是枝監督らしい作品。
観て良かったか、良くなかったかと言われれば、絶対に観て良かったです。
映画ファンはこれとスリービルボードは観ておかなくてはいけない作品だと思います。ただ、これは大作家さんの名言・『死にたくなったら読書100冊うち太宰2冊、ただ太宰は続けて読むなよ。』と同じアドバイスが出来ると思います。なにかツライ時、苦しい時、ひたすら100本くらい映画観てみたら?ただ是枝作品は続けて観ちゃダメだよと。
是枝監督はとても底辺の暮らしぶり、社会から外れた人間というものに興味があるのだと思います。それをうまく映画化して、嫌悪感や、疑問を増幅していく。その結果のパルムドールだと思います。
正直、あの家族の日常は絶対に続けてはいけない日常です。ですが、その家族を越える幸せをこれからの人生であの家族が得られるのか。あの海の思い出が、ずっと幸せだったら、それからの人生がずっと辛かったら、そう思うと涙が出ます。あの刑事さんたちが言う常識が凄く善だし、万引き家族は悪です。でも悪でも愛があったら、でも悪の愛が一番悪であるなとも思って、とても辛いです。人生って辛くなくてもいいのに。楽しくてもいいのに。せめて映画は夢を見たいのに。凄く凄く辛い映画体験でした。