フルーツバスケット(フルバ)のネタバレ解説・考察まとめ

『フルーツバスケット』とは高屋奈月による漫画作品。白泉社の『花とゆめ』で、1998年16号から2006年24号まで連載。2001年にアニメ化され、2019年には全編が再アニメ化された。同級生の草摩由希が住む草摩家の分家宅へ居候することになった、主人公の本田透。そこから物の怪憑きの体質を持つ草摩家の人々と関わっていくことになる。略称は『フルバ』・『フルバス』。2009年には劇団スタジオライフにより舞台化された。

『フルーツバスケット』の概要

『フルーツバスケット』とは、高屋奈月による漫画作品。白泉社の『花とゆめ』で1998年から2006年まで連載。2001年にアニメ化され、2019年には全編が再アニメ化された。

ひょんなことから草摩(そうま)家の分家宅へ居候することになった主人公の本田透(ほんだとおる)と、物の怪憑きの体質を持つ草摩家の人々との交流を描く。草摩家の人々は、その体質から心に深い傷を負っているが、透の持ち前の明るさや優しさで少しずつ心を開いていく。

キャラクター同士の不器用でじれったい恋模様や、家族・兄弟との絆、切なくて優しい物語は絶大な人気を誇り、2001年第25回講談社漫画賞・少女部門を受賞、23巻までの累計売上部数は1800万部を突破した。
ギネスブックでは「もっとも売れている少女マンガ」として認定されている。

『フルーツバスケット』のあらすじ・ストーリー

本田透(ほんだ とおる)は高校に入学して間もなく母親を交通事故で亡くしてしまった。父親も既に亡くしていた透は祖父に引き取られるが、家を改装するためその間友達のところに泊まってほしいと頼まれる。友達に迷惑をかけられないと考えた透はテント暮らしを始めた。しかしそのテントを立てた場所は、草摩(そうま)と呼ばれる代々続く名家の土地で、そこには透の同級生である草摩由希(そうま ゆき)が親戚の草摩紫呉(そうま しぐれ)と共に住んでいた。テント暮らしは危ないのでと由希達の提案で透は由希の家に厄介になることになる。しかし由希や紫呉のお家・草摩家には十二支にまつわる壮大な秘密があったのだった。

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『フルーツバスケット』の登場人物・キャラクター

主人公

本田 透(ほんだ とおる)

CV:小西寛子(ドラマCD)、堀江由衣(旧アニメ版)、石見舞菜香(新アニメ版)

父を三歳の頃に亡くし、女手一つで育ててくれた母も高校入学してすぐに事故で亡くす。父の葬儀の際、親戚に全く父親に似ていないと言われたことを気にし、敬語で話す癖があった父を真似して透も敬語で話すようになった。父方の両親宅(祖父の一人暮らし)で厄介になっていたが、娘夫婦と同居するため改装をするので、その間どこかに退避していて欲しいと祖父より申し出がある。友人宅で長い間お世話になるのは忍びないと考えた透は、これを期に一人暮らしの練習になればと草摩の土地だと知らずにテント暮らしを敢行。その後、紫呉・由希の希望もあり、一緒に暮らすこととなる。学費と生活費を稼ぐため、清掃業のバイトをしている。当主の言いつけで、憧れの猫憑きである夾も同居することとなり話しかけたい気持ちはあるものの、夾のどこか苛ついたような態度に、なかなか距離が縮まらない。その後、夾の態度は不器用なだけで、真は優しい青年なのだということに気付き、次第に夾に惹かれていく。

