからとの理由であった。
別れ際、紅野は「君のような子が、こんなところにいてはいけない」と言った。その表情は悲しげだった。

透の想い

その夜、屋根の上で透が想いを馳せていると夾がやってきた。夾は、服を汚して帰ってきた透を心配していた。透は最低限のことしかできなかったと口にする。「好きは人とは一緒にいたいですよね?」との言葉に、夾は透に好きな相手ができたのかと聞く。自分のことではないと慌てて訂正した透に、夾は「その時は俺が協力してやる」と言った。その言葉を聞いた途端、透の目から涙が零れ落ちる。その理由は透にも分からなかった。

その後、透は一度避暑地で出会った依鈴もまた呪いを解こうとしていることを知る。依鈴は言い方にこそトゲがあったが、透のような優しい人間を草摩家のことに巻き込むまいとしていた。また、幼い頃に自分を救ってくれた潑春と愛し合い、彼を解放したいがために呪いを解く方法を探っていたのだ。
透によるゼリーの差し入れなどで少しずつ彼女に心を開いて行った依鈴は、透と互いに無理をしないと約束する。依鈴は一番大切な人は誰かと尋ねてきたが、透は即答できなかった。

透は、今まで一番大切なのは母だと思っていた。しかし、それはそう思い込もうとしていただけで、次第に夾に惹かれ始めていた。文化祭で共演した劇『シンデレラっぽいもの』の中で、透は自身の想いを自覚する。母以外の者を一番に想うことは、許されないことだとの気持ちもあった。

紅野の秘密

後日、公園で再会した紅野は自分がずっと昔に呪いから解放されたこと、それでも慊人から離れられないと語る。慊人は、実母楝との確執により十二支との絆に固執していた。紅野の呪いが解けたことを感じた慊人は、泣きながら彼に「行かないで、離れないで」と縋りついた。呪いから解放された紅野にとって慊人は神ではなく小さな少女にしか見えず、彼女が望まなくなるまで傍にいると決めたのだ。
本音ではありさに会いたがっているのに、自分だけが自由の身になったからこそ慊人から離れられない紅野。透は彼の心中を思いやり、公園で打ちひしがれる。その透の思念を感じ取ったのか、公園に咲が現れた。
咲は透を自宅に連れ帰り、ありさも呼んでお泊り会をする。透は紅野には大切な女性がいるとありさに言い、出しゃばったことを彼女に詫びる。ありさは透に「馬鹿、大好きだ」と言って抱き着いた。

猫憑きの役目

依鈴のことを思い出した透は、彼女の学校に向かう。依鈴のクラスメートに聞くが、長らく学校に来ていないようだった。聞けば、少し行方不明だったが今は藉真の家にいるという。再会時、依鈴は長かった髪を短く切っていた。透は、とりあえず依鈴が無事だったことに安堵する(透は知らないことだが依鈴は楝に唆され、慊人の大切にしていた箱を盗み出そうとしていたところを見つかる。依鈴はそのまま慊人によって猫用の隔離施設に閉じ込められた上、髪を切られていた)。夾は、依鈴がいれば家が賑やかになり、藉真も寂しくないだろうと口にした。
ある日、学校の帰りに藉真の家に寄った透は、紫呉が「呪いは放っておいても解ける」と依鈴に話しているのを目撃する。具体的にいつになるかは分からないが、いずれそう遠くない未来のようで、依鈴は潑春が解放されるならそれでもいいと言った。
透は思わず「いずれでは駄目です」と話に割り込む。卒業までに呪いが解けなければ夾が幽閉されてしまう。透は、十二支の呪いを解こうとしていたのは、夾と離れたくないからだと初めて自分の気持ちを自覚した。
夾の名を聞いた依鈴は「よりによって夾?」と言った。紫呉は、物の怪憑きには常に欠員がいたこと、自分たちの代で初めて全員と猫が揃ったと語る。次いで紫呉が語ったのは、猫憑きの役目だった。草摩家においては尊ばれるとはいえ、動物に変身してしまう呪いは物の怪憑きにとって重荷でしかない。猫憑きは、そんな彼らにとって「あれよりはまし」と考える一種の生け贄だった。
紫呉から夾への想いを聞かれた透は、自分の中で一番大切な存在が母ではなくなったことに罪悪感を覚える。

