パッチギ！（映画）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

桃子の妊娠を知ったアンソンはバンホーやチェドキと金の話をしていた。チェドキは学ランが10万で売れたという噂があることを話し、アンソンは自身の学ランを売りに行くことを決める。チェドキに学ランを託したが、その道中、府立東高校の生徒に捕まり、乱騒に巻き込まれ、それが原因でチェドキは亡くなってしまう。アンソンやバンホーたちは涙にくれながら酒を飲み、康介も通夜に訪れる。アンソンから棺に入れて欲しいと自身の衣類を渡され、康介はそれを持って棺の傍へ行くのだが、康介を見た朝鮮人から、「我々の苦労もわからない日本人は帰れ」と言われてしまう。康介は呆然と街を歩きながら泣き叫び、ギターを破壊、鴨川に投げ捨ててしまうのであった。

歌ってはいけない歌なんてない

フラフラとした足取りで、康介はラジオ局に到着する。局では康介が朝鮮の曲を歌うことに激昂したラジオ局の担当局長が怒鳴り込みにくる。しかしディレクターは「どんな理由があろうとな、歌ったらあかん歌なんてあるわけないんだ！この銀河系のどこ探してもな、天体望遠鏡で見渡してもな、そんなモノはどこにもないんだよ！」と言い切り、担当局長をボコボコに殴ってしまう。康介はディレクターから渡されたギターを持って『イムジン河』を歌い始める。

これがパッチギだ！

鴨川では朝鮮高校と府立東高校の生徒たちの乱闘が始まっていた。アンソンは「頭突き」を意味する「イゴシ パッチギじゃー！（これがパッチギだ）」と叫びながら飛びかかっていく。そこにガンジャがやってきて桃子に子供が産まれることを知らせる。アンソンはそれを聞き、慌てて病院に駆けつけるのであった。
ラジオで康介の歌を聴いたキョンジャは、通夜の場でみんなにその歌声を聴かせ始めた。病院に到着したアンソンは無事に産まれた子供を抱いて泣き崩れる。後からきたバンホーたちから乱闘が引き分けで打ち切りなったことが伝えられる。産まれたばかりの子供を抱きながら、「祖国に帰れなくなったな」と言うアンソンに対して、桃子は「どこまでもアンソンと一緒に行く」と笑顔で答えるのであった。
康介がラジオ局を出ると、そこにはキョンジャの姿が。康介は覚えたての朝鮮語で「二人でセッションやりたいんです。」と伝えようとしたところチェドキに騙されて覚えた「トゥリソ ハムケ ハゴシポヨ（二人でヤリたいんです）」と言うと、キョンジャに「あほ！」と笑われてしまう。

『パッチギ！』の登場人物・キャラクター

主要人物

松山康介（演：塩谷瞬）

本作の主人公で、府立東高校2年生。愛称は、自身の名前を朝鮮読みした「カンゲ」と呼ばれる。担任の布川の指示でサッカーの親善試合の申し込みに朝鮮高校に行くように命じられ、そこで偶然出会ったキョンジャに一目惚れする。その時にキョンジャがフルートで奏でていた『イムジン河』のメロディに惹かれ、自身もギターで弾き語りの練習をするようになる。気弱な性格で喧嘩は苦手。サッカーの経験はないものの、朝鮮高校との試合に駆り出される。

リ・キョンジャ（演：沢尻エリカ）

同作の主人公で、朝鮮高校の番長アンソンの妹。康介に想いを寄せられる。所属している吹奏楽部ではフルートを担当。康介と出会い、親しげに話しかけられるようになるが、異性として好意を保たれているとは思わず素っ気ない態度をとる。帰宅後は自営業を営む実家の看板娘として仕事を手伝う働き者。

リ・アンソン（演：高岡蒼甫）

朝鮮高校3年生の番長。キョンジャの兄。通称「パチキのアンソン」の通り、頭突きを得意としており、ケンカに強い。日本の高校に通う男性生徒たちと挑発しあっては喧嘩になっている。服装は赤色が好きで何かしら赤色のものを身につけている。敵と見なした相手には威嚇したり喧嘩を吹っかける血の気の強い性格だが、家族や恋人の桃子の前では素直で甘えるような言動も。サッカーが得意。

康介とキョンジャ、アンソンと親しい仲間達

吉田紀夫（演：小出恵介）

府立東高校の2年生。康介と仲が良く、いつもモテることばかり考えている。3ヶ月だけサッカー部に所属していたことから担任に親善サッカーの申し込みをしに行くよう命じられる。

モトキ・バンホー（演：波岡一喜）

アンソンの親友。朝鮮高校の副番長。黄色のものを身につけていることが多い。当初日本人である康介を挑発するが、後日親しくなった彼をからかって変な朝鮮語を教える。包茎であることにコンプレックスを持ち、手術を受けることを決める。将来は外国のどこかに留学し外交官になることを考えている。いちごが好き。

チェドキ（演：尾上寛之）

アンソンの弟分で後輩。アンソンとバンホーを慕っており、いつも行動を共にしている。アンソンたちに付き合って日常的に他校の男子生徒などを威嚇したり喧嘩をしているが、自身は内心恐る恐る喧嘩をしている。将来の夢は、東映のアクションスターになること。

桃子（演：楊原京子）