百万円と苦虫女(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『百万円と苦虫女』とは、ひょんなことから前科持ちとなってしまい、実家にも居づらくなったフリーター・鈴子が、百万円を貯めては場所を転々し、様々な経験や人との出会いを通して成長していく様子を描いた青春ロードムービーである。2008年7月19日に日本で公開され、興行収入は3億円、観客動員数は19.7万人を記録した。『百万円と苦虫女』の功績が認められ、監督のタナダユキは第49回日本映画監督協会新人賞を、主演の蒼井優は2009年に芸術選奨新人賞を受賞した。
真吾(演:鈴木達也)
拓也をいじめている3人組のうちの1人。拓也が成績優秀なことから、宿題を毎日見せるように強要するところからいじめが始まった。人がいない路地裏で拓也の頭を電柱に打ち付けたり、学校の校庭で激しく拓也にボールをぶつけたり、拓也の給食に消しゴムのかすを入れたりするなど、拓也に対して陰湿ないじめをしている。夏休み明けの登校日に、拓也の机の上に、まるで拓也が死んでしまったかのように花瓶を置いた。その花瓶を見て初めて怒りを露わにした拓也に、殴り掛かられて怪我をする。その一件で拓也は児童相談所に行くはめになってしまい、拓也が真吾に対して怪我をさせたことを謝っても許してくれない。
海辺の町
黒澤祐三(演:斎藤歩)
鈴子が百万円を貯めて、初めて引っ越した海辺の町にて、海の家を営んでいる。海の家では妻の広美も働いており、息子の祐作も毎日遊びに来ているようなアットホームな店である。鈴子のアルバイト初日に、かき氷の作り方を教え「作り方がうまい」と褒めた。
鈴子がアルバイトを辞めた後、客として海の家に来ており鈴子を気に掛けていたユウキに「鈴子はどうしたのか」と聞かれた際、鈴子が百万円を貯めては次の町に移動していることを伝え「意外と本気で鈴子のことが気になっていたのか」とユウキをからかっていた。
黒澤広美(演:安藤玉恵)
祐三の妻であり、海の家で一緒に働いている。いつも客として海の家に来ていたユウキが、鈴子のことをパーティーに誘った際、それを聞いていた祐作が「僕もパーティーに行きたい」と言ったので、鈴子に祐作を連れて行ってくれるように頼む。広美に祐作を頼まれたことで、鈴子はユウキのパーティーへの誘いを断れなくなった。
黒澤祐作(演:宇都秀星)
祐三と広美の息子。海の家によく遊びに来ている。海の家に客として来ていたユウキが、鈴子のことをパーティーに誘った際、隣でその話を聞いていて「僕もパーティーに行きたい」と言い出す。パーティーの日、海辺で花火をしたりバーベキューをしたりして、ユウキと一緒に楽しそうに遊ぶ。20時になると、バーベキューの仕込みばかりしていた鈴子に「もう帰るよ」と言われ、しぶしぶ帰路についた。
ユウキ(演:竹財輝之助)
祐三の営む海の家に、客としてよく来ていた若い男性。海の家でアルバイトをしていた鈴子に興味を持ち、話し掛けるが軽くあしらわれてしまう。鈴子のつれない態度にめげずに、鈴子を海辺で開催するパーティーに誘うと、それを聞いていた祐作が「パーティーに行きたい」と言ったことで、鈴子が祐作の付き添いとしてパーティーに来てくれることになる。友人の多いタイプで、気になっていた鈴子に「自分の友達とも知り合いになってほしい」という思いでパーティーを開催したが、あまり人と関わりたくない鈴子はパーティーで誰とも話さず、バーベキューの仕込みばかりしていた。バーベキューの仕込みをする鈴子に、話し掛けに行くも、時間を聞いた鈴子に「もう帰る」と言われてしまう。ユウキは「祐作を送り届けたらパーティーに戻ってくれば」と鈴子に提案するが、「明日も早いから」と断られる。その後、ユウキが海の家を訪れたときは、鈴子はもうアルバイトを辞めた後であり、裕三から「鈴子は百万円を貯めては次の町へ移動している」と聞き、とても残念がった。
山間の村
白石(演:笹野高史)
村でスーツケースを持った若い女性が珍しく、自らが営む喫茶店でコーヒーを飲んでいた鈴子に話しかける。鈴子から「短期のアルバイトを探している」と聞くと、桃農家のアルバイトを思いついた白石は、桃農家の藤井絹に連絡を取ってくれる。その後、鈴子を藤井絹の家に案内し、絹とその息子の春夫に紹介するなど世話を焼く。
「めんこい子が桃農家でアルバイトをしている」と聞きつけた村長を、絹の家まで案内し、鈴子を村長に紹介する。その場で村長が提案した「鈴子が桃娘として村の桃をPRする」という企画に賛同するが、後日鈴子から「やりたくない」という申し出を受け、「鈴子の気持ちを聞いていなかった」と村長に桃娘の企画の中止するように電話をかけてくれる。しかし、村長は勝手に「鈴子が桃娘として村の桃をPRする」という企画を会議で通してしまっており、村人から企画中止の理解を得るために村民を集めた会議を開くことになる。
