1リットルの涙(書籍・映画・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『1リットルの涙』とは、2005年10月からフジテレビ系で放送されていたテレビドラマで、2005年2月に映画化もされた。原作は木藤亜也のノンフィクション書籍。主演は沢尻エリカ。その他、薬師丸ひろ子や錦戸亮などが出演する。中学3年生の池内亜也は難病の脊髄小脳変性症を発症して様々な困難に見舞われ苦悩するが、家族や友人らの支えにより、懸命に生き抜いていく。短くもひたむきに生きた亜也と、彼女を支え続けた家族や周囲の人々の愛が描かれている感動のストーリー。本作は平均視聴率15.4%と高視聴率を記録した。
『1リットルの涙』の概要
『1リットルの涙』とは、2005年10月11日から12月20日まで、フジテレビ系で毎週火曜日21時から放送されていたテレビドラマである。原作は木藤亜也のノンフィクション書籍。脚本は『ごくせん』や『ナースのお仕事』を担当する江頭美智留や、『凪のお暇』や『花燃ゆ』を担当する大島里美などが手掛ける。主演は沢尻エリカ。その他、薬師丸ひろ子や錦戸亮などが出演する。難病である脊髄小脳変性症を発症した少女が、家族や友人らに支えられながら、懸命に生きていく姿を描くヒューマンドラマ。役者たちの熱演や、生きることはすばらしいというメッセージが込められた感動的なストーリーが見どころである。本作は平均視聴率15.4%の高視聴率を記録。最終話では20%を超え、瞬間最高視聴率25.8%をマークした。ドラマ終了後も大きな反響を呼んだことから、2007年にスペシャルドラマとして復活した。
中学3年生の池内亜也(いけうちあや)は、父母と3人の弟妹たちに囲まれて、楽しく平凡な毎日を過ごしていた。そして、名門進学校である明和台東高校の受験に合格した亜也だが、手をつかない不自然な転び方をしてあごを切ってしまう。保健師の仕事をしている母親の池内潮香(いけうちしおか)は、そのことを不思議に思い、神経内科の医師に彼女の診察を依頼する。すると、亜也は難病の脊髄小脳変性症であると診断されてしまった。それから亜也は様々な困難に見舞われるが、家族や友人など周囲の人々の支えもあり、病気を受け入れて前向きに歩んでいくのだった。
映画版は2004年に東映株式会社で製作され、2005年2月10日に公開された。監督は岡村力。田中貴広と山本文太が脚本を担当する。主演は大西麻恵で、かとうかずこや浜田光夫などが出演する。映画版は主人公の名字が木藤(きとう)となっている他、登場人物や名前に若干違いがある。ストーリーも大筋同じだが、主人公が転んだ際に大きな病院で検査してもらうよう勧めたのが母親ではなく医師になっているなど、ドラマ版とは異なった描写になっている。
中学3年生の木藤亜也(きとうあや)は、ある日登校中に転倒して顎を切ってしまった。彼女は母の木藤潮香(きとうしおか)と一緒に病院に行って治療したが、医者から「人は転ぶとき普通は手が先に出るので顎を打つことはない。大きな病院で検査してもらった方が良い」と勧められる。そこで大きな病院で亜也を診てもらったところ、難病の脊髄小脳変性症であることが発覚してしまう。それでも彼女は前向きに病気を受け止め、周囲に支えられながら、懸命に病気と闘っていくのだった。
『1リットルの涙』のあらすじ・ストーリー
ドラマ版
亜也の難病が発覚
中学3年生の池内亜也(いけうちあや)は、ごく普通の明るい女の子。豆腐屋を営む父親の池内瑞生(いけうちみずお)と、母親の池内潮香(いけうちしおか)の元で生まれ、3人の弟妹に囲まれて楽しく暮らしている。
名門進学校である明和台東高校の受験の日、亜也はうっかりバスの中で寝過ごしてしまい、慌てて走り出そうとして転んで膝を怪我してしまう。そんな時、彩と同じ高校を受験する予定だった麻生遥斗(あそうはると)と偶然出会う。そして遥斗は、怪我をした彼女を自転車の後ろに乗せて、高校まで送り届けてくれた。おかげで、亜也は保健室での受験を許可される。一方、遥斗は受験を辞めようとしていたが、彼女と一緒に試験を受けることになってしまった。その後、合格発表が行われ、亜也は親友の杉浦まり(すぎうらまり)と共に見事受験に合格する。遥斗も高校に合格し、亜也やまりと同じクラスになった。さらに亜也と遥斗は、出席番号が1番の男女ということで、クラス委員に任命される。そして、亜也は来月行われる合唱コンクールで、強制的に指揮者をやらされることとなった。そんな中、亜也は中学時代から所属していたバスケットボール部に、まりと一緒に入部する。そこには中学時代から憧れていた先輩の河本祐二(かわもとゆうじ)も所属していた。
