Summer Pockets(サマポケ)のネタバレ解説・考察まとめ
『Summer Pockets』 (サマポケ)とは2018年6月に発売されたビジュアルアーツのゲームブランド「Key」から発売されている恋愛アドベンチャーゲーム。
素行の悪さが原因で停学中の少年、鷹原羽依里(たかはらはいり)は周りの白い目から逃げるように夏休みに田舎の島を訪れた。訪れた島は初めて来るはずなのにどこか懐かしい、そんな島での羽依里の夏休みが始まるのだった。
忘れていた何かを思い出させてくれる、そして決して忘れることのない、そんな夏休みが体験できる一作。
『Summer Pockets』の概要
『Summer Pockets』(サマポケ)とは2018年6月28日にビジュアルアーツ「Key」から発売された恋愛アドベンチャーゲーム。PC版、iOS版、Android版、Steam版、Switch版が発売されており、追加要素が盛り込まれている『Summer Pockets REFLECTION BLUE』ではPS4版も発売されている。2021年12月にはアニメ化企画が進行中であることが発表されている。
夏休みに田舎の島(鳥白島)に訪れた主人公「鷹原羽依里(たかはらはいり)」は初めて訪れるはずの島にどこか懐かしさを感じた。その島には「自分に近づかないほうがいい」と言う少女、不思議な蝶を探す少女、海賊船を探す少女、灯台に暮らす少女などとの多くの出会いと物語があった。そんな島での「この夏休みが終わらなければいいのに」と思ってしまうほどの仲間たちとの夏休みが描かれたものである。
『Summer Pockets』のあらすじ・ストーリー
鳴瀬しろはルート
島に来た初日、主人公「鷹原羽依里(たかはらはいり)」は夜に食堂で夕飯を済ませた帰り道、学校のプールから音が聞こえ、プールに向かうと1人の少女がお世辞にも上手とは言えないフォームで練習していた。その少女「鳴瀬しろは(なるせしろは)」はどこかへ行ってほしそうであったが、羽依里はしつこく話しかける。すると、「どすこい」と急に相撲でしか聞いたことがないセリフが飛んでくる。あとから島での居候先である叔母「岬鏡子(みさききょうこ)」に尋ねると島での方言で「死ね」と言っているようなものだと知る。
完全に嫌われてしまった羽依里だったが、島で彼女を見かけるたびに羽依里はなぜか話しかけてしまう。何度話しかけても「わたしにあまりかまわないほうがいいよ」と明らかに拒絶されてしまうが、羽依里は羽依里は話しかけることを辞めなかった。しつこく話しかけるうちに少しづつ心を開いてくれるしろはだったが、何故しろはは人を遠ざけるのか。羽依里は島でできた男友達「三谷良一(みたにりょういち)」、「加納天善(かのうてんぜん)」に4年前の事件について話を聞かせてもらうことにした。4年前しろはが唯一仲良くしていた男子がある日突然「しろはに殺される」と言い出したのだった。最初は誰も取り合わなかったが、その男子は本当に怪我にあった。それだけでなく誰かがしろはが男子を崖から突き落とすのを見たという目撃情報まであった。普通であれば偶然が重なった結果にしか思えない。しかし、しろはは由緒ある島の神社、鳴瀬神社(なるせじんじゃ)の巫女でありしろはを特別視する大人も多くいた。そんな中で島の子供たちは大人にこういわれることもあった。「よいものも悪いものも運んでくる」。子供たちも真に受けているわけではないが小さいころから言われていると何となく刷り込まれてしまう。こんな理由からしろはは遠ざけられていたのだった。
後日しろはにそれについて話をすると、「私が悪いことを引き起こす」そしてそれは「嫌いだから」だという。全然ピンとこない羽依里だったが突然しろはの焦点が合わなくなり、「獰猛な大きな獣に襲われる」 「大きな炎に包まれてもだえ苦しむ」等不吉な言葉を言われる。様子の異変を感じた羽依里はしろはの肩をゆすって呼びかける。目に光が戻ったしろはは慌てたように羽依里に島から一刻も早く出るように伝える。未来でしろはが悪いことを引き起こすなら自分が無事でいることでそれを否定したかった羽依里は島を出る気はなかったが、それならせめて気を付けるようにと頼まれる。
