深読み『フルーツバスケット』草摩綾女の「蛇」っぷり

かつて『花とゆめ』で掲載されていた『フルーツバスケット』。十二支と同じ動物(物の怪というそうです)が「憑いて」いるという一族を巡る物語ですが、中でも「巳」憑きの草摩綾女が、良くも悪くも結構「蛇」の要素を出しているような…などと思った次第です。

『フルーツバスケット』の概要

「神様が『宴会するからおいで』と動物たちに招待状を送りました。猫はネズミに嘘の宴会日を教えられたために出席できず、以降ネズミを追うようになりましたとさ」…タイトルの『フルーツバスケット』というのは果物入りの籠ではなく、椅子取りゲームの一種です。

草摩家

理由までは明らかにされませんでしたが、「物の怪」とそれを統べる「神」による「呪い」に取り憑かれている一族にして、非常な資産家です。草摩家最大のイベントは正月。「神と十二支」しか出席できない宴会が催され旧年と新年の干支の「物の怪」に憑かれた者が舞を踊ります。

「物の怪憑き」

「物の怪憑き」は十二支の動物と、宴会に参加できなかった猫に変身してしまいます。変身条件は体力の低下及び、「異性に抱き着かれる」こと。愛情のあるなし関係なく、とっさに抱き留めても変身。戻る時間も決まっていないらしく、特別な能力もない。しいて言えばその動物が寄ってくること、コミュニケーションがとれる、ということ。一族でも最大機密扱いのため、もしも一般人の目に触れた場合は「記憶を消す」ことに。一方で口止め料なのか多額の養育費が支払われるようです。

草摩綾女

「巳」、つまり「蛇」の物の怪に憑かれており、蛇に変身します。そして気温の変化に弱い。

初見の方に言っておきます。男性です。

バラなんかしょっちゃってます。性格は非常な自信家にして、どこが掴みどころがなく飄々とした感じ。まさに「蛇」といったところでしょうか。

職業

洋裁店を経営しています。

違和感のないドレス姿。

今でいう「男の娘」向けのお店ですが。何だか「偽りの自分」という皮を脱ぎ捨てなさいといった意味合いにも取れます。つまり、「脱皮」。彼自身、高校時代弟の由希に対し無視していたような描写もあり、そうした自分を顧みて「脱皮」した経緯もあるんでしょう。積極的に弟とコミュニケーションを図ろうとします。で、ちょっと褒められたりすると嬉しかったりするわけです。

柔軟すぎる高校時代

「蛇」といえば柔軟性。くにゃくにゃと自在に動きます。そんな柔軟性を、彼は持っていたようです。それはさかのぼること高校時代…。

このあと「なぜ長髪なのか」という理由を、童話なのか神話なのかよく分からない創作話を持ち出して延々と語るのです。一瞬で考えたとすると、相当な柔軟性。校長先生もこうなりした。

続きとオチが気にはなる…。

美貌なだけに逆に恐ろしいという…。ちなみに綾女は生徒会長を務めていました。修学旅行の際一部の生徒が「行ってはいけない」場所へ。退学処分になりそうな彼らを救おうとし、一旦はまともなことを言ったのですが、これまた周りがドン引きするような展開に…ある意味柔軟ではあります、この時の彼の提案。

弟・草摩由希との関係

「弟」です。

えどのゆうき
えどのゆうき
@edono78

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