そんなある日、亜也はいつものように学校へ向かおうとしたが、豆腐屋の店先で転んでしまう。しかも手をつかない不自然な転び方だったため、顔から落ちて顎を切ってしまった。亜也はそのまま病院に運ばれて治療を受けたが、そこで保健師の潮香は、医師に亜也の体の異変を相談する。事情を知った神経内科の水野宏(みずのひろし)は、亜也を診察した。後日、潮香は1人で病院に行き、水野から亜也が難病の脊髄小脳変性症であることを聞く。それは何らかの理由で小脳が委縮し、徐々に体が動かなくなったり、喋れなくなったりする病気で不治の病だった。
病気を受け止める亜也
潮香は亜也の病気を簡単に受け入れることができず、他の医者にも診てもらうことを決意する。だが、どの医者に診てもらっても診断は同じだった。しかし、潮香は亜也や子供たちに嘘の診断結果を報告し、心配ないと伝えた。そして潮香は、瑞生だけに亜也の病気のことを打ち明ける。瑞生は大きなショックを受け、呆然としていた。
その後、潮香と瑞生は改めて水野の元へ行き、亜也のために病気を受け止める覚悟を決める。だが、潮香は亜也に高校生活を楽しんでほしいという思いがあり、彼女にはまだ病気を告知することはしなかった。しかし亜也は、少しずつ自分の体の異変に疑問を持つようになっていた。
そんな中、亜也の妹である池内亜湖(いけうちあこ)は絵画コンクールで入賞し、喜んで潮香に報告しようとする。ところが、亜也のことが気がかりだった潮香は、亜湖に素っ気ない態度を取ってしまった。その夜、亜也がなかなか学校から帰って来ず、潮香と瑞生はとても心配する。すると不貞腐れていた亜湖が、「過保護すぎる」「そんなに優しくしてもらえるなら、私も病気になりたい」と口走ってしまう。カッとなった潮香は、亜湖を平手打ちし、亜湖は怒って部屋に閉じこもってしまった。
一方、亜也は学校のパソコンで病気のことを調べていた。そして脊髄小脳変性症の症状が、自分の体の異変と合致することに気づき、ショックを受ける。それでも亜也は家族の前では何事もなかったかのように振る舞い、翌日合唱コンクールへと向かった。そんな中、水野は潮香たちの元へ行き、亜也に病気を告知した方が良いと説得する。潮香は病気を告知したくないと頑なだったが、彼の説得により告知を受け入れることにした。
その後、亜也は潮香と瑞生と共に水野の診察に向かう。そこで水野は亜也に病気を告知しようとするが、彼女は先に「私の病気は脊髄小脳変性症ですか?」と尋ねた。水野は少し驚きながら、「そうだよ」と答える。すると亜也は涙を流しながら、「病気はどうして私を選んだの?」と問いかけたのだった。
診察後、帰宅した亜也は自分の部屋で呆然とする。心配して様子を見に来た潮香に対し、亜也は気丈に振舞おうとするが、病気を受け止めることができず「私まだ15だよ!?神様は不公平だよ!」と号泣する。潮香は何も言えず、彼女を抱きしめることしかできなかった。それでも翌日、亜也は何事もなかったかのように元気に振舞い、潮香と瑞生は驚く。だが、亜也は徐々に今までできていたことができなくなっていく恐怖を感じていた。夏休み前、亜也は憧れの河本に花火大会や動物園に行こうと誘われたが、病気のせいで彼に迷惑をかけるのではないかと感じて断ろうと考える。そのことを知った潮香は、「病気のせいにして、できることを投げ出すのは良くない」と彼女を諭す。その言葉で亜也は自分を信じて頑張ろうと決意。花火大会の日、浴衣を着てウキウキしながらデートに向かった。ところが、河本と横断歩道を渡ろうとしたとき転んで頭を強く打ち、救急車で病院に運ばれてしまう。幸い軽傷だったが、水野は亜也の病気の進行が早いため、検査入院をした方が良いと勧めた。せっかくのデートや夏休みが台無しになり、落ち込んでいた亜也だったが、まりや学校の友達がお見舞いに来てくれて少し元気を取り戻す。さらにリハビリ中の亜也の元に、河本もお見舞いに来る。亜也は河本に約束していた動物園デートを断ろうとするが、水野から外出許可が出て、デートに行けることになった。それから亜也は、張り切ってリハビリを行う。
