牙狼<GARO> ハガネを継ぐ者(牙狼ハガネ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『牙狼<GARO> ハガネを継ぐ者』(ガロ はがねをつぐもの)とは、雨宮慶太が監督を務める特撮作品。『牙狼〈GARO〉』シリーズの作品の1つで、キャッチコピーは「未来に、継げ」。
魔界の住人ホラーから人々を守って戦い続ける魔戒騎士の道外流牙は、ある時魔戒法師のコヨリから「クレアシティに来てほしい」との依頼を受ける。クレアシティでは最近ホラーの出現が多発し、大きな事件が起きることが予想されていた。しかしクレアシティを担当する魔戒騎士白羽創磨は流牙の介入を快く思わず、彼に敵愾心を剥き出しにする。

『牙狼<GARO> ハガネを継ぐ者』の概要

『牙狼<GARO> ハガネを継ぐ者』(ガロ はがねをつぐもの)とは、雨宮慶太が監督を務める特撮作品。人間を襲う魔界の住人ホラーと、彼らから人々を守る魔戒騎士たちの世に知られぬ戦いを描く『牙狼〈GARO〉』シリーズの作品の1つで、キャッチコピーは「未来に、継げ」。
前作となる『GARO -VERSUS ROAD-』以来4年ぶりの新作であり、『牙狼〈GARO〉~闇を照らす者~』で活躍した道外流牙(どうがい りゅうが)が再び主人公を務める。『牙狼〈GARO〉』シリーズの売りである「生身と変身した状態双方での激しい殺陣」はさらにブラッシュアップされており、見応えのあるものとなっている。

魔界の住人ホラーから人々を守って戦い続ける魔戒騎士の道外流牙は、ある時魔戒法師のコヨリから「クレアシティに来てほしい」との依頼を受ける。クレアシティでは最近ホラーの出現が多発しており、彼らが何か大きな事件を起こそうと画策していることが予想されていた。
これを引き受けてクレアシティに向かう流牙だったが、この地を担当する魔戒騎士の白羽創磨(しらは そうま)は自分以外の魔戒騎士の介入を快く思っていなかった。「クレアシティを守るのは俺だ」と敵愾心を剥き出しにする創磨と競うようにしながら、流牙は街に現れるホラーを狩り続けていく。

『牙狼<GARO> ハガネを継ぐ者』のあらすじ・ストーリー

クレアシティへの誘い

人を襲う魔界の住人ホラーと、彼らから人々を守る魔戒騎士や魔戒法師たちの世に知られぬ戦いが果てしなく繰り広げられている世界。「黄金騎士」の異名を持つ凄腕の魔戒騎士道外流牙(どうがい りゅうが)は、ある時魔戒法師のコヨリから「クレアシティに来てほしい」との依頼を受ける。
クレアシティでは最近ホラーの出現が続出しており、彼らがなんらかの大きな事件を起こそうとしている可能性が示唆されていた。流牙はコヨリの依頼を引き受け、早速クレアシティに赴く。

しかし、クレアシティを担当していた魔戒騎士の白羽創磨(しらはね そうま)は、流牙の介入を快く思っていなかった。ホラーとの戦いの中で流牙の前に姿を現した創磨は、「この街を守るのは俺だ」と宣言し、彼にとっととクレアシティを出ていくよう告げる。
相次ぐホラーの出現に対抗するため、コヨリの師でもある魔戒法師であるムツギは、アゴラの三剣士という魔戒騎士たちもクレアシティに招いていた。彼らにも強く反発する創磨を見て「なぜああも頑ななのか」と不思議がる流牙に、コヨリは「創磨の父のゴドウもまたクレアシティを守る魔戒騎士だった」こと、「そのゴドウが3年前に行方不明になり、創磨は“父が帰ってくる場所”を守ろうとしている」ことを教える。ゴドウとも交流のあった流牙は、ホラー相手に苦戦し被害を拡大しそうになった創磨を一喝するが、父の名誉を守らんとする彼はその言葉を素直には受け取れないでいた。

