フルーツバスケット(フルバ)のネタバレ解説・考察まとめ

『フルーツバスケット』とは高屋奈月による漫画作品。白泉社の『花とゆめ』で、1998年16号から2006年24号まで連載。2001年にアニメ化され、2019年には全編が再アニメ化された。同級生の草摩由希が住む草摩家の分家宅へ居候することになった、主人公の本田透。そこから物の怪憑きの体質を持つ草摩家の人々と関わっていくことになる。略称は『フルバ』・『フルバス』。2009年には劇団スタジオライフにより舞台化された。

草摩 燈路(そうま ひろ)

未憑き。杞紗に淡い気持ちを寄せているが、透が現れてからはそちらにべったりなため、透のことをあまり快く思っていない。十二支の中で最年少の十二歳。初登場時は、上から靴を落として拾ってと命令したり、ご飯を奢れと言ったり、仕舞にはバイトがあると断る透の鞄を奪いとり母親の写真入りの手帳を持って逃げてしまう。路頭に迷っていた透は、紅葉の手引きもあり藉真の道場にいた燈路の元へ辿り着く。更に、こちらも紅葉が手を回したことで杞紗が現れ、手帳を返してあげるように言うと、流石の燈路も返さざるを得ないのだった。単にヤキモチを焼いていただけだったと判明し和やかな雰囲気が流れる中、罰を受けてもらいますと透が一言。何をするのだと言う燈路を抱きしめて、羊の姿に変えてしまうのだった。その後は、まだ透のことを完全に好きにはなれていないものの、杞紗が喜ぶからという理由で頻繁に紫呉の家へ遊びに来るようになった。
過去に杞紗が好きだということを慊人に話したことで、杞紗は慊人に全治二週間の傷を負わされることになった。このような結果になったことを悔いて、杞紗と距離を置くようになったものの、常に彼女のことを心配して見守っていた。ひょいと出の透が杞紗をすぐに立ち直らせてしまったこと、自分にはそれが出来なかったこと、あまりにも自分が子供過ぎることから自信を責める燈路。だが透は、自分が子供であると認めるのは怖いことなのにそれが出来るのは凄いこと、そして少しずつ杞紗を守る王子様になっていけると励ます。素直にその言葉を聞くことはなく、変わらず減らず口は叩いていたが、その胸には今度こそ必ず杞紗を守れる存在になってやるという密かな決意が生まれるのだった。

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草摩 利津(そうま りつ)

申憑き。気弱な性格で、ちょっとしたことで取り乱し謝り倒す。脇をプッシュすると途端に大人しくなる。常時振袖を着用。透へ挨拶をしに紫呉宅を訪れ、早々に帰ろうとした際に透と押し問答になった末、お皿を割ってしまう。狂乱して足元の破片を踏みそうになった利津をかばうように透が押しのけた途端、猿に変身してしまう。それまで完全に女性だと思い込んでいた透は驚いてしまう。また、破片で手を負傷した透への償いのため、屋根上で懺悔をしていて足を滑らせた際、すぐに掴まってひらりと屋根に舞い戻るという図太さも見せた。運動も勉強も人並み以上にしないと追いつけず、謝ってばかりいた両親を見てきたことで自信を極端に喪失している。女装をしていると少し落ち着くことが分かってからは、常に女装をするようになった。自分とは対極で自信に満ち溢れている綾女を、綾兄さんと慕っている。
透には、今はまだ自分の存在価値が見つけられなくても、いつか誰かの中にその価値を見出せる時がくるからと言われる。その後、紫呉の編集担当であるみっちゃんと仲睦まじい様子が度々描かれる。

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草摩 依鈴(そうま いすず)