一方、遥斗は亜也の病気のことが気になっていた。そして、亜也を担当する水野のことを調べ、彼女が脊髄小脳変性症ではないかと感じるようになる。そんな時、遥斗は学校で河本が亜也とのデートを断ろうとしていることを知ってしまう。河本は亜也が病気であることを知って、彼女と関わることが億劫になっていたのだ。ところが、何も知らない亜也は河本から電話で断られる前に、動物園に出発してしまった。病院でそのことを知った遥斗は、慌てて彼女の元へ向かい、河本が来ないことを伝える。亜也は涙を流しながら遥斗に感謝し、これから先歩けなくなると語った。そして彼女は「タイムマシンを作って過去に戻りたい」と号泣するのだった。
その後、亜也は退院したが、歩行が不自由なことから学校にタクシーで向かうことになった。その様子を見た亜湖は、「入院したのに全然状態が良くなってない」と心配するが、潮香は「治るには時間がかかるみたい」と誤魔化した。そんな中、担任の西野良三(にしのりょうぞう)は潮香から亜也の病気のことを聞いたが、潮香の希望によりクラスメイトには病名を伏せて伝えた。その後、亜也は周囲の好奇の目に耐えられず、歩いて登校することを決める。学校ではまりや友人の松村早希(まつむらさき)がサポートしてくれたが、亜也は自分のせいで彼女らに迷惑をかけていることを、心苦しく思っていた。そんな時、亜也は学校で気絶して病院に運ばれてしまう。彼女はトイレに行くと周囲に迷惑がかかるため、水分を取らないようにしており、脱水症状になってしまったのだ。そんな亜也を、水野は「誰にも迷惑をかけない人なんていない」と優しく諭した。
その後、亜也に障害者手帳を持たせたい潮香と、それに反対する瑞生が喧嘩になってしまう。弟妹たちと一緒にその場に居合わせた亜湖は、亜也の病気を隠している2人に不満をぶちまける。そこへ亜也がやってきて、「みんなにこんな思いさせてごめん」と謝罪する。潮香は「もう謝るのはやめよう」と亜也を抱きしめ、「もっと堂々としてていい」と励まして障害者手帳の話をした。そして潮香は亜也の病気について、亜湖たちに説明する。亜也の病気が治らないと知った亜湖は、どうすればいいか分からないと戸惑ったが、瑞生が「優しい気持ちで手を差し伸べればいい」と言い聞かせた。そして亜也はデート以降、河本が自分を避けていることを察し、自ら別れを告げたのだった。
そんな中、亜也の弟の池内弘樹(いけうちひろき)は彼女にサッカーのコツを教えてもらい、サッカーチームの選手に選ばれる。弘樹は喜んで亜也に報告し、彼女も彼の応援に駆け付けようと張り切っていた。そんな矢先、弘樹はチームメイトに亜也の歩き方をからかわれてしまう。だが、弘樹は何も言い返せなかった。その姿を目撃した亜湖は怒って弘樹を家に連れ帰り、「あやねぇのこと恥ずかしいと思ってるあんたの方がよっぽど恥ずかしい」と、彼を叱責する。弘樹は泣きながら謝った。密かにその様子を見ていた亜也は、辛い思いをしていた弘樹を思い、「予定ができた」と嘘をついて試合を見に行くことをやめようとする。だが試合当日、弘樹は手書きの招待券を亜也の部屋に置いて、試合へと向かった。そのため、亜也は家族と一緒に弘樹の応援に行く。亜也の姿を見た弘樹は喜びながら、チームメイトに胸を張って彼女を紹介したのだった。
亜也が養護学校へ
それから年が明け、亜也は車椅子生活になった。これまで以上に人の手を借りなければならなくなったが、まりや早希は変わらずサポートしてくれた。しかし、亜也のせいで授業の進行が遅れることもあり、クラスメイトから不満の声が噴出。潮香は西野や教頭から、養護学校への転校を勧められる。悩んだ潮香は水野に相談し、彼から同じ境遇の女性に話を聞いてみたらいいと提案された。そして潮香は、脊髄小脳変性症で養護学校に行った及川明日美(おいかわあすみ)やその母親から話を聞き、亜也を養護学校へ行かせるべきかもしれないと思い始める。だが、亜也は泣きながら「まりたちと一緒にいたい。友達がいないところに行きたくない」と懇願した。潮香はそんな彼女の思いを受け入れることにした。だが、保護者会で亜也のことが問題視され、潮香は他の母親から厳しく追及されてしまう。それでも、潮香は亜也の思いを伝え、もう少しこの学校にいさせてほしいと頭を下げた。その後、潮香は亜也のサポートのため、保健師の仕事を辞める決意をする。さらに瑞生は家計を支えるため、店の営業時間外を利用して、家族に内緒で知り合いの鉄工所で働くことにした。そんな時、亜也は全国高校模試を受けるために、まりや早紀と共に会場に向かう。そこで亜也は階段から転落して捻挫し、まりも手に怪我を負ってしまう。そのせいでまりは、バスケの試合に出られなくなってしまった。
