MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ-(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ-』とは、よしむらかなが『ヤングガンガン』で連載している百合系バトル漫画作品。元大量殺人者・紅守 黒湖(こうもり くろこ)が国選処刑人となって、相棒の屠桜 ひな子(とざくら ひなこ)らと共に悪党討伐を行っていく。紅守黒湖達の標的はいずれも法では裁けない凶悪犯罪者ばかりで、本作最強である紅守黒湖の戦闘シーンは最大の見所。尚『マンガUP!』では2018年からスピンオフ漫画『MURCIÉLAGO BYPRODUCT ARAÑA -アラーニァ-』が連載されている。

『MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ-』の概要

『MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ-』は2013年より『ヤングガンガン』で掲載しているよしむらかなの漫画作品。単行本・電子コミックと売れ行きは好調で、今や様々なサイトで販売されている作者の代表作だ。PVで紹介されている他知名度の上昇に伴って脇役の朽葉 怜子(くちば れいこ)が主人公のスピンオフ『MURCIÉLAGO BYPRODUCT ARAÑA -アラーニァ-』が2018年から『マンガUP!』に連載されている。作画を担当しているアラカワシンは『ボクと魔女の時間』・『立女形の吸血鬼』・『SOLID SITUATION TV』の作者。日本ではスクウェア・エニックスが出版しているが、それ以外にアメリカの「エン・プレス」社、ドイツの「カールセン」社、イタリアの「Planet Manga」社から出版されている。
大量殺人犯でレズビアンの紅守 黒湖(こうもり くろこ) は武器の取り扱いから格闘術に至るまで達人の域に達している実力者。715名もの人間を殺害した紅守黒湖は本来なら死刑の身だったが、利用価値があると判断した国は彼女を『国選処刑人』に任命。更生の余地が無く凶悪犯罪を犯す無法者達を相棒の屠桜 ひな子(とざくら ひなこ)と共に容赦なく討伐していく。基本的には紅守黒湖と屠桜ひな子のペアが凶悪犯罪者達を討伐するが、ストーリーによっては黒湖の恋人で柳岡会会長の一人娘・柳岡 千代(やなおか ちよ)や『D・K~ドメスティックキラー~』の犯人・朝葱 凛子(あさぎ りんこ)など様々な登場人物と協力することもあるようだ。多くの人に出会い時には対立しながらも友情を築いたり恋仲になったりするヒューマンドラマとしての側面もある。 残虐で圧倒的な強さを誇る黒湖が凶悪犯罪者を討ち倒すシーンは迫力があり、仲良くなった登場人物達との濃厚なレズシーンなど随所に魅力的な要素が散りばめられている作品。

『MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ-』のあらすじ・ストーリー

力の代償_vsプロレスラー編

人気プロレスラーだった井々村 弼(いいむら たすく)は、プロレス人気が陰り始めていることに酷く憤っていた。弼はこの状況をなんとか打破し、自分が強くなれば人気を回復できると考えていた時、柳岡会の縄張り内で夢中遊飛(チェザーレ)という薬物が出回り始めていることを知る。柳岡会は紅守 黒湖(こうもり くろこ)の恋人である柳岡 千代(やなおか ちよ)の父親が仕切る暴力団組織だ。
190Cmの以上の長身で長い黒髪とIカップの爆乳でレズビアンの主人公の黒湖は、劣悪な性格をしたサイコパスで元大量殺人者であり、本来なら死刑だったが戦闘能力が非常に高かった為国家公認の国選処刑人(スローター)に任命された。

夢中遊飛を売人から入手した弼は一時的に筋力や集中力が上昇。しかし大量に接種した結果、あらゆる副作用が現れることになる。その結果正常な思考が阻害され対戦相手を殺害し、プロレス界から追放という結果になった。
弼はリングから降りても薬物をやめられず、幻覚症状はますます悪化する。自分は常に大勢のファンから声援を受け、レスラーと対峙しているという幻想から色んな人間を無差別に殺害していく。

