君の花になる（きみ花）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『君の花になる』の概要

『君の花になる』（きみ花）とは、売れない男性アイドルグループと、彼らの寮母となった主人公の奮闘を描くドラマである。主人公である元高校教師で挫折した経験のある寮母と、「デビューしたい」という夢を追い求めて生きる男性グループ（8LOOM）が、今の現状で満足していいのか、諦めるのかを悩みながらも夢を叶えようと奮闘していく。主人公が挫折した事のある経験から8LOOMへ後悔のないように今を精一杯生きて欲しいと願い、夢を叶えきる事や自分と向き合うことの大切さが描かれている。

主人公である仲町あす花（なかまちあすか）は元高校教師だが新任の教師であった為にうまく仕事ができず挫折してしまう。別の仕事を探して8LOOMの寮母として若者に関わっていくうちに、「教師でありたいという自分の夢も彼らの夢も叶えたい」と願い、困難に立ち向かいながらも夢に向かって人生を切り開いていく成長物語である。
2022年10月～12月にTBS系列で火曜10時枠で放送されていたドラマである。

主演は本田翼。CMやドラマ「ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜」にも出演していた女優である。

初回の視聴率は6.5%、最終回は5.4%である。

『君の花になる』あらすじ・ストーリー

あす花と弾の再会

主人公の仲町あす花（なかまちあすか）は昔からの夢だった教師になる目標を達成し、新任教師として毎日を過ごしていた。
ある日夜の教室からギターの音がしたので確認すると、クラスの生徒の佐神弾（さがみだん）がいたのだ。そこであす花は弾の曲を聞いて「すごくいい曲だ」と満面の笑みで答え、弾は嬉しそうだ。しかしあす花はある出来事がきっかけで挫折してしまい、教師という仕事や学校という場所への恐怖が克服できずに、辞任することになる。
あす花は姉の仲町優里（なかまちゆうり）と一緒に暮らしながら心を休め仕事を探していた。しかし優里が三ツ谷満男（みつたにみつお）と結婚する事になったので、これを機に寮母の仕事を引き受けることになる。
寮母の仕事は住み込みで売れない男性アイドルグループ、「8LOOM（ブルーム）」の身の回りのお世話をすることだ。寮母の決まりとして「絶対にメンバーとの恋愛は禁止」だと念をおされ承諾した。8LOOMのメンバーは弾、成瀬大二郎（なるせだいじろう）、古町有起哉（ふるまちゆきや）、一之瀬栄治（いちのせえいじ）、桧山竜星（ひやまりゅうせい）、久留島巧（くるしまたくみ）、小野寺宝（おのでらたから）の7人である。8LOOMが帰ってくるとあす花は弾がいる事に驚くが、弾には「覚えてない」と言われる。
後日あす花は8LOOMのレッスン場へお弁当の差し入れを持っていくと、花巻エンターテインメントの社長である花巻由紀（はなまきゆき）が登場する。すると8LOOMの様子が変わり、真剣に彼女の話を聞いていた。社長は「半年後に8LOOMとの契約を解消する」と報告するが、メンバーは一人も反論しなかった。あとであす花が何で反論しないのか尋ねると、弾は「8LOOMのメンバー内で上手く行ってなくて、言いたいことも言えていない」と言う。曲づくりを担当している弾はかつて、メンバーにきつく言って脱退させてしまった過去があったため、今は言いたいことが言えない状況になっていた。そんな状況をあす花はおかしいと考えて、8LOOMのメンバーに「これで解散でいいのか」と確認する。あす花に背中を押された8LOOMがもう一度社長と話をしに行く。すると2週間後に同じ会社で売れているグループ「CHAYNEY（チェイニー）」のライブで1曲歌うことになった。8LOOMのメンバーは必死に練習し、見事ライブを成功させ、少しずつ世間の注目を浴びる存在になっていく。
社長からは「半年の間に配信ランキング1位を取れたら契約を更新してあげる」と言われ、一気に8LOOMの結束力は強くなった。
弾は「あす花のおかげで解散をまぬがれた」と言ってお礼を伝えるのだった。

