フルーツバスケット(フルバ)の草摩家・草摩一族まとめ

『フルーツバスケット』とは、高屋奈月による漫画、及びそれを原作とするアニメ作品である。母と家を失いテント暮らしをしていた女子高生の本田透は、十二支の呪いに取り憑かれた一族・草摩家と関わりを持つようになる。学校で王子と慕われる由希、幼い頃から由希をライバル視する夾を始め、十二支と猫の物の怪に取り憑かれた者たちやその関係者、彼らが関わる人々の心の傷や救済を描く。本項では、草摩家とその一族についてまとめる。
『フルーツバスケット』の概要

本田透(左から2番目)は、突如呪われた一族・草摩家と関わりを持つようになる。
『フルーツバスケット』とは、高屋奈月による漫画、及びそれを原作とするアニメ作品である。講談社『花とゆめ』に連載された。白泉社コミックス全23巻。
2001年にテレビアニメ化されたが、この時は原作がまだ核心に触れる前だった為一部設定や展開が異なる。2019年から2021年まで「1st season」「2nd season」「The Final」と銘打ち3期にわたって再アニメ化される。2019年版のアニメ(以下新アニメ版)は、一部原作のエピソードを前後しさせた状態で制作されている。2001年版(以下旧アニメ版)、2019年版ともにテレビ東京系での放送である。
女手一つで育ててくれた母を失った少女・本田透(ほんだ とおる)は、引き取り先の祖父の家の改築に伴いテント暮らしを始めた。ある朝、登校の前に近くを散策した透は、クラスメイトの草摩由希(そうま ゆき)と彼のいとこである紫呉(しぐれ)と出会う。テントを立てた場所は草摩家の土地であり、土砂崩れでテントに住めなくなった透は、改築が終わるまで紫呉の家に住むこととなる。由希をライバル視する夾(きょう)も加わり、奇妙な共同生活が始まった。
由希は鼠、紫呉は犬、夾は猫と、それぞれ十二支に関係のある動物の物の怪に取り憑かれていた。草摩家には他にも物の怪に取り憑かれた者がおり、異性に抱き着かれる、体力が下がることでその動物に変身する、その動物が寄ってくる特性があった。
物の怪憑きのことは、草摩一族でも一部の者しか知らないトップシークレットであり、「呪い」と称されるものだった。草摩家の当主であり、十二支の始まりの物語である「宴を開いた神様」を宿す慊人(あきと)に逆らえないことから来るトラウマ、物の怪憑きを持ったが為に心を病んだ親や壊れた家庭を見る中で、透は呪いを解きたいと望むようになる。
登場人物はそれぞれ心に傷を負っており、透との触れ合いでそれが癒されていく。透自身も夾と惹かれ合う中で、自身の心の内と向き合うことになる。
草摩家(そうま け)とは

草摩家の敷地。広大な土地に複数の家族が住んでいる。
草摩家(そうまけ)とは、古くから十二支の秘密を背負う一族である。家の格式は高く、古くから続く名家であり、並大抵ではない経済力を持つ。新アニメ版では一族の経営と思われる病院が登場し、作中でも草摩家とあまり親しくない者がその財力について言及するシーンがある。旧来のしきたりや派閥争いがあり、それに由来する重圧に苦しめられるものも多い。
本家は広大な土地に多くの家が点在しており、一族の人間であるはとりにも「非常識ではあるな」と言わしめている。当主、十二支とその家族は「中」と呼ばれる住宅、分家の家族は「外」と呼ばれる住宅に住む。草摩の者であっても、「外」の人間は十二支のことを知らないことが多い。十二支と猫はいつ生まれるか分からない為、「中」「外」に限らず結婚や住居、進学や就職に至るまで当主の許可が必要となる。
猫の物の怪に取り憑かれた者を隔離する施設があり、猫憑きは死ぬまで幽閉されるのが常である。
物の怪憑き / 十二支

