岸辺露伴は動かない(ジョジョスピンオフ)のネタバレ解説・考察まとめ
『岸辺露伴は動かない』とは、荒木飛呂彦による漫画、及びそれを原作とするアニメ、ドラマ作品であり、荒木の代表作『ジョジョの奇妙な冒険』Part4『ダイヤモンドは砕けない』に登場する岸辺露伴のスピンオフである。リアリティを追求する漫画家の岸辺露伴が、作品の取材で奇妙な現象に巻き込まれ、持ち前の知識、機転、スタンドと呼ばれる超能力で危機を回避する。日常に潜む恐怖や、意外な真実との遭遇を奇抜なアイディアで描く。派生作品『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』の他、短編小説集もある。
『シンメトリー・ルーム』
唐沢徹(からさわ とおる)
最近露伴の担当編集者となった。最初の内は、経験不足から空気を読まない発言をして露伴を苛立たせたが、仕事の飲み込みは早く、何度か打ち合わせをする内にスムーズにやり取りができるようになった。
土山章平(つちやま しょうへい)
杜王情報通信大学の新校舎を設計した天才建築家。数年前、ギリシャのとある神殿の完璧なシンメトリーを見たことがきっかけでシンメトリーを絶対的な美と認識するようになり、その神殿の美を再現したシンメトリー建築法で地位と名声を得た。
建築物だけではなく、自分の持ち物や体まで手術でシンメトリーにしており、筋肉量や疲労、ダメージまで左右均等にするなど異常ともいえるこだわりで露伴を驚愕させた。
露伴の才能を見抜き、シンメトリーの美や、仕事に対する考えを語るが、理解はされず、露伴にシンメトリーのすばらしさを理解させるべく、自身の最高傑作たる新校舎5階の多目的ホールに閉じ込めた。「夜になったら迎えに来る」と言い宣言通り夜に訪れるが、自力で部屋を脱出した露伴に自分の考えを否定された上、ヘブンズ・ドアーで「シンメトリーを美しいと思えなくなる」と書かれた。
唐沢からの報告によると、「スランプに陥り、自分の建築物に放火をして逮捕された」という。
『楽園の落穂』
移季年野(うつろぎ としや)
料理専門雑誌の編集部に勤める。31歳バツイチ。丸々と太った巨漢。露伴は彼を「牛が人間の扮装をしているみたい」だと評した。
露伴にグルメ漫画の執筆を依頼し、伝説の小麦「楽園の落穂」の栽培地への取材を取り付け、娘や露伴と共に親友の夜宜沼のもとを訪れるが、振る舞われた楽園の落穂でできた製品を食べた結果、労働力として牛そっくりの姿に変えられてしまう。
楽園の落穂の意思で、村人と共に娘の羊にも楽園の落穂を食べさせようとするが、羊の言葉により楽園の落穂の支配から抜け出し、体内に残った楽園の落穂を吐き出した後、露伴、羊と共に村を脱出を果たす。
事件後は露伴の家に匿われ、楽園の落穂が体から完全に排出されると元の姿に戻った。打ち合わせで訪れたレストランで、楽園の落穂で作ったとされるパンが出た際「何か食べない方がいい気がする」と無意識に拒絶した。
移季羊(うつろぎ よう)
移季の娘。小麦アレルギーがある。父が毒見をし、安全だと判断したものしか口にしない。
アレルギーが治る可能性があるとして父、露伴と共に楽園の落穂の栽培地を訪れるが、不安から食べることを拒否。牛にされた父の言葉に従い食べようとしたが、自分の意思を取り戻した移季が食べないように言った為結局は口にしなかった。
事件後はアレルゲン免疫療法で、アレルギーを克服しようとしている。
夜宜沼猩造(やぎぬま しょうぞう)
楽園の落穂の栽培を行う人物。移季とは、大学時代からの親友。かつては、農業系の先端企業で遺伝子組み換え作物の研究をしていたが、ある日突然、全てのキャリアを捨てて山奥の土地を開墾。有志と共に楽園の落穂が自生していた時代と同じ生活をしながら、小麦を栽培している。
元々は移季の娘・羊がアレルギーを発症し、その世話に疲れた妻が彼と離婚したとの話を聞いて親友と娘を助けるべく遺伝子改良でアレルギーが出ない小麦を作ろうとした。その過程で、現代によみがえらせた超古代種の小麦に楽園の落穂と命名し、アレルギー改善の可能性を見い出すが、その小麦に「食べた者を支配し、繁殖の為に奴隷にする」という特性があることに気付いた時は、既にその支配から逃れられなくなっていた。
