電気グルーヴ(Denki Groove)の徹底解説まとめ

電気グルーヴとは、石野卓球、ピエール瀧からなる日本の音楽バンドである。1989年に結成し、テクノ、エレクトロを中心とした独自の音楽性を持つ。破天荒なパフォーマンスも特徴だ。日本のエレクトロニック音楽の先駆者としての地位を確立し、常に進化し続ける姿勢で多くのファンを魅了している。音楽だけでなく、メンバー個人の活動も行っていて、石野卓球はDJやプロデューサーとして世界的に活躍し、ピエール瀧は俳優やタレントとしても幅広く活動中である。結成35周年を迎えてもメンバー間の仲はよく、勢いは全く衰えていない。
電気グルーヴの概要
「電気グルーヴ(電G軍団・電グル)」とは、1989年に結成された日本のテクノ、エレクトロを中心としたバンドだ。メンバーは、石野卓球とピエール瀧からなり、作曲やプロデュースは石野だが、二人共にボーカル・サンプリングを担当している。
1989年4月に解散した「人生(ZIN-SÄY!)」のメンバーであった石野卓球、ピエール瀧、若王子耳夫を中心に同年に結成されたのが電気グルーヴの始まりである。1990年にアルバム『662 BPM BY DG』でインディーズデビュー。1991年にシングル「RHYTHM RED BEAT BLACK(Version 300000000000)/ TMN VS 電気GROOVE」でメジャーデビューを果たした後、アルバム『FLASH PAPA』で本格的にデビューした。
彼らは、1990年代のサブカルチャーの中心であった。シングル『Shangri-La』は日本中で大ヒットした代表作である。彼らの魅力は音楽だけでなく、ライブパフォーマンスにもある。奇抜な衣装や舞台演出、時にシュールでコミカルな表現で観客を楽しませてくれるスタイルは、他のアーティストにない個性を放つ。社会風刺を織り交ぜた歌詞やメッセージ性の強い作品も特徴で独自の存在感を示してきた。
電気グルーヴは、リリースするアルバムごとに新しいテーマやサウンドを取り入れ、常に進化を続けている。日本国内だけでなく、海外でも根強い人気を誇り、日本のエレクトロミュージックのパイオニアとして、多くのファンに影響を与え続けている。
電気グルーヴの活動経歴
結成と初期の活動

デビュー曲はTMNのカップリング。
1989年、インディーズバンド「人生(ZIN-SÄY!)」を解散した石野は、ピエール瀧らを誘い電気グルーヴを結成した。当初の固定メンバーは、石野卓球、ピエール瀧、若王子耳夫、高橋嵐の4人。1991年、小室哲也の計らいで、TMNのシングル『RHYTHM RED BEAT BLACK (Version 2.0)』のカップリング曲「RHYTHM RED BEAT BLACK (Version 300000000000)」でメジャーデビューを果たし、その後メジャーデビューアルバム『FLASH PAPA』をリリースした。
ブレイクしメジャーへ

電気グルーヴ初期。左の写真、石野(左)砂原(中)、瀧(右)
1997年にリリースしたシングル『Shangri-La』は当初は売れなかったものの、日産・テラノのCMでタイアップ曲として使用された事をきっかけに、オリコン週間ランキングトップ10にランクインを果たし、日本中で大ヒットとなった。国内フェスやクラブシーンでの人気が急上昇し、メディアでの露出が増えテレビCMやバラエティ番組で使用され、人気が急上昇。1990年代の日本のサブカルチャーの代表となっていった。1999年に砂原良徳が脱退した後は、石野と瀧の二人での活動が続いている。
多方面での活動

多方面で個別にも活躍。瀧(左)と石野(右)
2000年代に入ると、電気グルーヴは音楽活動だけでなく、個人の活動が活発になった。石野はDJとして本格的に海外進出を果たし、ヨーロッパを中心に活動を拡大していった。特にドイツのクラブシーンとのつながりが強く、フランクフルトなどのイベントに頻繁に参加していた。日本発のエレクトロニックミュージックを世界に広める役割を果たしている。瀧は、映画やドラマへの出演を果たし、俳優としても才能を発揮していった。『シン・ゴジラ』や『凶悪』など話題作に出演したり、バラエティ番組にも多く出演した結果、演技力やタレントとしての実力を高く評価されることとなった。
ピエール瀧の薬物事件

瀧は薬物使用の疑いで逮捕された。
2019年3月12日、瀧が薬物使用の疑いで逮捕された。彼は20代の頃からコカインを使用していたと認め、社会に大きな影響を与えた。彼が出演していた映画やドラマが放送中止となり、作品は再編集が行われた。電気グルーヴとしての活動も一時停止となり、予定されていた30周年のライブの東京公演が中止され、彼らの作品の出荷停止や在庫の回収、デジタル配信も停止された。加熱するマスコミ報道の中で、電気グルーヴの解散の噂も出たが、石野は報道陣に対しそれを否定し、4月下旬には瀧との再会時の写真をTwitterに上げファンを安心させた。事件後、瀧は薬物治療を受け、反省の態度を示しながら社会復帰へと向かっていった。
2020年以降の活動