集会所で行われた村民を集めた会議では、白石が司会進行をし、「桃娘をやりたくない」「テレビに出たくない」と言う鈴子の気持ちを尊重しようとするが、「白石から受けた恩を返せ」「テレビくらい出たらいいべ」とまくし立てる村民たちを抑えることも出来なかった。結局鈴子が「自分は前科持ちである」と大声で言い、集会所を出て行ってしまい、その後春夫が村民たちに「外から来た人に頼るのではなく、自分たちで村をどうにかしないといけない」と話をしたことで、皆が桃娘の企画を中止することに納得し、会議は終了した。
藤井絹(演:佐々木すみ江)
鈴子が山間の村で収穫のお手伝いをした桃農家のおばあさん。白石の紹介でやって来た鈴子を、快く住み込みの短期アルバイトとして迎え入れた。鈴子が桃の収穫に出た際、「初めてとは思えないほど桃の収穫がうまい」と褒め「桃娘だ」と冗談を言う。
後日、「めんこい子が桃農家でアルバイトをしている」と聞きつけた村長を、白石が絹の家まで連れてきた際には、村長と白石を自宅へ招き入れもてなす。その場で村長が提案した「鈴子が桃娘として村の桃をPRする」という企画に喜んで賛同する。
その後、村長は勝手に「鈴子が桃娘として村の桃をPRする」という企画を会議で通してしまい、鈴子は「やりたくない」と辞退を申し出たことから、村人から企画中止の理解を得るために村民を集めた会議を開くことになる。集会所で行われた村民を集めた会議では、「桃娘をやりたくない」「テレビに出たくない」と言う鈴子や、「白石から受けた恩を返せ」「テレビくらい出たらいいべ」とまくし立てる村民たちを、集会所の後ろに座って心配そうに見つめていた。結局鈴子が「自分は前科持ちである」と大声で言い、集会所を出て行ってしまい、その後春夫が村民たちに「外から来た人に頼るのではなく、自分たちで村をどうにかしないといけない」と話をしたことで、皆が桃娘の企画を中止することに納得し、会議は終了した。
その会議の翌日、村を出ることを決めた鈴子が「前科持ちを家に泊めたと変な噂が立ったら、迷惑をかけるからお給料はいらない」と言うが、「少しだから」と封筒に入った給料を手渡した。その後、春夫の運転する軽トラックで、バス停まで鈴子を送り届けた。
藤井春夫(演:ピエール瀧)
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目次 - Contents
- 『百万円と苦虫女』の概要
- 『百万円と苦虫女』のあらすじ・ストーリー
- ひょんなことから前科持ちになってしまった鈴子
- 縮まる鈴子と拓也の距離
- 誰とも仲良くならずに去った海辺の町
- トラブルに巻き込まれた山間の村
- 中島と出会った地方都市
- 中島との恋の始まり
- そして次の町へ
- 『百万円と苦虫女』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- 佐藤鈴子(演:蒼井優)
- 鈴子の家族
- 佐藤拓也(演:齋藤隆成)
- 母(演:キムラ緑子)
- 父(演:矢島健一)
- 鈴子の東京での友人等
- リコ(演:平岩紙)
- 浜田武(演:弓削智久)
- 刑務官(演:嶋田久作)
- 刑事(演:モロ師岡)
- 拓也の小学校
- 浅野弥生(演:江口のりこ)
- 真吾(演:鈴木達也)
- 海辺の町
- 黒澤祐三(演:斎藤歩)
- 黒澤広美(演:安藤玉恵)
- 黒澤祐作(演:宇都秀星)
- ユウキ(演:竹財輝之助)
- 山間の村
- 白石(演:笹野高史)
- 藤井絹(演:佐々木すみ江)
- 藤井春夫(演:ピエール瀧)
- 上田村長(演:石田太郎)
- 村民(演:青木和代)
- 地方都市
- 中島亮平(演:森山未來)
- 宮本ともよ(演:悠城早矢)
- 小暮(演:堀部圭亮)
- ホームセンターのアルバイト(演:松嶋亮太)
- ホームセンターのアルバイト(演:山本剛史)
- ホームセンターのアルバイト(演:山中崇)
- ホームセンターのアルバイト(演:中村靖日)
- 『百万円と苦虫女』の用語
- 百万円
- 桃娘
- 『百万円と苦虫女』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 鈴子「むしろ探したくないんです。どうやったって、自分の行動で自分は生きていかなくてはいけないですから。探さなくたって、嫌でもここにいますから。逃げてるんです。」
- 鈴子「いつの間にか何も言えない関係になってしまうことは不幸なことです。人は出会ったら必ず別れるのだと思います。その別れが怖いから、姉ちゃんは無理をしていました。でも、出会うために別れるのだと今気づきました。」
- 『百万円と苦虫女』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 『百万円と苦虫女』のロケ地
- 同志とも言えるタナダユキと蒼井優のタッグ
- 『百万円と苦虫女』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:原田郁子「やわらかくて きもちいい風」