それから、亜也は怪我が治って学校に登校するが、クラスメイトは冷たい目で彼女を見ていた。その後、亜也は診察のために早退しようとするが、忘れ物を思い出して教室に戻ろうとする。すると教室で、学級委員の富田圭子(とみたけいこ)が、亜也について話し合いたいとクラスメイトに持ちかけていた。各々亜也についての不満を言い合う中、まりは彼女を庇おうとする。しかし、亜也のせいでバスケの試合に出られなくなったことを指摘されると、口をつぐんでしまう。さらに早希は亜也の世話をすることが、負担になっていると涙ながらに語った。その本音を知った亜也はショックを受ける。すると黙って聞いていた遥斗が、「お前らズルイよ。嫌だったら最初からあいつに親切にするな」と怒り出す。その時、遥斗が教室の前にいる亜也を発見。一同が驚く中、亜也は教室の忘れ物を取った後、1人その場を去っていく。遥斗は慌てて亜也を追いかけ、彼女と一緒に学校を出る。そこで遥斗は自分も亜也に何もできなかったと後悔を口にするが、彼女は否定し、いつも助けになってくれたことを感謝した。そして亜也は別れを告げ、遥斗は泣き崩れた。
その後、亜也は潮香に仕事を辞めないでほしいと頼み、養護学校へ行くことを伝えた。それから亜也は転校する前に、クラスメイトに病気のことを話す。そして彼女は、「病気になってから希望を失ったものの、病気になって人の温かさに気づいた」「この体の私が今の私だと胸を張って生きていこうと思う」と語り、別れを告げた。だが亜也が潮香や瑞生と共に学校を出ていこうとした時、クラスメイトが追いかけてきて合唱曲を歌い、彼女を送り出した。
後日、亜也は養護学校で寄宿生活を送ることになった。不安を抱いていた亜也に対し、ルームメイトとなる明日美が明るく接してくれる。しかし、亜也は自分と同じ病気と闘う明日美の症状の進行具合を、将来の自分と重ね合わせていた。そのため電動車椅子で素早く自由に動けるようになったものの、歩けなくなる恐怖心から、なるべく自分の足を使って移動するようにした。
そんな中、亜湖から亜也が元気がないと聞いた遥斗は、彼女に電話をかけて水族館に行こうと誘う。そして2人は、水族館デートを楽しんだ。しかしその帰り、突然の雨で亜也はずぶ濡れになってしまう。遥斗は亜也を自宅に送り届けたが、彼女の体調が心配で気が気じゃなかった潮香は、つい彼に「亜也が風邪ひいたらどうするの!?」と怒鳴ってしまった。幸い亜也は何事もなかったものの、潮香は遥斗に「普通の人は何でもないことが、亜也には命取りになることがある」と言い聞かせた。遥斗は軽い気持ちで彼女を誘ってしまったことを、深く反省した。亜也も元気な時のようにはいかないことを思い知り、涙を流した。しかしその後、遥斗は亜也に会いに行き、「今は頼りにならないかもしれないけどいつかお前の役に立ちたい」「俺お前のこと好きなのかも」と自分の思いを伝えた。そして遥斗は、医学部に進むことを決意するのだった。
最期まで日記を書き続けた亜也
その後、亜也は養護学校を卒業し、自宅に戻った。しかし彼女は、滑らかな発音が難しくなる構音障害が進行していた。水野は両親に、亜也が進学や就職をするのは困難なため、在宅でリハビリに励んだらどうかと提案する。だが、亜也は歩くことを諦めたくないという思いから、リハビリを頑張るために入院を希望した。それから入院することになり、リハビリにも励んだ亜也だが、どんどん病気は進行して歩行が困難になってしまう。そして1人でトイレに行けず、失禁してしまった。その夜、眠ることが怖くなった亜也は潮香に電話しようとするが、上手く電話をかけることができなかった。胸騒ぎがした潮香は亜也の様子を見に病院にやってくる。亜也は絶望しながら、「私にできることがなくなっちゃう」と涙を流す。そんな亜也に、潮香は彼女が毎日書いていた日記を見せ、「亜也には書くことがある」と励ました。