神である慊人(中央)に、物の怪憑きたちは逆らえない。
十二支と同じ十二の動物と、猫の物の怪に取り憑かれた者。物の怪憑き、或いは十二支と呼ばれる。
十月十日よりも早く生まれてくる他、目や髪の毛の色がその動物の色をしており、優秀な人物であることが多いとの特徴を持つ。憑いている動物の特性が身体能力や体質に影響することもある。最大の特徴の一つが、異性に抱き着かれたり(自分から抱き着く、抱き止めるなど)、体が弱ったりするとその動物に変身してしまう特異体質で、これは数百年前に神と交わした契約の証である。
十二支と同じく稀に草摩家に生まれてくる神を本能的に慕い、初対面の時に神を見て泣く。物の怪憑き同士は神も含めて切れない絆で結ばれているとされるが、物の怪憑きたちは神を宿す慊人(あきと)に逆らうこともできず、拒絶の言葉でさえ身を切る苦しみを味わう。慊人に苦しめられた過去を持つ者もいる為、大部分の物の怪憑きにとって絆は呪いでしかない。
子(鼠)憑きの由希(ゆき)は、初めて慊人に会った時本能的に「会いたかった」「抱きしめたい」「愛おしい」と感じたが、一方で「会いたくなかった」「逃げ出したい」「憎らしい」という真逆の感情も湧いており、物の怪の方も絆を重荷に感じている節がある。
十二支の親は、毎月本家から多額の養育費が支払われる。我が子が動物に変身する呪われた存在であるとの事実に耐えられない親も多く、物の怪憑きの母親は極端に過保護になる過保護型か、我が子を拒絶する拒絶型のどちらかが多い。
十二支のことは一族の中でも限られた者しか知らない草摩家最大の暗部であり、トップシークレットである。外部に漏れた場合は、「記憶の隠蔽」と称する一種の催眠術で十二支の秘密を知った者の記憶を消す。隠蔽術は、辰憑きのはとりが行う。本来なら、赤の他人である透(とおる)が物の怪憑きの秘密を知ったままであることはあってはならないことだが、慊人は特例で(というより企みがあって)透の記憶を消さず、紫呉(しぐれ)の家に住むことを許した。
「神様が動物たちを招いて宴をした。猫は鼠に嘘の日にちを教えられて宴に出席できず、牛の背に乗った鼠は一番で到着をした」との昔話に即した物の怪憑きと神だけの宴が、正月における草摩家の一大イベントである。この時、旧年と新年の干支が舞を踊る。草摩家において物の怪憑きは神に次ぐ存在として尊ばれる。物の怪憑きは一匹につき一人だけ生まれるので、最多で13人の物の怪憑きが存在することとなる。全員が揃っている限り、新しい物の怪憑きが生まれることはない。
尚、昔話は特定の物の怪憑きの待遇の指針にもなっており、子憑きは「知恵を用いて一番になった優れ者」と見なされる。「何をやっても特別」と期待の目を向けられ子憑きの親は一族内で高い地位を得、他の物の怪憑き以上の養育費を受けられる。
紫呉は「特別凄い力があるわけじゃない」と言ったが、各々の動物と意思が通じ、何もしなくてもその動物が寄ってくる特性がある。
代々の物の怪憑きには常に欠員がおり、十二支に猫、神まで揃ったのは、作中の代が初めてであった。古参の使用人たちは喜んでいたが、戌憑きの紫呉はこれが最後の宴になる、だから全員揃ったと薄々感じていた。実際、酉(とり)憑きの紅野(くれの)、卯(兎)憑きの紅葉(もみじ)、未(羊)憑きの燈路(ひろ)と立て続けに呪いが解けていった。
呪いが解けると、神への本能的な思慕の情も失われ変身もしなくなり、動物も寄ってこない。一方で、無条件で他の物の怪憑きと繋がることのできた絆をも失い、輪から外れる寂しさを感じる。何より、生まれた時から自分と一緒にいた物の怪との永遠の別離による哀惜の情もあり、呪いが解けた物の怪憑きは皆喜びと悲しみの混ざった涙を流す。
呪いの始まりは、人とあまりに違うが為に人と接触することで傷つくことを怖れていた超常的な存在と猫の出会いだった。猫は、山に一人住んでいたその存在を「神様」と呼び慕い、「ずっとあなたに惹かれていた」「どうかおそばにいさせてください」と言って片時もそばを離れなかった。
猫の言葉を嬉しく思った神は、動物となら仲良くできると踏んで宴の招待状を動物たちに贈った。鼠、牛、虎、兎、龍、蛇、馬、羊、猿、鳥、犬、猪と動物たちが集い、宴が始まった。神と動物たちは、満月の度に宴を楽しんだ。
やがて猫に寿命が訪れる。宴の終わりを悲しんだ神は、杯の酒にまじないをかけて猫を始めとする動物たちに舐めさせた。「私たちの絆を永遠のものにしよう。何度生まれ変わっても一緒になって、また宴を開こう」との神様の言葉に、猫は涙ながらに抗議した。猫が望んでいたのは月明かりの永遠の宴ではなく、明るい日の下で人々と共に笑う神様の姿だった。「辛くても変化を受け入れましょう」と言った猫を動物たちは裏切り者となじった。
動物たちが次々と寿命を迎え、神にも最期の時が訪れる。動物たちの約束があるからと、神は死を恐れてはいなかった。
猫の願い通り、神である慊人が約束された絆に縋らず、人と共に生きていくことを決意し、神をやめると言った時全員の呪いが解けた。
猫憑き

