悪の教典(映画)

悪の教典(映画)

『悪の教典』とは、2012年公開の日本のバイオレンス・ホラー映画である。監督は三池崇史で、貴志祐介の小説が原作。高校教師の蓮実聖司は、明朗快活で同僚や生徒にとても頼りにされていた。しかしその正体は他人への共感能力に欠けたサイコパスで、自身の邪魔になる人間は躊躇なく殺してきた男だった。そしてある出来事でこれまでの罪が暴かれそうになり、蓮実は校内の人間を全員始末することを決める。この作品は蓮実というサイコパスの生き方や、その周りで生きようともがく人間の命がけの戦いから目が離せない物語となっている。

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『バクマン。』とは、大場つぐみと小畑健による漫画を原作とするアニメ作品。 2010年よりNHK教育テレビにて第1シリーズ~第3シリーズ、全75話が放送された。 高い画力を持つ『真城最高』と文才と発想に長けた秀才の『高木秋人』を主人公とし、二人の少年がコンビを組んで漫画家を目指していく道のりを描いた作品である。 多くの漫画関係の固有名詞が実名で使用されるなど、リアル志向な作品。

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『のぼうの城』とは、和田竜の日本の歴史小説を元にして2012年に公開された映画である。犬童一心と樋口真嗣の共同監督で制作された。主人公の長親(ながちか)は忍城(おしじょう)城代の息子である。関白秀吉の家臣である三成によって、忍城は開城を迫られていた。しかし長親は世の理不尽に真っ向から対抗するため、三成に相対する。長親は周りの力を借り、ついには三成軍を退けることになった。この作品は時にはしんみりしつつも、長親という「でくのぼう」の奇策によって観た人を気分爽快にさせる歴史映画となっている。

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『怪物の木こり』とは、倉井眉介によるスリラー小説であり、またそれを原作とした三池崇史監督による実写映画作品である。 怪物の仮面を被った男が斧で頭を割り、脳を奪い去るという猟奇連続殺人事件が発生する。そしてその男の次の標的に選ばれたのが弁護士の二宮彰だったが、二宮は冷血なサイコパスだった。次第に脳泥棒の目的と二宮の過去が明らかになっていく。脳泥棒とサイコパスという2人の直接対決が見所の作品。

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バクマン。に登場する物語・作中作・劇中劇・連載まとめ

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『バクマン。』とは、原作・大場つぐみと作画・小畑健による少年漫画作品。2010年にNHK教育テレビにてアニメ化された。 絵の才能を持つサイコーこと真城最高(ましろ もりたか)と、文章に長けた秀才のシュージンこと高木秋人(たかぎ あきと)がコンビを組み、『週刊少年ジャンプ』で売れっ子の漫画家になるべく研鑽するサクセスストーリーだ。 作中では主人公たちが描く漫画の他に、多くのライバル、仲間たちが作り出す多種多様な漫画が登場する。

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バクマン。の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

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『バクマン。(Bakuman.)』は週刊少年ジャンプで2008年から2012年まで連載していた漫画作品である。ジャンプで連載マンガ家を目指す中学3年生の真城最高と高木秋人は、ヒロインの亜豆美保と真城の「描いたマンガがアニメになり亜豆がそのヒロインの声優をやる」との約束をお互いの夢として努力を続ける。夢・友情・青春に関する数多くの名言が連載終了後も作品の魅力として語られ続けている。

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『新宿スワン』はアンダーグラウンド系の日本の漫画である。作者は和久井健。講談社『週刊ヤングマガジン』で、2005年20号から2013年45号まで連載された。スカウトマンをテーマにした物語で、和久井にとって連載のデビュー作品となった。主人公は19歳の白鳥龍彦、通称タツヒコ。ライバルの死や暴力団がからむ違法薬物の取引、そして信頼していた仲間の裏切り、そして、タツヒコの知らないところで大きな復讐の計画が動き出していた。数々のトラブルに見舞われながらも逃げずに立ち向かうタツヒコの成長する姿を描く。

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不安の種(不安の種+、不安の種*)のネタバレ解説・考察まとめ

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『不安の種』とは2002年から中山昌亮によって執筆されたホラー漫画、およびそれを原作としたホラー映画。 日常の中に潜む様々な怪異を描いたオムニバス形式となっており、それぞれのストーリーが独立している点が特徴。 怪異のビジュアルや謎が残るストーリー、ショートスタイルゆえの読みやすさなどの点で人気を博した。