それから亜也は、養護学校の担任だった藤村まどか(ふじむらまどか)の結婚式に向かう。そこで亜也は遥斗に「ラブレター」と言って、手紙を渡した。その手紙には、「麻生君と一緒にいると自分が惨めになって辛い」「もう会えません」と書かれていた。そして亜也は将来結婚できないことを思い、涙を流すのだった。
1年後、亜也は運動機能が著しく低下し、ついに自力で歩けなくなってしまった。水野は亜也が突然危険な状態に陥る可能性があることを、両親に伝える。それでも亜也は自分の生きがいは書くことだと、一生懸命日記を書き続ける。そして、その日記を難病の患者や家族を対象にした会報に寄稿していた。そんなある日、水野は亜也宛に届いた1通のハガキを遥斗に託す。そのハガキには、亜也と同じ難病に苦しむ少女からのメッセージが書かれていた。久しぶりに亜也に会いに行った遥斗は、「会報を読んで励まされた」と記されたそのハガキを読んだ後、「お前にはずっと生きててほしい」と彼女に伝える。人の役に立ちたいと願っていた亜也はハガキを読んで、人の役に立てたことに喜びを感じた。その姿を見て、遥斗は涙を流した。
その後、亜也は家に帰りたいと潮香に要求する。抵抗力が落ちているため、危険な状況だったが、水野は1日だけ亜也の帰宅を許可した。そして亜也は帰宅し、久しぶりに家族との時間を過ごした。それから亜也は喋ることもできなくなり、文字が書かれたボードを指さして、会話するようになった。体を動かすことも困難だったが、日記を書くことは止めなかった。ある日、亜也は病室に来た遥斗に日記を読むよう伝える。遥斗は日記を読みながら涙を流し、「お前頑張って生きてきたな」と亜也を称えた。そんな彼に、亜也は「ずっと生きて」と伝えたのだった。
そして5年後、亜也はついに息を引き取った。それから亜也の一周忌となり、潮香と瑞生は彼女の墓参りをする。そこに水野もやってきて、亜也の墓に手を合わせる。さらにその直後、大勢の人が亜也の墓に集まってきた。彼らは会報で亜也の日記を読んで、勇気づけられた人々だった。亜也が多くの人々に影響を与えていたことを知った潮香たちは感慨深く、その様子を見つめるのだった。
映画版
愛知県に住む中学3年生の木藤亜也(きとうあや)は、ある日登校中に転んで顎を切ってしまった。亜也が母の木藤潮香(きとうしおか)と一緒に病院に行くと、医者から「人は転ぶとき手が先に出るので、普通顎を打つことはない。だからもっと大きな病院で診てもらった方がいい」と勧められる。そこで大きな病院に行って検査をしてもらったところ、難病の脊髄小脳変性症であると診断されてしまった。大きなショックを受けた潮香だが、残りの娘の人生を、少しでもいいものにしたいと感じる。一方、亜也は病気のことをあまり詳しく聞かされなかった。
その後、亜也は憧れだった豊橋東高校に合格し、高校生となった。さらに亜也は、主治医の山本纊子(やまもとひろこ)の勧めで日記を書き始める。だが、病状は徐々に進行して学校生活を送るのも困難になり、助けが必要となっていた。夏休みは検査入院することになった亜也だったが、山本から歩けなくなる病気だと聞かされ、ショックを受ける。それでも亜也は、前向きに病気を受け止めた。しかし彼女は、2学期から3級の障害者手帳を持つようになり、ますます同級生や先輩の助けを借りるようになった。様々な人の助けで何とか学校に通っていたものの、とうとう学校から転校を勧められてしまう。覚悟していた亜也だったが、潮香の前で号泣。泣く泣く学校を去ることとなった。
それから亜也は養護学校で寄宿舎生活を送ることになる。そこでは新しい友人や寮母のさととの出会いがあり、生徒とさとが喧嘩しながらもやり遂げた演劇の発表会は、とてもいい思い出となった。養護学校卒業後、亜也は入院し、リハビリに励む。その間、潮香の勧めにより、日記を書くことも続けた。しかし病気は進行し、ついに自力で電話をかけられなくなってしまう。亜也は大きなショックを受ける中、研修医の先生に恋をするが、叶うことはなかった。そして亜也は主治医の山本に、自分は結婚できるかどうか尋ねる。すると山本は少し黙り込んだ後、「できないと思う」と答えた。亜也は正直に教えてくれた山本に感謝を伝えた。その後、亜也はこれまで書いた日記を潮香に託す。21歳になった亜也には、残された機能は何もなかった。それから4年後、亜也は25歳でこの世を去るのだった。