配信ランキングの行方

社長から次の曲で配信ランキングで1位になれば解雇しないという約束をとりつけたが、どうやったらファンを増やせるのか、どうやったら知名度を高めることができるのかは、メンバー内で試行錯誤が続いていた。そこにいつも行く銭湯屋の娘の池岡奈緒（いけおかなお）から、「商店街のお祭りで歌う事ができる」という話を聞き、商店街の集まりにあす花が参加する。そこで8LOOMの良い所などを商店街の人にアピールしていた。
しかし、お祭りの前日になって商店街の人が「8LOOMには着ぐるみを着てお手伝いをしてほしい」と言ってきた。話がいき違っていたようで、弾は「着ぐるみなんて着たくない」と猛反発。せっかく出演する機会をくれたあす花に申し訳ないと思った8LOOMのメンバーは、お祭り当日にあす花に謝った。ちょうど日頃からの悩みを言えそうな雰囲気だったので、8LOOMのメンバーは弾に「いつもしっかりしている弾の言う事に何も反論できなかった」と悩みを打ち明ける。そして弾も「自分がしっかりしないといけないと思っていた」と告白し、8LOOM内のわだかまりも解消した。リーダーやダンス担当のようにそれぞれ役割をもってグループの中での存在を確立していく事で合意し、新たな一歩を踏み出した。
お祭りでは全員が着ぐるみを着て歌を歌うパフォーマンスが功を奏し、それを投稿したファンの間で話題になっていた。
8LOOMの新しいマネージャーが香坂すみれ（こうさかすみれ）に決定して、TVの取材や番組で歌を歌う機会も少しずつ増えていった。弾は社長から、ラブソングを書くように言われていたが、思うように曲がかけないので、あす花をデートに誘いイメージを膨らませようとしていた。結局、8LOOMのメンバー全員でデートすることになり、出かける。
弾はあす花に高校生の時に背中を押してもらった経験からあす花を尊敬していたが、なぜ教師を辞めたのか気になっていた。しかし聞くことができずにずっとモヤモヤしていた。弾はいつもあす花に対して反抗的で、「夢を諦めた人間につべこべ言われたくない」とまで思っていたが、いつも行動のきっかけをくれるのはあす花なんだと気が付き、日頃の態度を謝り、2人はハグをした。
弾が完成させた新曲がいよいよ発売された。結果はデイリーランキング87位で、契約更新は厳しい状況だったが、その後のライブなどでなんとか知名度をあげ、無事に配信ランキングで1位になって全員で喜んだのだ。