透の真実・夾の真実

今日子の命日が来た。夾は墓参りに同行しなかったが、後で1人で行き、その時に透の祖父と出会い話をする。
家に帰り、夾は透に父親のことを尋ねた。透は、自分が父に似ていないから口調を真似していること、母を連れて行こうとしていた父を悪者のように思っていたことを明かす。母を繋ぎ止めるために父の真似をし、その父を悪者扱いしていた自分を最悪な人間だと透は評する。夾は、今日子が透の本心を分かっており、透の取った選択肢が支えになっていたと口にする。それは、幼いころ夾が今日子とわずかに交流し、聞いていたことだった。
夾は「幻滅なんかしない」と言って透を抱きしめる。ところが、その晩夾は夕食の後「お前、俺が好きなのか?」と尋ねた。透の態度からそれが当たっていると知ると、夾はそっけない態度を取り家を出ようとする。慌てて後を追う透に、夾は今日子の死が自分のせいだと語る。
幼い頃今日子と出会ってしばらく交流していた夾は、透のことを知っていた。透が迷子になった朝、夾は「絶対に助ける。守ってみせる」と男の約束をし、彼女を探しに行った。しかし、透を見つけ出し、探し当てて今日子の下に連れて行ったのは由希だった。
由希が透を助けたことを「邪魔された」と思った夾は、それを境に今日子と会わなくなる。今日子は、走り去る夾に「(透を守るという)約束はツケ」と笑って声を掛けた。夾が今日子を再び目にしたのは、彼女が事故に遭った朝だった。向かってくる車は夾にも見えており、今日子を抱きよせれば彼女の命は救えたかもしれない。しかし、猫に変身して正体がバレることを恐れてそれができず、結果として今日子を死に至らしめてしまった。死に際、今日子は夾に向かって「許さないから」と口にした。その場を逃げ出した夾は、藉真に連れられて山に籠った。出会った当初、透に「山で師匠と修行をしていた」と言った夾だが、それは嘘だった。自分の運命は全て由希のせいだと思い込むことで嘘のように気が軽くなった夾は、その足で紫呉の家に向かいそこで透と出会ったのだ。
夾は、自分を許せない、透にも許されたくないと言う。透は、夾の過去を聞いても尚彼を好きだとの気持ちがあり、また母が夾を恨むようなことをいうわけはないと言った。透による告白を聞いた夾は、「そんなん、幻滅だ」と言って去る。

慊人と透

夾を追おうとした透の前に、刃物を持った慊人が現れる。「終わりだ」「置いて行くのか?」と慊人は口にする。透の知らない所で、紅野のみならず紅葉、燈路とたて続けに呪いは解けていた。慊人の心のよりどころだった彼女の父晶(あきら)の魂が入っているとされていた箱も、古参の使用人が慰めにと渡した空箱でしかなかった。その上、紅野も慊人に変化を促す言葉を口にした。慊人は、今までの自分の信じていたものが全て間違いだった事実を突きつけられたのだった。
自分の世界が崩壊していく恐怖を、透を憎むことで晴らそうとする慊人。透には、慊人が寂しさから強がっていたことを知る。生まれた時から特別な存在として線を引かれ、輪の中ではなく人の上に立つ存在と扱われることは、置いて行かれることと同じだった。
それは透も同じだった。母を大事な存在だと思うことで、絆を肯定しようとしていた。しかし、母以上に大切な存在ができた。透は、立ち止まらずに夾を追って歩む決意をする。
人や想いは縛れない。それは慊人も分かっていたことだった核心を突かれた慊人は錯乱する。十二支の神でなくなれば、約束された絆もなくなる。誰にも必要とされない他人だらけの世界は恐ろしい。そんな中で生きていく不安を慊人はぶちまける。
そんな慊人に、透は「お友達になりましょう」と声を掛けた。なおも拒絶されることを恐れる慊人に、透は手を差し伸べる。慊人がその手を取ろうとした瞬間がけが崩れて、透は転落し意識を失ってしまう。