魔戒騎士たちの対立

クレアシティには、古の魔戒騎士たちが命懸けで封じた破滅の門と呼ばれる存在があるとされていた。この門はホラーの世界である魔界に通じており、頻出するホラー事件もこの門を開くための準備ではないのかというのがムツギの予想だった。話を聞いた流牙は、「ホラーたちに開かれる前に、破滅の門を破壊してしまおう」と提案する。これは歴代の魔戒騎士の誰もが成せなかったことではあったが、流牙ならできるかもしれないとコヨリたちは盛り上がる。
一方、ゴドウが流牙に己の得意技だった「閃光剣舞」を伝授していたことを知った創磨は、「なぜ俺ではなくあの男なんだ」と荒れていた。イグス、ロン、オビらアゴラの三剣士たちとも互いに反目し合い、ついには「いつまでゴドウの死を受け入れずにいるつもりだ」と諭された際に「父の名誉を穢された」と剣を抜く。ムツギや流牙が叱責したことでこの場は無事に収まるものの、この1件は魔戒騎士たちに不穏なものを残す。

しかし、この件でもっとも強いショックを受けたのは創磨自身だった。「味方である魔戒騎士に、ホラーを倒し人々を守るための剣を向けてしまった」と悔やんだ創磨は、穏便に処理しようとするムツギに剣を返上。これを見てアゴラの三剣士たちは彼が軽挙を反省していることを認めて矛を下げるも、流牙たちは魔戒騎士としては高い実力を持つ創磨を当面欠くこととなってしまう。
その頃、クレアシティには新たなホラーが生まれつつあった。ビルの内部の人間全員がホラーとなって暴れ出す異常事態の中、流牙たち魔戒騎士が駆け付けてこれを討伐していく。しかしムツギが結界でビルの入り口を閉ざそうとすると、流牙は「創磨が入れなくなる。これからの戦いには彼が絶対に必要だ」と主張し、出入り口を封鎖しないまま戦うことを提案。コヨリたちがこれを受け入れて奮戦する中、「思うところはあるが、クレアシティに危機が迫っているなら自分が戦わなくてどうするというのか」と創磨が応援に駆け付ける。協力してホラーの大群を打ち払った流牙たちだったが、そんな中でも破滅の門が開かれる時は刻一刻と近づいていた。

破滅の門へと至る道

「父の居場所を守りたい」という一心で、かえって父の名誉を穢していたことを悟った創磨は、これまでの非礼を仲間たちに詫びて無事に和解する。一方、流牙はホラーとの戦いの中でゴドウの残したメッセージを受け取り、破滅の門が3年に1度の赤月の夜に開かれることを知る。3年前のゴドウは、これを阻止するために動いていたらしく、そのために赤眼の森という場所で常闇の石という特殊な道具を手に入れたらしい。流牙は創磨と共に赤眼の森へと向かい、この地に潜む精霊が課す試練を乗り越え、無事に常闇の石を手に入れる。
破滅の門が開く時期が近付いたためか、街に現れるホラーは次第に強くなっていき、戦いの中でイグスが命を落とす。常闇の意志を手に入れた今、これ以上の犠牲を出さないためにすぐにでもけりをつけるべきだと判断した流牙、創磨、コヨリ、ムツギの4人は、ロンとオビに街の防衛を任せて破滅の門の破壊に赴く。

破滅の門に向かう途中、流牙は自分がゴドウとどのような交流を持ったかについて創磨に語る。流牙は別の地で起きた事件で大量の闇の力を浴びた経験があり、これに対抗する術を求めていたところでゴドウと出会い、“闇の力を光へと変える”閃光剣舞を教えてほしいと依頼。ゴドウは「息子よりも先に伝説の黄金騎士に自分の奥義を教えることになるとは」と苦笑していたが、流牙に快く閃光剣舞を伝授した。この時ゴドウから「いつか息子にも会ってくれ」とも頼まれた流牙は、その時から創磨のことを「ゴドウの子で彼が期待するほどの逸材なら、いったいどれほどの剣士なのか」と密かに期待していたのだった。
破滅の門に至る途中に広がる迷宮で一行は分断され、創磨とムツギが先に目的地へと辿り着く。しかしそこで彼らを待っていたのは、破滅の門を守るように鎮座する“中身のないゴドウの鎧”の姿だった。父がこの場所で力尽きたことを察した創磨は、嗚咽と共に崩れ落ちるしかなかった。その刹那、突如ムツギが法術で創磨を拘束する。

