MW(手塚治虫)のネタバレ解説・考察まとめ
『MW(ムウ)』とは、手塚治虫による漫画作品。『ビッグコミック』誌上にて、1976年から1978年まで連載された。2009年には、玉木宏と山田孝之のダブル主演で実写映画版が公開されている。手塚治虫は1970年代の商業青年誌において、「同性愛」と「猟奇殺人」そして「個人VS国」や「善悪とは何か?」というタブー的な要素に取り組んだ。それらの要素が渾然一体となって作り出すドラマが作品の魅力である。南西諸島のとある小島で起きた事件で、人生を大きく狂わされた2人の青年を描いたピカレスクロマン作品である。
中田英覚(なかたえいかく)
自政党に所属する政治家。大臣職にあるかどうかは不明だが、相当の権力を有しているもよう。沖ノ真船島事件が起きた際に積極的に某国軍に協力していて、島出身者に対して口止めの見返りとして生活を保障した。沖ノ真船島事件隠蔽の黒幕の1人であり、結城の復讐の対象となった。娘の美香が結城に惨殺され、切り落とされた彼女の指を見て以降精神に異常をきたし、そのまま廃人状態になって政治家の職を追われた。
中田美香(なかたみか)
中田英覚の娘。中田は結城を気に入り、美香と結婚させて秘書に登用した。美香も結城のことを愛していたが、目黒検事から夫が連続殺人事件の容疑者であることを聞かされたすぐ後、結城に絞殺された。その後、両手の指を切り落とされ死体は遺棄、指は中田への手紙と共に結城の机の中に仕舞われた。
サチュリフ・ミンチ中将(サチュリフミンチちゅうじょう)
某国極東空軍司令部参謀総長で、階級は中将。沖ノ真船島事件の隠蔽工作における某国の責任者だった。中田英覚とはその当時からの知己であり、結城の復讐対象者となる。妻子がいるがバイセクシャルで、結城と肉体関係を結んだ後彼の仕掛けた罠に嵌ってしまう。また、彼の妻も結城の肉体に溺れ、機密を結城に話した。
『MW』の用語
MW(ムウ)
某国のフォート・デトリック研究所で開発された生物化学兵器。その正体は毒ガスであり、物語の15年前には沖ノ真船島に貯蔵されていた。何らかのアクシデントで、沖ノ真船島中に「MW」がばら撒かれる事件が起きたことで、結城美知夫と賀来巌の人生が大きく変化する。「MW」の威力は、猿1匹に対して15mg/1㎥の微量で死亡させるほど凄まじいものである。また、死亡に至らなくても脳に重度の副作用または後遺症を残すことが示唆された。15年後、首都圏にほど近い本土の某国軍基地に貯蔵されている。
沖ノ真船島(おきのまふねじま)
鹿児島県のはるか南、南西諸島の沖縄県寄りに存在する架空の小島。15年前に某国軍が、秘密裏に貯蔵していた毒ガス「MW」の散布事件の舞台となった。この沖ノ真船島事件は、某国軍と自政党によって完全に隠蔽され、全滅した島民と入れ替わる形で遺体処理をした建設会社の人間が島に残り、あたかも昔から住んでいるかのように偽装されている。
自政党(じせいとう)
『MW』に登場する架空の政党。物語内の日本政治を動かしていることが描かれている。沖ノ真船島事件の隠蔽の黒幕の1人中田英覚も、自政党に所属している。中田英覚の失脚後も、頑なに沖ノ真船島事件とそれに伴う結城美知夫の凶行について知らぬ存ぜぬを通した。
『MW』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
殺人鬼結城美知夫
『MW』の名場面として多くのファンが挙げると言われているのが、主人公結城美知夫の極悪非道ぶりである。結城は、第1話にして早くも誘拐した子供とその父親を惨殺した。また、関都銀行新宿支店長とその娘もあっさりと殺すなど、およそ人間の血が通っていないかのような残虐行為を展開し続けている。このような結城のサイコパスさに魅せられる人も多いとのことで、一連の殺人シーンは高評価されてきた。
結城美知夫「ぼくは他人とからだを触れ合ったのはあれが生まれて最初だった」
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目次 - Contents
- 『MW』の概要
- 『MW』のあらすじ・ストーリー
- プロローグ
- 道ならぬ関係
- 闇に葬られた事件
- 結城の復讐
- 誰が最後に生き残ったのか
- 『MW』の登場人物・キャラクター
- メインキャラクター
- 結城美知夫(ゆうきみちお/演:玉木宏)
- 賀来巌(がらいいわお/演:山田孝之)
- 結城・賀来の関係者
- 谷口澄子(たにぐちすみこ)
- 目黒検事(めぐろけんじ)
- 青畑記者(あおはたきしゃ)
- 河本玉之丞(かわもとたまのじょう)
- 飲み屋「水と油」の主人(のみやみずとあぶらのしゅじん)
- 巴(ともえ)
- 結城の復讐相手
- 支店長(してんちょう)
- 美保(みほ)
- 中田英覚(なかたえいかく)
- 中田美香(なかたみか)
- サチュリフ・ミンチ中将(サチュリフミンチちゅうじょう)
- 『MW』の用語
- MW(ムウ)
- 沖ノ真船島(おきのまふねじま)
- 自政党(じせいとう)
- 『MW』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 殺人鬼結城美知夫
- 結城美知夫「ぼくは他人とからだを触れ合ったのはあれが生まれて最初だった」
- 結城の毒牙にかかった女たち
- 大きな謎となった衝撃のラストシーン
- 『MW』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- LGBTQを商業誌で堂々と描いた手塚治虫
- 実在する事件や人物がモデル
- 手塚治虫多忙のため背景が描かれなかった原稿
- 原作漫画を大幅に改変した実写映画版『MW』
- 『MW』の主題歌・挿入歌
- 実写映画版主題歌:flumpool「MW 〜Dear Mr. & Ms. ピカレスク〜」
- 実写映画版劇中歌:SWANKY DANK「For You」