弾とあす花の関係

1位を獲得し、弾に思いをよせている奈緒は喜んで弾に抱き着く。それをあす花は目撃し、胸がざわざわしていた。あす花はその場から逃げるように去り自分でもなぜこんな気持ちなのか焦っていた。あす花の事が気になっている弾は奈緒の気持ちには応えられないことをはっきりと伝えた。弾はあす花に告白めいた事を伝え、長期の仕事に出かけた。あす花は寮母になった時に契約した事を思い出し、8LOOMがやっと人気がでてきたのに、スキャンダルで邪魔したくないと考えていた。
そんな中、有起哉と栄治が言い合いを始めた。栄治は勉強するのが好きで何か8LOOMの役にたてることがあるかもしれないという理由で資格を取ったりしているのだが、有起哉はそういった栄治の姿勢が「全力で今の8LOOMを考えていない」と激怒していた。そして以前に辞めたメンバーを8LOOMの母校凱旋ライブに誘った事にも激怒し、険悪なムードになっていた。
ある日、寮の外にケーキの食べかすや、石が投げ込まれる事件が発生し、8LOOMにメンバーは安全確保の為にホテルに滞在することになるが、あす花は「寮母だから」と寮に残ることになった。そこで犯人に出くわしたのだが、犯人はなんと元8LOOMメンバーの東良介（ひがしりょうすけ）だったのだ。理由を聞くと「母校のライブに誘われたので腹がたった」と答えたが、「実際は8LOOMを辞めても上手くいってない自分の人生がいやなんだ」と話した。8LOOMのメンバーも理解をしめし、和解した。
弾は「今は8LOOMに100％になりたい」と考え、あす花への思いを少し断ち切る事をあす花に伝えた。弾の母校のライブが近づいてきたので、高校側との打ち合わせをした。打ち合わせには、あす花が働いていた時に、あす花に仕事をおしつけていた豊高創（とよだかはじめ）と当時からあす花の心配をしていた池谷幸次郎（いけたにこうじろう）の2人の教師が来た。
ライブは大盛況で終了し、見に来てくれた良介と8LOOMのメンバーは今まで隠してきた本音をぶちまけ、さらに絆が深まっていった。そんな中良介は「あす花にもお礼を言いたい」とあす花を探すが、見当たらない。急いで探し始めると、弾は校門の前で過呼吸になってうずくまっているあす花を発見し、泣いているあす花を見て思いがこみ上げてきた。そんな中、池谷が気が付いてあす花を介抱し、無事に寮まで送った。
後日、弾は池谷から教師時代のあす花に何があったのかを聞いた。あす花は先生と生徒の間に挟まれて苦しんでいた事を知り、弾はあす花に対しての今までの発言を悔やんで、あす花に感謝の気持ちを込めて8LOOM全員でサプライズパーティーを計画した。パーティを開いてもらったあす花は少し自信を取り戻した。
その夜、弾はあす花への思いを押さえる事が出来ずに告白する。それを成瀬が目撃し、「2人の関係は見ていてすぐにわかってしまうから、気を付けた方がいい」と忠告した。
そんな中、PVの撮影に行った現場で、親密にしていた弾とあす花の写真が撮られてしまう。

8LOOMの未来

写真を撮られてしまい、8LOOMの将来を傷つけてしまったあす花は寮母を辞めて、池谷が働いているフリースクールで働くことになる。弾は謹慎処分を受け、あす花との関係やこれからの8LOOMに関して自問自答を繰り返していた。
弾は8LOOMのメンバーに「早く戻ってきて欲しい」と懇願されるが、あす花との関係を否定された事に対して悪いと思っていない為に謹慎処分を解除してもらえない。しかしあす花は弾を諦め、8LOOMの為にお別れを決断したのに、自分がいつまでも引きずっていたのではだめだと弾は決心した。
そんな中、メンバー全員がこれからの8LOOMについてそれぞれの悩みを全員で打ち明けた。「勉強がしたい」、「ダンスのコンテストに誘われてるから出場したい」、などの悩みを打ち明けた結果、8LOOMを今は期間限定で活動休止して、それぞれやりたい事を達成してから再び集まる事になった。8LOOMYにも詳細を説明し納得してもらい、期間限定の活動休止を受け入れてもらいメンバー全員が自分のやりたかった活動を始める。
8LOOMの解散を聞いたあす花は、8LOOMが活動休止になってメンバーそれぞれが自分のための時間を取れることに賛同し、応援した。それから、弾とあす花の間には何もない状態が続いていた。

3年後、8LOOMが復活して音楽番組に出演することが決定する。あす花はフリースクールのTVで8LOOMが歌う姿を見ていた。すると、いつの間にか隣に弾がいて驚く。弾はあす花にハグをし、2人の気持ちは再び繋がったのだった。

『君の花になる』の登場人物・キャラクター

主人公

仲町あす花（なかまちあすか／演：本田翼）

幼い頃からの夢である教師の夢を叶えたが、上手く行かずに挫折し8LOOMの寮母となる。持ち前の明るさとがむしゃらさで周りの人間に良い影響を与えていくが、弾との関係が明るみになってしまい寮母を辞めて、フリースクールで働くことになる。

8LOOM

佐神弾（さがみだん／演：高橋文哉）

通称「だん」でメンバーカラーは赤。8LOOMのリーダーで曲の作詞作曲を担当している。仲間想いだが、ツンが多めのツンデレ。あす花が教師だった時の生徒であり、あす花のおかげでアーティストになる夢を目指した。再会してからはあす花に対して壁があったが、彼女の熱意に心が溶かされ好意を持ち始める。