それからしろはや島の住人と夏休みを過ごしていく中で、羽依里はしろはにどんな未来を見たのか尋ねた。しろはによるとこの夏休みでしろはは水の中で溺れて死ぬ。そして自分の溺れているしろはの隣には誰かがいる。それが羽依里だったため一刻も早くしろはは羽依里から島を出ていってほしかったのだとしろはは説明する。その事実を知った羽依里はしろはと一緒にその未来を回避しようと決意する。
夏休み終盤、島で毎年行われる祭りの最中、1人の女の子がいないことに気づいた羽依里はしろはの見た未来から荒れた海に1人でいると推測する。羽依里としろはは急いで救助に向かったが女の子を助けた際2人とも海に落ちてしまう。しろはの見た不吉な未来は結局回避することはできなかったが2人とも怪我無く無事に祭りを終えたのだった。
空角蒼ルート
羽依里は来たばかりの島を散策していると、木の陰で1人の少女が居眠りをしていた。近づいても起きる気配はない。眠りながら少女は倒れかけ、とっさに羽依里は体を支えたがその反動で少女は目を覚ます。道端で寝るのは危険だと伝えるが、寝ていた少女「空門蒼(そらかどあお)」は「とにかく私がねてても放っておいて」という。それからも島をぶらぶらしていると蒼を見かけるがいつも寝ていた。
ある日、昼間に眠ってしまった日の夜、眠りにつけない羽依里は散歩に出た。すると蒼が灯篭を持って山を練り歩き、光る蝶に触れているのを見かける。見てはいけないものを見てしまったと感じた羽依里はそのまま帰ることしかできなかった。
翌日の夜、羽依里は居候先の部屋から灯篭のような光が山へと入っていくのを見つけ、居てもたってもいられずまた山へと向かった。山に入っていくと光る蝶が飛んでいるのを見つける。羽依里はなんとなく手を伸ばし手先に蝶が触れた瞬間、自分ではない何かに自分が支配されていくようなあり得ない体験をした。蒼が羽依里を見つけ、なんとか自我を取り戻すことが出来たが、蒼に助けてもらえなければ羽依里はあのまま死んでいてもおかしくない状態だった。蒼に詳しく話を聞くとその蝶は七影蝶というらしい。死者の記憶や未練が蝶となって鳥白島に集まってくるというのだ。つまり羽依里は七影蝶に触れたことによって死者の記憶に浸食されたということになる。蒼はどうしてそんな危険な蝶がいる山にいるのか。
次の日の朝、羽依里は蒼に「会わせたい人がいる」といわれ病院へと案内された。そこには蒼によく似た少女が眠っていた。昔とある事故に遭ってからずっと眠り続けているらしい彼女は「空門藍(そらかどあい)」、蒼の妹だと説明される。蒼は眠っている藍に何の違和感もなく話しかけ続け、なぜ七影蝶のいる山に行くのかを説明をしてくれた。蒼は羽依里の祖母から長い間眠り続けていた少女が目を覚ます昔話を聞いたことがあり、その昔話が山へと向かう一番の理由だった。その昔話とは不思議な蝶々を探す話だった。何の根拠もない昔話ではあるが、蒼は藍がいつか目覚めるのを信じ藍の記憶を持つ七影蝶をずっと探していたというのである。
蒼がいつも眠そうな理由もわかった羽依里は蒼の七影蝶探しに同行することにした。絶対に蝶には触れないことを約束し、蒼は同行することを許してくれた。蒼は灯篭を持ち山を歩き、蝶を見つける。蝶は灯篭の光に導かれるように蒼の指に止まる。羽依里の指に七影蝶が止まった時は自我を失うほどの体験だったが、蒼はある程度の耐性があるため、大丈夫なようだった。藍の記憶をもつ七影蝶はいなかったが、いくつかの蝶を導きながら山の奥へと歩いていく。山道の途中、弱い光を放ちながら一定の距離を保つ七影蝶を見つけたが、羽依里は気にせず蒼についていく。山の奥の開けた場所には一本だけ木が生えている。