十二支の呪いをなんとか解きたい、夾に幸せになって欲しいと願っており、単独で藉真に呪いについて尋ねに行ったりした。夾が自分の気持ちを自覚し、あり得ないと思いつつも透はもしかして自分のことを好きなのでは考えるようになって暫く、ついに夾は、自分(夾)のことが好きなのか?と透に問う。肯定も否定もしないでいると、夾は今日子と昔会ったことがあること、事故の瞬間助けられたのにそれをせず、倒れた今日子に許さないと言われたことを告白する。透はそれを聞き、それでも夾が好きだし、それが本当なら母に反抗せざるを得ないと言うが、夾は幻滅だと一言残してその場を去る。残された透が茫然としていると、紅野を刺した後走ってきた慊人が現れ、自分の居場所を奪って思い通りになって満足かと叫ぶ。慊人との会話の最中、雨でぬかるんでいた足元が崩れ崖下へ転落。入院することとなるが、見舞いに来た慊人を温かく迎え入れた。

夾の幻滅だという言葉は夾自身に向けられたものだったが、夾に振られたと思い込んだ透は、距離を置くようになる。入院中も、夾と会うことを避けていた。その後、夾に告白され、お互いの気持ちを確かめ会いながら抱擁を交わした。本来であればすぐに猫の姿になるはずだったが、そうなることはなく、呪いが解けたと悟る。今日子の墓前で、もっと外の世界を知りたいから遠くの土地で働こうと思っている、一緒に来てほしいと夾に言われ、未来を語ってくれる嬉しさに幸せを感じながら頷くのだった。

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草摩家

草摩 由希(そうま ゆき)

CV:久川綾(ドラマCD/旧アニメ版)、島﨑信長(新アニメ版)、島袋美由利(新アニメ版幼少期)

子憑き。眉目秀麗、学園の王子様的存在。鼠を意のままに操ることができ、透のテントが崖崩れで埋まってしまった時には、鼠を使って荷物を掘り出した。小二の頃、ふざけて異性の友人が抱きついてきたため、大勢の前で鼠の姿になってしまい、その場にいた全員の記憶が隠蔽された。人が鼠になるなんて気持ちが悪いこと、この先の未来は真っ暗で可能性も希望もないと当主の慊人に陰湿に刷り込まれた過去を持つ。そのため、変身した姿を見ても尚、態度の変わらなかった透には始め戸惑っていたが、その温かさに心を溶かされていく。草摩の檻の中から抜け出したつもりでいたが、相変わらず草摩の分家に留まっていることや、他者との関わりに一線を引いてしまっていることを気にしている。知らない間に皆の和の中にいる夾のことを羨んでいる。自信がないからと生徒会長に推薦されても断り続けていたが、勇気を出して再び登校を始めた杞紗に触発されて生徒会長になることを了承する。

透が幼い頃に、迷子になったところを助けてくれた少年とは由希のことである。その事実を透は知らない。異性としての恋慕ではなく、無償の愛情を注いでくれる透に、母親を求めていたことに気付く。またその頃から精神的な強さが増し、誰かのせいにするのは止めると慊人に宣言したり、友人達の記憶を隠蔽したはとりを恨んでいたことを謝ったりしている。透が崖から転落してしまった際は、病院に付き添わなかった夾を殴り倒し、お前にはお前にしか出来ないことがあるんだから透を泣かせるなと叱咤する。

こんな自分でも何かを生み出すことが出来るのだと実感したくて、裏庭に秘密基地と称する家庭菜園を持っている。かなりの無精者で折り鶴もまともに折れない不器用人間。低血圧で朝に弱い。生徒会に会長として入ってからは、会計の真知と恋仲となる。高校卒業後、遠くの大学へ行くことを決めた。

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草摩 夾(そうま きょう)

CV:関智一(旧アニメ版)/池田恭祐(旧アニメ版幼少期)/近野桂介(旧アニメ版中1頃)、内田雄馬(新アニメ版)/泊明日菜(新アニメ版幼少期)

猫憑き。十二支の昔話で、猫が鼠に騙されたことを根に持っている。草摩のつまはじきにされているのを気にしており、高校卒業までに由希に勝てればその一員にするが、もし勝てなければ一生幽閉、という慊人との賭けがあり、それ故に、由希へ勝負を挑むことが多い。容量が良く、自分が望んでいた結果を先に手に入れてしまうところや、みんなに頼られている由希が羨ましくもあり、妬ましくもあった。透から、十二支の話に出てくる猫が好きで、猫年になりたかった、仲良くなりたいのだと言われ、少しずつ態度を軟化させていく。

