ストリートファイターIII(ストIII)のネタバレ解説・考察まとめ

『ストリートファイターIII』とは、カプコンが開発・販売したアーケードゲームシリーズ、及びその移植作であり、ストリートファイターシリーズの4作目。
『ストリートファイターII』の10年後を舞台に、CPU戦を勝ち抜く、あるいは他プレイヤーと対戦するゲーム。
シリーズは全部で3作品がリリースされ、最終作となった『ストリートファイターIII 3rd STRIKE -Fight for the Future-』は長きにわたってプレイされる名作となった。

正式名称は「しゃがみ(S)グラップ(G)逆二択(G)強キック(K)」だったと言われているが、強キック以外の技でも使用できる(というより強キック以外を使用したほうがいいキャラも多い)ため、今では正式名称はあまり意味を持たない。
本テクニックを使用することで投げの駆け引きで非常に有利に立てる。特にしゃがみグラップへの対抗策として有効。
仕組みとしては「仕込みブロ」と「移動投げ」の合わせ技となっている。
入力方法は「ブロッキング入力後に通常技ずらし押し投げ」。通常技ずらし押し投げは移動投げと同じ入力で行う。当然、移動投げに使える技を選ぶと移動投げがも成立する。
この入力により、相手が適切なタイミングでしゃがみグラップをしていた、あるいは出の早い技で攻撃していた場合には「ブロッキング→通常技」が自動で成立し(ブロッキング直後の入力はずらし押しでも通常技が優先される)、相手が出の遅い技で攻撃していた、あるいはガードを固めていた場合には投げが成立する。また、相手が投げを仕掛けていた場合には投げ入力によりグラップディフェンスが成立する。
ブロッキング→通常技が出た場合、ブロッキングによる時間停止中に状況を確認してコンボに移行可能。また、投げた場合は再びSGGKを仕掛けることも可能。
入力は前または下を入れた直後に移動投げを行うだけと、移動投げを覚えた中級者以上のプレイヤーがすぐに習得できるものとなっている。
弱点は最初のブロッキング入力で防げない技は普通に食らってしまうことぐらいしかないという強力無比なテクニックである。
一番安定する対抗策は自身もSGGKを使用すること。自然とあいこ(グラップディフェンス)に持ち込むことが可能。また、SGGKを仕掛けてくると読んでいればジャンプやバックステップで投げをかわして反撃することも可能。コマンド投げで投げを無効化することもできる。
このような対抗策はあるものの強力無比なテクニックであるため、大きな試合でも多用されている。上級者になるには必須のテクニックである。

タメ分割

一定の条件下でタメコマンドを維持したまま他の方向にレバーを倒せるテクニック。一定条件というのが「タメ時間の途中で別方向に入力」となっているため、タメ時間を分割するようなイメージで使用する。
レバーを一定方向に入れっぱなしにすることで必殺技が成立する「タメ入力」は、必殺技を打つまでレバーを倒し続けなければならないという弱点を持っていた。
これを緩和するのがこのテクニックである。
本作のタメコマンドはタメが完了するまでの間に他の方向にレバーを倒してもタメた状態が引き継がれるという仕様を搭載している。
タメ分割はこの仕様を利用し、例えばダッシュやバックステップ(入力でレバーを中央に戻す必要があるため従来なら全てのタメが解除される)、前歩き(後ろタメはもちろん、本作では下タメも残せる)などを行うテクニックである。
タメ分割と先行タメ(必殺技の入力中にタメ方向にレバーを戻すことで早くタメを開始するテクニック。本作以外でも可能)を併用することで複数の必殺技のタメ時間をずらし、タメ必殺技を連打することも可能。これを使用してレミーの飛び道具を連射する、通称「ソニックマシンガン」という派生テクニックもある。この名称はレミーの飛び道具がコマンド・見た目共に「ストII」のガイルに似ている事が由来。
タメ保持時間が不定なため完全に活かし切るのは難しいが、タメを行う際に意識するだけで「ダッシュしてから後ろタメ技」というようなタメ技とは思えない動きが可能になる。

