呪怨 黒い少女(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『呪怨 黒い少女』とは2009年に公開された日本のホラー映画作品である。同時上映は『呪怨 白い老女』。監督・脚本は安里麻里。今作では『呪怨』シリーズのメインキャラクターである伽椰子を登場させないという新たな試みが行われている。伽椰子に代わるメインキャラクターとして、この世に産まれることができなかった真っ黒な少女の霊が人々に厄災を振りまいている。終盤では、除霊を試みた真理子と真理子を騙し打ちした霊との戦いが繰り広げられている。自由を得た霊は伽椰子のように家に固執することなく歩み去っていく。
つよい怨みを抱いて死んだモノの呪い。それは、死んだモノが生前に接していた場所に蓄積され、「業」となる。その呪いに触れたモノは命を失い、新たな呪いが生まれる。
バニシングツイン
バニシングツインとは、双子の片割れが胎内で死亡した際に子宮に吸収されて消失するという現象を指す。主に妊娠初期である第6週目から8週目にかけて発症しやすく、双子妊娠時に約10~15パーセントの確率で発生している。
奇声を発して倒れる芙季絵の症状は、当初、家庭環境からくるストレスによるものと診断される。しかし再検査によって、芙季絵の体内に嚢腫が発見されたことから、芙季絵は本来は双子だったことが判明する。双子の妹は芙季絵に吸収されてしまい嚢腫になってしまうという、バニシングツインの中でも稀有な例であった。本来ならそのまま消えてしまうはずだった双子の片割れが、芙季絵の体内に嚢腫として残り続けたことで、この世に産まれてこれなかったことを恨む黒い少女の霊が現れるようになる。
『呪怨 黒い少女』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
シーツを被った何かが裕子を襲う
裕子は芙季絵の病室にシーツを被った誰かがいるのを目撃する。てっきり芙季絵のいつもの悪戯だろうと思ったが、芙季絵はベッドで眠っていた。謎の存在に怯え逃げようとする裕子にシーツを被った何かが襲い掛かる。
芙季絵「どうして私を産んでくれなかったの?」
病気の原因が家庭環境からくるストレスだと診断された芙季絵は催眠治療を受けることになる。精神が時を遡り母親の胎内にまで至ったとき、突如芙季絵は暴れ苦しみだして倒れてしまう。そして気を失う間際「どうして私を産んでくれなかったの?」と告げたのだった。
真理子「逃げて!」
真理子は芙季絵の産まれることができなかった妹の除霊に成功したかと思われたが、実は騙されて芙季絵の方を除霊してしまっていた。その夜、自宅を訪れた芙季絵に腹を貫かれる真理子。彼女は倒れた時に階段の上から息子の崇が目撃していることに気付く。芙季絵に引きずられながら、真理子は崇に「逃げて!」と叫んだのだった。
『呪怨 黒い少女』の裏話・小ネタ・トリビア/エピソード・逸話
安里監督と清水崇は映画技術美学講座の同期
映画技術美学講座で清水崇と同期だった安里監督は、清水崇が課題で提出した作品を見たという。『家庭訪問』というタイトルの3分の短編作品は、『呪怨』の伽椰子が階段を這いおりてくる場面だったという。安里監督は『呪怨』の原点を真っ先に見ることができた1人である。
少女の霊が黒いのはプロデューサーの方針
『呪怨』といえば伽椰子や俊雄をはじめとする不気味な真っ白い霊が印象的な作品であるが、今作では一転して真っ黒い少女の霊が現れている。何故、黒い霊が生み出されたのか。
『呪怨』(ビデオ版)発売10周年を記念して、2人の監督が選ばれて2本の新しい『呪怨』が制作されることになった。この時点では別に白と黒の対比にしようという考えは無く、伽椰子に代わるメインキャラクターとして、三宅監督は自作『姿見』に登場させた白い老女を起用することにした。一方の安里監督は女の子を選ぶ。その後、終盤になってプロデューサーの一瀬が2本立ての1本ずつをそれぞれ白と黒で色分けすると決定したことによって、真っ黒い少女の霊が生み出されたのである。
『呪怨 白い老女』との関連性
今作は『呪怨 白い老女』との同時上映であるが、それぞれの話は独立している。だが『呪怨 白い老女』において、磯部一家が引っ越し先の内見に行く場面で松岡一家の家族写真があったり、建物の外観が松岡家と同じであることから、松岡家殺人事件が起こった家に磯部家が入居したと思われれる。
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目次 - Contents
- 『呪怨 黒い少女』の概要
- 『呪怨 黒い少女』のあらすじ・ストーリー
- 徹也を襲う恐怖
- 裕子を襲う恐怖
- 綾乃に忍び寄る恐怖
- 謎の病気になる芙季絵
- 横田を襲う恐怖
- 真理子を襲う恐怖
- 恐怖の幕を引く季和子
- 『呪怨 黒い少女』の登場人物・キャラクター
- 主要登場人物
- 芙季絵(ふきえ/演:松本花奈)
- 裕子(ゆうこ/演:加護亜依)
- 徹也(てつや/演:瀬戸康史)
- 真理子(まりこ/演:中村ゆり)
- 季和子(きわこ/演:高樹マリア)
- 横田(よこた/演:勝村政信)
- 徹也の友人
- 隆太(りゅうた/演:重山邦輝)
- 睦美(むつみ/演:次原かな)
- 病院関係者
- 寒川(さむかわ/演:野村信次)
- 美香(みか/演:岩橋道子)
- 光山(みつやま/演:佐藤貢三)
- その他の登場人物
- 綾乃(あやの/演:中園友乃)
- タクシー運転手(演:宮川一朗太)
- 少年(演:小杉彩人)
- 保健医(演:朝岡実嶺)
- ヨシオ(よしお/演:松嶋亮太)
- 佐伯俊雄(さえきとしお/演:宇都秀星)
- 崇(たかし/演:土師野隆之介)
- 義之(よしゆき/演:舘昌美)
- 黒い少女
- 『呪怨 黒い少女』の用語
- 呪怨
- バニシングツイン
- 『呪怨 黒い少女』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- シーツを被った何かが裕子を襲う
- 芙季絵「どうして私を産んでくれなかったの?」
- 真理子「逃げて!」
- 『呪怨 黒い少女』の裏話・小ネタ・トリビア/エピソード・逸話
- 安里監督と清水崇は映画技術美学講座の同期
- 少女の霊が黒いのはプロデューサーの方針
- 『呪怨 白い老女』との関連性