そこは「迷い橘」といい、生えている木が「空角の御神木」である。本来橘の木は夏の前に花を付けるが、この木は少し遅れて花を付ける。現世と少しずれた場所、ずれた時間、常世との境目にあるとして御神木になったと蒼に教えてもらう。この御神木が花を咲かせている間が山の祭事の期間であり、祭事の期間が終わると理由は分からないが七影蝶を導くことはできなくなってしまうらしい。そうなれば藍の記憶を持つ七影蝶を探すことも出来なくなってしまう。木の根元にある祠に灯篭を置くと導いてきた七影蝶たちが木の周りを舞い始める。朝になったらこの七影蝶たちは消えている。こうして七影蝶を還るべき場所に還すことが山の祭事の一連の流れであり、蒼は藍の記憶を探しながらこの祭事を毎日行っていた。
朝、羽依里が叔母の家に戻ると、叔母である鏡子から蔵で七影蝶に関する古文書を見つけたという知らせがあった。そこには七影蝶に触れたものの末路という恐ろしいことが書いてあった。それは「禁忌を犯した者はやがて覚めない眠りに捕らわれる」というものであり、記憶がいっぱいになって頭の中がパンクするのではないかと鏡子は予想した。人は眠っている間に記憶を整理するが、蒼がずっと眠そうなのは七影蝶から他人の記憶をもらい頭がパンクしそうだからなのではないか。嫌な推測が頭を巡り、心配しながらも蒼と毎晩山へ行く羽依里だったが、ここ最近明らかに蒼も睡眠頻度が高い。更に不安を掻き立てられる羽依里だったがある日、蒼は全然眠そうではなく島の子供たちと元気そうに話している。それを見た羽依里は不安になる必要なんてなくすべてがうまくいくような気がしていた。
しかし、突然不穏な島内放送が流れる。それは蒼へと向けたもので、診療所に至急電話しろというものだった。嫌な予感を感じ取り電話を嫌がる蒼だったが、羽依里に促され電話をするとその電話は藍の心臓が止まったという恐ろしい内容だった。蒼と羽依里は急いで診療所へと向かった。羽依里は部外者のため、診療所の外で蒼が出てくるのを待っていた。だが、夜になっても一向に蒼が出てくる気配はない。先に診療所から出てきた蒼の母親に蒼の様子を尋ねるともっと前に出ていったと教えられる。羽依里は蒼が1人で山へと七影蝶を探しに行ったと察し、山へ走った。
羽依里の予想どうり蒼は山にいた。眠る蒼とその周辺を舞う10匹の七影蝶、その光景がどれだけ蒼が無茶をしたかを物語っていた。さらに3匹の七影蝶が蒼の方向へと向かっていくのに気付いた羽依里は急いで追い払おうとするが3匹の七影蝶は蒼の方へと進んでいく。すると、以前も見かけたことのある弱い光を放つ七影蝶が3匹の七影蝶を追い払ってくれた。羽依里はその七影蝶に触れ、それが藍の記憶だとわかる。目を覚ました蒼にもその七影蝶に触れてもらい、古文書に従って蒼は藍へとキスをした。
翌朝目を覚ますと藍は10年ぶりに目覚めていた。蒼と藍は再会を共に喜び、疲れがたまっているのか2人はまたぐっすりと眠りについた。少しして藍が目を覚まし、羽依里と藍は2人で蒼が目覚めるのを楽しみに待ち続けた。だが、蒼が目覚めることはなかった。以前聞いた七影蝶へ触れたものの末路を思い出し不吉な予感がするが、蒼を信じて目覚めるのを待った。
それから一週間が経ち蒼はついに目覚めた。目覚めた蒼は羽依里に島をめぐりながら迷い橘へと向かってほしいと頼み、迷い橘へと向かう。口数が時間と共に減っていく蒼に心配になりながらも迷い橘にある空角の御神木へとたどりつくと蒼から無数の七影蝶が飛んでいき、蒼の記憶と思われる七影蝶が空高く飛んでいく。再び眠ってしまった蒼を必死の思いで起きるように呼びかけながら蒼の記憶を持つ七影蝶に灯篭を使って呼び戻そうとするが寄ってこない。振り返ると御神木に付いていた花が散っており、山の祭事の期間が終わり七影蝶を集めることが出来なくなってしまっていた。蒼の記憶を持つ七影蝶がいなくなり、蒼は以前の藍のように植物人間になってしまった。