午憑き。避暑地の別荘に遊びに来た透は、体力を消耗し馬に変身してしまった依鈴と出会う。透ははとりを呼ぼうとするが、誰も呼ぶなと啖呵を切ってその場を後にする。両親に虐待されながらも、いつか愛してもらえると耐えてきた。しかし結局、道端で倒れているところを潑春や藉真に助けられ、虐待の事実がばれてしまう。自宅には戻れなくなり、楽羅の家に引き取られたが居場所はなく、頻繁に会いに来てくれる潑春だけが心の支えだった。そして必然のように愛し合ったが、慊人にそのことを知られ、どちらが唆したのと問われた際に自分であると答えたため、窓から突き落とされ入院必須の怪我を負った。その際、十二支の呪いを解いて潑春を解放してあげたい、そのためには自分は消えてしまっても構わないと決意し、自分の気持ちを押し殺して潑春を振り距離を置く。退院後、解き方を知っているのは、もはや紫呉しかいないと踏んで退院早々に紫呉宅へ赴くが、知らないと一蹴される。無理が祟り、紫呉の家で吐いて倒れていたところを透達が介抱する。呪いを解こうとしていることに気付いた透は、方法を教えて欲しいと懇願するが、そんなものはどこにもないと泣き崩れる。潑春や透のような優しい人間は、自分のような人間に寄生されて、すがられて可哀そう。だから自分は孤独になってでもいいから、もう誰にも頼らず一人で呪いを解く方法を探していく。そう決めていたのだが、思わず透にすがってしまうのだった。
暫くして、また入院になったという話になるが、誰もその入院先を知らないという。そんな時、夜中に猫憑きの幽閉場所へこっそり食事を運ぶ者を紅野が発見し、中を開けさせると依鈴が閉じ込められていたのだった。紅野のはたらきですぐに病院へ運ばれ事無きを得た依鈴は、その後一切慊人と関わろうとはしなかった。透のことは気に入っている様子。

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草摩 紅野(そうま くれの)

CV:千葉進歩(まんがDVD版)、梅原雄一郎(新アニメ版)/南真由(新アニメ版幼少期)

元酉憑き。十二支の中で一番最初に呪いが解けた。その事実を隠すため、慊人は常に自分の傍に紅野を置くようになった。また、紅野自身も一人だけ呪いが解けてしまった引け目や、幼い頃から不憫な思いをしてきた慊人への同情心もあり逆らわずにいる。黙っているとクールな印象だが、透に負けず劣らず天然な部分がある。ありさの夜のバイト先であるコンビニで前が見えないほど大量のお菓子を抱えて歩いていたところ、ありさにカゴを使うよう促され、お礼でお辞儀をした際に手元のお菓子をすべて床へ落としてしまうほど。それを見て豪快に笑うありさを、ずっと見ていたいと思うのだった。後日、昼間のバイト先で昼休憩をとるため外へ出たありさは、紅野の後ろ姿を見つけて追いかけ、一緒に蕎麦屋で昼食をとることになる。そこで、あの日コンビニに行ったのが人生で初めてだったこと、今日は暇をもらったが行く宛もなく散歩をしていたと語る。無駄なことはしない、定められた通りに生活して、仕事をすることが幸せで満ち足りているのだと寂しそうに笑う紅野だったが、ありさは今この時間を無駄だと否定されたように感じ、あんたに会えて嬉しかったのにと声を荒げて蕎麦屋を後にする。慌てて後を追った紅野は、自分もありさに会いたかった、会えて嬉しかったと心からの笑みを見せ、優しく髪に触れてキスの寸前までいくものの、そのまま黙って立ち去ってしまった。本当はその唇に触れたかったが、もう二度と彼女には会えない運命を分かっていた彼はあえてそれをしなかったのだ。草摩に戻った紅野は不敵に笑う慊人に、おかえりと迎えられるのだった。ありさの言うクレノと、草摩の紅野が同一人物であるか確かめるために透が本家へ忍び込んだ際、あともう少しで見つかりそうになったところを助けてくれた。透からは、ありさの連絡先を渡され、いつか会いたくなる時がきたら連絡して欲しいと言われる。錯乱した慊人に刺され入院した後、自分が傍にいることで逆に負担をかけてしまうからと慊人から離れることを決意。見舞いに来た、ありさに、どこへでも行けば?どこへでも私は行くよと言われ、嬉しそうに微笑んだ。

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草摩 慊人(そうま あきと)

CV:若葉紫(旧アニメ版)/今井由香(旧アニメ版幼少期)、坂本真綾(新アニメ版)