結成35年を迎えても仲の良い瀧(左)と石野(右)
2020年、瀧は少しずつメディアへ復帰し、映画や舞台に出演し始めた。彼の演技力やキャラクターは以前から高く評価されていて、観客の期待に応える形で活動を継続している。電気グルーヴとしては、石野が瀧の復帰を待ち望む形であったが、2021年には新たな音楽活動も再開した。彼らは新しいサウンドを求め、世界中の音楽フェスにも参加し、多様な音楽スタイルに挑戦していった。時間を経てより一層、個人としてもバンドとしてもキャリアを重ねている。
電気グルーヴのメンバー
現メンバー
石野卓球(いしの たっきゅう)

ボーカル・サンプリングを担当。本名は、石野文敏(いしの ふみとし)で、愛称は「クリ坊」、「フミトシ」、「卓球さん」。1967年12月26日生まれでO型である。静岡県静岡市駿河区出身。身長は169㎝である。高校時代に、友人2人とテクノバンド「人生」を結成し活動していた。エロ本の編集者になりたいと思っていたが、インディーズとしてデビューが決まり音楽活動に専念する事を決めた。芸名の「卓球」の由来は、中学時代に卓球部に所属していたことからきている。子供の頃に影響を受けたアーティストは、イエロー・マジック・オーケストラ、クラフトワーク、ニュー・オーダー、アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンなどである。
ピエール瀧(ピエールたき)
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目次 - Contents
- 電気グルーヴの概要
- 電気グルーヴの活動経歴
- 結成と初期の活動
- ブレイクしメジャーへ
- 多方面での活動
- ピエール瀧の薬物事件
- 2020年以降の活動
- 電気グルーヴのメンバー
- 現メンバー
- 石野卓球(いしの たっきゅう)
- ピエール瀧(ピエールたき)
- 旧メンバー
- 砂原良徳(すなはら よしのり)
- 高橋嵐(たかはし あらし)
- 若王子耳夫(わかぷりんす みみお)
- CMJK(シーエムジェイケイ)
- 後藤(ごとう)
- 電気グルーヴのディスコグラフィー
- シングル
- 『RHYTHM RED BEAT BLACK(Version 300000000000)』
- 『人生』
- 『MUD EBIS / COSMIC SURFIN'』
- 『SNAKEFINGER』
- 『トランジスタラジオ』
- 『モテたくて…』
- 『N.O.』
- 『ポポ』
- 『カメライフ』
- 『虹』
- 『誰だ!』
- 『Shangri-La』
- 『ポケット カウボーイ』
- 『ガリガリ君』
- 『FLASHBACK DISCO』
- 『Nothing's Gonna Change』
- 『Twilight』
- 『聖☆おじさん』
- 『少年ヤング』
- 『モノノケダンス』
- 『The Words』
- 『Upside Down』
- 『SHAMEFUL』
- 『Missing Beatz』
- 『Fallin’ Down』
- 『MAN HUMAN』
- 『MAN HUMAN / 今夜だけ』
- 配信限定シングル
- 『Set you Free』
- 『HOMEBASE』
- 『電気グルーヴ32周年の歌』
- 『電気グルーヴ34周年の歌』
- 『電気グルーヴ35周年の歌』
- オリジナル・アルバム
- 『662 BPM BY DG』
- 『FLASH PAPA』
- 『UFO』
- 『KARATEKA』
- 『VITAMIN』
- 『DRAGON』
- 『ORANGE』
- 『A』
- 『VOXXX』
- 『J-POP』
- 『YELLOW』
- 『20』
- 『人間と動物』
- 『25』
- 『TROPICAL LOVE』
- 『30』
- ベスト・アルバム
- 『SINGLES and STRIKES』
- 『電気グルーヴのゴールデンヒッツ~Due To Contract』
- 『DENKI GROOVE DECADE 2008~2017』
- ライブ・アルバム
- 『イルボン2000』
- 『クラーケン鷹 2018』
- 『クラーケン鷹』
- その他のアルバム
- 『FLASH PAPA MENTHOL』
- 『DRILL KING ANTHOLOGY』
- 『PARKING』
- 『recycled A』
- 『The Last Supper』
- 『電気グルーヴとかスチャダラパー』
- 『DENKI GROOVE THE MOVIE? -THE MUSIC SELECTION-』
- 『TROPICAL LOVE LIGHTS』
- 電気グルーヴの代表曲とミュージックビデオ(MV/PV)
- 『MUD EBIS』
- 『N.O.』
- 『Shangri-La』
- 『FLASHBACK DISCO』
- 『モノノケダンス』
- 電気グルーヴの名言・発言
- 石野卓球「もう一人瀧がいれば」
- 石野卓球「年をとると、自分に失望しなくなる」
- ピエール瀧「なんかまた無理難題をふっかけられてんな」
- 電気グルーヴの裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 学生時代は野球部に所属していたピエール瀧
- 楽器ができないピエール瀧
- 不祥事でも揺るがないピエール瀧と石野卓球の関係