夏が終わり島を出た後も羽依里はバイトでお金をため、週末は蒼のお見舞いへ行き蒼がかつてしていたように蒼に外での出来事を話し続けた。一年度、また山の祭事の期間がやってくる。羽依里は蒼の記憶を持つ七影蝶を探すのだった。
紬ヴェンダースルート
島の灯台にはいつも鼻歌を歌っている少女がいた。その少女「紬(つむぎ)ヴェンダース」は夏が終われば故郷に帰らなければいけないため、自分のやりたいことを探して毎日多くのことに取り組んでいるらしい。羽依里は彼女のやりたいこと探しを手伝うことにした。
とある日の朝にいつものように紬のいる灯台へと足を運ぶと、以前島で出会った胸の大きい女性「水織静久(みずおりしずく)」が紬と話をしていた。2人は仲がいいらしくそれからは羽依里、紬、静久の3人で毎朝集まり遊ぶようになった。島の知っている場所を案内しあったり、紬が寝泊まりしている灯台に3人で泊まったりと楽しい夏休みを過ごした。灯台で3人で泊った次の日、羽依里はシャツが一枚ないことに気づく。灯台に忘れたと思い取りに行くと、紬が1人で泣いていた。紬は電話も出来ないほど果てしなく遠い場所へ帰らなくてはいけなく、夏休みが終わればもう羽依里や静久に会うことはできない。その寂しさから紬は1人で泣いていたらしい。そしてもう会うことが出来ないことを知れば、羽依里と静久は遊んでくれなくなってしまうと考え、紬はその事実を隠していた。だが泣いているのを見られてしまった紬はついにその事実を羽依里へと伝えた。紬の事情を知った羽依里は、この夏休みの時間を全部紬にあげることを紬に宣言した。
宣言通りに羽依里は毎日を紬と静久と過ごし、残された時間の中たくさんの思い出を作った。
ある日、羽依里は叔母の鏡子に頼まれ蔵で作業をした。そこで羽依里は昔の島の住人の写真のようなものを見つけ、めくってみると背筋が凍るような写真を見てしまう。それは他人の空似というにはあまりに似すぎている紬の写真があった。数十年前、もしかすれば数百年前とも考えられる写真にどうして紬がいるのか。その答えを得られないまま羽依里は紬や静久と夏休みを過ごしていった。
数日ほど紬を迎えに静久と毎日灯台に集まっていた羽依里だったが、ある日を境に紬は毎日遅刻くをしてしまう。心配して灯台の中に入ってみると紬の姿はなかった。一度灯台の外へと戻り、家に帰っているのかと心配していると、誰もいないはずの灯台から紬が遅刻したことを申し訳なさそうに出てきたのだった。紬はサプライズの為隠れていたとごまかそうとするが、なぜ紬が誰もいない灯台から出てきたのかは分からなかった。
それからも紬が遅刻する日は続いたが、とある日に紬は遅刻することなく朝から灯台で羽依里と静久を待っていた。その日は駄菓子屋でかき氷を買い、楽しい時間を過ごした。だが、帰り道に今の今まで楽しそうに話をしていた紬の姿が消えていた。島の友人たちも総出で探してくれたが島のどこにも紬の姿はなかった。羽依里と静久は灯台で紬が帰ってくるのを待ち続けたが朝になっても紬は帰ってこなかった。紬を待ちながら以前蔵で見つけた数十年前と思われる写真を見てみると、島の知っている場所を案内しあった際に紬に紹介された場所であると気づいた。静久と羽依里はすぐさまその場所へと向かうとそこには年季の入った日記帳が何冊もあった。その日記には紬が神隠しにあったということが書かれていた。
紬が消えてしまった理由を知ることを恐れ、日記を読むのを途中でやめて静久を帰した後、羽依里は紬が帰ってきているわずかな可能性にかけ灯台へと足を運んだ。
灯台へと足を踏み入れると違和感を感じ、外を見てみると知らない世界が広がっていた。灯台から見えたはずの海がなく、花に囲まれた大きな木が一本立っていた。灯台の階段を何度下りても外の景色は変わらず、明らかに普通ではない状況だった。すると下の階から階段を上る音が聞こえ、紬が表れた。しかしその少女は羽依里が知っている紬ではなく、蔵で見つけた写真に写っているツムギだった。ツムギは自分たちは神隠しにあっていると状況の説明を羽依里へとする。元の世界へは以外にも簡単に帰れるようだが、ツムギはずっと灯台から出られないらしい。元の世界はすでに数十年も経っていることは伝えず、羽依里は元の世界へと戻った。