ムツギの豹変

かつて、ムツギが命懸けでホラーから救った人間が、大量殺人を犯すという事件が起きたことがあった。ムツギはこれにショックを受け、「こうなると分かっていれば救わなかった。人の心に闇がある限り、いくらホラーを倒してもきりがない」と考えるようになっていく。やがて彼女は、「誰もがホラーの脅威に怯えずに暮らせる理想の世界」を実現するという狂気に囚われ、「破滅の門の向こう側にあるという“禁断の果実”があれば、自分の理想は実現する」と結論する。
3年前にゴドウが破滅の門の破壊を試みた時、ムツギはこれに同行。隙を突いて破滅の門を開き、禁断の果実を手に入れようとするが、その目論見に気付いたゴドウが自身の命と引き換えに門を再封印した。これがゴドウが行方を絶った顛末なのだった。

ムツギの力では、ゴドウが施した封印を解除することはできなかった。このためムツギは、創磨に大量の闇の力を浴びせて暴走させることで、彼に破滅の門の封印を解除させようとしていたのである。ここに流牙とコヨリが到着するが、すでに創磨は大量の闇の力によって理性を失い、「父を超えたい、父に認められたい」という己の心の奥底に眠る欲求のままにゴドウが最後の力で施した封印を破壊してしまう。
流牙が呼びかけ続けたことで創磨は正気に戻るも、必死にムツギを止めようとしたコヨリは相手の猛攻の前に倒れる。ここに流牙と創磨が駆け付けるも、ムツギはついに破滅の門を開放し、禁断の果実を手に入れてしまう。

闇と共に光を目指す戦士たち

禁断の果実と一体化したムツギは、「この世の全ての人間の心から陰我を消し去る」ために動き出す。それが「少しでも陰我を持つ人間を消し去る」ことと同義だと気づいた流牙たちは彼女を止めようとするが、禁断の果実がムツギに与えた強大な力の前に苦戦。それでも流牙、創磨、コヨリがそれぞれに力を尽くしたことで、彼らはムツギに深手を負わせる。
しかし、ここで“禁断の果実そのもの”がムツギを取り込むという異常事態が発生。実はムツギの暴走は、その胸の内の絶望を見抜いた“禁断の果実に宿った邪悪な意志”が煽ったものだった。ムツギが弱ったのを見て取った禁断の果実は、彼女を逆に支配して破滅の門を完全開放してしまう。

このままでは世界はホラーの大群で埋め尽くされる。決死の覚悟で戦う流牙たちだったが、禁断の果実の力は彼らを上回り、全身を闇の力で蝕まれる。しかし「相手の闇の力が強大なら、それを光の力に変えて叩き込む閃光剣舞が有効なはずだ」と考えた流牙と創磨は、イグスとゴドウの遺した鎧の力を借りて、閃光剣舞を放つ。自身の力を反転して返された禁断の果実は敗れ去り、流牙たちは破滅の門の再封印に成功する。
かくしてクレアシティで起きた「破滅の門を巡る戦い」は終わりを迎える。「人々に真の安寧をもたらすために全ての闇を消し去ろう」というムツギの理想こそが今回の事件のきっかけの1つとなったことを痛感した流牙は、立派に成長した創磨たちと共に「人々の心の中の光を信じて、闇と戦い続ける」ことを誓い合い、その戒めと“人々の心に闇が存在する”ことの証として破滅の門の破壊を断念する。創磨、ロン、オビ、そしてコヨリに見送られながら、流牙は新たな旅へと出立するのだった。

『牙狼<GARO> ハガネを継ぐ者』の登場人物・キャラクター

道外流牙(どうがい りゅうが/演:栗山航)

幾多の戦いを切り抜けてきた、「黄金騎士」の異名を持つ凄腕の魔戒騎士。コヨリの依頼でクレアシティを訪れ、この地で多発するホラー出現の謎を追う。

白羽創磨(しらはね そうま/演:仲野温)

クレアシティを担当していた魔戒騎士。白銀の鎧に身を包んで戦うことから、「ハガネの魔戒騎士」とも呼ばれる。
魔戒騎士としての自負が強く、応援としてやってきた流牙に敵愾心を剥き出しにする。

コヨリ(演:中澤実子)

魔戒法師。温厚で礼儀正しい性格。
流牙を補佐してクレアシティに現れるホラーを追うが、魔戒法師としてはまだ未熟で戦闘では苦戦することも多い。

ムツギ(演:黒谷友香)

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