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あなたの番です(あな番)のネタバレ解説・考察まとめ

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『あなたの番です』とは、日本テレビ系にて2019年4月から9月まで放送された全20話のミステリードラマである。キウンクエ蔵前というマンションに引っ越してきた新婚夫婦が「交換殺人ゲーム」に巻き込まれる姿を描いたミステリードラマで、企画・原案は秋元康。第1章、第2章で構成された2クール半年間に渡って放送され、テレビ放送と連動して、『扉の向こう』というスピンオフがHuluにて独占配信されている。

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検察側の罪人(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

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『検察側の罪人』とは、雫井脩介によって書かれた日本の小説が基になっている日本のサスペンス映画である。木村拓哉と嵐のメンバーである二宮和也がダブル主演で魅せるサスペンスストーリー。老夫婦殺人事件と時効を迎えた事件がきっかけとなり自分の正義に固執する最上と事件の真相に対する正義を追い求める沖野の対立が描かれた本作。脇には吉高由里子、大倉孝二、八嶋智人などが固める。映画のキャッチコピーは「一線を超える」。

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凶悪(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

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『凶悪』とは、ノンフィクションベストセラー小説『凶悪 -ある死刑囚の告発-』を元に、2013年に映画化された社会派サスペンス映画である。雑誌記者の藤井(ふじい)は、上司から須藤(すどう)という死刑囚に会うように言われる。須藤は数々の犯罪に手を染めてきていた。そして、須藤と共謀して多くの犯罪を犯し、最後には須藤をだました木村(きむら)という男の話を聞く。藤井は話を聞くうち、家庭を顧みず取材にのめりこんでいく。この映画は、私たちの身の回りのどこにでも存在しうる犯罪をリアルに描く作品となっている。

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白夜行(東野圭吾)のネタバレ解説・考察まとめ

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『白夜行』とは、1999年に刊行された東野圭吾の推理長篇である。発行部数は2010年12月時点で200万部を超えている。1973年、大阪で起きた殺人。犯人は小学5年生の被害者の息子・桐原亮司と、容疑者の娘・西本雪穂。未解決のまま時は流れていく。そして成長した2人は犯罪行為で互いに助け合うようになり、周囲で不可解な事件が次々と起きる。 疑念を抱く刑事が2人の関与に気づき、証言や調査で真相に迫っていくというストーリー。2006年にはテレビドラマ化、2011年には映画化されている。

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ランチの女王(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

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『ランチの女王』とは、2002年にフジテレビ系の月9枠で放送されたドラマ。主演は竹内結子。その他、妻夫木聡、山下智久、山田孝之などが出演している。ランチタイムに洋食店を訪れた麦田なつみが、ひょんなことからその店で住み込みで働くことになる。洋食店を舞台に、なつみと男四人兄弟の恋愛模様や交流を描いたラブコメディ。脚本は『カバチタレ』や『青天を衝け』を担当した大森美香などが手掛けている。第34回ザ・テレビジョンドラマアカデミー賞で最優秀作品賞や主演女優賞などを獲得した。

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銀魂(実写映画)のネタバレ解説・考察まとめ

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「銀魂」(実写版)は、2017年7月に公開された福田雄一監督による日本映画。空知英秋作画の漫画「銀魂」の実写化作品で、原作の長編「紅桜編」がベースです。「紅桜編」は、妖刀紅桜を利用して国の転覆を目論む鬼兵隊と、それを阻止しようとする主人公坂田銀時と仲間たちの戦いを描いたもの。原作はSF時代劇コメディです。実写版はそれを忠実に再現し、ギャグ満載、時にほろりとさせる内容になっています。

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サンクチュアリ -聖域-(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

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『サンクチュアリ -聖域-』は、2023年5月にNetflixで配信が開始されたオリジナルドラマである。大相撲を題材にした作品で、主演は一ノ瀬ワタル。脇を固める役者は染谷将太、小雪、ピエール瀧と、豪華な顔ぶれが揃う。相撲のセンスはあるが品性や礼儀は欠片もない不良少年・小瀬清が、相撲に真剣に取り組み、やがては各界を揺るがし始めるというストーリー。相撲の裏側をリアルに映し、相撲にかける力士たちの厳しい稽古と、熱すぎるまでの情熱が描かれ、世界で大ヒットを記録した。

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六番目の小夜子(小説・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

