タッチの名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『タッチ』とはあだち充(あだちみつる)による日本の漫画作品である。高校野球をテーマに双子の兄弟である上杉達也(うえすぎたつや)、上杉和也(うえすぎかずや)と幼馴染の浅倉南(あさくらみなみ)の3人を主人公とした物語。「甲子園へ連れて行って」という南の言葉や、亡き弟の為、そして自分の為に甲子園を目指し奮闘する達也と南の青春ストーリーである。

『タッチ』の概要

『タッチ』とは『週刊少年サンデー』(小学館)にて1981年36号〜1986年50号まで掲載された、あだち充による日本の漫画である。

双子の兄弟である、兄・上杉達也と弟・上杉和也。スポーツに勉強にも真剣に取り組む和也に対して、要領は良いが何事にもいい加減な達也。隣に住む幼馴染の朝倉南とは物心つく前から3人一緒である。
中学3年生になり、お互いを異性と意識し始める。3人は気心の知れた家族のような間柄だったが、思春期ならではの嫉妬心や「甲子園に連れて行って」という南の夢を叶える為に、ひたむきに努力する和也の衝撃な死について描かれている。和也亡き後、南の夢を叶える達也は野球部に入部し、部員と反発し合いながらも甲子園を目指す。
高校2年生になり、勢南高校の西村勇(にしむらいさむ)や須見工業高校の新田明男(にったあきお)と出会いライバル関係となる。彼らとは野球だけではなく恋のライバルにもなる。
新田の妹・新田由佳(にったゆか)が野球部のマネージャーとして入部し、新しい野球部監督・柏葉英二郎(かしわばえいじろう)も加わる。由佳の不器用ながらも人としての成長過程や、野球部に恨みを持った監督のスパルタ指導にも耐え、健気に野球に向き合う部員の姿に、次第に心動かされる監督の姿も描かれている。
甲子園出場をかけた試合の前の達也が南に告白するシーンは思わず涙してしまうシーンである。

第28回(1982年度)小学館漫画賞を受賞した。テレビアニメ、劇場用アニメとしてアニメ化され、実写のテレビドラマ映画化も制作された。当初はラブコメの要素もあったが、野球というテーマだけに囚われない普遍的なテーマも取り入れた為、野球に興味のない層にも受け入れられ、大人気作品となった。

上杉達也の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「南がつまらんこと見抜くから」

南が達也にあげたノートはベストカップルに選ばれてもらった賞品だった。南は普通のノートだと言うが、大事にしまっている和也を知っている達也は受け取らない。「おまえと和也の記念だろ。かんたんに人にやれるものじゃねえだろ」と怒る。それでも渡してこようとする南に「いやなんだよ!そんなノートは!」と拒否する。「やいてるんだタッちゃん」と言うセリフに思わず殴ってしまう達也。その時のことを謝りにきた達也。軽率だったと謝る南に思わず「南がつまらんこと見抜くから…狼狽えてだなー」と本音を漏らす達也。「やいてるんだ、タッちゃん」と言った時の事を思い出し、達也の気持ちに気づく南なのである。

「そうだな…こんなとき、やさしい女の子なら………だまって、やさしくキスするんじゃないか……」

達也と南の初キスシーン。ボクシングの練習試合で負けてしまった達也。南の「約束して、必ず勝つって」という言葉が胸にあったが叶えることは出来なかった。落ち込む達也を励ます南だが、逆に惨めだと怒る達也。そんな達也に、「じゃ、どうすれば良いのよ?」と聞く南。「そうだな…こんなとき、やさしい女の子なら………だまって、やさしくキスするんじゃないか」という達也に、キスして部屋から出ていく南であった。

「才能と努力。無敵の弟だよ」

和也の試合を見てきた達也に試合の結果を聞く南の父であるマスター。その問いには答えず、アイスコーヒーをオーダーする達也に対しマスターは「つめたいなぁ」とぼやく。「じゃ、ホット」とそっけない達也。だが達也は和也の事を誰よりも信頼している。「才能と努力。無敵の弟だよ」というセリフは信頼しているからこそ生まれた発言である。そっけないながらも、弟思いの兄。そんな達也にマスターはホットコーヒーを淹れるのだ。

「ウソみたいだろ。死んでるんだぜ。それで…」

甲子園予選大会に向かう途中、子供を助けようとして事故にあい命を落とす和也。そうとは知らず、上杉家両親、南の父親は甲子園球場で和也が投げないことを不思議に思いつつも観戦する。和也がこない理由を知らないメンバー達は、和也が来ることを信じ必死に戦う。街中を歩く達也を見つけたボクシング部メンバーの原田正平(はらだしょうへい)が事故の事を知り、南に病院へ行くことを伝える。試合を途中で切り上げて駆けつけた南に、茫然自失の達也が「ウソ見たいだろ。死んでるんだぜ。それで」 「たいしたキズもないのに、ただ、ちょっと打ちどころが悪かっただけで…」ただそう伝えるだけだったのだ。

達也VS吉田

吉田に放ったセリフだが、自分にも向けられたセリフである。

須見工との練習試合。達也は監督命令でピッチャーを外される。ピッチャーは達也にライバル心を燃やす吉田剛(よしだつよし)。ライトを守らされた達也は、イマイチやる気のない態度である。吉田は、観戦に来ていた由佳に良い姿を見せ付けようと張り切り、ストライクを取りまくる。しかし、達也のミスにイラつき文句を言う。喧嘩になりそうな雰囲気に、仲裁するキャッチャーの松平孝太郎(まつだいらこうたろう)。達也は「エラーのたびにカリカリしてたら投手はつとまらないぜ」と言い放つが、自分に向けた言葉でもあったのである。

「南の夢を叶えることしか頭になかった。あいつは南の為だったらなんでも出来る男なんだ」

須見工との練習試合のとき、孝太郎に「和也だと打たれない気がする」と言われ、考え込む達也。和也はいつも何を思って投げていたのか。不貞腐れる達也に南は「弱音を吐くんじゃない。とにかく一生懸命投げて、南を甲子園につれて行くこと」と言い、達也はハッとする。「南の夢をかなえることしか頭になかった、あいつは南のためだったらなんでもできる男なんだ」と和也の考えている事を理解した。これで達也は吹っ切れることが出来たのだ。

「つぶれるときはいっしょだぜ」

合宿中、肩を怪我した孝太郎。そのことを隠していたが、監督は見抜いていた。さりげなく達也に怪我の事を伝える。しかし、達也は容赦無くボールを投げる。その姿に思わず「ああのやろ」とイラつく監督。2人でベンチでいる時、達也は「おまえが隠すのなら、俺は知らなくてもいいことだよな」と聞く達也。とぼける孝太郎に「つぶれるときはいっしょだぜ」と伝えたのだ。2人は一心同体だと感じられるシーンである。

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