元の世界へ戻ると羽依里がよく知る紬が戻ってきていた。すでに静久と羽依里は紬が普通の人ではないということを理解していた。それでも紬と一緒にいられる残り少ない期間を楽しいものにしようと、残り一週間の夏休みで数十年分のイベントを詰め込み楽しんだ。一週間という短い期間でハロウィン、バレンタイン、クリスマスと考えうる限りのイベントをした。夏休み最終日、紬はぬいぐるみになってしまった。紬の正体は、数十年前に神隠しにあったツムギが帰ってきた際に、島の住人がツムギのことを覚えていられるようにぬいぐるみがツムギの姿になったものだった。
久島鴎ルート
島に来たばかりの羽依里は島を散策していると、大きなスーツケースを引いている女の子「久島鷗(くしまかもめ)」と出会った。初対面にも関わらず、フレンドリーに接してくる彼女は羽依里を小学校の屋根裏へと連れていった。勝手に入っていいものかと考えている羽依里をよそに、鴎は屋根らから一つの旗と宝箱を見つける。10年前、鴎は島に集まった「ひげ猫団(ひげねこだん)」という仲良しグループでいつか島に戻ってきたときの為に宝を隠していたらしい。宝箱の中には手書きの島の地図にバツ印が書かれていた。そこには10年前ひげ猫団が見つけた海賊船があるらしい。
今でも海賊船があるのかは分からないが、羽依里は鴎と地図上のバツ印を目指すことにした。島の立ち入り禁止区域の洞窟を抜け、地図上のバツ印へ到着するとそこは浜辺だった。そこへは確かに船があったがそれは海賊船ではなくただの古びた漁船のようなものだった。船を見た鴎は何かを思い出し、涙を流していた。 「スーツケースを見つけて そこに本当の私がいるから」 こう言い残し、羽依里が瞬きをすると鴎の姿が消えていた。
鴎という存在は一体何だったのか。羽依里はもう一度洞窟を訪れスーツケースを見つけ、持ち帰った。スーツケースの中には一冊の「ひげ猫団の冒険」という小説が入っていた。小学生の頃羽依里も読んだことがある小説で鴎(かもめ)という主人公がひげ猫団というグループのリーダーとして冒険をし、海賊船を見つけるというストーリーだ。この小説の主人公の鴎は実際に島の近くの小島に住んでいるという。もしかしたらと思い、羽依里は島の近くにある小島へと足を運んだ。そこには「久島鷺(くしまさぎ)」と名乗る、鴎の母親がいた。久島鷺が言うには、鴎は2年前からフィンランドの病院で一日のほとんどを寝て過ごし、今年の夏に入るころ永遠の眠りについたという。
10年前、久島鷺は鴎をモデルとした島を冒険する小説「ひげ猫団の冒険」を書いた。鴎は本を読んでくれた人が送ってくれたファンレターを自分宛のように思い、10年後小説のような冒険へ招待するという旨の返事を書いた。浜辺にあった船は2年前に鴎と鷺が小説の冒険を再現するために用意したものだった。しかし、鴎は覚めない眠りについたため、本を読んでくれた人を招待し一緒に冒険するという願いは叶わなかった。
羽依里は鴎の願いを叶えるため、浜辺にあった船を島の友達に協力してもらい海賊船へ仕立て上げた。作業を遅くまでしたため、船で羽依里は寝泊まりしているとスーツケースの音が聞こえ、目を覚ますとそこには鴎がいた。鴎は一日のほとんどを寝て過ごす生活のため、小説の主人公の鴎が過ごした夏を本当に自分が過ごした夏のように勘違いしていたこと。そして遠いところに行かなければいけないことを羽依里へと伝えて消えた。
覚めない眠りについた鴎がこの夏に姿を現してまでやりたかった冒険を再現するために、小説へファンレターを送ってくれた人すべてにこの夏に冒険へ招待するという手紙を羽依里は送った。10年前に送ったファンレターから返事が来ても、島へ来てくれる人がいるか分からなかったが、後日港へは多くの手紙を受け取った人が集まっていた。羽依里は島へ来てくれた小説のファンと洞窟を通り、海賊船を見つける冒険をし、鴎がやりたかったことを実現することが出来たのだった。