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『六番目の小夜子』とは恩田陸の小説と、それを原作としたNHKで放送されたTVドラマ、および舞台作品である。恩田陸のデビュー作であり、新潮社の第3回日本ファンタジーノベル大賞にて最終選考まで残った作品だ。とある高校(ドラマでは中学校)に伝わる「サヨコ」という言い伝えを軸に、少年少女たちの瑞々しい青春とファンタジーホラーの一面も持つ。2000年にNHK教育『ドラマ愛の詩』でドラマ化された。また2022年1月、乃木坂46の鈴木絢音の主演で舞台化もされている。

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悪の教典(映画)のレビュー・評価・感想

悪の教典(映画)
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「思考」を殺し「記憶」を生かす。殺しの理由を考えたら負け!?サイコキラー・蓮実聖司の狂気

映画「悪の教典」は2012年公開の邦画である。
血糊が噴き出すほどの暴力描写があるため、レイティングは「R15+」となる。
視聴の際には注意して頂きたい。

晨光学院高校の英語教師で2年4組の担任・蓮実聖司は、生徒からは「ハスミン」と愛称で呼ばれ、絶大な人気と信頼を誇る「善良な教師」である。
学校を悩ませる、集団カンニング問題、学校の裏サイトといじめの関係、いじめられている生徒の父親からのクレーム対応、教師と生徒の淫行問題などに関心を寄せ、解決に臨む姿すら見られる。
しかし、その「善良な姿」は全て「都合よく殺人を犯すため」のフェイクにすぎない。
彼は、14才の冬、それよりもずっと前から、罪悪感を抱くことなく殺人に手を染めることができる生まれながらの「サイコキラー」であった。
決して用心を怠らず、犯人が蓮実であるとわからないように、着実に次から次へと人々を手にかけていく。
そんな彼の「テーマソング」は「三文オペラ」の劇中歌「メッキー・メッサーのモリタート」。
劇中ではこれをジャズアレンジした「マック・ザ・ナイフ」が要所で流れ、蓮実も時折それを口ずさむ。
「誰にも知られないように殺人を重ねてきたメッキー・メッサー」。
しかし、ある時、ほんの小さなミスで蓮実がとある生徒を殺したことが女子生徒に感づかれてしまう。
その小さな綻びを抹消するべく、彼はその犯行を知っているであろう全ての者を己の犯行ごと葬り去ることにした。
こうして、文化祭の準備で賑わいを見せる夜の学校は、無辜の羊を一匹残らず狩りつくすまで終わらない血濡れた惨劇の舞台と化す。

監督と脚本は「着信アリ」(2004年)映画「クローズシリーズ」(2007年、2009年)「土竜の唄シリーズ」(2014年、2016年、2021年)などの三池崇史氏が務めた。
時に物議をかもすほど鮮烈な暴力表現を伴う作品を扱う三池氏は「バイオレンスの巨匠」と称されることもある。
また、極道や不良など「今時流行らない、鼻つまみ者」を描いた作品に多く関わるためか、彼の作品はどこか寂れたレトロな空気を帯びている。
この度紹介する「悪の教典」も例外ではなく、ひび割れたレコード、60年代に流行ったジャズのスタンダードナンバー、香港映画を思わせる煩雑とした文化祭の会場で行われる殺戮など、三池作品の特徴がふんだんに盛り込まれている。

稀代のサイコキラー蓮実聖司を演じるのは伊藤英明氏。
伊藤氏は2012年の邦画実写映画興行成績第1位を記録した「BRAVE HEARTS 海猿-UMIZARU-」にも出演し、同じ年で「命がけで命を救う役」と「遊びのように命を奪う役」のギャップを見せた。

また本作品は貴志祐介氏の同名小説を原作とする。
小説「悪の教典」は第144回直樹三十五賞の候補にあげられ、2011年本屋大賞にノミネート、第1回山田風太郎賞を受賞した。
貴志氏の著書は映像化されているものも多く、映画「青の炎」(2003年)では蜷川幸雄氏が監督と脚本を、二宮和也氏が主演を務めた。
映像化に差し当たっては貴志氏がカメオ出演していることも多い。
「ISOLA 多重人格の少女」(2000年、小説原題:十三番目の人格 ISOLA)「黒い家」(1999年)フジテレビ系テレビドラマ「鍵のかかった部屋」(2012年、小説シリーズ名:防犯探偵・榎本シリーズ)にも出演している。
無論、「悪の教典」も例外ではない。