草摩家の当主。草摩先代当主・晶とその世話掛かりだった楝との間に生まれる。神であり、十二支憑きの者は誰も逆らえない存在。楝は、晶が自分以外を女性として見るのを許せないとの思いから、慊人に男性として過ごすように強いてきたが、実はれっきとした女性である。これは草摩家の中でもトップシークレットとされており、十二支の中でそれを知っているのは紫呉・はとり・綾女・紅野だけ。晶に神はみんなに祝福されて生まれてきたと言われたことを頼りに今も過ごしているが、そんな晶は今際に、自分と楝が特別だったから特別な存在である慊人が生まれたのだと涙し息を引き取る。その言葉は、晶が一番愛していたのは自分ではなく楝だったと言われたのと同じだった。幼い頃から母の愛を受けられなかったこと、目の前で紅野の呪いが解けたこと、暗く陰湿な草摩家の世界しか知らずに育ったことなど、様々な悪因が重なったことで、十二支達との絆に異様に固執し、彼らが離れていかないよう時には暴力を振るい、時には永遠と暗い言葉を投げかけるなど、癇癪持ちで歪んだ性格となった。透が紫呉の家で同居することを許したのは、楝の言葉に反発し、必ずみんな自分の元へ帰ってくるという祈るような気持ちからだった。しかし、実際は透があまりにも純粋であったことから、紫呉の思惑通り彼らを救う役割を果たし、逆に慊人が現実を受け入れる結果となった。

透と初めて会ったのは、はとりに呼ばれて草摩家を訪れた時であるが、その際にはチラリと顔を見ただけに留まる。紅葉と潑春の入学式に訪れ、そこで初めて言葉を交わす。優し気な雰囲気で透に接していたが、由希が心配して声をかけると一変、冷たい目つきで正月に会いに来なかった由希を静かに責め始める。二人の会話は聞き取れなかったものの、あからさまに怯える由希を見て透は思わず二人を引き離した。透達がいる避暑地の別荘に赴いた際は、透が一人きりになるように来ていた十二支のメンバーを自分の別荘へ呼び、それぞれの心に傷を負わせる言葉を吐いた。本家の事情に急遽帰らなければいけなくなると、夜中に透達の別荘を訪れて、十二支にとって不変であることが幸せ、いつかはみんな自分の元へと帰ってくるのだ、と告げるのだった。

楝とのいざこいの後、紅野にこのままでは草摩に食い潰されるだけだ、変わろうと促されるが素直に受け入れられず、持っていた包丁で紅野を刺して透の元へ向かう。もう一度やり直しましょうと手を差し伸べ、微笑む透の手を取ろうとしたその瞬間、透の足元が崩れ崖下へ転落。紅野共々入院となった。一人で紅野のところへ見舞いに来た慊人は、自分を責めずに微笑む紅野に、長い間彼を殺し続けていたのは自分だと悟り茫然とベンチに座っていた。そこへ透の見舞いに来た紅葉が現れ、だったらこれからは大事にすれば良いと助言する。紅葉の言葉に背中を押され、今度は透の病室へ向かうのだった。

自分の中で少しずつ現状に整理をつけ、十二支との決別や草摩の歪みを正すために、猫憑きを幽閉する離れを壊すと約束したり、透やその友人達と自分から話をしに行ったりと積極的に外へ出向く姿が描かれた。

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草摩 楝(そうま れん)

慊人の母親。心身を患い、部屋にこもっていることが多い。十二支の絆を否定しているため、それに縋り付いている慊人とは衝突が絶えない。先代当主だった晶を盲目的に愛しており、娘の慊人にさえ嫉妬して、男性として生きていくように強制した。慊人が晶にまつわる箱を隠し持っていると紫呉に教えてもらった時は、依鈴を唆して取りに行かせようとしたが失敗に終わる。今度は慊人の部屋に包丁を持って押しかけ箱を差し出すように脅す。晶の魂が入っているのだと言われて大事にしていた箱だったが、本当はそんなものないのだと、とうの昔に気付いていた慊人が投げてよこしたその中身は空っぽであった。

草摩 晶(そうま あきら)

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