猫憑き本来の姿。
十二支における仲間外れの存在。「鼠に騙され宴に参加できなかった猫」との認識がされており、正月の宴を始め、物の怪憑きと神の集まりには常に不参加となる。人骨から作られた特殊な数珠をしていないと、腐敗臭を放つ怪物然とした異形(作中では「本来の姿」と表現される)に変身する点も含め、一族中から疎外される。
専用の隔離施設に死ぬまで幽閉されるのが常で、猫憑きの境遇は他の物の怪憑きにとって「あれよりはまし」との安心感を得る為の一種の生け贄と認識されている。それでも当主が許せば結婚は許されるらしく、先代の猫憑きは世話役の女性との間に子をなした。
ヒロインの透は、草摩家のことを知る前から十二支の昔話に登場する猫を可哀想と感じ、「犬さんをやめて猫さんになる(戌年生まれをやめ、猫年になる)」とまで言うほど猫に思い入れがあった(作中では紫呉に「猫年ファン」と表現された)。
作中で語られた呪いの始まりでは、猫は神様に初めて安らぎを与えた存在であり、宴にも参加していた。
神

初めて安らぎをくれた猫を抱きしめる神様。
十二支の魂を統べる存在。物の怪憑きと共に草摩家に生まれるが、数百年の歴史をさかのぼっても生まれにくい存在とされる。
動物の姿に変身することはなく、人の姿を持って生まれるが、生まれる前から物の怪憑きの魂を支配しており、慊人が母の胎内に宿ったその日、既に生まれていた物の怪憑きたちが自身の妊娠を知らない楝の下へと向かい神を恋い慕う言葉を発した。
正月の宴の席では、一段高い上座に席が設けられる(新アニメ版では、神と十二支が車座になって座る)。
数百年前、十二支と猫との絆を永遠のものにするとの契約をした神と呼ばれる存在が元となっている。
草摩一族の人物まとめ
神と物の怪憑き

神(中央)は、何度生まれ変わっても出会い、宴を開く永遠の絆を十二支たちと約束した。
草摩由希(そうま ゆき)

CV:久川綾(CDドラマ版・旧アニメ版) / 島崎信長(新アニメ版) / 島袋美由利(新アニメ版幼少期)
子(鼠)の物の怪憑き。ヒロイン・本田透(ほんだ とおる)の同級生で、クラスメイト。
優し気な印象と眉目秀麗、頭脳明晰、文武両道である為、男子からも女子からも人気がある。通っている海原高校の女子生徒の3分の2は「プリンス・ユキ」(通称「プリ・ユキ」)というファンクラブに所属している。
皆から王子と慕われる一方、どこか近寄りがたい面があり、周りからは一線を引かれている。気品のある顔立ちも本人は女顔としてコンプレックスに感じており、自己肯定感は低い。夾とは犬猿の仲だが、人を惹きつける彼の性格を羨ましいと思ってもいる。
幼い頃は、待望の子憑きとして生を受けたことを喜ばれ、慊人の遊び相手として過ごしていた。とはいえ、両親は子憑きを生んだ親としての待遇を享受し、古株の使用人たちは神に等しい子年の物の怪憑きが生まれたことのみを喜んでおり、由希自身を大事に思ってはいなかった。他の物の怪憑きとさえ一線を画した存在として見られており、兄は元より正月の宴では物の怪憑き仲間と口を交わしたことすらなかった。
猫憑きの夾と出会ったのは、正月の宴会のさ中「外にいる猫憑きの子が恨めしそうに見ている」との使用人の話を聞いて外に出た時だった。夾のオレンジ色の髪を綺麗と感じ、話しかけようとしたが鼠であることを指摘され猫憑きの境遇は鼠のせいだと罵倒された。
小学生の時、初めて友人ができるが皆で草摩家の「中」を探検している時女の子に抱き着かれて変身、友達全ての記憶を消す騒ぎとなった。この出来事がトラウマとなっており、他者に深く立ち入られることを怖れてもいる。
慊人からは毎日のように「鼠は嫌われ者」「いつか救われるなんて勘違いしないで」と否定の言葉をかけられ続け、母からも兄からも救いの手が差し伸べられることがないと知り絶望をする。
弾けたように家を飛び出し、早朝の街を走る中で迷子になった幼い透と、それを探す透の母・今日子(きょうこ)を見かけた。図らずも透を家まで誘導することとなり、直接言葉をかけはしなかったが被っていた帽子を透の頭に乗せ、自分でも誰かの役に立てたことを喜び光明を見い出す(この時透に被せた帽子は、今も透が持っている)。それでも慊人の否定は続き、精神が追い込まれたところを紫呉の誘いで本家を出た。
透に対し、異性として好意を持っているようなそぶりを見せたが、実際には母性愛を求めていた。そんな自分に戸惑い、女性として想っていると思い込もうとしたが、透を異性として好いている夾を見て自分の気持ちに気付く。
高校2年時、生徒会長に就任する。副会長の真鍋翔(まなべ かける)のマイペースぶりに振り回されながらも彼に透に対する想いを吐露するなど、良い友人関係を築いていく。疎遠だった兄・綾女(あやめ)との関係もわずかずつだが改善していき、他者との関わりの中で由希も変化をしていった。
生徒会メンバーで翔の異母妹である蔵伎真知(くらぎ まち)のことは、当初無口なだけとの認識しか抱いていなかったが、彼女が自分のことを「王子なんかじゃない」と言ったことから興味を持ち、惹かれるようになる。
夾に対し憧れを持っていたことを打ち解けてからは、夾とのやりとりも喧嘩友達程度に改善された。
十二支の中では最後に呪いが解ける。卒業後は大学に入学し、一人暮らしを始めた。真知との交際も順調である。
高い能力を持つが、一方で折り鶴もまともに折れない不器用さを持ち、家事も苦手。透が来るまで、紫呉の家はどこに何があるかもわからず室内は「腐海」と表現されていた。料理の才能は皆無で、由希の料理を食べた紫呉は「危うく黄泉に行きかけた」と証言している。
物の怪憑きの名前は月の異名からきているが、由希だけは例外で「ゆき」という音が降って来たと作者の高屋が述べている。
草摩夾(そうま きょう)