ALKAルート
羽依里は蔵の整理を手伝うために、鳥白島という田舎の島にある、叔母である岬鏡子の家を訪ねた。家には小学校中学年くらいと思われる女の子がいた。その女の子、「加藤羽未(かとううみ)」は羽依里とははとこにあたるらしい。よくわからない子だが、羽依里のことが嫌いなわけではないようだった。羽依里はうみに楽しい夏休みを過ごしてもらうため島を一緒に巡ったり、ラジオ体操に付き合ったりうみのしたいことをしながら共に過ごした。だが、うみのおかあさんと夏を一緒にすごすという願いを叶えるのは難しかった。そこで羽依里は鳴瀬しろはにお母さん役をお願いした。お母さん役をする代わりにスイカバーをもらうという条件でしろはは承諾してくれた。それからは母親がしろは、父親が羽依里、娘がうみという構成の家族として夏休みを過ごした。
ある日、しろはが家に帰ろうとすると雨が降ることをうみが予見した。それはまるで予測したというよりは知っていたという感じだった。天気予報を見たわけでもなく天気を当てたうみを不可解に思う羽依里だったが数日後、それ以上に不可解なものを羽依里は見てしまう。それはうみの持っていた2000年8月31日と書かれた写真である。羽依里が写真を見た日は2000年8月15日であり、存在するはずのない未来の写真がそこにはあった。羽依里は馬鹿げた考えだと思いながらもうみに未来から来たのか尋ねた。うみは戸惑いながらも未来から来たこと、そして実の父親と母親が羽依里としろはであることを伝える。うみは母親に会いたいという思いから過去へと行き、何度も夏を繰り返していた。うみの言葉を信じ、しろはに事実を伝えないながらも3人は家族として夏休みを過ごした。
しかし、異変が起こっていた。何度も夏を繰り返してきた代償なのか段々とうみに関する記憶が島の人から消えていた。そんな中しろは、うみ、羽依里は3人で花火を見に行く約束をした。花火を見に行く日、目を覚ました羽依里としろははうみのことを覚えていなかった。何かが抜け落ちたような感覚がありながらも2人で花火を見る。花火を見ていると、ふと手に懐かしい感触があった。その小さな手のような感触は、優しく握ると握り返してくる。その瞬間2人はうみという存在を思い出し、ずっとしろはと羽依里についてきていたうみに気づく。うみに謝る2人だったが、うみは2人に感謝を伝え消えていった。うみがきえた瞬間、2人の記憶からうみの存在はまた消えていた。
うみを忘れた2人は結婚し、新たな命を授かった。お腹の中の赤ちゃんに歌を聞かせていたしろはは、突然うみと過ごした夏を思い出した。そして共に夏をすごしたうみは自分の娘だと理解した。うみが過去に自分に会うために過去に来ていたことを理解したしろはは妊娠した体でうみが過去に戻る力を持たず生まれる方法を探し続けた。だが成果は得られず、無理をしていたのがたたってしろははうみを出産した際に亡くなってしまった。
Pocketルート
「僕」が目を覚ますと、そこは鶏小屋だった。「僕」は記憶を失っており、自分が誰かも認識できないでいた。鶏小屋の持ち主である鳴瀬小鳩(なるせこばと)へ事情を説明し、行く当てもないため家へ滞在させてもらうことになった。名前も思い出せない「僕」は、「七つの海」という記憶にあった言葉から「七海(ななみ)」と名乗ることにした。鳴瀬家には「鳴瀬しろは(なるせしろは)」という小学生の女の子がいた。しろはは一か月前に父親を亡くしていた。またそれを追いかけるように母親が失踪しており、安定していない精神状態だった。七海はそんなしろがが笑顔でいられるように一緒に夏休みを過ごした。