『1リットルの涙』の登場人物・キャラクター
池内家
池内亜也(いけうちあや/演:沢尻エリカ)
主人公。明るく活発で優しく、誰からも好かれる優等生。頭もよく、進学校の明和台東高校に入学したが、15歳の時に難病である脊髄小脳変性症を発症する。体が徐々に動かせなくなっていき、中学時代から続けてきたバスケットボールも辞めざるを得なくなり、養護学校への転校も余儀なくされた。苦悩して何度も涙を流していたが、家族や友人などの支えもあり、前向きに病気と向き合っていた。最終的に歩けなくなり、喋ることもできなくなって絶望するも、潮香の助言によって死ぬ間際まで日記を書くことを続けた。そして25歳で死去した。
池内潮香(いけうちしおか/演:薬師丸ひろ子)
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超高速!参勤交代 リターンズ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『超高速!参勤交代 リターンズ』とは、土橋章宏が脚本を手がけ、2016年に公開された時代劇映画である。監督は本木克英。湯長谷藩(ゆながやはん)藩主の内藤政醇(まさあつ)をはじめとする一行は、元遊女のお咲を側室に迎え湯長谷への帰途についていた。しかし再び老中松平信祝(のぶとき)の陰謀にまきこまれ、城を乗っ取られてしまう。民を傷つけられた政醇は信祝に対抗することを決める。この物語は個性豊かなキャラクターが見せるコミカルな様子の中に、理不尽に強く立ち向かう男たちの姿を見ることが出来る作品となっている。
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古畑任三郎(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『古畑任三郎』とは、1994年から2008年までフジテレビで放送されたドラマ。主演は田村正和、脚本は三谷幸喜。スペシャル版、スピンオフを含め42回のエピソードがある。ストーリー展開は、物語の出だしで犯人や犯行の様子を明かす倒叙ものと言われる形式である。見所としては、犯人とのスリリングなやり取りや、巧みな話術で自白に追い込む場面である。また、犯人や部下とのコミカルなやり取りも魅力となっている。どんな相手にも敬語で、落ち着いた言動を崩さない。黒のスーツに、ノーネクタイがトレードマーク。
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最愛(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『最愛』とは、2021年10月15日から12月17日まで放送された恋愛サスペンスドラマで、主演は吉高由里子。 2017年4月期に、同枠のTBSテレビ系「金曜ドラマ」枠で放送された『リバース』の制作陣が再集結して制作された。 連続殺人事件の重要参考人となった実業家の女性、彼女を取り調べる男性刑事、彼女を守ろうとする男性弁護士の3人を中心とした物語が展開し、謎が複雑に絡み合ったサスペンスドラマである。 数々のドラマ賞を受賞し、メディアなどでも高評価やランキング上位を獲得した。
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麒麟がくる(大河ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『麒麟がくる』とはNHK大河ドラマの59作目として、2020年1月19日から2021年2月7日まで放送された作品である。裏切り者や悪人として描かれてきたことの多い明智十兵衛光秀(あけちじゅうべえみつひで)を主人公にしている。平和な世の中になると現れる「麒麟(きりん)」を呼べる人物を探しつつ足利義昭(あしかがよしあき)や織田信長(おだのぶなが)に仕え、戦のない大きな国を作ろうとする十兵衛の一生が描かれている。定説とは全く正反対の側面から描かれた十兵衛や、戦国武将たちの姿が見どころの1つである。