更正の余地なしと判断され黒湖に対して討伐依頼が出されると、黒湖は理由あって彼女を慕う中学生の屠桜 ひな子(とざくら ひなこ)と共に現場に駆け付け、逃げ惑う人々を体ごと引きちぎる弼を発見する。黒湖は弼の背中に弾丸を発射するが、鋼の如く硬い背中には全く効果がない。弼は自分への攻撃に気付くと、黒湖達の車に全速力で向かってくる。ところが突然柵の前で弼が立ち止まった様子から、黒湖は柵の外がリング外だと勘違いしていることに気付く。そこで黒湖は持参したゴングを鳴らしながら、怪我人がいない方に彼を誘導する。
ひな子は幼稚な思考をするタイプだが、一方で高度な空間認識能力とさらに優れたドライビングテクニックを有する。加えて普通の人間なら死亡しているような傷や状態異常でも瞬時に治療する特異体質を持つ。そのひな子に車を突っ込ませ、2人が力比べをしている隙に黒湖が頭部を破壊した。

殺人Party_暴走老人からの招待編

ある日、黒湖の元に1通の招待状が届く。そこには悟 兵衛(さとり ひょうべい)という老人の名が書かれていた。
バニーガールの写真に誘われて、黒湖は兵衛の開催するパーティーに参加する。しかし招待客は全員犯罪者で、兵衛は娘夫婦と孫娘を犯罪者に殺害された過去から、社会のゴミを一掃するという名目で大量殺戮を行っていた。彼はこの世から犯罪者を殲滅するまでやめるつもりがなく、招待客は次々と命を奪われていった。

黒湖は同じく招待された犯罪者のコバルト=コンラッドや、元格闘家として地下闘技場で多くの殺人を行った過去のある桃山 照美(ももやま てるみ)らと共闘し、次々とトラップを突破する。
屋敷の奥で待ち構える兵衛と彼の側近でメイドの紫(ゆかり)。彼女は戦闘力が高く、主人に襲い掛かる照美を圧倒するが、最後は黒湖に敗北した。
城から脱出する兵衛の前にコンラッドが立ち塞がる。兵衛が車イスに隠していたガトリングガンで銃撃しようとしたところ、ひな子の乗るクルーザーに突進され深手を負った。

その後、焼け落ちる城に残る兵衛だが、凄腕のスナイパー朽葉 怜子(くちば れいこ)に頭を撃ち抜かれて死亡する。彼女は依頼料さえ支払えばどんな汚れ仕事でも引き受ける若き凄腕スナイパーだ。事件後、メイドの紫は本来の主人・悟 白亜(さとり はくあ)に仕えることになる。白亜は死んだと思われた兵衛の孫娘で、彼に仕えるよう紫に指示を出していた人物だった。

D・K〜ドメスティックキラー~_歪んだ性癖は受け継がれる編

20年前に女性の顔の皮を剥いで殺害するという残忍な事件が相次いだ。その犯人は、剥いだ女性の顔の皮をコレクションする連続殺人鬼「仮面蒐集家」という。
当時犯人として疑われ医療刑務所に収監されたのは、浅葱 凛子(あさぎ りんこ)の父親である浅葱 尊(あさぎ たける)だった。彼が社長を務めたアサギ電子本社ビル内の私室には、入手した女性の顔の皮が飾られている。そこには他の殺人も記録したDVDが保管されており、それがきっかけで娘の凛子の殺人能力が目覚め、殺人欲求の末連続殺人事件を引き起こす。

尊は「人はみんな仮面を被っているため、その下の素顔を見たかった」と供述しており、過去の犯罪行為を後悔してはいない。寧ろまだ9歳で無口な娘に殺人能力が受け継がれたことが嬉しく、黒湖に討伐される直前その才能を活かしてくれるよう娘を託した。黒湖に敗北後自殺を止められた凛子はその後黒湖の手伝いをするようになっていく。

