選んだ家族の絆
万引き家族というタイトルからとても興味をそそられて映画をみました。
タイトルにもあるように、父と子どもの連携プレイによりスーパーで万引きをするシーンでこの映画は始まりました。万引きをしながら生活している貧乏な家族のお話なのかなと最初は思っていましたが、物語が進む中で同じ家で生活をともにしているその家族は、誰一人として血の繫がっていない、偽者の家族だということが分かってきます。
子どもは親を選ぶことができない。子も親を選ぶことができない。それが現実ですが、この家族はそれぞれが自分で選んだ家族でした。
生活を共にするにつれて本物の兄妹や親子のようになっていく場面には、絆の深さを感じ思わずジーンとしてしまいました。
拾われてきたりんと安藤サクラさん演じる母親・信代が、お互いのやけどの傷跡をお風呂でなであって、「同じだね」というシーンなんて本当に心に残っています。
それなりに仲良く暮らしている偽の家族でしたが、結局最後はみんな離ればなれになってしまいます。刑事から「こどもたちはあなたのことを何と呼んでいたの?」と聞かれて、「何だろうね…」と消えそうな声で呟きながら、髪を掻き毟り泣くシーンは本当に印象的でした。一言では言い表せない、いろいろな感情が混ざり合った涙なんだろうなと思いました。
心に残る良い作品でした。