村では、楽園の落穂により家畜化した人間の統率が彼の役割となっている。移季親子を家畜にし、露伴を宣伝材料にしようと企てるが、牛にされた移季が正気に戻り、露伴がヘブンズ・ドアーで村人に畑に火をつけさせたことから「三人を捕らえる」「火を消して小麦を守る」との命令の板挟みとなり、身動きが取れなくなっている間に三人を逃がす。
畑や種子がすべて焼き尽くされたことで楽園の落穂から解放され正気に戻り、救助された。
『岸辺露伴は動かない』の用語
妖怪六壁坂(ようかい むつかべざか)
妖怪伝説の取材の為に訪れた六壁坂村で、露伴が発見・命名した妖怪。
普段は人間と全く同じ外見をしているが、愛する者の前で些細なことをきっかけに死亡し、その死体を管理しなければ社会的に破滅する状態に追い込む。遺体は死後も血が流れ続け、ミイラ化はするもののいつまでも腐らず、霧吹きで水をかけると一瞬だけ、OVAではしばらくの間生前の姿に戻るなど、明らかに普通の人間とは違う特徴を持つ。
取り憑こうとした相手の行動によっては、顔から無数の触手のようなものを持った本来の姿(と思しきもの)を見せることもある。遺体には生殖機能が残っており、管理する者との間に子供が生まれた場合、子供は妖怪の特徴を受け継ぐ。
露伴は、これらの生態から「子孫を残すことを目的とした妖怪」「妖怪というより、有史以前からこの辺りに棲息している生物と呼んでいいかもしれない」と述べた。
ヒョウガラ列岩
杜王町・北西部に位置する岩礁群。東方家の私有地で禁漁区に指定されており、そこから南側の入り江一帯がアワビの漁場となっている。禁漁区である上、潮の影響でアワビの主食たる海藻が豊富な上、タコ以外に天敵もいないので25㎝前後のアワビが多く生息している。
この地域では、年に一度天気の良い八月お盆前後の満月の夜、数時間だけ引力の影響で潮の流れが変わる。そこに棲息しているクロアワビは前上下の感覚を失って岩から離れ、潮に乗って海中を漂う。それを列岩で待ち構え、手で持ち帰るという密漁法が古文書に伝わっているが、実は密猟者を捕まえる為の罠で、うかつにこの漁法を行うと海中を漂うアワビが体に貼り付き、その重みで溺れてしまう。
露伴の祖母のバッグ
露伴の祖母の形見のバッグ。70年代製のボストンバッグで、職人が言うには、かつて天才的な職人の一人が特別に3個だけ作ったものだという。金目のものを入れて口を閉じるとそれが消えてしまう為、露伴はグッチの工房へ修理を依頼した。
この現象は、バッグに宿った一種のスタンド能力であり、持ち主が危機に陥ると消えた金品と等価のものを出して窮地を救う。金品が消えないよう修理された為、能力は消失した。
当初の予定では財布になるはずだったが、グッチからの要請でバッグになったという。
ロレンチーニャ
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目次 - Contents
- 『岸辺露伴は動かない』の概要
- 『岸辺露伴は動かない』のあらすじ・ストーリー
- 『懺悔室』(『週刊少年ジャンプ』1997年30号掲載)
- 『六壁坂』(『ジャンプスクエア』2008年1月号掲載)
- 『富豪村』(『週刊少年ジャンプ』2012年45号掲載』)
- 『密漁海岸』(『週刊少年ジャンプ』2013年46号掲載)
- 『岸辺露伴 グッチへ行く』(ファッション誌『SPUR』2011年10月号別冊付録の小冊子掲載)
- 『望月家のお月見』(『ジャンプ+』2014年公開)
- 『月曜日 天気-雨』(『ジャンプスクエア』2016年1月号掲載)
- 『D・N・A』(『別冊マーガレット』2017年9月号掲載)
- 『ザ・ラン』(『週刊少年ジャンプ』2018年13号掲載)
- 『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(単行本)
- 『岸辺露伴は叫ばない』(短編小説集)
- 『くしゃがら』(著:北國ばらっど)
- 『Blackstar.』(著:吉上亮)
- 『血栞塗』(著:宮本深礼)
- 『検閲方程式』(著:維羽裕介)
- 『オカミサマ』(著:北國ばらっど)
- 『岸辺露伴は戯れない』(短編小説集)
- 『幸福の箱』(著:北國ばらっど)
- 『夕柳台』(著:宮本深礼)
- 『シンメトリー・ルーム』(著:北國ばらっど)
- 『楽園の落穂』(著:吉上亮)
- 『岸辺露伴は動かない』の登場人物・キャラクター
- 『ジョジョの奇妙な冒険』Part4
- 岸部露伴(きしべ ろはん)
- ヘブンズ・ドアー(天国への扉)