薔薇色の監獄_百合の園での残酷な真実編

刈安 那々美(かりやす ななみ)が新興宗教団体ヴァージナルローズに入信して以降、様子がおかしいと姉の刈安 纒依(かりやす まとい)から相談された黒湖。
早速現場に向かうとそこは美しい女性のみが集まる、黒湖にとっては魅力的な場所だった。既に纒依から姉妹丼を条件に那々美の救出を承諾した黒湖だが、うっかり洗脳されてしまう。

ヴァージナルローズは表向きは社会に居場所がなくなった女性を保護し、再び社会に送り出すことを目的とした施設だ。しかし実際は卒業と称して少女達を殺害した後、遺体を地下にある薔薇園の肥料にしていた。そしてそこにはゴールドマリーの弟でお飾りの教祖であるローズマリアが生活している。
姉のゴールドマリーは男性から凌辱された過去から、男性嫌悪に陥り弟を肉体改造した。ローズマリアは頻繁に投薬しなければ生きられない体となり、一日のほとんどを人間の生き血で出来た池で過ごしていた。

最終的には洗脳が解けた黒湖や恋人の千代の活躍で、ゴールドマリーは討伐されローズマリアは行方不明となる。教団は解体され女性達の健全な拠り所となった。

空と僕のあいだに_少女に囚われた末路編

幼い少女ばかりを誘拐し殺害するという幼女連続誘拐殺人事件。
犯人の鍵村 昭一(かぎむら しょういち)は過去に信用していた人物に裏切られ、浮浪者となり世の中に絶望していたが、ある少女に励まされてから彼女を探し求めるようになる。しかし既に精神に異常をきたしていた昭一は、黄色い傘と青い長靴の少女を次々と誘拐し別人だと知ると絞殺を多数繰り返していた。

同じ特徴の少女を探し彷徨っていたところ、追い求めていた少女とよく似た北上 空(きたがみ そら)と遭遇する。昭一は空を誘拐して一緒に死のうとするが、ぎりぎりのところで凛子とひな子が空を助け出す。その後昭一は黒湖に討たれて死亡した。

SCHOOL DESTRUCTION_女子高生の爆弾編

私立まりも學園高等部の教室で突如発生した爆破事件の調査を開始した黒湖。
爆破事件の犯人は高等部3年の蘇芳 皆子(すおう みなこ)だった。彼女は同じ学年の榊 風莉(さかき ふうり)ら数人の女子生徒から虐めを受けていた。風莉のことを愛していた皆子は酷い虐めにも耐えていたが、彼女への想いが暴走し教室を爆破。爆弾の威力が弱かったことで、計画は失敗し黒湖の元に自首した。

自分達を殺害しようとしたのが皆子だと知った風莉は、彼女を殺そうと体育倉庫に誘い込む。自らは物陰に隠れ仲間に皆子の殺害をさせようとした風莉は、黒湖の乱入で仲間の一人を殺害される。圧倒的強者の黒湖に命乞いをすると黒湖から「強い方を助ける」と提案され、風莉は残りの仲間を全員殺害する。しかし結局風莉は黒湖に捕まり皆子のペットとなるのだった。

その頃學園では、皆子が作成した爆弾を利用した爆発事件が至る所で発生していた。犯人は2代目学長・三ツ倉 マリ(みつくら マリ)を憎んでいた三阪 マリエ(みさか マリエ)だった。マリとは元恋人同士だったが、マリエは才能の違いや親の跡を継ぎ今の地位にいるマリのことを妬んでいた。最終的には黒湖の手ほどきを受けた皆子が、自作の爆弾を利用して事件を起こしたマリエにとどめを刺し殺害する。

忘却の“桜”_緋垣 刀吉郎の乱編

拘置所に収監されていた死刑囚・緋垣 刀吉郎(ひがき とうきちろう)が、何者かの手引きにより脱獄する。黒湖のもとには、刀吉郎から化学兵器テロの予告があったとの情報が入った。
刀吉郎は第二次大戦末期に結成された過激派組織「千仭の獅子(せんじんのしし)」の元幹部で、脱獄後は千仭の獅子の後継となる「桜剪会(おうせんかい)」を立ち上げる。桜剪会は刀吉郎自らが戦って死ぬことを目的に結成された組織だ。