左手にいつも着けている数珠を外すと、異臭を放つ、醜い姿に変貌してしまう。数珠を外さなければ、異性にぶつかっても普通の猫に変身するのみ。師匠の藉真の独断で、強制的に数珠を外されて透の目の前で猫憑きの本来の姿を晒すことになる。逃げ出した夾を追いかけてきた透を引っかき、わざと自分から遠ざけるような言葉を浴びせるが、透は夾にすがりつき離れない。今の姿は怖いけど、それでも一緒に暮らして、分かり合っていきたいと。それは夾がずっと望んでいた言葉でもあった。怖がっても良いから、自分をちゃんと見てほしかったんだと本音を話した夾は透を抱きしめる。

今日子が健在だった時に出会っている。透が迷子になって帰って来ず、今日子が途方に暮れていた時には、自分が見つけ出すと息巻いたが、結局家を抜け出してきた由希が代わりに助けてしまうという形になり、その点も由希へ劣等感にも似た怒りを抱く原因になっている。今日子にはそれっきり会いに行かず、別れ際に今回のこと(透を助けると言った約束)はツケと言われていた。また、今日子が事故に遭う瞬間を目撃していた。腕を引けば助けられる距離にいたが、抱き留めれば公衆の面前で変身しまうことになる。それを恐れて手を出せず、黙って車が突っ込んでくるのを見ているだけとなった。倒れた今日子が夾を見て、許さないと呟いたことを今でも繰り返し思い返しては、透への後ろめたさで潰れそうになっていたが、実は ”ツケ払ってくれないと” 許さないという意味であった。

実の母からは化け物に変身してしまうことを恐れられて、一日に何度も数珠が外れていないか確認され、あなたが大事だからと自宅から出ることを禁じられていた。そんな母も、自分の体裁を大事にする父に散々追い詰められて自殺。父を許せず、しかし、猫憑きとして生まれてしまった自分のせいなのではという罪悪感もあり、ずっと父と向き合って話すことから逃げてきた。高校卒業後は死ぬまで、草摩家の離れで幽閉される運命だったが、透と共に生きていきたいという思いが強くなり、父へ、自分は外で生きていくという決別の言葉を伝えに行く。

退院した透に告白し、抱きしめた際に猫に姿にならなかったことから、呪いが解けたことを悟り涙した。高校卒業後、遠い土地で、藉真の知り合いの道場に通いながら働くと宣言。その際、透にもついて来て欲しいと頼んだ。

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草摩 紫呉(そうま しぐれ)

CV:置鮎龍太郎(ドラマCD/旧アニメ版)、中村悠一(新アニメ版)、日野まり(新アニメ版幼少期)

戌憑き。女性には紳士的な態度をとる。年長者らしく由希や夾を叱ることもあるが、大概、説得力が伴わない。職業は小説家。純文学と、趣味でライトノベルを出している。物書きだからという理由で、いつも着物を着用している。いつもにこやかだが何を考えているのか分かりにくい。時に、手に入れる為なら多少の偽りも利用も問わないと冷酷な言葉も吐く。その本心は、慊人の気持ちが自分だけに向くこと。十二支の絆にこだわる慊人から、十二支達がそれぞれの道を選び離れていくようにわざと仕向ける。透を自宅に招いたのも、慊人とは意図が異なるものの自分の願望を叶えるためである。常に慊人の傍にいることや、何となく呪いが解けているのではないかという勘もはたらき紅野のことを良く思っていない。
十二支の面々が呪いから解放され、慊人には "お別れ" と称して女性用の着物をプレゼントする。それは恋人としての別れではなく、父親が望んだ自分と決別して、ようやく一人の人間として出発することが出来るからという意味であった。物語の最後では、小説家をやめて本家へ戻り、慊人の傍で支えになっているようだ。

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