CV:関智一(CDドラマ版・旧アニメ版) / 池田恭祐(旧アニメ版幼少期) / 近野桂介(旧アニメ版中1頃) / 内田雄馬(新アニメ版) / 泊明日菜(新アニメ版幼少期)
猫の物の怪憑き。オレンジ色の髪が特徴。由希をライバル視しており、口調は乱暴だが根は優しい(しかし勝負事となると熱くなる)。女性に手を上げることはせず、透の友人の魚谷(うおたに)ありさから何度かどつかれているが、口で反論するのみでやり返すことはしない。
慊人の命令で紫呉の家で共同生活をさせられ、高校も由希と同じ学校に通わされる。共学では変身の危険が多く、話しかけてきた女子生徒に護身術をかけて逃走するほど、当初は人づきあいというものに慣れていなかった。猫憑きの特性で猫が寄ってくる為、事情を知らないクラスメイトからは「猫好きのいい奴」と認識されており、その後は学校に馴染んだ。
幼児期は、猫憑きの真の姿を怖れた母により軟禁に近い生活を送っていた。そんな中で話しかけてきた楽羅を姉のように慕い一緒に遊んでいたが、猫憑きの本来の姿を封じる数珠を外され逃げられてから母により外に出されなくなる。楽羅から激しく好意を寄せられるが、楽羅が夾と遊ぶようになったのは、猫憑きである夾と比べれば、自分は不幸ではないと思えるからであった。後にその気持ちを楽羅に懺悔されるが、「俺はお前を好きにはならない」と言った上で、遊んでくれたことに対する感謝の言葉を述べた。
実の父からは化け物扱いをされており、夾の母は(夫からの「こんな子供産みやがって」との言葉が引き金となり)自殺。父は妻の葬儀の席で夾を「化け物」と罵った。
先代の猫憑きの孫である籍真(かずま)に引き取られ、以降は彼の下で育った。道場主である籍真から武術を始めとする色々なことを教えられ、人並みの愛情を受けるようになった夾は、いつしか籍真を父親のように慕うようになる。一方で、喧嘩っ早い性格ゆえに学校で問題を起こす度に籍真が呼び出しを受け、養父としての籍真が悪く見られることを厭い、籍真が自分の父ではないと強調したこともある。
透との生活に居心地の良さを覚えていくが、それだけに真の姿を知られることを怖れてもいた。籍真により透の目の前で数珠を外され、真の姿となった夾はその場から逃走する。透は異形に怯え、異臭に嘔吐するが、夾と一緒にいたい気持ちから彼を追い、一緒に帰ろうと言った。
怖れられるのは真正面から見てくれているとの証拠であり、夾は怖がってもいいから一緒にいてくれる存在を欲していたことに気付いて透を抱きしめる。猫憑きとしての試練を一つ乗り越えた夾は、去り行く籍真に胸を張れる息子になるよう精進すると宣言した。この一件以降、透を名前で呼ぶようになる。
「猫は鼠に騙され、宴に出られなかった」との昔話が元での自分の立場を憎み、由希を敵視するのも猫憑きであることが一因だった。籍真から教えられた武術の腕はかなり高いが、由希の方が実力は上で、一度も勝った試しがない。
幼い頃から鼠というだけで由希を毛嫌いし、彼が触った自身の帽子も手放すなどしたが、同時に何でもそつなくこなす由希に憧れを抱いてもいた。終盤で、由希とは互いに相手を羨ましく思っていたことが分かり、長年のわだかまりが解消した。