七海がしろはにチャーハンを作ってあげると、しろはの父親が作ってくれたチャーハンに似ていたらしく2人でその味を再現することにした。試行錯誤を重ねしろはの父が作った味の再現に成功した。七海は出来上がったチャーハンを口に運ぶとそれは食べたことのある味だった。そして自分が誰で何をしに来たのかを理解した。さまざまな記憶をつかさどる蝶の力を借りて過去へときた七海の正体は「鷹原羽依里」と「鳴瀬しろは」の娘、「加藤うみ」だった。うみはしろはが過去へと戻る力を得ないために過去へとやってきた。両親を失い、過去に戻りたいとしろはは願っていた。しろはに過去に戻る力を得させないために七海は、しろはが過去に捕らわれないよう自分が繰り返してきた夏の記憶をしろはへと見せた。これからの夏は楽しい思い出がたくさんあることを理解し、力を得なかったしろはだったが、役目を終えた七海は消えてしまうのだった。
『Summer Pockets』のゲームシステム
基本的な流れ
『Summer Pockets』は従来の基本的なノベルゲームとシステムはほとんど同じであり、ボイス付きの文章を読み進め、時々出てくる選択肢を選ぶことで4つある通常のヒロインルートを遊ぶことが出来る。
通常の4人のヒロインルートをクリアすると、トゥルールートである「ALKA」ルートを遊べるようになり、「ALKA」をルートをクリアすることでそれに続くストーリーである「pokets」ルートを遊ぶことが可能となる。
ミニゲーム
卓球
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「株式会社ビジュアルアーツ key」泣きゲーまとめ
泣きゲーといったら、なにを思い浮かべますか?通な方は、真っ先に「今でしょ!」みたいに「keyでしょ!」と答えます。そのぐらい「key」といえば泣きゲーの代名詞であるのです。そんな「key」の伝説の泣きゲーをまとめてみました。
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アニメ『Charlotte(シャーロット)』とkey様の魅力は第4話を見れば全て理解できる件
2015年7月〜から、株式会社ビジュアルアーツkey様のアニメ『Charlotte』が放送されてます。そんなkey様の魅力的な作品として、『リトルバスターズ』や『クラナド』などがあります。今回の『シャーロット』にも、そういったkey様の魅力が如実に表されている回がありますーーそう!それは第4話です!そのポイントをまとめてみました。
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【リトルバスターズ!】KEY(麻枝准)作品の厳選壁紙画像まとめ【Angel Beats!】
麻枝准といえば、ゲームのシナリオライターや脚本家、音楽プロデューサーとして知られる人物。過去に『リトルバスターズ!』や『Angel Beats!』などのヒット作を生み出してきました。人気の高さからアニメ化されたものもあります。この記事では、そんな麻枝准による作品の壁紙画像をまとめました。
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【あつ森】アニメ・漫画キャラの制服を再現したマイデザインがすごい!【マイデザインIDまとめ】
大人気ゲームシリーズ「どうぶつの森」のニンテンドーSwitch専用ソフト『あつまれ どうぶつの森』では、服やタイルを自由にデザインして作る「マイデザイン」という機能があり、人気を博している。特に人気漫画などに出てくる服を再現したマイデザインはたびたびネット上で大きな話題になっている。Switchオンラインで公開されているマイデザインは自由に使うことができるので、大好きなあのキャラになりきることも可能だ。ここでは様々な人気アニメ、漫画の制服を再現したマイデザインを紹介する。