部下に国会議員を殺害させ刀吉郎に手を焼いた警察は、黒湖に彼の殺害命令を下す。黒湖は地下格闘場のチャンピオン・錆浦 蘭(さびうら らん)や皆子など、仲間達の協力を得て調査に乗り出した。
一方警視庁では桜剪会によるテロ事件が発生する。事件の発生場所と桜剪会のアジトは無関係と思われたが、警視庁の真下の桜駅にアジトがあると判明する。刀吉郎は自らの死を達成する為にわざと黒湖達に情報を漏らしていたのだ。

黒湖はアジトの最奥で刀吉郎と対峙し、一瞬の隙を突いて彼を討伐した。死の間際ひな子の名前を聞いた刀吉郎は、「屠桜計画」と口走る。警視庁の地下に「屠桜計画」という文字が残されており、ひな子と何らかの関わりがあると思われたが、詳しく語る前に息絶えたので真相は分からなかった。

白い流星_天才科学者編

ロボット「クリ・サリダ」を開発した女性天才科学者トキワ サキ。天才の頭脳と驚くほどの探求心を持つサキは、彼女に劣等感を持つ科学者・帯刀 進(たてわき しん)に一方的に恨まれていた。進は理想とプライドが高い故にサキの殺害を決意し、レーザー搭載型ロボット「エル・ヒガンデ」を開発した。彼自らエル・ヒガンデに搭乗し、サキを追い回し暴走する。しかし黒湖とひな子の活躍よって進は始末され、エル・ヒガンデはひな子が操るクリ・サリダで破壊された。

THE DEEP ONE_心優しきシスター編

黒湖達が調査に向かった街では連続失踪事件が発生していた。
調査を進めていくうちに、この街にある教会の信者が次々と失踪していることが判明する。金に目が眩んだ老シスターがコバルト=コンラッドに信者を引き渡していた。
老シスターは街の漁港で働く少女・長月 睡蓮(ながつき すいれん)の父親を殺害した犯人である。真相に近づいた睡蓮の父が邪魔になり殺した老シスターに、睡蓮が殺意を向けたところに警察が登場し、シスターの息子である奥原 正基(おくはら まさき)と協力者であるコンラッド共々シスターは逮捕され事件は解決した。

剣聖_vs最強剣士編

次々と凄腕の剣術家が殺害される事件の情報を得た黒湖達。宮本道場当主・宮本 右近(みやもと うこん)も何者かの手によって惨殺されていた。

右近には宮本 玄流(みやもと ひかる)という娘がいたが、彼女には亡くなった姉・宮本 玄乃(みやもと くろの)の魂が宿っていた。
玄乃は父親から妹は剣の才能がないと言われ、それに激昂して父に勝負を挑んだ。その際、父をかばった玄流の剣に敢えて刺されて死亡した。その後は姉は妹の別人格となり、玄流に自信をつけてもらおうと剣豪らの暗殺を実行した。

最終決戦では黒湖と凛子の二人がかりでも苦戦する相手だったが、最後は超人的な動きに玄流の体がついていけずに敗北する。桜剪会の一員であったが黒湖に敗れて以来協力者となった冷泉 藍子(れいせん あいこ)は玄流に慕われていた過去があり、黒湖と凛子の助っ人として参戦するが、最後玄流が動きを封じられた時彼女は玄流をぎゅっと抱きしめた。
玄流が藍子によって救われていたことを感じ取ると、安心した玄乃の魂は完全に消滅した。

死が2人を分かつまで_下水道での怪事件編

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遂にムルシエラゴがモーションコミックになりました。黒湖を担当した声優朴口美(口は王へんに路、読みはぱく ろみ)さんがコメントしてくれました。「こんなに、ぶっ飛んでて、ハチャメチャな役をやれて最高です。でも私…同性とは…」 ヤングガンガンで連載中のマンガ『ムルシエラゴ』の第五巻です。ネタバレは極力控えています。

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