原作者のカメオ出演の他、2012年当時は「若手」として扱われていたが、2023年に至っては「注目の的」と言われるようになった俳優たちが、生徒役で多く出演しているのも見どころの一つだろう。
終始、蓮実聖司の正体について疑念を抱く少女の片桐怜花を二階堂ふみ氏が、片桐怜花とは別のルートを使い蓮実の正体に迫る少年早見圭介を染谷将太氏が演じている。
他にも、林遣都氏、工藤阿須加氏、伊藤沙莉氏、浅香航大氏、松岡茉優氏、岸井ゆきの氏などといった俳優の若き姿が見られる。
生徒の他にも教師役に高岡早紀氏、山田孝之氏、吹越満氏など錚々たる顔ぶれが揃う。
原作者・貴志氏や、その後も活躍を続ける俳優たちを探すのも一興だ。

この映画で最も印象的なのは、主人公・蓮実聖司の「典型的なサイコパス」ぶりだろう。
伊藤英明氏の圧倒的な演技力もあいまって、その狂気に抗いがたい魅力を感じる。
表向きにはあくまでも「善良な人間」を演じる蓮実と、その裏で誰にも気づかれないように殺人の罪を重ねる「無邪気な悪意を持つ人間」蓮実のギャップ、そして惨憺たる文化祭の夜には、日常の学校では善良で饒舌だった蓮実が冷酷無比で無口な「狩人」と変貌する様は圧巻だ。

通称「サイコパス」と呼ばれる反社会性パーソナリティ障害を持つ人間は、「共感性」「道徳心」「良心」に欠ける一方、自身の目的を達成するために「良識的な人物を演じる」傾向もあるという。
その上で蓮実は、猟奇殺人を繰り返す「サイコキラー」である。
即ち「殺すこと(或いは、殺しを続けられる環境を作ること)」を主目的として、行動する。
「生徒に好かれる先生を演じること」さえ、彼にとっては都合の良い殺人の舞台を整える支度にすぎないのだろう。
しかし、彼が殺しを続ける真の目的は劇中では一切語られない。
先述の通り「快楽によるものではない」と否定しているものの、それ以外は一切が不明だ。
尤も、彼のような「生まれながらのサイコキラー」の目的を推し量ることは常人には不可能かもしれない。
それを印象付けるのは、毎朝蓮実の自宅近くにやってくる2羽のカラスを、北欧神話に登場するワタリガラスのフギンとムニンに例えるシーンだろう。

フギンとムニンは北欧神話において主神とされる、戦いと死の神オーディンの眷属だ。
彼らは日ごと、世界中のあらゆる場所を飛んで回り様々なことを見聞きする。そしてオーディンの朝食の時間に戻ってきて、その日見聞きしたことの全てを彼に伝える。
この2羽のカラスのおかげでオーディンは世界中のすべてを知ることができたと言われている。

劇中でも語られるが「フギン」は「思考」を、「ムニン」は「記憶」を意味する。
蓮実はそのうち「フギン」と名付けたカラスを殺すのだ。
無論「ムニン」も殺そうとするのだが、彼はそれをやめた。
蓮実は「思考」を殺し「記憶」を生かしたのである。
劇中では蓮実が「夢を見て目を覚ますシーン」が多い。その夢は大抵、彼の「殺しの記憶」を反芻したものとして描写される。
彼にとっては「記憶」が重要なものであり、「思考」など取るに足らないものなのかもしれない。
この描写は観客に「蓮実聖司が殺しをするのに特別な思考プロセスは存在しない」と訴えると同時に、蓮実の狂気は「彼にとっての正常であること」を印象付ける効果的なものとなっている。
こうした「典型的なサイコパス(サイコキラー)」の描写は観劇中目をそむけたくなるほどの残酷さがありながら、同時に目が離せないほど蠱惑的でもある。