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涙腺崩壊必至!?泣けると話題のアニメ作品まとめ【あの花、クラナドほか】
泣きたいときに思いっきり涙を流して気持ちをリフレッシュさせる「涙活」。膨大な数のアニメの中には「涙活」にぴったりな、「泣ける」作品がたくさん存在している。本記事では特にSNS上で評価が高かった「泣ける」アニメ作品を、簡単なあらすじや登場人物・キャラクター、メディア展開情報などを含めてまとめて紹介する。
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涙腺崩壊必至!最高に泣けるおすすめアニメ10選【CLANNADほか】
ここでは見た人が確実に涙腺崩壊してしまう、おすすめの泣けるアニメをまとめた。泣けるアニメの金字塔『CLANNAD』や、ループものの傑作『STEINS; GATE(シュタインズゲート)』など、ハズレなしの鉄板を紹介する。
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名作アニメ『Angel Beats!』のコミックスまとめ
6月に遂に待望のゲームが発売された『Angel Beats!』のコミックス作品をまとめてきました。 アニメ放送終了からゲームが発売されるまで5年。その間の『Angel Beats!』ファンを楽しませてきたコミックスの魅力も紹介します。
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【CLANNAD】京都アニメーション(京アニ)の女性キャラクター限定壁紙まとめ【涼宮ハルヒの憂鬱】
京都アニメーション(京アニ)といえば、『涼宮ハルヒの憂鬱』や『らき☆すた』など、数々のヒット作を生み出してきましたよね。萌え要素たっぷりの可愛い女の子がたくさん登場することで知られており、オタクの心をくすぐっています。この記事では、そんな京アニ作品から女性の登場人物・キャラクターに限定した壁紙画像をまとめました。毎日こんなに可愛い子の姿が拝めるなんて、最高すぎる…。
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目次 - Contents
- 『Summer Pockets』の概要
- 『Summer Pockets』のあらすじ・ストーリー
- 鳴瀬しろはルート
- 空角蒼ルート
- 紬ヴェンダースルート
- 久島鴎ルート
- ALKAルート
- Pocketルート
- 『Summer Pockets』のゲームシステム
- 基本的な流れ
- ミニゲーム
- 卓球
- 島モンファイト
- 『Summer Pockets』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- 鷹原羽依里(たかはらはいり)
- ヒロイン
- 鳴瀬しろは(なるせしろは)
- 空角蒼(そらかどあお)
- 紬ヴェンダース(つむぎヴェンダース)
- 久島鴎(くしまかもめ)
- 鳥白島の住人
- 岬鏡子(みさききょうこ)
- 神山識(かみやましき)
- 野村美希(のむらみき)
- 水織静久(みずおりしずく)
- 三谷良一(みたにりょういち)
- 加納天善(かのうてんぜん)
- 鳴瀬小鳩(なるせこばと)
- 空角藍(そらかどあい)
- その他
- 加藤うみ(かとううみ)
- イナリ
- 鳴瀬瞳(なるせひとみ)
- 久島鷺(くしまさぎ)
- 七海(ななみ)
- 『Summer Pockets』の用語
- 鳥白島(とりしろじま)
- 七影蝶(しちえいちょう)
- 『Summer Pockets』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- スマホ版には巻き戻し機能が搭載
- 「イナリ」役の鈴木このみはOPも担当
- 麻枝准が関わっているのは原案及び音楽