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億男(小説・映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『億男』とは、映画プロデューサーで小説家の川村元気による長編小説・およびそれを基にした映画作品である。主人公の大倉一男は借金返済のために昼夜問わず働いて必死にお金を稼いでいた。そんなある日、偶然手に入れた宝くじが当選し、一男は3億円を手にする。突然大金を所持したことに不安を抱え、旧友である古河九十九に相談。しかし彼は3億円と共に失踪してしまう。一男は九十九を探す過程で様々な大金持ちと出会い、お金の価値を学んでいく。
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コーヒーが冷めないうちに(この嘘がばれないうちに)のネタバレ解説・考察まとめ
『コーヒーが冷めないうちに』とは2018年9月に公開された邦画。主演・有村架純、監督・塚原あゆ子、原作は川口俊和による舞台演劇と小説である。 主人公の女性・時田数が従兄と営む小さな喫茶店。この喫茶店には不思議な噂があった。それはとある席に座ると、望んだ時間に戻ることができるというものだ。しかしそこには面倒なルールも存在した。 過去は変えられないが、未来は変えられる。過去に戻った喫茶店の客たちが、各々の人生を変えていくところが見どころである。
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ナイルパーチの女子会(小説・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『ナイルパーチの女子会』とは、柚木麻子が2015年文藝春秋より発表した小説を原作として制作されたテレビドラマである。 ドラマ版は水川あさみを主演とし、BSテレビ東京「土曜ドラマ9」枠で2021年1〜3月に全8話が放送された。正反対の女性2人が「女友達がいない」という共通点から親しくなるも、友人同士の適切な距離感を見失ったことで、思いもかけない関係性に発展していく過程を描く。生態系を食い尽くす凶暴な魚・ナイルパーチと重ね合わせて描かれる、人間関係を崩壊させる女性の心の闇が魅力のドラマである。
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新宿スワンの名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ
『新宿スワン』とは、和久井健による漫画作品で、スカウト業界を舞台に夜の新宿で繰り広げられる熾烈な生存競争を描いている。主人公・白鳥龍彦を中心に、裏社会での激しい人間模様が展開され、読者に深い印象を与えてきた。熱い友情、壮絶な戦い、内なる葛藤を描いた名言・名セリフの数々は、多くのファンの共感と評価を得ており、人生の教訓として広く語り継がれている。
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関ジャニ∞(エイト)の徹底解説まとめ
関ジャニ∞とは、2002年12月18日に結成。2004年8月25日にシングル『浪花いろは節』で関西地区限定でCDデビューをしたグループ。同年9月22日、同曲で全国デビューを果たした。関ジャニ∞のエイトが無限大標記なのは、無限大の可能性という意味がこもっている。 ジャニーズ事務所に所属するアイドルでありながら、ロックフェスに出演したりバラエティーで活躍を見せたり個々でも舞台やドラマなど幅広く活躍の場を広げているグループである。
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NEWS(ジャニーズ)の徹底解説まとめ