『ストリートファイターIII』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

開発が進まず未完成のまま発売

1994年。「ストII」シリーズ最終作(当時)にあたる『スーパーストリートファイターII X』をリリースしたカプコン。
1992年の初作リリースから2年の間で、「ストII」は対戦格闘ゲームの代表作となっていた。カプコンも既に新たな対戦格闘ゲームとして『ヴァンパイア』をリリースする傍ら、1995年にこの大作の続編の制作に入った。
新しい基板(ゲームを動かすためのプラットフォーム。基板性能でゲームのスペックが変わる。家庭用ゲーム機のような位置づけ)を使用し、今までにないクオリティのゲームを制作しようとスタッフたちは開発に携わった。
しかし、一向に製作が進まない。コンセプトは「新世代の『ストリートファイター』」「今までにないクオリティ」という点以外は定まらず、開発は長期化した。
ようやく定まった新基軸「ブロッキング」は、スタッフをして「これ以上の発想は無理」と言わしめた。逆に言えば、最高の発想をひねり出すために開発が難航したとも言える。
開発期間の長さは、「ストIII」までのつなぎとして企画された『ストリートファイターZERO』が早々にリリースされ、アッパーバージョン『ストリートファイターZERO2』まで発売されてしまったことからも推し量ることができる。
1997年、ついに『ストリートファイターIII -NEW GENERATION-』がリリースされた。しかし、本作は未完成品だったとカプコンが明らかにしている。
2年に渡る開発は当時の同社作品としては異例の長さであり、開発費も嵩みに嵩んだ結果の未完成リリースだった。
ブロッキングシステムは完成型とは言えない状況で、実装予定が立っていたEX必殺技やリープアタックは未搭載だった。
当初の評価は低かったが、未完成品では仕方がないと言える。
半年後には実装予定だったシステムを搭載し、ブロッキングに関してもより練り込んだ続編『ストリートファイターIII 2nd IMPACT -GIANT ATTACK-』が発売。ピーキーなバランスは大きく是正され、作品評価も高まることとなった。

驚異のグラフィック

本作の特徴に、美麗かつ非常によく動くドット絵が上げられる。「ヴァンパイア」シリーズで培ったシンプルな色塗りによるドット絵の量産技術と、職人芸的なきめ細やかさで制作されたドット絵が新基板「CPS3」の性能を生かして大量に投入された。
一枚一枚抜かりない絵が滑らかに動くさまは本作の最大の魅力と称されることさえある。
そのスプライト(画像)数は実に通常の格闘ゲームの倍近くに達している。
枚数の多さと美麗さはキャラクターの細かい動作を表現することに適しており、各キャラクターの格闘スタイルを忠実に、きっちりと演出仕切った点も好評を受けている。
CGにゲームグラフィックの主役を取って代わられた現在においても光り輝く、最高峰のグラフィックが本シリーズを見ていても楽しい作品に押し挙げたのである

『3rd』が格ゲーを代表する一作に成長するまで

最終作となる『ストリートファイターIII 3rd STRIKE -Fight for the Future-』は、発売までおよそ2年の時間をかけた作品となった。この期間は無駄ではなく、入念な調整が施され、新作に匹敵するほどの多数の変更・改善点が導入された。
これにより、ゲームバランスはキャラクターの強弱をブロッキングを中心とした「読み合い」で覆せるものに仕上がった。
当初開発途中でのリリースの原因となったスタッフのこだわりは、『3rd』開発時には作品に正の影響を与えたのである。
しかし、同作のリリースが1999年までずれ込んだのはマイナスだった。
当時、対戦格闘ゲームのブームが去り、ゲームの攻略情報の共有に欠かせないアーケードゲーム雑誌「ゲーメスト」も廃刊となってしまった。
結果、本作の作り込みやできの良さが一般に広く知られることなく、コアユーザー間のみで完結してしまったのである。
そのまま格ゲーファンの中でも一部という狭いエリアで愛されたままでは、本作は今ほどの評価は得られなかった。
本作の評価を押し上げたのは、このコアユーザーだったのである。
彼らは各地で積極的に大会を実施し、初心者に向けての情報提供を続け、そして自らによるテクニックの研究にも余念がなかった。
その活動により、本作は格ゲーユーザーに徐々に浸透し、やがて格ゲーファンなら誰でも知っている作品に成長した。
そして、その活動は商業レベルに広がっていった。
『3rd』のメッカとなったゲームセンター「Gamer's VISION(2011年閉店)」が誕生し、雑誌社主催の全国大会「闘劇」、さらには世界最強のプレイヤーを決めるアメリカのゲーム大会『EVOLUTION』にも、コアユーザーの熱心な活動が実り常連種目として選出されるようになった。
2018年現在でも初心者向けの講習会やビギナーを集めた大会・初心者限定フリープレイ(ゲームセンターで一定額支払えば何度でも遊べるイベント)などで新たなプレイヤーの獲得を目指す他、上級者の腕試しとして定番の大会のほか、10先(10試合先取した側が勝利となる。まぐれやアクシデント的な勝利だけでは10試合勝つ事が難しいため、地力の差が如実に現れるため人気がある)イベントの定期開催、ランキング形式での長期戦などが積極的に行われている。
ユーザーに支えられるのは人気作の常だが、本作は特にその側面が強い一作と言える。

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