由希と並ぶ透の理解者で、不器用ながら優しく接し、いつしか恋心を抱くようになる。自分の気持ちに気付いたのは夏休み、一部の物の怪憑きや透と避暑の為別荘を訪れた時だった。他の物の怪憑きとは違い、後からやってきた慊人への挨拶は後日単身で行かされたが、慊人への恐怖よりも由希や紫呉までが慊人のいる離れにおり、透が一人ぼっちになってしまうことを懸念していた。
慊人とのやりとりの中で透への気持ちを自覚するが、慊人による透への制裁を怖れ慊人の前では好意を否定した。高校を卒業したら幽閉されることが決まっており、その立場から透に想いを寄せながらも長く踏み込めずにいた。
透の母である今日子とは、籍真に引き取られて間もなく出会っており、透のことも話に聞いていた。一度だけ、仕事で遅くなる今日子に代わり様子を見に行ったことがある。透が迷子になった時、「自分が見つけて守る」と今日子と約束したが、実際に迷子になった透を助けたのは由希であった。今日子の提案で、透を守るとの約束はツケということになったが、気まずさや気恥ずかしさで今日子と疎遠になる。
成長後、たまたま今日子を見かけたが、車に跳ねられそうになった彼女を抱き止めることで公衆の面前で猫に変身し、正体がバレてしまうことを怖れて何もできず見殺しにする結果となった。精神を病み、籍真と共に山にこもっていたが、全ての不幸を由希に押し付けることで気持ちが楽になった。慊人から「猫は鼠に勝てない。そう決まっている」と言われており、「高校卒業までに由希に勝てなければ、死ぬまで幽閉する」との賭けを持ちかけられたことで「憎む理由が増えた」と喜び勇んで時雨の下へと向かい、結果として透と出会うことになる。
過去のわだかまりや、幽閉される未来に関する諸々の紆余曲折を経て想いを告げた時、呪いが解け、高校卒業後は透と共に家を出た。
作者によると、夾から結婚を持ちかけ、神前結婚式を挙げたという。
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目次 - Contents
- 『フルーツバスケット』の概要
- 草摩家(そうま け)とは
- 物の怪憑き / 十二支
- 猫憑き
- 神
- 草摩一族の人物まとめ
- 神と物の怪憑き
- 草摩由希(そうま ゆき)
- 草摩夾(そうま きょう)
- 草摩紫呉(そうま しぐれ)
- 草摩楽羅(そうま かぐら)
- 草摩紅葉(そうま もみじ)
- 草摩はとり
- 草摩潑春(そうま はつはる)
- 草摩杞紗(そうま きさ)
- 草摩綾女(そうま あやめ)
- 草摩利津(そうま りつ)
- 草摩燈路(そうま ひろ)
- 草摩依鈴(そうま いすず)
- 草摩紅野(そうま くれの)
- 草摩慊人(そうま あきと)
- 草摩籍真の祖父(そうま かずま の そふ)
- 十二支の家族
- 草摩籍真(そうま かずま)
- 綾女・由希の母
- 夾の父
- 夾の母
- 潑春の母
- 杞紗の母
- 紅葉の父
- 紅葉の母
- 草摩モモ
- 依鈴の両親
- 草摩五月(そうま さつき)
- 草摩日向(そうま ひなた)
- 利津の母
- 紅野の両親
- 紫呉の母
- 楽羅の母
- その他草摩家の関係者
- 草摩晶(そうま あきら)
- 草摩楝(そうま れん)
- 女中頭
- 草摩佳菜(そうま かな)