NEWSとはジャニーズ事務所所属の男性アイドルグループである。初期のメンバーは9人だが、その後メンバーの脱退を経て4人で活動している。デビューシングルから22作連続でオリコンチャート1位を獲得し、歴代3位の記録を持つ。メンバーの2人が組むユニット、デゴマスを筆頭に歌唱力も評価され、コンサートでは独特の世界観が話題を呼んでいる。
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おすすめの泣けるドラマまとめ【1リットルの涙など】
一度は見て欲しいおすすめの泣けるドラマをまとめました。難病と闘う主人公を描いた「1リットルの涙など」や、世間でブームを巻き起こした「世界の中心で、愛をさけぶ」など、涙なしでは見られない名作ばかりです。ドラマのあらすじやレビューを紹介していきます。
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目次 - Contents
- 『1リットルの涙』の概要
- 『1リットルの涙』のあらすじ・ストーリー
- ドラマ版
- 亜也の難病が発覚
- 病気を受け止める亜也
- 亜也が養護学校へ
- 最期まで日記を書き続けた亜也
- 映画版
- 『1リットルの涙』の登場人物・キャラクター
- 池内家
- 池内亜也(いけうちあや/演:沢尻エリカ)
- 池内潮香(いけうちしおか/演:薬師丸ひろ子)
- 池内亜湖(いけうちあこ/演:成海璃子)
- 池内弘樹(いけうちひろき/演:真田佑馬)
- 池内理加(いけうちりか/演:三好杏依)
- 池内瑞生(いけうちみずお/演:陣内孝則)
- がんも
- 麻生家
- 麻生遥斗(あそうはると/演:錦戸亮)
- 麻生芳文(あそうよしふみ/演:勝野洋)
- 麻生佐和子(あそうさわこ/演:兎本有紀)
- 麻生圭輔(あそうけいすけ/演:佐藤祐基)
- 明和台東高校
- 西野良三(にしのりょうぞう/演:佐藤重幸)
- 杉浦まり(すぎうらまり/演:小出早織)
- 松村早希(まつむらさき/演:松本華奈)
- 恩田耕平(おんだこうへい/演:水谷百輔)
- 中原慶太(なかはらけいた/演:橋爪遼)
- 富田圭子(とみたけいこ/演:葵)
- 大橋美歩(おおはしみほ/演:川原真琴)
- 本田香織(ほんだかおり/演:星野奈津子)
- 河本祐二(かわもとゆうじ/演:松山ケンイチ)
- 武田誠(たけだまこと/演:遠藤雄弥)
- 医療関係
- 水野宏(みずのひろし/演:藤木直人)
- 岡崎誠(おかざきまこと/演:矢島健一)
- 田辺慎太郎(たなべしんたろう/演:小林正寛)
- 宮下信太郎(みやしたしんたろう/演:森山周一郎)
- 佐々木順一(ささきじゅんいち/演:宇納佑)
- その他
- 川上さくら(かわかみさくら/演:円城寺あや)
- 松村香苗(まつむらかなえ/演:栗田よう子)
- 藤村まどか(ふじむらまどか/演:浜丘麻矢)
- 高野喜一(たかのきいち/演:東根作寿英)
- 及川明日美(おいかわあすみ/演:大西麻恵)
- 及川菊枝(おいかわきくえ/演:かとうかずこ)
- 映画版
- 木藤亜也(きとうあや/演:大西麻恵)
- 木藤潮香(きとうしおか/演:かとうかずこ)
- 木藤瑞生(きとうみずお/演:浜田光夫)
- 山本纊子(やまもとひろこ/演:鳥居かほり)
- さと(演:芦川よしみ)
- ハル(演:松金よね子)
- 患者1(演:森山周一郎)
- 患者2(演:速水亮)
- 『1リットルの涙』の用語
- 脊髄小脳変性症
- 池内豆腐店
- 常南大学医学部付属病院
- 日記
- 『1リットルの涙』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 亜湖が弘樹を叱責する場面
- 遥斗が亜也を庇う場面
- 池内亜也「ずっと生きて」
- 『1リットルの涙』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 話題となった豪華なキャストの出演
- ドラマは視聴者から絶賛され高視聴率をマーク
- 兄弟の人数や名前など原作とドラマの違い
- 『1リットルの涙』の主題歌・挿入歌
- ドラマ版
- ED(エンディング):K「Only Human」
- 挿入歌:レミオロメン「粉雪」
- 挿入歌:レミオロメン「3月9日」
- 映画版
- 主題歌:加藤郁子「空へ」
- 挿入歌:大森洋平「グライダー」