いい人ってわけでもない。
是枝監督の作品はいつも何かしらあると思っていましたが、本作もすごく胸にきました。
万引きをして生活なんて、なんで奴らだって感じですが、そうせざるを得ない何かはたしかにありました。でも、それが本当にその道しかなかったかと言われると、そうともいえないところがあって、そこがリアルです。もっと、父頑張れよだし、生活保護とかもあるだろだし、いろいろ思うところがあります。こういう、悪い人じゃないけどいい人でもない人を描くのがすごくうまい監督さんだなと思います。子どもたちも病んでるところがあり、見ていて切なかったです。それでも、兄に懐くところとか、兄が両親を求めるところとかは子どもらしい表情でそこがまた悲しかったです。思った以上にびっくりの展開もあって、ずっと見入ってしまいました。祖母、父、母の役者さんが、全員素晴らしかったです。3人とも雰囲気があって、代わりがいない役者さんです。特に、安藤さくらさんはほんとすてきで、なんともいえないアンニュイ感、どうしようもないところもあるけど、娘の顔を包み込むように手を添える時の優しげな表情とか、もう母の顔でした。
あの家族はいつかは壊れる家族だったし、あの生活を続けられるはずはなかったからあの展開で正解だったとは思います。でも、なんとも悲しい話でした。