大団円

想いを確かめ合い、抱き合う夾と透。

目を覚ました透は、見舞いに来た友人や草摩家の面々を心配させまいと笑顔で対応する。見舞いに来た慊人との和解も済み、透は次に夾に会う時は笑顔で会おうと決めていた。

退院の日、迎えに来た夾を見るや透は逃げ出してしまう。夾を見ると涙が出てしまうのを止められなかった。透に追いついた夾は彼女の手を取り、一方的な懺悔をしてたくさん傷つけたことを詫びると「お前と一緒にいたい」と口にした。
自分は今日の隣にいなくてもいいから、彼の自由を望んでいた透だが、それでも夾の傍にいたい気持ちがあった。夾は透にキスをし、「言っとくけど、2度目だからな?」と言った(透が崖下に落ちた際、キスしている)。
次いで、夾は透を抱きしめたいと言う。変身してしまうし、これからも物の怪憑きとして透を苦しめるかもしれないが、透は夾を好いている為無敵だと返した。お互いの気持ちが通じ合っていれば怖くはない。その言葉に、夾は「なら俺も無敵か」と笑い、透を抱きしめる。
夾は猫に変身しなかった。透とのやり取りで人の輪の中に入る覚悟を決めた慊人が、十二支の神をやめる決意をした。これにより、物の怪憑きたちの呪いが解けたのだ。
夾が引きちぎり、散らばった数珠は透が拾い集める。呪いの象徴ではあるが、それでも夾の一部に変わりはなかった。透は、夾の過去もこれから共に歩む未來も抱きしめていく決意をした。透と夾は、そろって藉真の家に向かい、呪いが解けたことを報告する。

呪いはなくなったが、慊人は当主として物の怪憑きたちを守る決意を口にした。皆がそれぞれの道を歩み始める。
夾は、遠方にある藉真の知人が経営する道場に行くつもりだった。働きながらそこに通うことは、いずれ自分自身の為になると考えてのことだった。透は、共に今日子の墓参りに行った際にそのことを聞き、一緒に行くことにする。今までのようにありさたちと気軽に会えなくなるが、それでも決意は揺らがなかった。
時が経ち、神前で結婚式を挙げた夾と透は、共に年を重ねていった。

本田透の関連人物・キャラクター

本田勝也(ほんだ かつや)

CV:細谷佳正(新アニメ版)

透の父。今日子が通っていた中学で教育実習に来ていた。孤独さからくる苛立ち故に不良化した今日子の心中を見抜き、彼女と惹かれ合い結婚に至った。
その後教師になることはなく、研究職に就く。透が幼いうちに亡くなっており、透には勝也の記憶はあまりない。夫の死に憔悴した母の為、透が選んだのは記憶を頼りに父と同じ敬語を使うことであった。

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本田今日子(ほんだ きょうこ)

CV:安原麗子(旧アニメ版)、沢城みゆき(新アニメ版)

透の母。透曰く「いつだってパワフル」な人物であった。夫の勝也の死後、一時は彼の後を追おうとしたが透のことを思い出し踏みとどまる。中学時代は家庭環境が元で荒んでおり、「赤い蝶」の異名を持つ伝説的なヤンキーであった。
夫の死後は働いて家計を稼ぐ。自身が中卒であったため、娘の透には高校生活を楽しんでほしいと高校進学を希望。後に出会った魚谷ありさ、花島咲らと透が同じ高校に合格した時は4人でお祝いをした。透は知らないことだが、幼い頃の夾と出会い交流をしている。この時娘の透のことを夾に話し、彼女が行く目不明になった際夾から「俺が守る」と男の約束をした。この時透を助け出したのは由希だったため、夾に「約束はツケね」と冗談めかして語った。
ある朝、仕事に出かけた時車にはねられて死亡。こと切れる直前まで透を気遣っていた。野次馬の中に夾を見つけ、「(ツケを払ってくれなきゃ)許さないから」と言い息絶える。夾にとって今日子の言葉は呪いとなってしまったが、「私の代わりに透を守ってほしい」と、彼に託そうとしたのが真相であった。透はその場にいなかったが、母が夾を憎んでいないことは見抜いており、もし夾を恨んでの言葉であったとしてもその時は母に逆らっても夾について行くと言った。

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草摩燈路(そうま ひろ)とは、高屋奈月の漫画『フルーツバスケット』に登場する、未(羊)の物の怪に取り憑かれた人物である。物の怪憑きとしては最年少。次々と嫌味を繰り出す毒舌家で、年齢も相まって生意気な印象を与える。その一方、幼さ故の浅慮や無力さから、大好きな草摩杞紗を守れない自分へのいら立ちも感じている。杞紗と仲が良い主人公の本田透に嫉妬するが、透からの励ましもあり毒舌攻撃はしなくなる。失敗と成長を繰り返す中、妹の日向が誕生し、杞紗との仲も前以上に良くなっていった。

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【フルーツバスケット】まだ終わってなかった!続編がある面白い少女漫画まとめ【ママレード・ボーイ】

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『フルーツバスケット』や『ママレード・ボーイ』など、世の中の女性たちがみんな夢中になった少女漫画の数々。連載が終わってしまった時には、なんだか自分の半身が失われてしまったほどの寂しさを感じた方も多いのではないでしょうか。そんなあなたに朗報!なんと、かつての人気少女漫画に続編が登場しているのです。あの頃子どもだった主人公たちも立派に成長して、なんだか感慨深いですね。

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