- 東方仗助(ひがしかた じょうすけ)
- 広瀬康一(ひろせ こういち)
- 虹村億泰(にじむら おくやす)
- 山岸由花子(やまぎし ゆかこ)
- 支倉未起隆(はぜくら みきたか)
- 小林玉美(こばやし たまみ)、音石明(おといし あきら)
- トニオ・トラサルディー
- 『懺悔室』
- 懺悔者/若い男
- 浮浪者の霊
- 『六壁坂』
- 貝森稔(かいがもり みのる)
- 大郷楠宝子(おおさと なおこ)
- 釜房群平(かまふさ ぐんぺい)
- 大郷修一(おおさと しゅういち)
- 楠宝子の娘/大郷桐子(おおさと きりこ)
- 楠宝子の息子/大郷櫂(おおさと かい)
- 『富豪村』
- 泉京香(いずみ きょうか)
- 一究(いっきゅう)
- 主(あるじ)
- 『密漁海岸』
- ヴェルジーナ/森嶋初音(もりしま はつね)
- 『岸辺露伴 グッチへ行く』
- 通訳の女性
- グッチの職人
- 『望月家のお月見』
- 望月昇(もちづき のぼる)
- 望月晴瑠子(もちづき はるこ)
- 望月亜貴(もちづき あき)
- 望月猛(もちづき たける)
- 望月ミツ(もちづき みつ)
- 月の兎
- 『月曜日 天気-雨』
- 肥満の男
- 『D・N・A』
- 片平真依(かたひら まい)
- 片平真央(かたひら まお)
- 真依の夫/片平央(かたひら あきら)
- 尾花沢(おばなざわ)
- 『ザ・ラン』
- 橋本陽馬(はしもと ようま)
- 早村ミカ(はやむら みか)
- 『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』
- 藤倉奈々瀬(ふじくら ななせ)
- 露伴の祖母/猷(ゆう)
- 山村仁左右衛門(やまむら にざえもん)
- 野口(のぐち)
- ゴーシェ/辰巳隆之介(たつみ りゅうのすけ)
- 消防士
- モリス・ルグラン
- 『くしゃがら』
- 志士十五(しし じゅうご)
- 『Black star.』
- エージェント・ガブリエル
- スパゲッティ・マン
- 『血栞塗』
- 女性司書
- 『検閲方程式』
- 近森優斗(ちかもり ゆうと)
- 近森の恋人
- 『オカミサマ』
- 坂ノ上誠子(さかのうえ せいこ)
- タクシーの運転手
- 『幸福の箱』
- 五山一京(ござん いっけい)
- 五山千波(ござん ちなみ)
- 『夕柳台』
- ケンちゃん
- 夕柳台の老人たち
- 黒く干からびた老人
- 『シンメトリー・ルーム』
- 唐沢徹(からさわ とおる)
- 土山章平(つちやま しょうへい)
- 『楽園の落穂』
- 移季年野(うつろぎ としや)
- 移季羊(うつろぎ よう)
- 夜宜沼猩造(やぎぬま しょうぞう)
- 『岸辺露伴は動かない』の用語
- 妖怪六壁坂(ようかい むつかべざか)
- ヒョウガラ列岩
- 露伴の祖母のバッグ
- ロレンチーニャ
- 月下(げっか)
- Z-13倉庫
- くしゃがら
- 河豚食の誘い
- 真っ赤な栞
- 別次元に干渉する為の数式
- オカミサマ
- 幸福の箱
- 夕柳台(ゆうやなぎだい)
- 杜王情報通信大学(もりおう じょうほう つうしん だいがく)
- シンメトリー・ルーム
- シンメトリーの手
- 楽園の落穂
- 『岸辺露伴は動かない』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 浮浪者の霊「『時』は今だッ!『場所』はここだッ!何が起ころうがそれは運命の一部だッ!」
- 岸辺露伴「オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ」
- 岸辺露伴「だから気に入った」
- 岸辺露伴「だが断る」
- 『岸辺露伴は動かない』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- Part4で露伴がグッチの時計をつけていたのは偶然
- アニメ版露伴の声優がテレビドラマ版に登場
- 『ジョジョリオン』と『岸辺露伴は動かない』は隣り合わせの世界
- 『岸辺露伴は動かない』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):菅野祐悟『岸辺露伴は動かないのテーマ』
- ED(エンデイング):Coda『FIDING THE TRUTH』