映像研には手を出すな！（大童澄瞳）のネタバレ解説・考察まとめ
『映像研には手を出すな！』とは、大童澄瞳による日本の漫画及び、それを原作としたアニメ、ドラマ、映画作品。アニメ好きの女子高生3人が、部活動で様々なアニメ制作を手掛けていくというストーリー。アニメ制作を通じての3人の成長が見られ、映像制作の場面はアニメファンの心をくすぐるような話になっている。また、映像も空想と現実が入り混じり、独特の世界観を醸し出している。本編では、女子高生と戦車の戦い、ロボットと怪獣の戦い、異星人と地球人との交流がアニメ作品として描かれており、独特なタッチの映像となっている。
画像は、『ロボVS怪獣（仮）』での一場面。気合が入ったあとの水崎の作画する場面。
水崎のセリフ。彼女自身は、既に有名読者モデルでもあり、両親も有名俳優、家庭も裕福という恵まれた環境に育ったが、アニメーターとしての気質も人一倍持ち合わせている。作品に取り掛かる姿勢は職人気質全開で、この一言が全てを物語っている。この気合で、アニメーターで活動することを両親にも認めさせることになる。映像研の他の二人もそれぞれに職人気質を持っているため、時に衝突しながらも強い仲間意識で結ばれていく。
百目鬼「きっかけは理由じゃないですよ。きっかけも覚えていないです。」
画像は、『ロボVS怪獣（仮）』での一場面。百目鬼が作中の音響を選んでいる場面。
百目鬼のセリフ。「聴く」ということに関しては、かなりの能力を持っており、音響部の部員らしい言葉である。映像研の3人とも職人気質的なところも似通っている。彼女が作品制作に加わることで、1作目にはなかった音のクオリティもかなり向上することになる。
さかき・ソワンデ「お前にはわかるか？自由の正体が。」
画像は、『芝浜UFO大戦』の一場面。さかき・ソワンデが自由について金森と話しているところ。
さかき・ソワンデのセリフ。生徒会のメンバーであり、規律に沿った対応をとる立場ではあるが、自由という言葉を使っているところを見ると、お堅い側面しかないということではなさそうである。映像研だけではなく、他の学校活動にも、規律を守るようにするという意味では平等に接している。
読者や視聴者にとっても、「自由」とは何か、考えさせられる言葉である。
藤本先生「遊べ、若人よ。」
画像は、『芝浜UFO大戦』の一場面。藤森先生が、金森と若者についての会話をしているところ。
映像研顧問の藤本先生のセリフ。外見が、教師というよりは、髭を生やした風来坊という感じで、生徒たちには興味がないような対応をするが、いい感じで映像研の活動には口出しをせず、彼女たちがやりやすいようになっている。『コメットA』の作品を作っているときに、何気なくこのセリフが出てくる。
『映像研には手を出すな！』の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話
原作者は特に指示をしていなかったが、アニメ版は納得の内容となった
原作者は、大童澄瞳。『月刊！スピリッツ』で2016年9月号から連載されている。原作漫画自体は、『TV Bros.』のマンガ賞である『ブロスコミックアワード2017』の大賞を受賞している。
本作品が処女作であったが、TV放映される直前のインタビューでは、最初の作品だからといって特に原作へのこだわりを持たずに、アニメーション制作を題材とした漫画でなく、まったく違った例えば本の制作といった題材でもよいという風にまで考えていたようだ。とにかく、「アニメ」で動く主人公たちが描いてくれれば、見る人が面白いと思ってくれればいい、という感覚なのだろう。
また、今回アニメ版の湯浅監督も、現実と空想が入り混じった作品を描くのが得意ということで、原作で描いていた世界観と元々のコンセプトが似ていたので、アニメ版も違和感なく出来上がった感はある。例えば、アニメ版の水崎が使用人から逃げる逃亡シーンが、アニメ版では冒頭に描かれている。原作では、自分自身としては冒頭部分で描きたかったが、漫画編集担当から、印象が弱いということで、冒頭部分には描けなかったようである。特に、アニメ制作にあたり何ら指示していなかったが、自然と原作者の考えていた脚本になっていたというようなエピソードはその典型例といえる。
落語からの引用が多い「映像研には手を出すな」
映像研の作品中には、落語を引用したセリフも多く出てきている。