一方、原作小説には描かれているが、映画では省略されたために説明不足を感じる点が見られる。
特に蓮実の経歴に関しては顕著だ。
サイコキラーであることを理由にアメリカで国外追放を告げられたにもかかわらず、日本へ帰国後、ほとんど間を開けず教師になっている理由にはまるで説明がない。
蓮実が教師として採用された理由も、教師という職業を選んだ理由もわからない。
また、他の教師と生徒の淫行は咎めるが、蓮実自身もまた女子生徒とふしだらな関係を築いていることにも説明がない。
「己の利益を優先し、人を貶めることを厭わないサイコパス」と考えれば不自然ではないかもしれないが、原作小説では蓮実が教師になった理由はもちろん、自身が担任を務めるクラスに「容姿の優れた女子生徒を集めたこと」が描かれているため、その描写もより自然なものとなる。
そのため、登場人物の明確な背景や心理描写からストーリーを楽しみたい人にはオススメしがたい。
また、原作小説と映画では人物の描写が大きく異なる点にも注意が必要だ。
原作小説の登場人物のうち数名は映画には登場せず、別の登場人物に役割を統合させられているものがある。
映画でのキーマンとなる釣井正信は原作では、陰鬱な雰囲気を纏う「数学の教師」であり、原作には「八木沢克也」という「物理教師でアマチュア無線部顧問」が登場する。映画は八木沢が登場しない代わりに釣井がその役割も担っているわけだ。
他にも原作で「惨劇の夜」の宿直を務める教師園田勲が登場せず、その役割を柴原徹郎が勤めるなど、物語の進行が大きく異なる。
よって原作小説に忠実な実写映画を求める人にもオススメはしにくい。
なお「原作の方が緻密で面白い」というようなレビューもちらほらと見られるため、単なるバイオレンス作品やサイコホラーではなく、ミステリー要素もふんだんに含む作品を好むのであれば、この映画は観ずに原作小説を読む方が楽しめるだろう。

とはいえ、映画版にも細やかな伏線が張り巡らされている。
それも蓮実の正体を知らない、無邪気な高校生の日常の中に、だ。
その伏線は悲しくも惨劇の夜に回収され、脚本の「後味の悪さ」に拍車をかける。
この「サイコホラー特有の厭な感じ」を好む人には、かなりオススメできる。

そしてやはり主演伊藤英明氏の「怪演」は見ごたえがあるし、三池作品らしい派手なバイオレンス描写の他、やや下世話なコメディ要素も含まれ、惨劇の夜のシーンですら、ふっと肩の力が抜ける瞬間がある。
サイコキラーの思考プロセスを考えたら負け。
何ひとつスカッとしない後味の悪いバイオレンス映画「悪の教典」、その筆舌尽くしがたい魅力は一見の価値ありだ。

悪の教典(映画)
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原作読了者にはモヤモヤが残る

原作小説を読了後にこの映画を見ました。
原作では、蓮見がどのような思考で殺戮をするに至ったのか、また、生徒たちがどんな行動をとったのかが描かれていましたが、映画ではそれが大幅にカットされていたように思います。そういったドラマ性が無いせいで、蓮見というサイコパスが生徒を殺していくというただのホラー映画のようになってしまっています。原作が好きだったため、少し残念でした。原作を未読の方には、蓮見の動機などが疑問に残る点が多いのではないでしょうか。
ただ、そういったストーリー性が排除されている分、見ていて気持ちがいいほどテンポよく人が殺されていきます。ホラー映画特有の”主人公がなかなか死なない現象”はありませんので、単なるホラー、サイコスリラーを楽しみたい方にはおすすめです。
この映画の良いところはキャスティングです。
蓮見役の伊藤英明さんは原作イメージにもぴったりです。サイコパスを完璧に演じられていました。生徒役には、二階堂ふみさん、染谷将太さん、林遣都さん、伊藤沙莉さん、教師役で山田孝之さん、吹越満さんなど、大変豪華な俳優陣が出演しています。俳優さんの演技は皆さん素晴らしいので、見ごたえがありました。

悪の教典(映画)
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自信を持ってオススメします!

この作品「悪の教典』は貴志祐介による小説作品を映画化した作品です。
殺人でしか自分を表現できない「サイコ・キラー」の裏の顔を持つ高校教師の物語です。
「悪の教典は」序章もあるのですが、まだ観ていないという方は序章から観るのをオススメします。その理由としましては、この作品自体かなりグロテスクな表現が多く含まれていて、序章では映画と比べると比較的にグロテスクな表現が少なめな印象でした。私は友達と一緒に映画館で観ましたが、友達は途中で気分が悪くなり退出してしましました。それほどグロテスクです。序章を観てから本編も見れそうという方はぜひご覧になってみてください。

「悪の教典」は伊藤英明演じる高校の英語教師ハスミンこと、「蓮実聖司」のサイコ・キラーストーリーです。
ハスミンは生徒だけでなく、他の教員も一目置く非常に優秀な教師でしたが、本当の正体は殺人でしか自分を表現できない「凶悪殺人鬼」でありました。

この作品で私が素晴らしいと思ったのは、伊藤英明をキャスティングしたスタッフです。普段ドラマや映画などでは「優しい」「格好いい」のイメージが強い伊藤英明を恐怖の殺人鬼として起用することにより、この映画の恐怖を更に高めていると感じました。
ストーリーももちろん素晴らしいです!

ぜひ観てみてください!

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