作中で、浅草が落語からの引用で啖呵を切る場面がある。『そのマチェットを強く握れ！』で、浅草が涙目で生徒会の面々に言い切った長台詞、元ネタは落語で「大工調べ」という演目に登場する場面の台詞をもじったものだ。
＜アニメ『映像研には手を出すな！』4話より＞
浅草「でえい！ちきしょう！おうおう！下手（したて）に出てりゃあつけあがりやがって！テメっちに頭下げるようなお兄（あに）さんと、お兄さんの出来がスコーシばかり違（ちげ）えんでえ！てめえら生徒会に合わせてやった儀式みてえなくだらねえ能書きの段からグズグズ文句ばかり言いやがって！なにおう！問題ありまくり？ナッてやんでえ黙って聞いてりゃガタガタガタガタ好き勝手ぬかしやがってこのトーヘンボク！好きで悪漢に追われてボロい部室に怪我をさせられてるわけじゃねえや！どれもこれもアニメ作るにゃ必要な苦労だったんだ！てめえらにゃわからねえ‘細工‘の苦労だベラボウめ！細工は流々仕上げを御覧（ごろう）じろ！だろ！」
他にも落語を引用した名称も出てきている。
＜「映像研には手を出すな！」より落語なワード抜粋 ＞
◎『芝浜高校』→ 落語「芝浜」
◎『富久書店』 → 落語「富久」
◎『コーポ野ざらし』 → 落語「野ざらし」
作者自身も落語が好きということもあるだろうが、このように、落語の引用を多くすることで、特に浅草のキャラクターがより引き立っている。
このように落語の要素から見た映像研も、違った楽しみ方ができるだろう。
『映像研には手を出すな！』の主題歌・挿入歌
OP（オープニング）：chelmico『Easy Breezy』
RachelとMamikoからなる女性ラップユニット・chelmico（チェルミコ）の新デジタルシングル「Easy Breezy」が、2020年1月17日（金）より配信がスタートしている。
ED（エンディング）：神様、僕は気づいてしまった『名前のない青』
映像研には手を出すな! ED「名前のない青」
「名前のない青」は、神僕のBass「和泉りゅーしん」が作詞、作曲を担当。2020年の第1弾デジタルシングルとして2020年1月10日に配信リリースされている。
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目次 - Contents
- 『映像研には手を出すな！』の概要
- 『映像研には手を出すな！』のあらすじ・ストーリー
- 出会い編（1話～4話）
- 鉄巨人編（第5話～第8話）
- 未知との遭遇 芝浜編（第9話～第12話）
- 『映像研には手を出すな！』の登場人物・キャラクター
- 『映像研』メンバー
- 浅草みどり（あさくさ みどり）
- 金森さやか（かなもり さやか）
- 水崎ツバメ（みずさき ツバメ）
- 『音響部』メンバー
- 百目鬼・パーカー（どうめき・ぱーかー）
- 『大・生徒会』メンバー
- 道頓堀透（どうとんぼり とおる）
- さかき・ソワンデ
- 阿島九（あじま きゅう）
- 王俊也（おう しゅんや）
- ロボット研究部
- 小野
- 小林 / 後藤 / 関（テレビアニメ版）小豆畑（実写映画版のみ）
- その他
- 藤本先生（ふじもとせんせい）
- 水崎家使用人（黒服）
- 黒田 / 麻笠
- 番頭
- 『映像研には手を出すな！』の用語
- 残され島のコナン
- アニメ研究会
- 音声認識食堂
- 大・生徒会
- マチェット
- 鉄巨人
- 音響部
- 美術部
- 大芝浜祭
- 段ボールロボ
- コメットA
- ファン感謝ラーメン
- 劇中作
- 『そのマチェットを強く握れ！』
- 『ロボVS怪獣（仮）』
- 『芝浜UFO大戦』
- 『映像研には手を出すな！』の名言・名セリフ／名シーン・名場面
- 浅草「私の考えた最強の世界。」
- 金森「世間に作品を認めてもらうには、明るい所に行くべきなんですよ。」
- 水崎「気合、入ってます。」
- 百目鬼「きっかけは理由じゃないですよ。きっかけも覚えていないです。」
- さかき・ソワンデ「お前にはわかるか？自由の正体が。」
- 藤本先生「遊べ、若人よ。」
- 『映像研には手を出すな！』の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話
- 原作者は特に指示をしていなかったが、アニメ版は納得の内容となった
- 落語からの引用が多い「映像研には手を出すな」
- 『映像研には手を出すな！』の主題歌・挿入歌
- OP（オープニング）：chelmico『Easy Breezy』
- ED（エンディング）：神様、僕は気づいてしまった『名前のない青』